小学校 社会
小学校 社会

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
1.単元名
「工場ではたらく人々のしごと」Sさんのみそ・しょうゆづくり
2.目 標
○校区にあるSさんのみそ・しょうゆ工場について理解できるようにし,地域社会の一員として自覚できる。
○工場を何度も実際に見学,調査するとともに,資料を効果的に活用し,Sさんのみそ・しょうゆ作りの特色や相互の関連などについて考える力,調べたことや考えたことを表現する力を育てることができる。
3.評価規準
○社会的事象への関心・意欲・態度
Sさんのみそ・しょうゆ生産や販売のようすに関心をもち,それを意欲的に調べ,考えながら追究しようとする。
○社会的な思考・判断・表現
見学や調査活動から学習の問題を見出して追究・解決し,生産や販売に見られる仕事の特色やそれらと自分たちの生活や他の業種との関連について考え,適切に判断している。またそれらを自分の言葉で表現している。
○観察・資料活用の技能
地域の生産や販売に携わるSさんや工場のようすを見学することを通して具体的に観察・調査し,調べた過程や結果,考察をノートや作品に工夫してまとめようとする。
○社会的事象についての知識・理解
地域の生産や販売の仕事にはそれぞれ特徴があり,仕事に携わる方は工夫や努力をしていたり,地域の人々の信頼を得たりしていることを捉えることができる。
4.本単元の指導にあたって
この単元は社会科学習指導要領2-(2)地域の人々の生産や様子にかかわる単元である。本単元で取り上げるのは,しょうゆ・みそ製造と販売をおこなう工場である。
ここは大正3(1914)年から98年間,5代続く老舗のしょうゆ・みそ工場である。この工場では古くから伝わる製造技術を守り,こだわりのしょうゆやみそを作り続けている。
その一例として大手によるしょうゆやみその製造方法とは異なる方法をとっている。大手では温度調節をしながら6ヶ月で製造するのに比べ,しょうゆはおよそ1年半,みそはおよそ1年じっくりと長期にわたって熟成させることで,こだわりの品を作りつづけている。また,原料からこだわって製造している。そのちがいは,みその製品表示にも表れる。多くは豆みそと米みその調合の割合において種類をかえているのだが,伊勢蔵では大豆や米,みそといったそれぞれの原料を一から調合している。最初から仕込みをしていくということになり,それには手間がかかり,リスクもある。大手では真似のできないことであるが,代々おいしさやこだわりを追究していくために大切にしていることである。それらの努力が実り,この工場で作られた品の一つが「農林水産省食料産業局長賞」を受賞している。
この工場で作られたみそやしょうゆは,子どもたちが口にする学校給食にも使われている。子どもたちには,この自信をもってあるいはこだわりをもって作りつづけ,提供してきたSさんのみそ・しょうゆ作りと直接出会わせることによって,商品にかける思いやこだわりを追究させたい。
5.単元の指導計画
時 |
学習のねらい |
子どもの活動と内容 |
評価規準の具体例 |
---|---|---|---|
1 |
・スーパーマーケットではなく,Sさんの工場で作られたみそやしょうゆを買っている人がいることに関心をむける。 |
みんなでつくった買い物調べの表を見て気づいたことを発表しよう。 |
・Sさんのみそ・しょうゆ工場について目をむけ課題や疑問をつくろうとする。(関心・意欲・態度) |
2 |
・Sさんのみそ・しょうゆ工場について目をむけ課題や疑問をつくる。 |
みそやしょうゆを買っている子の話を聞き,これから見学で調べていきたいことや分からないことを出し合おう。 |
・友だちの考えを聴いたり,話し合ったりして自分なりの課題や疑問を明らかにしようとする。(関心・意欲・態度) |
3 |
・工場見学から課題や疑問をつくる。 |
Sさんのみそ・しょうゆ工場を見学し,なるほどと思ったことやえっと思ったこと,ハテナ(疑問)をつくろう。 |
・見学を通して具体的に観察・調査し,調べた過程や結果,考察をレポートにまとめることができる。(観察・資料活用の技能) |
5 |
・工場見学を通して生じた課題や疑問を交流し,見てきたことを明らかにしたり,課題をはっきりとさせたりする。 |
製造工場と販売店舗から,なるほどと思ったことやえっと思ったこと,ハテナ(疑問)を発表し,分からないことをはっきりさせよう。 |
・学習の問題を見出し,生産や販売に見られる仕事の特色やそれらと自分たちの生活や他の業種との関連について考えようとする。(社会的な思考・判断・表現) |
7 |
・Sさんのみそ・しょうゆ工場見学で課題や疑問となったことを解決するため,さらに聞き取ったり,見学したりする。 |
重点的に追究したい場所(Aコース…「むす」ところ・「むろ」,Bコース…「たる」・「すりつぶす」ところ,Cコース…「ラベル」をはるところ・店舗)に分かれ,2回目の見学の準備をしよう。 |
・自分なりの課題や疑問を明らかにしようとする。(関心・意欲・態度) |
8 |
追究したい場所に分かれ見学しよう。Sさんにどうしても聞きたいことをたずねてみよう。 |
・見学や調査活動から学習の問題を見出して追究・解決し,生産や販売に見られる仕事の特色やそれらと自分たちの生活や他の業種との関連について考え,適切に判断している。(社会的な思考・判断・表現) |
|
10 本時 |
・見てきたことの中で,一番大切にしていると思うことはどんなことかを考える。 |
Sさんがみそやしょうゆを作る中で,一番大切にしていることはどんなことだろう。 |
・Sさんの生産に見られる仕事の特色について考え,適切に判断している。またそれらを自分の言葉で表現している。(社会的な思考・判断・表現) |
12 |
・Sさんのみそ・しょうゆ作りについてふりかえる。 |
・Sさんは,お客さんによろこんでもらえるように,納得のいくみそやしょうゆを作っているな。 |
・Sさんの仕事には特徴があり,工夫や努力をして,人々の信頼を得ていることを捉えている。(社会的事象についての知識・理解) |
6.本時の指導について
①本時(第32時)の目標
Sさんがみそやしょうゆを作ったり売ったりする中で,一番大切にしていることはどんなことかを考えることを通して,自分が安心できる,あるいは納得のいく商品を作ろうとしていることに気づく。
②指導過程(45分)
主な学習活動・内容 |
指導の工夫と教師の支援 |
資料 |
---|---|---|
1.Sさんの写真を貼り,課題を確かめる。 Sさんがみそやしょうゆをつくったりうったりする中で一番大切にしていることはどんなことだろうか。 |
○子どもたちは何度か見学をしている。見てきたことや聞いたことから大切にしていると思うことをスケッチブックに表現させておく。 |
Sさんの写真 |
2.課題について考えを出し合う。 ・Sさんが納得できるものを作る。おいしいものを作る。 |
○子どもたちがもっている事実をもとに話し合う。 |
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3.11/19(月)に給食に出た豚汁の写真を見る。 |
○給食で使われているみそやしょうゆがこのお店の商品であると教えてもらった子がいる。ここでは子どもたち全員が食べているということに気づかせる。 |
11/19(月)の給食の写真 |
4.一番大切にしていることをさらに深める。 ・Sさんはみそやしょうゆを小学生のみんなにも食べてほしいと思っているのじゃないかな。 |
○2分程度グループで交流する。その後,全体で話し合い,自分の考えを明確にする。 |
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5.本時の学習を振り返る。 |
○話し合いをしてもまだ納得がいかないことが考えられる。それぞれ納得できないことはさらに追究を続けるように言葉をかける。 |
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