小学校 社会

小学校 社会

「開国と明治維新」(第6学年)
2013.11.18
小学校 社会 <No.017>
「開国と明治維新」(第6学年)
大阪府 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「開国と明治維新」

2.目 標

 黒船の来航,明治維新,文明開化などについて調べ,日本が廃藩置県や四民平等などの諸改革を行い,欧米の文化を取り入れつつ近代化を進めていったことを理解できるようにする。

3.評価規準

社会的事象への関心・意欲・態度
①黒船来航の開国がきっかけとなり,日本が近代化を進めていく過程に関心をもち,それを意欲的に調べている。
②近代化に向けた諸改革に対して、自分なりに考えようとしている。

社会的な思考・判断・表現
①明治維新・文明開化など日本が近代化を進めていく過程について学習問題や予想・学習計画を考え表現している。
②江戸幕府と明治政府の政治を関連付けながら,欧米の文化を取り入れつつ近代化を進め,その影響を適切に表現している。

観察・資料活用の技能
①教科書や資料集などの資料から日本が近代化を進めていく過程について必要な情報を集め,読み取っている。
②鎖国が終わり新しい時代が始まっていく様子について調べたことを,まとめている。

社会的事象についての知識・理解
①黒船来航により日本が開国したこと,近代化に向けた諸改革について理解している。
②日本が欧米の文化を取り入れつつ,近代化を進めていったことを理解している。

4.本単元の指導にあたって

 本学級の児童は,歴史上の人物に興味をもち,その人物の活躍や生い立ちなどを積極的に調べ,わかりやすく新聞にまとめることができるようになってきた。しかし,学習中の「調べる」段階では,文書資料を活用する児童が多く,絵図やグラフからの読み取りは苦手である。また,学習全体を通して,自分の意見を発表することが苦手な児童が多く,発表する児童に偏りがある。隣やグループと自分の意見を伝える場を設けてはいるが,考えが深まるところまではなかなか至っていないのが現状である。
 本教材は,黒船の来航をきっかけに,約700年続いた武士の世の中が終わり,新しい時代が始まる様子がわかる教材である。そして,幕末から明治維新にかけては,政治や経済の状況,社会の変化,国際関係と,複雑で急速な展開を見せるため,十分理解し進めていく必要がある。
 そこで,「つかむ」段階では,絵図や写真等の資料を提示し,気付いたことを発表することで関心を高め,学習への意欲付けになるようにする。「調べる」段階では,苦手な児童が多いため,調べる観点を明確に示し,机間指導を行いながら助言を行うようにする。「話し合う」段階では,隣やグループと自分の意見を伝える場を設定し,自分の意見だけでなく,友だちの考えも受け入れ,共有することができるようにする。そして、一人ひとりの考えを広げると共に,日本の近代化についての理解を進めていきたい。

5.単元の指導計画

小単元名

時数

子どもの意識の流れ

○目標 ●評価

黒船の来航

2
2/2

本時

大きな船がこっちに向かってくるよ。どうして日本にきたのだろう。

○黒船の来航について調べ,これから日本がどう変わっていくのか関心をもって予想することができるようにする。
(関心・意欲・態度①)
●黒船の来航について調べ,これから日本がどう変わっていくのか関心をもって予想することができたか。
(行動観察)(学習ノート)

黒船の来航で日本の鎖国が終わったんだね。日本はこれからどうなっていくのだろう。

○日米和親条約と日米修好通商条約について調べ,日本とって不平等な条約であったことを理解できるようにする。
(知識・理解①)
●日米和親条約と日米修好通商条約について調べ,日本とって不平等な条約であったことを理解できたか。
(行動観察)(学習ノート)

外国と結んだ条約は,日本にとって不平等なものだったんだね。開国によって人びとのくらしは,苦しくなっていったんだね。

渋染一揆(1)

1

岡山藩が出した「倹約の御触書」「特別な御触書」には,どんなねらいがあったんだろう。

○岡山藩の御触書について調べ,岡山藩が農民や町人からも差別された人たちに「特別な御触書」を出したねらいについて考えることができるようにする。
(技能①)
●岡山藩の御触書について調べ,岡山藩が「特別な御触書」を出したねらいについて考えることができたか。
(行動観察)(学習ノート)

渋染一揆(2)

1

農民や町人からも差別された人たちは,不当な要求を撤回してもらおうと強い決意をもって,渋染一揆を行ったんだね。

○渋染一揆の経過について調べ,「特別な御触書」の取り下げを勝ち取るまでに大きな犠牲や苦労があったことを理解できるようにする。
(技能①)
●渋染一揆の経過について調べ,「特別な御触書」の取り下げを勝ち取るまでに大きな犠牲や苦労があったことを理解できたか。
(行動観察)(学習ノート)

江戸幕府の終わり

1

日米和親条約・日米修好通商条約から幕府への不満が高まり,倒幕への動きが広がっていったんだね。これで,700年続いた武士の世の中が終わったんだね。

○幕府がたおれるまでの動きについて調べ,鎌倉時代から続いた武士の時代が終わったことを理解できるようにする。
(技能②)
●幕府がたおれるまでの動きについて調べ,鎌倉時代から続いた武士の時代が終わったことを理解できたか。
(行動観察)(学習ノート)

新政府による政治~版籍奉還,廃藩置県~

1

新政府は,天皇中心とした国の仕組みを作るために,版籍奉還や廃藩置県を行ったんだね。

○明治政府の取り組みについて調べ,天皇を中心とした新しい政治の仕組みを作ろうとしたことを理解できるようにする。
(思考・判断・態度①,知識・理解①)
●明治政府の取り組みについて調べ,天皇を中心とした新しい政治の仕組みを作ろうとしたことを理解できたか。
(行動観察)(学習ノート)

新政府による政治~四民平等~

1

今までの身分制度が廃止され,新しく四民平等という身分の仕組みができたんだね。農民や町人からも差別された人も解放令から平民になったけど,差別は残ったんだね。

○四民平等と解放令について調べ,新しい身分制度が確立したことを知るとともに,差別が根強く残った原因を考えることができるようにする。
(関心・意欲・態度②)
●四民平等と解放令について調べ,新しい身分制度が確立したことを知るとともに,差別が根強く残った原因を考えることができたか。
(行動観察)(学習ノート)

豊かで強い国をめざして

1

富国強兵のための政策で国民の負担は大きくなったんだね。不満が高まるのを分かりながら,豊かで強い国を作ろうとしたんだね。

○明治政府が行った学制・徴兵令・地租改正について調べ,国力の充実を図ったねらいを考えることができるようにする。
(技能①,知識・理解②)
●明治政府の具体的政策について調べ,学制・徴兵令・地租改正などを行ったねらいを考えることができたか。
(行動観察)(学習ノート)

文明開化

1

江戸時代と明治時代では,街の様子が全然違うよ。文明開化でよくなったこともたくさんあるけど,急激な変化に対応できず困ったこともたくさんあったんだね。

○欧米諸国から取り入れた文化や制度について調べ,文明開化が人びとに与えた影響についてとらえることができるようにする。
(思考・判断・表現②,知識・理解②)
●欧米諸国から取り入れた文化や制度について調べ,文明開化が人びとに与えた影響についてとらえることができたか。
(行動観察)(学習ノート)

討論会を開こう

1

幕末から明治維新にかけて多くの出来事があったね。これらの出来事についてみんなで話し合いたいな。

○幕末から明治維新までの日本の様子について振り返り,日本の社会の変化について自分の考えをまとめることができるようにする。
(思考・判断・表現②)
●幕末から明治維新までの日本の様子について振り返り,日本の社会の変化について自分の考えをまとめることができたか。
(行動観察)(学習ノート)

6.本時の学習

①目 標
 黒船の来航について調べ,これから日本がどう変わっていくのか関心をもって予想することができるようにする。そして,黒船来航後に結んだ日米和親条約,日米修好通商条約について調べ,日本にとって不平等な条約であったことを理解するとともに,開国が日本に与えた影響について理解できるようにする。

②展 開

 

○学習活動 ・学習内容

○指導上の留意点

・資料等



○黒船が来航した時の様子について話し合う。
・船の大きさ
→大…アメリカ 小…日本
・人びとの様子
→あわてている、俵を積んでいる、大砲や槍を持っている

○絵図から,黒船と日本の船の大きさの違いや,海岸であわてる人びとの様子などに気付くようにする。
○黒船を見物している絵図やペリーの似顔絵,写真も見せ,黒船やペリーに対するとらえ方の違いに関心をもつようにする。

・絵図「黒船の来航」
(教科書)
・絵図「黒船見物」
・絵図「ペリー」
(写真、似顔絵)

黒船来航によって日本や人びとの生活はどうなったのだろう

調

○黒船来航以降のできごとについて調べる。
・1853年アメリカからの手紙
→船員の保護
 食料、水、石炭の補給
 貿易
・1854年日米和親条約
→下田・函館開港
・1858年日米修好通商条約
→5か国と結ぶ
 (米・英・露・仏・蘭)
 不平等条約
  治外法権を認める
  関税自主権がない

○ペリーが預かって来た手紙の内容を提示し,日本にやって来た目的について気付くことができるようにする。
○日米和親条約(1854年)と日米修好通商条約(1858年)について,「いつ」「どんな内容」だったのか簡単にまとめるようにする。
○開港された港を地図でおさえるようにする。
○アメリカと条約を結んで,幕府が横浜や神戸などを開港したことによって長く続けてきた鎖国政策が終わったことに気付くようにする。

・大統領からの手紙
・文書「黒船の来航と鎖国の終わり」
(教科書)
・地図帳「通商条約で開かれた港」

●前時に調べたことを発表する。 ●発表内容を黒板に掲示し、出来事の年表にする。



○開国によって、日本の世の中にどのような影響があったのかについて考える。
・外国の物がたくさん入ってきた
・日本の物がなかなか売れない
・品不足になった
・物の値段が上がった
・日本の産業がおとろえる
・生活が苦しくなる
・一揆や打ちこわしが起きた
・外国人に不満をもつ人が増えた
・幕府に政治を任せておけない
など

○武士,町人や農民などの立場から考えられるようにする。
○物価の上昇と農民一揆や打ちこわしを関連づけて考えるようにする。
○幕府に不満をもつ人びとが増えていったことに気付くようにする。
○日本国内では外国人を追い払おうとする動き(攘夷運動)と積極的に進んだ欧米文化を取り入れようとした動きがあったことを補説する。

・グラフ「米と生糸の値段の変化」
・グラフ「農民一揆と打ちこわしの件数」
(教科書・資料集)




○開国後の人びとの暮らしの様子について話し合う。
・生活に苦しむ庶民
・倒幕に動く下級武士

○生活に苦しんだ人びとがどんな行動を起こしていくのか,関心をもつことができるようにする。

 

7.板書計画