小学校 図画工作

小学校 図画工作

「苗ドームをヘーンシン!」(第2学年)
2013.11.25
小学校 図画工作 <No.027>
「苗ドームをヘーンシン!」(第2学年)
新潟県新潟市立亀田小学校教諭 磯部征尊

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「苗ドームをヘーンシン!」

2.題材の価値とねらい

 苗ドームとは,育成中の苗が鳥に食べられることを防いだり,苗を寒さから守ったりするためのものであり,ホームセンター等で購入することが可能である。苗ドームは,子どもが頭にかぶって自分を何かに変身させたり,ひっくり返して回したりなど,子どもにとって遊ぶ行為が広がる材料である。また,ドーム自体が曲面の形状をしておりかつ透明なので,下から見たり斜めから見たりすると形状が変わって見えたり,透明性のある材料をつけると見え方が変わったりなど,子どもの表現を広げる可能性を持っている。

苗ドーム

苗ドーム

かぶったら,別な世界に見えた!

かぶったら,別な世界に見えた!

3.題材の観点別評価内容

①関心・意欲・態度
 苗ドームの動きの面白さに気付き,進んで身の周りから材料を集めて,楽しんで表そうとしている。

②発想や構想の能力
 苗ドームの動きを変えたり,様々な角度から鑑賞したりしながらイメージを膨らませて,表し方の工夫を考えようとしている。

③創造的な技能
 色や形,大きさなどを考えて,自分の思いを表現できる装飾材料を効果的に使い,思いにあった表し方をしようとしている。

④鑑賞の能力
 苗ドームを回して遊ぶ活動を通して,苗ドームの動きを生かした面白さやよさに気付いている。

4.学習の流れ

<用具・材料>
教師:苗ドーム,装飾材料(例:スズランテープ,お花紙,色セロハン,マスキングテープ),苗ドームを動かして遊ぶコーナー(鏡,ドームをぶら下げる棒,色水の入ったペットボトルなど),マーカーペン
児童:装飾材料(例:リボン,わた,ミラーテープ,キラキラクッションなど)

<導入時の工夫>
 導入時には,「苗ドームを回すと面白い!」と子どもに思わせる手立てを取り入れる。最初に,苗ドームを子どもに提示し,苗ドームで触れ合う時間を設定して遊ばせる。

巨大ゼリーだ!

巨大ゼリーだ!

T:苗ドームを使って,遊んでみましょう。
C:巨大ゼリーみたい。
C:宇宙人の帽子みたい。
C:UFOみたい。
C:亀の甲羅みたい。

 子どもが,苗ドームを回して色々な見立てが出来たところで,体育館や集会室などの広いスペースに,以下のコーナーを準備する。

1.カラフルコーナー
 このコーナーでは,色水の入ったペットボトルの上にドームを置いて眺めさせる。子どもが,回して眺める・下から眺める・ドームをひっくり返して眺める,などの行為を通じて,何かをイメージしていく。例えば,お花の観覧車みたいでキレイ,扇風機が回っているようで面白い,などである。

カラフルコーナー

カラフルコーナー

2.クルクルコーナー
 このコーナーでは,棒にドームを指して回転させて眺めさせる。子どもが,クルクルと回転させながら,上から眺める・横から眺める・斜めから眺める,などの行為を通じて,何かをイメージしていく。例えば,コマがクルクル,泡立て器が回っている,などである。

クルクルコーナー

クルクルコーナー

3.ブラブラコーナー
 このコーナーでは,高さの異なる場所にドームをまっすぐぶら下げたり,斜めにぶら下げたりして眺めさせる。子どもが,下から眺める・横から眺める,上から眺める,などの行為を通じて,何かをイメージしていく。例えば,ロケットが飛んでいく,マンボウが泳いでいるよ,宇宙船が下りてきた,などである。

ブラブラコーナー

ブラブラコーナー

4.どれどれコーナー
 このコーナーでは,鏡の前でドームをかぶったり,人型の箱にドームをかぶせたりさせる。子どもは,回しながら鏡に映った自分を眺める・ドームをかぶった自分を眺める,などの行為を通じて,何かをイメージしていく。例えば,UFOに吸い込まれている,帽子みたい,透明な世界,などである。

どれどれコーナー

どれどれコーナー

5.デコボココーナー
 このコーナーでは,高さの異なる棒にドームを指して眺めさせる。子どもが,ステージの上から眺める・横から眺める・下から眺める・斜めから眺める,などの行為を通じて,何かをイメージしていく。例えば,お花が咲いている,みんなのドームを乗せたら,虫みたい,亀がぶら下がっている,などである。

T:今度は,体育館に用意した五つのコーナーに行って,遊んでみましょう。
C:カラフルコーナーでドームを回したら,ルーレットがまわっているみたい。
C:ブラブラコーナーに行ってドームを回したら,宇宙船が目をまわしたよ。

 子どもは,複数の場で試し,様々な角度から眺めることにより,色々なことを感じたり,思い付いたりしていく。

デコボココーナー

デコボココーナー

どんな感じかな?

どんな感じかな?

<活動の広がり>
 「苗ドームを回すと面白い!」「苗ドームを回したら,○○みたい!」というように,ドームを回すことの面白さや色々な見立てが出来た状態の子どもに,テーマ(例:2-2フェスティバル~魔法を使って○○に変身~)と材料コーナーを提示する。子どもは,前時までの活動を想起し,5つのコーナーの中から気に入ったコーナーに行き,つくりたいものを考えてつくっていく。

C:わたとリボンを付けて,ぶらぶらコーナーでドームを回したら,クラゲの足みたいに見えたよ。
C:ドームにスズランテープを付けて,カラフルコーナーで回したら,「レインボーなゆりかご」に見えたよ。もっとレインボーになるようにしよう。
C:キラキラクッションを付けて回したらキラキラしてオシャレになったから,「キラキラクラゲ」にしよう。

 子どもは,色々なコーナーで苗ドームを動かし,「動きの面白さ」に気付き,色々な視点(形や色,動きなど)からの見立てをしたことで,つくりたいものを表すことができた。

完成作品例1

完成作品例1

完成作品例2

完成作品例2

完成作品例3

完成作品例3

<評価>
 学習過程の児童のつぶやきや様子などを踏まえて,一人ひとりのつくりたい思いを継続させる評価を心がける。①~④は,題材の観点別評価内容の具体の姿である。

①苗ドームを回したり,色々な角度から鑑賞したりして,苗ドームの動きの面白さに気付く。そして,意欲的に材料を集めて,楽しみながら面白い形を表そうとしている。

②苗ドームの動きを変えたり,様々な角度から鑑賞したりして,苗ドームの動く様子から何かを見立てている。そして,見立てたことに基づき,装飾材料の組み合わせを考えている。

③つくりたいものを表現するための装飾材料を効果的に使って,つくりたい思いに近付く表し方をしている。

④友だちの製作途中の作品や,つくった作品を回して遊ぶ活動を通じて,苗ドームの動きを生かした面白さやよさに気付いている。