小学校 図画工作

小学校 図画工作

絵画指導 クリムトの木を描こう~クリスマスツリーを作ろう~(第2学年)
2013.08.08
小学校 図画工作 <No.026>
絵画指導 クリムトの木を描こう~クリスマスツリーを作ろう~(第2学年)
提示型デジタル教材『みる美術』を使って
佐賀県小城市立三里小学校 片渕浩也

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.基礎データ

題材・単元名

絵画指導 クリムトの木を描こう~クリスマスツリーを作ろう~

時間数

全2時間

題材・単元の
特徴

グスタフ・クリムト「樹木の薔薇」の油絵を鑑賞し、絵を拡大して提示すると点描画であることに気付く。綺麗に見えた絵が、点で描かれたことに気づき自分たちでもできそうだと意欲的に描き始める実践です。

授業環境

活動環境

普通教室

人数

教師1名 児童9人

教材や用具

教師:IWB、デジタル教材(みる美術)
児童:100円ショップで買える小型キャンバス、アクリル絵の具、筆

コンピュータ
動作環境

使用デジタル教材

提示型デジタル教材『みる美術』
西洋美術 フランス国立美術館連合編

OSバージョン

Windows7

使用周辺機器

PIONEER 60インチIWB1台、FUJITSUノートPC1台

その他

パワーポイント(プレゼンソフト)

2.活用事例

①ねらい
 小学校学習指導要領解説図画工作編によると中央審議会答申において改善の基本方針(ⅱ)改善の具体的事項に「表現や鑑賞の活動を通して,自らつくりだす喜びを味わうようにするとともに,感性や想像力,手や体全体の感覚などを働かせながら造形的な創造活動の基礎的な能力を高め,生活や社会と主体的にかかわる態度を育て,豊かな情操を養うことを重視」することを示されている。そこで、本単元では、鑑賞した美しい作品を自ら作り出す意欲と喜びを味わうように工夫し、指や筆を使い、絵画の基礎的な感覚を高めることをねらう。

②『みる美術』利用の意図
 作品を制作するに当たり、意欲を持たせるために、IWBにおいて、大きく細部まで美しく見ることができる「『みる美術』西洋美術 フランス国立美術連合編」を活用する。今回の単元では、クリムトの作品「樹木の薔薇」をまず鑑賞し、素晴らしさを味わう。
 味わった後に、課題として、同じような美しい作品を児童自らが制作することを伝え動揺させる。
 軽いショックを与えた後に、『みる美術』の2枚並べる機能を使い、同じ作品を二つ並べ、一方を拡大していくことで、作者の描いた筆の跡が、児童が描けそうな点描画であることがわかり、これくらいなら自ら作り出すことができると意欲を持たせることができるように活用した。また、細部まで拡大できる『みる美術』の画像を、IWBを使って大きく映し出すことで、真似をしながら自ら色を考え、ゴールを目指して体を動かして作り上げていく意欲を手間をかけずに持続させることができる。

③評価について
a.造形への関心意欲態度
 表現や鑑賞を通して、進んで作りだす喜びを味わうことができる。

b.発想や構成の能力
 複数の絵を並べて身近なものを発想したり、一つの木になるように構成したりすることができる。

c.創造的な技能
 指や筆を使い、アクリル絵の具の感覚を楽しみながら、水彩絵の具とは違う色の重なりを楽しむことができる。

d.鑑賞の能力
 様々な色が重なり合うことで生まれる面白さや楽しさ、美しさを感じ取ることができる。

④指導計画
 特設単元のため、2時間のみの実践である。

3.本時の展開

①目標
 意欲的に絵画の鑑賞を通して学んだ感覚や点描の技法をもとに、クラスの全員での協働的な学び合いを通して、一枚の共同作品を完成させることができる。

②『みる美術』を活用した授業の展開

主な学習活動・内容

教師の指導・評価の留意点


1.作品を鑑賞する。
「樹木の薔薇」をIWBで鑑賞し、点描画の技法を知る。

並列提示の例

並列提示の例

・全図~拡大図を見せることで、美しい作品の素晴らしさとともに、拡大図なら真似できるという意欲を持たせる。

拡大図

拡大図



2.自分の作品を作る。
拡大表示された「樹木の薔薇」を参考にし、作品を完成させる。

描画法 筆、指の例(1)

描画法 筆、指の例(1)

描画法 筆、指の例(2)

描画法 筆、指の例(2)

・筆以外にも指を使ってもいいことを教える。
・色の重なりに注目させ、使われている色や塗る順番を考えさせる。
・油絵の重なりを表現させるために、乾燥したら混色しにくいアクリル絵の具を使う。


・固まりやすいので一色ごとに、筆や指を水で洗わせる。



3.一つの作品に仕上げる。
9枚の作品をつなげて1枚の作品に仕上げる。

はじめの並べ方(1)

はじめの並べ方(1)

はじめの並べ方(2)

はじめの並べ方(2)

最終的な並べ方

最終的な並べ方

・作品を持ち寄らせ、並べ方を考えさせる。色合いや表現等の違いに気付かせた上で、一体感を持たせるように並べる視点を与える。
・児童の自由な発想を大事にする。
・身近な自然や季節の行事などから連想させることで、自分たちの考えが広がりやすい。


※本実践では、12月だったこともあり、休み時間を使用し、星と幹と植木鉢を足すことで、クリスマスツリーに変身した。



4.作品を作った感想を書く。

・自分の言葉で感じたことを書かせる。気持ちや感覚と、技法など今後も活用したい気持ちを持たせるよう言葉かけが必要となる。

③指導のポイント
 IWBで普段は見られない作品を鑑賞し、鑑賞したことから学んだ技術や感性をもとに、児童が自らの手で作品を作り上げるところがポイントである。共同作品とすることで、作品を並べ一つにする段階での協働的な学びが可能となる点もポイントである。

4.感想等

 全図と拡大で違いがあり、そのギャップが楽しめるところがすごい。このソフトが細かいところまで本物のように鑑賞できるからであり、この実践も、インターネット上の作品画像ではできなかった。同じものを並べる機能は、比べる時にとても便利である。