高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

吉岡徳仁 クリスタライズ
2013.12.02
高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.053特別号>
吉岡徳仁 クリスタライズ

 吉岡徳仁(1967- )は、アート/デザイン/建築など幅広い領域において、自由な着想と実験的な創作から数々の作品を生み出し、国内外で高く評価されています。世界中の美術館に作品が収蔵/常設される、国際的に活躍するデザイナーであり、空間そのものを作品とするアーティストでもあります。自然界の丈夫な蜂の巣(ハニカム)構造を紙の椅子にした「Honey-pop」、柔らかい繊維をパンのように焼いて強靭な構造にする「PANE chair」は、彼のユニークな発想を形にした試みですが、今回の個展で発表される結晶のシリーズは、それらに続く自然構造のプロジェクトです。音楽を聞かせながら形作られた結晶の絵画「Swan Lake」、結晶化した薔薇の彫刻「Rose」は、自然から生み出され「クリスタライズ=結晶化/アイデアを具体化」した作品です。また、鋼鉄より強い自然界のクモの糸から発想した新作「蜘蛛の糸」は、わずか7本の糸で作られた結晶の椅子です。これらの作品が点在する空間を、180万本ものストローによる白い竜巻「Tornado」が、ダイナミックにつないでいます。
 クリスタルプリズムによる虹の教会「Rainbow Church」は、12mのステンドグラスです。画家アンリ・マティスが作ったロザリオ礼拝堂を訪れた時の感動的な「光の体験」を、いつか人々と共有したいと吉岡は考え、光の建築空間を創り出しました。この作品空間は携帯カメラで撮影でき、作品を楽しむ観客の姿がどんどんネット上にも拡散し共有されつつあります。ぜひ、吉岡による作品空間を訪れ、自然と人間の関係や、新たな創作のかたちについて考えてみてください。

(東京都現代美術館 企画係主任 学芸員 森山朋絵)

 

<展覧会情報>

  • 吉岡徳仁 クリスタライズ
  • 2013年10月3日(木)~2014年1月19日(日)

展覧会概要

  • 吉岡徳仁の公立館初の大規模個展。過去の代表作や国内初公開のインスタレーションなど、吉岡が作品へと結実させた、自然が秘める美しさを全身で感じることができる空間を創出しています。

東京都現代美術館ico_link

  • 所在地 東京都江東区三好4‐1‐1
  • TEL 03-5245-4111(代表)
  • 休館日 月曜日(10月14日、11月4日、12月23日、1月13日は開館、10月15日、11月5日、12月24日、12月28日~1月1日、1月14日は休館)

<同時開催の展覧会>

  • うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法(デザイン)
  • 2013年10月3日(木)~2014年1月19日(日)

その他、詳細は東京都現代美術館ico_linkでご覧ください。