学び!とPBL
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1.愛知県高校生フェスティバルの沿革
そもそも、福島市高校生フェスティバルのヒントはこの愛知県高校生フェスティバルから得ており、規模も思想も歴史も二桁ぐらい差があるのですが、高校生が単に受け身的に勉強するだけでなく、高校生の考えていることを自分たちの力で社会に発信することの大切さ、それによって社会や街を変えていく、という考え方では共通していると言えます。福島は震災・原発事故からの復興という、愛知にはない重要な側面も持っています。
2.高校生の生の問題を仲間と
愛知県高校生フェスティバルは、教職員組合や賛同する高校や大学の先生、市民、行政などにも支えられ、実行委員会が中心となって年間を通して活動をしています。募金活動や教員の教育研究会、群舞と呼ばれる大規模なダンス、教員と高校生が共に学ぶイベントなども行われます。名古屋市が会場であることから規模も大きく、1万人以上も会場に詰めかけます。
その愛知県高校生フェスティバルに2019年4月の春のイベントに参加することになりました。前夜祭では、ネットワークに所属している日本中の高校生のチームが体育館に一堂に会し、地域ごとの取り組みや高校生サミットにかける思いを述べました。福島市チームも市内でのフェスティバルや台湾との交流などについて報告し、震災・原発事故の被災地の取り組みとして注目されました。その後、数名のグループを作り、密度の濃い実践交流を行いました。
翌日は、メイン会場の南山大学にたくさんの高校生が集まりました。市内の高校生の合同学園祭、といった方がいいのではないかと思います。大小様々な露店が立ち並び、教室では様々な報告が成されました。私たちが参加した「高校生サミット」では、ネットワークの取り組みの方向性や到達点が確認されました。ある私立高校の生徒は「私立高校生はお金がある人ばかりではない。私のように公立に失敗して、経済的に厳しいにもかかわらず、私立に行かざるを得なかった人がたくさんいる。けれども、社会の多くの目は公立学校にばかりに向いてしまい、私たちに対しては失敗したのが悪い、どうせお金があるんでしょ、と捉えられてしまう。」と、つらい思いを静かに語りました。
別の高校生は、平和学者のヨハン・ガルトゥングの考えを披露しました。「暴力には、直接的暴力と、構造的暴力と、文化的暴力がある、構造的暴力は老若何女や貧富の差といった社会的な位置づけによって自動的に生まれてしまう暴力、文化的暴力は直接的暴力や構造的暴力を正当化しようとする暴力」と、高校生なりの理解で語りました。言わば、私たちが感じている苦しさの背後にある構造や文化に目を向けないと、解決にならない、ということでした。
こうした高校生たちの語り口に、新鮮な驚きを感じました。
3.ネットワークでつなぐ
最後は、「群舞」です。1,000人以上の高校生が自分たちの思いを一つのダンスで表現します。体育館で披露した後、最後に屋外で全体が一体となって踊りました。これこそが高校生のエネルギーと、実感した1日となりました。
参加した福島の高校生は、この感動を1秒でも早く福島に持って帰って伝えたい、これを次の自分たちのフェスティバルにつなげたいと、強い思いを抱きました。この後も、愛知県高校生フェスティバルとのつながりを維持し、秋の学習会では「福島の現状を伝える」分科会が設けられることになりました。