高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

日本国宝展
2014.11.04
高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.063 特別号 教科書の作品に出会える展覧会>
日本国宝展
関連作品 土偶「高校美術2」P.32掲載

国宝 「土偶 縄文の女神」 土/高さ45.0cm/縄文時代(中期)紀元前3000年~紀元前2000年頃/山形県舟形町西ノ前遺跡出土/山形県蔵 山形県立博物館保管 展示期間:11月21日(金)~12月7日(日)

 山形県で出土し、平成24年に国宝に指定された土偶です。発掘元の西ノ前遺跡は縄文時代中期の集落とされており、長さが10mを超える大型の住居跡も見つかっています。この土偶は、その集落で不要になった道具などを廃棄していたとされる「捨て場」から、5つに分割された状態で出土しました。西ノ前遺跡からは48個の土偶が出土していますが、完全に復元できたのは、この土偶のみ。通常、土偶は破片で見つかることが多く、完全な形には戻らないことが一般的です。病気や怪我を直すために土偶を身代わりとして打ち砕いたという説や、土偶の破片を集落の各地に分け、命の再生や繁殖、集落の繁栄を願ったというような説があります。完全に元通りになる土偶は珍しく、何か特別な扱いを受けた土偶かもしれない、と考えられているほどです。
 この土偶の頭部には目、鼻、口がなく表情はありません。形は半円形で、頭頂部と耳飾りを付けるあたりに穴が開いています。胸部はW字に張り出しており、ヘソより下が正面から見ると大きく内側に反り返ったようになっているのが特徴です。横から見るとお尻は後ろに突き出ており、その形から「出尻土偶(でっちりどぐう)」と呼ばれることもあります。身長は45cmです。現在見つかっている土偶の中では最も背が高く、八頭身かつ洗練されたプロポーションから「縄文の女神」と称されています。
 展示期間中、実物は東京国立博物館に展示されていますが、所蔵元の山形県立博物館ではレプリカの展示を見ることが可能です。

(編集部)

 

<展覧会情報>

  • 日本国宝展
  • 東京展 2014年10月15日(水)~12月7日(日)

展覧会概要

  • 平成26年現在で1092件の登録がある国宝の中から、約120件が集結する展覧会。縄文時代の祈りや美意識を今に伝える土偶、ユネスコ記憶遺産に登録されている貴重な資料、平成25年に国宝指定された安倍文殊院の善財童子立像、仏陀波利三蔵像など、多彩な国宝を一挙に見ることができます。

東京国立博物館ico_link

  • 所在地 東京都台東区上野公園13-9
  • TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 休館日 月曜日(ただし月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌火曜日に休館)

<次回展覧会予定>

  • みちのくの仏像
  • 2015年1月14日(水)~2015年4月5日(日)

その他、詳細は東京国立博物館ico_linkでご覧ください。