高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)
高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館 外観 中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館は、近現代の彫刻作品を取り扱う美術館です。常設展示では、教科書に掲載している柳原義達の《道標 鳩》を見ることができます。今回は館長の北嶋迪子さんに美術館で扱う作品や、教育普及活動についてお話をお伺いしました。
中原悌二郎の作品をはじめ、悌二郎に大きな影響を与えたオーギュスト・ロダン、荻原守衛、悌二郎の親友であった石井鶴三、堀進二、悌二郎の影響を受けて彫刻家となった加藤顕清の作品などのほか、悌二郎の業績を広く知ってもらい日本の彫刻界の発展に貢献する目的で昭和45(1970)年に旭川市が設けた「中原悌二郎賞」の歴代受賞者や地域ゆかりの作家による作品を収蔵しています。
悌二郎は32年の生涯の中で25点の作品を制作しましたが、自分の作品に厳しい目を持ち気に入らない作品は自ら壊すなどしたため、現存する作品はわずか12点です。当館では代表作である「若きカフカス人」をはじめ、この12点全てをご覧いただくことができます。
中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館 内観
当館で展示している《道標 鳩》は、第5回中原悌二郎賞に選ばれた作品です。ハトの臆病そうに小首を傾け周囲をうかがうしぐさや、たくましい生活感。ふくよかな体、力強く太い足、そして愛くるしいまなざし。これらから日々ハトと接している柳原の、生きものたちに対する愛が感じられます。
羽毛に見られる質感の表現技法とともに、作品に表れている作者のモチーフに対する深い洞察や愛情も魅力の一つとしてぜひ鑑賞いただきたいと思います。
柳原義達《道標 鳩》
また、学校と連携した取り組みとしては、市内の小中学校において1校につき1か月間程度、当館の所蔵作品を学校に展示する彫刻巡回展示を行っています。巡回展示では、美術館では普段触れることができない彫刻を実際に触ることができるほか、当館職員と彫刻に詳しい市内の美術教員が展示校に直接出向き、児童、生徒に展示している作品を観察して感じたことを言い合ってもらったり、作品に触れて質感や重さを体験してもらったりする出前授業を実施しており、鑑賞のおもしろさや彫刻に対する興味関心を深めてもらう機会を設けています。
美術館情報
住所:〒070-0875 北海道旭川市春光5条7丁目
公式サイト:https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/sculpture/
問い合わせ:0166-46-6277
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は、その翌日)、年末年始(12月30日から1月4日)
開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
観覧料:一般450円、高校生300円、中学生以下無料
- 令和4年度版「高校生の美術1」p59.
道標 鳩[ブロンズ/41×27.5×52cm] 1973
中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館蔵[北海道]
柳原義達[山口県・1910~2004]