小学校 図画工作
小学校 図画工作

~粘土アニメーション作家との授業~
※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
指 導 計 画 |
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題材名 |
ねんど デ・アニメーション! |
時 間 |
2 |
準 備 |
油粘土(薄い色は避ける)、爪楊枝(粘土細工用)、手動回転轆、スリット(8等分)の入った円筒形の黒画用紙と粘土を置く台紙 |
学習目標 |
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主な学習内容 |
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主な評価の観点 |
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「教科書で紹介されている作家さんが来てくれた!」
希望に胸ふくらませ、5年生になった子ども達。毎年、子ども達と一緒に一年間にやってみたい内容など、教科書を見たり、実際に種々の作品を提示したりしながら計画をおおまかに立てることが定例になっている。
「先生!この 石田卓也さん と言う人の粘土アニメーションって見たことあるよ!」教科書の最後のページを開きながら、目を輝かせ、興奮気味に伝えに来た子ども。楽しくっておもしろくって、つくってみたいと創作意欲が沸き起こる作品の数々。
高学年になると、子ども達は自分たちがつくりたい作品だけではなく、鑑賞のページに掲載されている作品や芸術家自身の仕事へも興味・関心が非常に高くなる。
「石田さん登場!」
子ども達に、石田さんとの授業が実現できることを伝えると大歓声が!
前日には、石田さんとともに授業のための準備や仕込みをし、準備万端。子ども達にも簡単な粘土で動く8コマアニメを考えてくるように伝える。
当日…石田さん登場に大興奮!今までの作品をビデオで見せていただきながら、つくる過程での思いや苦労、作品への熱い思いを伺った。
色鮮やかな粘土があっという間にくるくると変化していくおもしろさや発想の豊かさにどの子も驚いている様子。
「アニメーションの1秒の動きに何枚くらいの原画を描くと思う?」
「10枚くらいかな…」
「正解は24枚」
石田さんとのやりとりで、アニメーションを制作するには、豊かな創造力と発想の転換、頭の柔らかさが大切なこと(石田さんはいつまでも子どもの心を忘れないことと力説)一つ一つの動きをよく観察し、こだわりをもってつくっいること、歩くなどの一つの動作をつくるにもたくさんの時間がかかることなどなど…ものをつくりあげるには、総合的な力が必要なことを学んでいた。
「ふしぎ!ふしぎ!」
ビデオでアニメーションの簡単なつくりを理解した子ども達は、実際に石田さんの作品を見せてもらうことにした。

[ぶたさんがぞうさんに変化するの巻]
「顔の変化をよく見てごらん」
「鼻がどんどん伸びている」
「顔も変わっていくよ」
「耳だって大きくなっている」
「芸術家の技にびっくり!」
「8あるあなの中から一つ選んで、そこから目をはなさずに見ると、連続して見えるよ」
「鼻がのびたりちぢんだりすごいなあ!」
「よく見ると目も大きくなったり小さくなったり、つり上がったり、たれ下がったりして笑ったり、おこったりしている!」
実際に子ども達の目の前で、粘土の作品をいとも簡単につくりあげてしまう石田さん。
子ども達の感嘆の声!「石田さんの手は魔法の手!」と、どの子も職人技に驚いた。熟練した石田さんの手作業の早さや正確さは、子ども達にとってもよい刺激となった。鑑賞とは作品のみならず、作り手の思いや技、制作中の表情や身体の動きまでも含め素晴らしい出会いがあると再認識できた。
「さあ!つくってみよう」
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●準備するものは…
油粘土(薄い色は避ける)、爪楊枝(粘土細工用)、手動回転轆轤、スリット(8等分)の入った円筒形の黒画用紙と粘土を置く台紙
●つくるヒントとして…
石田さんと相談し、自由につくらせることももちろん大切だが、子どもの実態に合わせ、今回はつくるヒントをいくつか示した。
- 大きい→小さい→大きい…
- 上→下→上…
- 縮む→伸びる→縮む…
- くっつく→はなれる→くっつく
など、4つの動きを基本として発想を広げさせる手がかりとした。
「これはね、三角の生き物(木)が育っていく様子なんだ」
「一番大きな木から小さい木になるときどんな動き方をするんだろう?」
「石田さん、見てください!」
必ず、できたときは石田さんに声をかけ、評価をしていただく。
まずは、回してみて確かめながら…
「ここをもう少し大きくするとうまくつながっていくね」
「すごい!びっくりするくらい変化しておもしろいね!」
などなど、批評をいただき嬉しそうな子どもたち。
もう一工夫とアドバイスを受けたところを、つくりかえてもう一度チャレンジ!
「お互いの作品を見てみよう!」
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「恐竜が生きているみたい!」
「首を曲げたのがもどるとき迫力があるね!」
「平らな粘土から生まれてくるってアイディアがすごいね!」
グループの子ども達が競うように作品をもってきては、見せ合いお互いに評価をし合っている光景がほほえましい。
最初の導入段階では、アイデアがなかなかでなくて、悩んでいた子ども達も、石田さんのアドバイスや友達の刺激を受けながら、多い子どもでは、6つもの作品をつくり上げ大満足の様子だった。
「できたよ!力作」
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[絵描きさん伸びた鼻の巻]
これは、グループの友達と二人でつくりました。とんがった鼻が、急に平らになったところは、どのように動いて見えるかすごくわくわくします。
[バレリーナのくつ踊るの巻]
バレーを踊るときのトウシューズが楽しく踊りだすという作品です。私の大切なトウシューズに願いをこめつくりました。
「授業をおえて…」
あっという間の2時間だった。石田さんとの打ち合わせで、子ども達に作品を紹介し、作り方を提示し、つくらせるという段取りは2時間では、精一杯と予想していた。しかし予想に反し子ども達は、石田さんからたくさんの刺激を受け、泉がわき出るように作品をつくり上げていった。芸術家との素晴らしい出会いは、子ども達の心にも深く刻まれ、「大好きな図工がもっともっとすきになった」「アニメーションの仕事に興味をもった」など、本物との出会いは、創作へのエネルギーの原動力と思えた素晴らしい一日だった。