小学校 図画工作
小学校 図画工作

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
図画工作・札幌発信シリーズ<1>
授業の実際
●子どもの「やってみたい!」に寄り添う
導入時に、教室で一人2本だけポリテープを渡し「その2本をつないでみよう!」となげかけた。色々な結び方を試したあと、「これを使って教室にレインボーの世界をつくろうと思うんだけど…」となげかけると、子どもたちは「これじゃあ足りない!」「もっと色が欲しいよ!」と声を上げた。
子どもたちと一緒に、必要な色やつなげてみたい物などを相談し、子どもに生まれた「やってみたい!」という気持ちに寄り添いながら、活動を始めた。
●どうやってつなげようかな?
「まずは何から始めよう…?」広い教室を前に、子どもたちはまず友達とつなげてみることからスタートした。「レインボー」というテーマに沿って色を順番につなぐ子や、とにかく長くつなげてみる子など、小さな行為からスタートした。
●ここにもつなげちゃおう!
活動をつづけていくうちに、つながる範囲がどんどん広がっていった。上から下へたらしてみる、はじからはじまでつなぐ…など、空間を意識した活動が生まれてきた。
教師が「次は何を計画中?」と問いかけると、「あの友達のところまでつなげたいんだ!」「友達と一緒に、ここにたくさんつり下げるの!」と一人一人見通しをもっていた。友達と関わりながら活動することで、いろいろな「やってみたい!」気持ちが子どもに次々と生まれていった。
●見立てから発想を広げて
「虹のカーテンができた!」活動の中で、子どもたちは見立てながら発想を広げていった。始めはとにかくつなげていた行為が、見立てから生まれた発想から、意図のある表現に変化していった。
ある子どもが「虹の海に網をはった」と話してくれたので、「○○君はハンガーに結んで虹の魚をつくっていたよ」と紹介すると、「ここに泳がせようかな」と、発想から友達と関わるきっかけをつかんでいた。
●レインボーの世界、完成!

活動の後に、「虹の世界を探検しよう!」と投げかけた。子どもたちはお互いの活動を見ているために、友達の活動のあとを壊さないように大事にしながらも、どんどん中に入っていって鑑賞を楽しんだ。そのうちに、床に寝転がって下から見た眺めを楽しむ子どもがあらわれた。それを見た子どもたちは「先生、上からも見てみたいから、台に上っていい!?」と声をかけてきた。
子どもたちは鑑賞しながら、「ここのピンとはった所が、元気な感じがするよ」「ここの虹のカーテン、サラサラ揺れて光を通してきれいだね」と、お互いのよさを感じ取っていた。
終わりに

子どもたちは思うまま、自由に活動しているように見えるが、実際に活動にはかなりの制約がある。
・ポリテープの長さ(1メートル)
・切ったり割いたりしない。
・テープなどで接着しない。(結ぶだけ)
・生活班で教室のはじからスタート
しかし、この制約があるからこそ、友達との新たな関わり方や、「こうしたい!」を実現する発想が生まれるのである。また、自分の活動を進めていくと、場所の制約から必ず友達の活動とぶつかることになる。そのときに、お互いの活動の良さを認め、組み合わせたり、場所を共有したりする活動も、高学年を前にした4年生の子どもたちにとって大切な行為であると考える。
教師が子どもの「こうしたい!」という気持ちに寄り添い、語り合いながら題材を構成していきたい。
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【監修 北海道教育大学岩見沢校 准教授 阿部宏行】