小学校 図画工作
小学校 図画工作

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
指 導 計 画 |
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題材名 |
グラグラ ゆらゆら |
学年 |
1 |
総時数 |
5 |
領域 |
A表現(2) |
題材の価値とねらい |
近年では、「動き」を取り入れたアートが注目されている。例えば、英国のロンドンでは、2009年に動くアートの展覧会「キネティカ・アート・フェア(Kinetica Art Fair)」が開幕した1)。また、テレビ番組でも何度か放送された「ビーチアニマル」は、大きいものでは体長12メートルにも及ぶ。プラスチックチューブやペットボトル、木材などで構成され、風を受けるとまるで生き物のように動き出す。そんな人工生命体のような作品を通して、生命の本質や未来の生命の可能性を考えるのが動くアートである。 |
題材の観点別評価内容 |
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用具・材料 |
教師:紙コップ(小・大)、絶縁テープ、粘土、梱包用ビニール紐、ビニールテープ(赤・橙・青・黄・桃・黒・茶・灰)、マーカーペン |
学習の流れ
<導入時の工夫>
導入時には、「転がり方を変えると面白いな!」と子どもに思わせることが必要である。最初に、教師が簡単な仕組みを提示し、その仕組みを使って自由に遊ばせる。簡単な仕組みとは、紙コップの底の部分を合わせたものである。大小の紙コップでつくったものを事前に用意しておく。簡単な仕組みを転がす活動を通じて、「コロコロ(小さな紙コップでつくった仕組み)」、「ゴロゴロ(大きな紙コップでつくった仕組み)」というように、子どもと「見立て言葉(擬態語または、擬音語)」のネーミングを付けておく。
T:先生がつくった見立て言葉、コロコロ・ゴロゴロの外に、どんなメニューができそうか、みんなもやってみましょう。はさみや粘土を使ってもいいです。
C:はさみで切ったらどうなるかな。
C:粘土を付けたら、おもしろい見立て言葉が見付かるかもしれないぞ。
T:見立て言葉が見付かったら、一つ一つにネームペンで書いておきましょう。
「見立て言葉」を考えさせることで、子どもは色々な転がる様子に着目し、自分だけの見立て言葉を考えようとする。複数の見立て言葉を見付けた子どもは、「転がり方を変えると面白いね。紙コップ以外の材料でも、違う見立て言葉を見付けてみたいな。」という状態になる。
<活動の広がり>
紙コップ以外の材料に興味を持った子どもに、複数の材料を集めさせておく。
C:ペットボトルとプリンカップを合わせたら、グラグラしたよ。
C:トイレットペーパーの芯と紙のお皿をくっつけて転がしたら、ゆらゆらゆれたよ。
C:お母さんからもらった化粧品とアイスのカップを付けたら、みんなと違って、ゴロンゴロンになったよ。
C:私は、お家から持ってきたアクセサリーをカップの中に入れて転がしたら、シャラシャラという音がでたよ。
子どもは、自分が持ってきた材料を組み合わせながら、面白い見立て言葉を考えていく。複数の見立て言葉を見付けた子どもに、さらにイメージを膨らませるために、次のように働き掛けを行う。
T:みんなが見付けた見立て言葉にトッピング(~が・・・しているみたい)してみよう。
C:グラグラだから、おばけがグラグラしているみたい。
C:ゆらゆらしているから、ゆらゆらする観覧車にしたいな。
C:カエルが山からゴロンゴロンと落ちてきたよ。
C:おもしろいね。私は、たぬきがゴロンゴロンと転がっているみたいに見えるよ。
子どもが考えた見立て言葉にトッピングを加えさせることで、子どもは、つくりたいイメージを膨らませて、つくりたい作品をつくることができた。
<評価>
学習過程の児童のつぶやきや様子などを踏まえて、一人ひとりのつくりたい思いを継続させる評価を心がける。
- 転がり方を変えることに関心をもち、意欲的に材料を集める。
- 材料の組み合わせを変えて、色々な転がり方をするおもちゃを考える。
- つくりたいものを表現する。
- 友だちのつくった転がるおもちゃのよさや工夫に気付く。
参考文献
1)奇想天外!ロンドンで動くアートの展覧会
【磯部 征尊】