小学校 図画工作

小学校 図画工作

《札幌発信シリーズ》 スノーワンダーランド【A表現(1)造形遊び】
2012.05.28
小学校 図画工作 <No.016>
《札幌発信シリーズ》 スノーワンダーランド【A表現(1)造形遊び】
札幌市立幌西小学校 実践者 土門俊介

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

図画工作・札幌発信シリーズ<7>

指  導  計  画

題材名

スノーワンダーランド【A表現(1)造形遊び】

学年

総時数

題材のねらい

  • 自分の思いの形に変えて固めることができる雪の性質を理解し、カタヌキをしたり、丸めたりするなど様々な形の雪をつくる
  • カタヌキはその硬さから積み上げることができることや、同じ形のものを並べてできる様子の面白さに気付き、活動を工夫する
  • 大きさの違うカタヌキを重ねて置いたり、ビーズやつまようじなどの材料と組み合わせたりするなど、雪や場所からイメージを広げ、思い付いた活動をする

材料

バケツ、プリンカップ(カタヌキをつくるのに使用)、シャベル、ビーズ、つまようじ、カラーセロハン、ポリテープ、モール、カラーポリ袋

評価基準

造形への関心・意欲・態度
雪に関心をもち、思い付いた活動を楽しんで取り組もうとしている。

発想や構想の力
雪の感触や特徴、形や色、他の材料との組合せなどから思い付いたことを考えている。

創造的な技能
雪や組み合せる材料の特徴を生かしながら並べ方や重ね方、組合せ方を工夫して活動している。

鑑賞の能力
友だちと互いの活動や作品を見合い、よさや面白さを感じ取っている。

学習内容

  1. カタヌキづくりに挑戦 ~雪の特徴をつかむ~
  2. カタヌキを使って、何ができるかな? ~雪の特徴を生かす~
  3. 友だちの作品を鑑賞しよう ~アイデア吸収タイム~
  4. 作品をもっと楽しくしよう ~アイデアを試す~

学習展開

-1時間目開始-

 同じ時期には、社会科「昔の人々が受けつぐ行事」の学習で「さっぽろ雪まつり」について調べていた。大きく、本物そっくりの雪像を見ている経験や、材料の面白さが子どもの意欲を引き出しているように感じた。

(1)カタヌキづくりに挑戦 ~雪の特徴をつかむ~

 題材の導入時には、次の1~5について説明した。

  1. 題材名から
    ・雪を使って自分たちの楽しい世界をつくろうとめあてをもった
  2. 活動のねらい
    ・バケツに雪を入れてつくったカタヌキを使って活動することを確認した
  3. 注意すること
    ・スコップの使い方
    ・カタヌキを高く積み上げると倒れる危険性も(3段目まで)
    ・カタヌキのつくり方
  4. 子どもからの質問
    ・地面を掘って穴をつくってもいいか
    ・校庭にある木や彫刻、遊具などを使ってもいいか
  5. カタヌキづくり
    ・学校で用意した清掃用のバケツを使用
    ・自分でバケツを用意した子どももいた

 話を聞いている子どもたちは、「早くやってみたい」と、わくわくしているようだった。説明が終わってから活動場所へ移動した。まず、自分たちの場所を決めてから活動を開始させた。

<活動初めのころ>

カタヌキづくりでは、「できた!やった!」と、夢中になって活動に取り組んでいた。

カタヌキづくりでは、「できた!やった!」と、夢中になって活動に取り組んでいた。

「もっとたくさんつくろう」と、一人でいくつものカタヌキをつくる子もいた。

「もっとたくさんつくろう」と、一人でいくつものカタヌキをつくる子もいた。

 スコップで雪をバケツに入れ、固めたあと、ひっくり返すカタヌキの行為は大変楽しく、20分間で3~4個つくる子もいた。そして次第に、つくることから置き方に楽しさを感じる子どもが増えてきた。

はじめは、ただカタヌキを置いていた子も積み上げられることにも気付き始めた。

はじめは、ただカタヌキを置いていた子も積み上げられることにも気付き始めた。

カタヌキで滑り台の周りを囲んでいた。「滑り台のある秘密基地みたいにしたい」と、活動に取り組んでいた。

カタヌキで滑り台の周りを囲んでいた。「滑り台のある秘密基地みたいにしたい」と、活動に取り組んでいた。

「ピラミットみたいにしたい」と、積み上げる工夫が見られた。

「ピラミットみたいにしたい」と、積み上げる工夫が見られた。

自分のもってきたバケツでカタヌキをつくる子もいた。「バケツの形がきちんとでる」と、雪の特徴を理解して活動していた。

自分のもってきたバケツでカタヌキをつくる子もいた。「バケツの形がきちんとでる」と、雪の特徴を理解して活動していた。

(2)カタヌキを使って何ができるかな?~雪の特徴を生かす~

 始めからカタヌキの置き方を考えて並べたり、積み重ねたりする子どもだけでなく、何気なく置いていた子もいた。「どうしてこう置くの?」「何に見える?」と聞いてみることで、「家の壁みたい」と自分の活動の面白さに改めて気付いたり、今後の活動に見通しをもちさらに工夫したりする様子が見られた。カタヌキの置き方を整理してみると、大きく二つに分けられると考えた。

<アイデア1>並べる・積み上げる

モニュメントを囲むようにしてカタヌキを並べていた。

モニュメントを囲むようにしてカタヌキを並べていた。

決めた場所を囲むようにしてカタヌキを並べていた。「ケーキ屋さんなの」と教えてくれました。

決めた場所を囲むようにしてカタヌキを並べていた。「ケーキ屋さんなの」と教えてくれました。

「家の壁にしたい」と、円を描くようにカタヌキを並べる工夫が見られた。

「家の壁にしたい」と、円を描くようにカタヌキを並べる工夫が見られた。

<アイデア2>大きさや形の違うカタヌキを組み合わせる

「動物の耳みたい」と、雪玉にしてカタヌキに載せていた。

「動物の耳みたい」と、雪玉にしてカタヌキに載せていた。

「高くなったよ」「同じものをいくつもつくれそう」と、新しい発見を活動に生かす姿も見られた。

「高くなったよ」「同じものをいくつもつくれそう」と、新しい発見を活動に生かす姿も見られた。

(3)友だちの作品を鑑賞しよう ~アイデア吸収タイム~

 子どもは、(1)と(2)の学習を終えると「もっとこうしたい」と自分なりのアイデアを思い浮かべる様子があり意欲を深めていた。そこで、(3)の鑑賞の活動を取り入れた。「すごいな」「まねしたい」とつぶやくなど、自分とは違う工夫を多く発見させることで、その後の活動ではより創造的に取り組む子どもの姿を引き出そうと考えた。

-1時間目終了-

-2時間目開始-

 本時の導入時には、実際に作品を見ながら面白さを紹介したり、新しいアイデアをもっている子どもに発表させたりした。本時では、より創造的にいろいろな大きさや形のカタヌキや他の材料を組み合わせることをねらいとしていたことから、大きさや形の違うカタヌキを組み合わせる<アイデア3>をさらに発展させることと、ビーズやつまようじなど、他の材料を組み合わせる<アイデア4>に焦点化することにした。

(4)作品をもっと楽しくしよう~アイデアを試す~

 活動中には、「このあとどうなるの?」「全体も見てごらん」など見通しが持てるよう支援した。子どもは「このとがっている部分が屋根で、お城です」と自らの活動を説明するなど鑑賞の活動を取り入れたり、話し合ったりしながら見通しをもって取り組んでいた。また、教師も「とがっているのは屋根なんだ。面白いね。」と価値付けをしたり、「屋根は一つなの?」「屋根には他に何か付いていないの?」と尋ねたりして、子どものイメージが広がるようにかかわった。

<アイデア1>並べる・積み上げる

カタヌキで囲んだ真ん中には、穴を掘り座れるようにした家

カタヌキで囲んだ真ん中には、穴を掘り座れるようにした家

小さなバケツで作ったカタヌキを積み上げた。左端の高い塔で門を表した。

小さなバケツで作ったカタヌキを積み上げた。左端の高い塔で門を表した。

<アイデア2>大きさや形の違うカタヌキを組み合わせる

カタヌキで囲んだ中にはイスを置き、お店を表した。たこやきのようなカタヌキをつくって「これを食べられるお店なの」と教えてくれた。

カタヌキで囲んだ中にはイスを置き、お店を表した。たこやきのようなカタヌキをつくって「これを食べられるお店なの」と教えてくれた。

体育で使うコーンでカタヌキをした。「とがったカタヌキはお城の屋根だよ」と、形からイメージを広げて行く姿が見られた。

体育で使うコーンでカタヌキをした。「とがったカタヌキはお城の屋根だよ」と、形からイメージを広げて行く姿が見られた。

いろいろな形のカタヌキを組み合わせた。中心のカタヌキに顔をつくった美しい作品。

いろいろな形のカタヌキを組み合わせた。中心のカタヌキに顔をつくった美しい作品。

カタヌキだけでなく、雪で仕切ったり、ビーズを置いたりして部屋を表した。

カタヌキだけでなく、雪で仕切ったり、ビーズを置いたりして部屋を表した。

<アイデア3>ビーズやつまようじなど、他の材料を組み合わせる

カタヌキの中にビー玉を入れ目玉にした。いつも三匹いっしょの動物を表した。

カタヌキの中にビー玉を入れ目玉にした。いつも三匹いっしょの動物を表した。

コーンで作った3つのカタヌキはモンスター。奥にある積み上がったカタヌキにビー玉を入れ、きらきら光る宝物を表した。「モンスターが宝物を狙っているんだ」と話してくれた。

コーンで作った3つのカタヌキはモンスター。奥にある積み上がったカタヌキにビー玉を入れ、きらきら光る宝物を表した。「モンスターが宝物を狙っているんだ」と話してくれた。

-2時間目終了-

【監修者:北海道教育大学岩見沢校 准教授 阿部宏行】