小学校 図画工作

小学校 図画工作

《札幌発信シリーズ》 光のたから箱【A表現(1)造形遊び】
2012.06.19
小学校 図画工作 <No.018>
《札幌発信シリーズ》 光のたから箱【A表現(1)造形遊び】
札幌市立白楊小学校 実践者 菊地惟史

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

図画工作・札幌発信シリーズ<9>

指  導  計  画

題材名

光のたから箱【A表現(1)造形遊び】

学年

総時数

主な学習内容

z_vol18_01 大きな箱に入って中から穴をあけ、穴を通して見える「光の宝物」を集め、素敵な「光の宝箱」をつくることを目指す。
 穴をあけるためのボールペンと段ボールカッターで、光の宝物の数や形に着目したところから活動を始め、次第に様々な材料を試しながら、色や模様の工夫へと活動の幅を広げていった。
 箱の中と外、隣の面どうし、他のグループと、友だちとかかわり合いながらどんどん発想を広げていった。

題材の目標

<造形への関心・意欲・態度>
光の形や色などを感じながら、光の宝物をつくり出そうとしている。

<発想や構想の能力>
箱に穴をあけながら、表したい光の宝物の形と色を思い付いたり、考えたりしている。

<創造的な技能>
光の宝物の大きさや形、色、飾り方など、表し方を工夫している。

<鑑賞の能力>
箱の中に入って、自分や友達の光の宝物を見ながら、形や色の美しさや楽しさなどを感じている。

材料・用具

  • 板段ボール(90cm×90cm 1グループに5枚)
  • 段ボールカッター
  • 布粘着テープ
  • 使わなくなったボールペン
  • 光を通す材料(セロハン・ポリテープ・気泡シートなど)
  • セロハンテープ

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〈授業の流れ〉

<1時間目 箱の中を光の宝物でいっぱいにしよう!>

 箱の中に入ってみよう!

光の美しさをより感じることができるよう、真っ暗な箱の中に入るところから活動を始める。

光の美しさをより感じることができるよう、真っ暗な箱の中に入るところから活動を始める。

「真っ暗だ~!」

「真っ暗だ~!」

 箱に穴をあけたら、どんなふうに見えるかな?

「とってもきれい!」

「とってもきれい!」

「光ってる!」

「光ってる!」

 1つだけ穴をあけることで、光をより際立たせる。

 まずは1つだけ、光の宝物をつくってみよう!

「どこにつくろうかなぁ。」

「どこにつくろうかなぁ。」

「もっとたくさんつくりたい!!」

「もっとたくさんつくりたい!!」

 

 光の宝物で、箱の中をいっぱいにしよう!

「外からおさえているね。」

「外からおさえているね。」

「順番につくろうよ。」

「順番につくろうよ。」

 1つ→たくさんと段階をふむことで「もっとやりたい!」という気持ちが生まれるように。

「たくさん集めたよ。」

「たくさん集めたよ。」

「宝物をつなげてハートの形に!」

「宝物をつなげてハートの形に!」

「段ボールカッターでハートの形に!」

 「光の宝物でいっぱいにしよう!」と投げかけて活動を始めると、はじめは慎重に1つずつ穴をあけていたが、次第に「もっとたくさん!」と、穴をあけていった。面ごとに担当を決めたり、1つの面ごとにどうやって穴をあけるかグループで相談したりしていた。また、友だちが形をつくったのを見て参考にするなど、子ども同士のかかわり方も多様であった。
 光の宝物の美しさに着目していて、全体を通して「大きくあけすぎるときれいに見えない」という思いが生まれ、1つ1つの宝物を丁寧につくる姿が印象的であった。
 活動の中で、形からイメージを広げ、色を付けたいという思いが生まれてきた。そこで、どんな材料があったら宝物をより素敵にできるかみんなで意見を出し合い、発想を広げていった。

<2・3時間目 光の宝物をステキにしよう!>

 集めた様々な材料を試しながら、色や模様、形を工夫しながら、素敵な光の宝物をつくっていった。

■色に着目して

「セロハンで、いろんな色を集めよう!」

「セロハンで、いろんな色を集めよう!」

「たくさんの色を組み合わせてみたよ。」

「たくさんの色を組み合わせてみたよ。」

■模様に着目して

「セロハンに模様を描いたらどうなるかな?」

「セロハンに模様を描いたらどうなるかな?」

「気泡シートを使ったらこんな模様に!」

「気泡シートを使ったらこんな模様に!」

■いろいろな材料で

「マヨネーズのチューブの中に、モールを入れてみよう。」

「マヨネーズのチューブの中に、モールを入れてみよう。」

「中から見たら、とってもステキだよ!」

「中から見たら、とってもステキだよ!」

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 宝物の形に合わせて色を選んだり、材料から形をつくりなおしたり、子どもたちは思考を行ったり来たりさせながら、活動を進めていった。
 また、子ども同士が自然とかかわり合っている様子がたくさん見られた。2人で1つの宝物をつくったり、1人が外から材料を試して、もう1人が中から見てみたり、友だちのアイデアを見て自分でも試してみたり。かかわり合いを通して、どの子もどんどん、発想を広げていくことができた。

<4時間目 いろいろな場所で光の宝物を見てみよう!>

 「光の宝物が一番きれいに見える、お気に入りの場所をさがしてみよう」と投げかけて、活動を始めた。

「どこへ持って行ったらきれいかな?」

「どこへ持って行ったらきれいかな?」

「光が雪に映ってとてもきれい!!」

「光が雪に映ってとてもきれい!!」

「箱の下から光が入ってこないように、周りを雪で埋めよう。」

「箱の下から光が入ってこないように、周りを雪で埋めよう。」

「山の頂上に置いたら、きれいだよ!」

「山の頂上に置いたら、きれいだよ!」

 スキー山の頂上やグラウンドの真ん中など、“たくさん光が集まりそうな場所”を探して、宝箱の置き場所を探していた。
 屋内よりも強い光に照らされて、美しく光る宝物に感動しながら、お互いに他のグループの箱の中に入って鑑賞し、自分や友だちの宝物の素敵なところを見つけていった。

学習を終えて…

 本題材は、箱の“中同士”“外同士”“中と外”、他のグループ同士…という様々なかかわりが、自然と生まれる題材であった。子どもたちはお互いにかかわり合う中で、1人では思いつくことのできなかったアイデアを見つけ、発想を広げ、思いをもって取り組むことができた。
 また、導入時に1つずつ条件を絞って提示することで、子どもたちは光の美しさにより注目し、“もっと美しくしたい”という思いをもつことができたと考える。
 そうした子どもたちの思いを、さらに広げ、高めていけるような交流の場を、意図的に設定していくことの必要性を改めて感じることができた。

「光の宝物でいっぱいにしよう!」

「光の宝物でいっぱいにしよう!」

allow04 2時間目「光の宝物をステキにしよう!」 allow04
3時間目「光の宝物をもっとステキにしよう!」

3時間目「光の宝物をもっとステキにしよう!」

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 素敵な光の宝物がたくさんできました!

【監修者:北海道教育大学岩見沢校 准教授 阿部宏行】