小学校 図画工作
小学校 図画工作

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
1.題材名
「どんな動きをするのかな ~カムの仕組みを使って~」
2.目 標
○カムの仕組みを使って楽しく動くおもちゃをつくろうとする。
○アイデアに合わせて材料を選び,動く仕組みを生かして形や色を工夫してつくる。
3.準備(材料・用具)
教師:色画用紙,両面色中厚紙,化学接着剤,工作マット,竹ひご,きり,ペンチ,ラジオペンチ,サークルカッター,ハトメパンチ,ハトメ
児童:空き箱,牛乳パック,はさみ,のり,コンパス,色紙
共通:身辺材,カッターナイフ,サインペン,セロハンテープ,ペットボトルのキャップ
4.評価規準
○造形への関心・意欲・態度
カムの動きに関心をもち,楽しい作品をつくることに取り組もうとしている。
○発想や構想の能力
動きからつくりたいものを思い浮かべ,形や色,材料を考えている。
○創造的な技能
アイデアを基に仕組みの動きを試しながら,形や色,材料の組み合わせを工夫してつくっている。
○鑑賞の能力
作品を動かして遊び,表現のよさや工夫を感じ取っている。
5.本題材の指導にあたって
【題材について】
カムの仕組みの面白さは,ハンドルを回す動きが上下や回転・半回転の動きを生み出すところにある。いくつかの仕組みを使って,実際にハンドルをくるくる回す活動を通して,子どもたちはその動きの面白さにひきつけられるだろう。また,それらの動きから「○○が回るとおもしろいな。」や,「○○が回っている姿に見える。」など,自分なりのイメージをふくらませるだろう。イメージをスケッチに表し,色や形・奥行きなどを具体化することで,制作意欲はさらに高まることが予想される。テーマをあえてしぼりこまず,「回るもの」もしくは「回したいもの」を自由に発想できるようにすることで,【共通事項】に挙げられている「児童が自らの感覚や活動を通して形や色などをとらえること」が実現でき,本来のカムの仕組みが持つ動きの面白さを充分生かしたおもちゃづくりができると考えた。
カムの仕組みづくりでは,スムーズな動きになるように,黄ボール紙をサークルカッターで切ったり,ペットボトルのふたを一緒に接着したりするなど工夫させたい。また,全員の仕組みが確実にそしてスムーズに動くことが,子どもたちの関心や意欲の持続に最も大切なことである。そこで,仕組みをつくる際に,見本やヒントカードを参考にしながら,班で協力し合って製作する方法を取りたい。アドバイスし合い,手を貸し合う。それでもうまくいかなければ,指導者がその班に入り,相談する。それをもとに,班で考える。そうすることで,全員が確実に仕組みをつくりあげることができ,自信を持って次のステップへと進むことができるだろう。
そして,出来上がったカムの仕組みを使って,つくりたいものを楽しみながらつくる。その際,動きのさまたげにならないように大きさや重さ・重なりに注意してつくることや,つくりながら動かして,動きを確かめるようにするなど様々な工夫を重ねさせることで,確実に動くおもちゃをつくりあげ,表現への成就感を味わえるようにしたい。
また,出来上がった作品を見たり動かしたりして楽しむ活動を通して,お互いの作品のよさに気付くだろう。そして気付いたことを伝え合うことにより,日々の生活の中でもお互いを尊重し合う態度につなげていきたいと考える。
【児童について】
図画工作科では,これまでの学習を通して多くの題材と出会い,自分の思いにより近い表現ができるようになり,表現する喜びはさらにふくらんでいる。そのため,図画工作科の学習を楽しみにしている児童が多く,毎回どんな題材に取り組むのかと期待感を持っている様子が見られる。
また,題材への期待感とは別に,自分の表現の広がりや可能性に大きな期待を持っている児童もいる。その要因として,学習の基礎基本の欠如が考えられる。6年生になって初めての図画工作科の取り組みである「修学旅行の思い出」では,それぞれの児童が思いを膨らませ,自分なりの表現方法で絵に表した。その際,もう一度絵に表す上での基礎基本を確認しながら,学習を進めた。そうすることにより,児童は新しい発想の仕方や表現の仕方に気づき,さらに思いが膨らんだ。また,友達の作品を鑑賞する活動においても,見る視点や伝え方など,基本を大切にしながら活動を進めた結果,お互いの表現に自信を持つことができた。
このように,題材への期待と表現の広がりや可能性への期待が,図画工作科においては,大きく膨らんでいる。今回の題材でも,カムの魅力を思う存分味わうとともに,工作に表す上での基礎基本をしっかり確認しながら学習を進めることで,期待が喜びへとつながっていくことを期待したい。
【活動の様子】
友達の活動が見本になる。道具の使い方や仕組みの手順,思いを実現するための工夫など。 |
ヒントカードをもとに,話し合いながら活動する。「まず土台からつくるべきかな。」 |
アイデアスケッチをもとに,話し合う。「この動きなら,クランクの方が適しているよ。」 |
図工室の机には,きりを使うための穴があります。 |
アイデアスケッチには,絵と言葉で思いを描く。活動計画や,振り返り,必要なものなども確認。 |
ヒントカードを見ながら,思考錯誤を繰り返す。「次は何をつくればいいのだろうか…。」 |
見本を参考して活動する。「ヒントカードでは,細かい所がよくわからないから見本を参考にしよう。」 |
友達と協力しながら安全に活動を進める。 |
6.題材の指導計画
時 |
学習活動 |
・留意点(・)と共通事項に |
評価の視点(評価方法) |
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1 |
○カムの仕組みを理解し,楽しい作品づくりに興味をもつ。 |
・教科書の作品を見たり,参考作品を実際に動かしてみたりする中で,仕組みやその動きについて理解を深められるようにする。 |
・動きの面白さに気付き楽しい作品をつくることに取り組もうとしている。(活動・発言) |
○簡単な仕組みをつくって十分に遊び,つくりたいものを発想する。 |
・サークルカッターの正しい扱い方を確かめ,仕組みがスムーズに動くようにつくる方法を知るようにする。 |
・カムの仕組みから,つくりたいものを発想している。(活動・アイデアスケッチ) |
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3 |
○全体の仕上がりまでの見通しをもち,動きの面白さを生かして表現する。 |
・教科書のつくり方を参考にしながら確実に仕組みをつくることができるようにする。 |
・材料や用具を適切に扱い,仕組みが確実に動くようにつくっている。(活動・作品) |
・自分が考えたアイデアを基にして装飾する。 |
・動きの妨げにならないように,大きさや重さや重なりに注意してつくるようにする。 |
・仕組みを基に,形や色,材料を生かすような工夫をしている。(活動・作品) |
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*動く仕組みが生きるように,形や色,奥行きを大切にしながらつくるようにする。 |
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・材料に合わせた接着方法を用いるようにする。 |
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6 |
○作品を動かして遊び,表現のよさや工夫したところについて話し合う。 |
・できあがった作品を動かしながらいろいろな方向から見るようにする。 |
・互いの表現について話し合い,よさや工夫を感じ取っている。(発言・鑑賞カード) |
7.本時の学習
(ア)目標
材料や用具を適切に扱い,仕組みが確実に動くようにつくる。
(イ)学習展開
学習活動(○)と |
指導の留意点(○)と |
具体的な評価規準(方法) |
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○前時までの学習を振り返り,本時学習のめあてを確認する。 |
○ラフスケッチを見て,前時までの活動を思い出させる。 |
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用具と材料を正しくあつかい,仕組みが確実に動くようにつくろう。 |
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○黄ボール紙の切り方や接着の仕方を工夫して,仕組みをつくる。 |
○リーダーを中心に,グループごとに取り組むようにする。 |
【創造的な技能】 〈十分満足できる状況〉 |
カムのつくり方 |
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○友達の作品を見たり動かしたりして,よさや自分の作品とのちがいに気付く。 |
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○活動の振り返り |