小学校 図画工作
小学校 図画工作

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
1.題材名
「ねえ,みてみて!この○○なところ!」
2.目 標
○作品をよく見て,形や色などの要素を見つけることができる。
○作品の要素から生活に即した感覚で想像を広げ,感じたことをことばで表すことができる。
○鑑賞のマナーを身につける。
3.準備(材料・用具)
教師:写真作品12点,ワークシート(児童配布用)児童数
児童:鉛筆,消しゴム,クリップボード
4.評価規準
○造形への関心・意欲・態度
・「さわらない,大声をださない,走らない」をまもって鑑賞ができる。
○鑑賞の能力
・写真に写っているものの色や形に注目し,その要素を具体的に挙げることができる。
・いくつかの作品を比較し,類似点や共通点を見つけることができている。
・友だちのクイズに対して自分なりの理由をもって答えている。
・作品の要素から生活に即した感覚で想像を広げ,感じたことをことばに表すことができる。
5.本題材の指導にあたって
本題材のねらいは,写真作品の鑑賞を通して日常生活を楽しくする鑑賞の力を養うことである。
写真とは,風景を距離とタイミングによって切り取り画面を作り出す表現方法である。写真に写るものは,その時必ずそこに存在していたものであり(その点が絵画と異なる),見る者は被写体を通して写真の中に「この時,何があった」など,世界の広がりを感じられる。そのため経験から想像を広げやすく,逆にその活動で養われた感覚は日常に活かされやすい。写真を通した鑑賞は,生活を楽しくするための手軽で優れた手段であると考える。
本題材は学年によって提示の仕方を変えることができ,2年生対象である本時では,被写体を「モデルさん」として擬人化して提示し,「寝ている」「のんびりしている」など生活に即した感じ方に繋がりやすくしている。
6.題材の指導計画
写真作品 |
|||
時 |
学習活動の流れ |
指導上の留意点,評価方法 |
---|---|---|
第1時 |
・おなじところ,似ているところ探し |
<評価> |
・ぴったりなことばを探そう(前半) |
<評価> |
|
第2時 |
・ぴったりなことばでクイズを出そう |
<評価の基準> |
7.本時の学習(2限連続)
①目 標
・作品をよく見て,形や色などの要素を見つけることができる。
・作品の要素から生活に即した感覚で想像を広げ,感じたことをことばで表すことができる。
・鑑賞のマナーを身につける。
②学習展開
写真作品 |
|||
主な学習活動・内容 |
指導の工夫や教師の支援・評価の留意点 |
---|---|
・作品と出会う(5分) |
児童が多目的室に入ると,作品が展示されている。 |
・活動(1) |
書き方の例を示し,活動を始める。 |
・ 全体指導,発表 |
数人に見つけたことを聞き,児童は友だちの意見を聞いて多様な見方にふれる。以下のような回答があった。 |
・活動(2) |
書き方の例を示し,活動を始める。「モデルさんのようすを自分のことばで表したり,題名をつけてもいいよ」と,形容詞などに限定せず自由に発想させる。どうしても思いつかないときは,ワークシートの選択肢から選んで書いてもよい。 |
(5分休み) |
|
・活動(3) |
ぴったりなことばを探したら,クイズを行う。 以下のような回答があった。 |
8.成果と課題
普段の鑑賞カードでは自由作文になってしまい,書くことが苦手で何も書けない児童もいたが(書いていても「きれい」「すごい」等),①でその作品に「何が,どういう写り方をしているのか」を具体的に見て,作品の中から生活に即した感覚でことばを引き出すことができた。また,そこで見つけた物を材料にして②の活動にスムーズに移行できた。①のようにすぐに食べるなどの経験に繋がりすぐにことばがでる作品と,⑤のような一見何を写したのかわからないものが想像を広げた回答が多く見られる作品が,バランスよく含まれていてよかった。
この教材の課題は,②と③の間にやや飛躍があり,自由に想像したことを「お気に入り」と結びつけている児童が多くなかったことである。最終的に文章にまとめ,感想を伝えられるようにするための手だてが必要である。