小学校 図画工作
小学校 図画工作

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
1.題材名
「見て・感じて・話し合おう -アートゲームで遊ぼう-」
2.目 標
○形や色、材料や表現方法をもとに自分のイメージをもち、アートゲームによる鑑賞活動を楽しんで取り組むことができる。(造形への関心・意欲・態度)
○感じたことや思ったことを友だちと話し合うことで、自分なりの作品の見方や感じ方を深めることができる。(鑑賞の能力)
3.準備(材料・用具)
教師:国立美術館アートカード・セット(国立国際美術館から借用)、ワークシート
児童:筆記用具
4.評価規準
○造形への関心・意欲・態度
形や色、材料や表現方法をもとに、美術作品に対する自分のイメージをもつ。
アートゲームによる鑑賞活動を楽しんで取り組む。カムの動きに関心をもち,楽しい作品をつくることに取り組もうとしている。
○鑑賞の能力
友だちとの話し合いを通して、美術作品のよさや美しさ、表現の意図などについての自分なりの見方や感じ方を深める。
5.本題材の指導にあたって
【児童の実態】
本学級の児童は、図画工作科の時間が好きである。5月当初に取り組んだ「よ~くよくよく、よくみて描こう」では、自分の「くつ」を題材に構図を考え、2足の靴の空間を感じながらていねいに作品を仕上げていた。また、水彩絵の具の特徴を活かし、透明感のある色で彩色をすることができた。しかし、できあがった作品の感想を書くとき、頑張ったところ、工夫したところを具体的に書けなかったり、自分の作品を否定したりする児童が見られた。
そこで、自分や友だちの作品、美術作品のよさや美しさを感じることができるように、鑑賞学習に取り組み始めた。美術館を訪れたり、国内外の美術作品を鑑賞したりする児童はほとんどいなかったので、クイズ形式で楽しく取り組めるアルチンボルドのだまし絵「四季」を用いて鑑賞学習を行った。初めは作品をどのように見て、感じたことをどのように言葉で表現すればよいのかわからなかった児童も、作品を鑑賞するごとに積極的に発表できるようになった。授業後の感想を書く際、「感想を書くのが苦手。」とつぶやく児童もいた。しかし、感想を読んでみると、「今までじっくり美術作品を見たことがなかったから、おもしろかった。」「もっと、いろいろな作品を見てみたい。」など作品の見方を少しずつ理解してきた児童も見られるようになった。
4月下旬に行った「学習についてのアンケート」より、本学級の児童は、自分の考えを言ったり、発表したりするのが苦手であり、楽しいと感じられない。また、友だちの発表や考えをよく聞くことも苦手であり、自分の考えを友だちに聞いてもらっているという意識をもった児童が少ないことがわかった。このアートゲームを通して、意見を交流することの楽しさに気づくと共に、作品の見方・感じ方を深めたい。
【教材について】
アートゲームとは、絵画作品をカード化したものを用い、ゲーム方式で遊びながら鑑賞の仕方を身につける活動である。今回使用する「国立美術館アートカード・セット」は、京都国立近代美術館、東京国立近代美術館、東京国立近代美術館工芸館、国立西洋美術館(東京)、国立国際美術館(大阪)の5つの美術館の選りすぐりの作品(13枚ずつ、合計65枚)をカードにしたものである。絵画だけでなく、写真、シルクスクリーン、工芸品など、作品の表現方法が多岐にわたっており、児童が興味・関心を抱きやすい。また、「国立美術館アートゲーム」には、「分類型」「シュミレーション型」「ことば型」など様々な視点で考案されたゲームがあり、目的や児童の実態に応じてゲームを選ぶことができる。
本題材では、アートゲームを活用した学びあいを実践するにあたり、3つの指導・支援を考えている。1つ目は、作品に対する自分のイメージがもてるように、作品をじっくり鑑賞する場を設けることである。指導計画の第1次では、児童が作品の見方・感じ方を理解できるように、クラス全体でアートゲームに取り組み、作品の見方を知らせる。また、作品に対するイメージを膨らませるために、ワークシートを用いて自分の意見を整理できるようにする。2つ目は、作品の見方や感じ方を発表し合える機会を、1時間の授業の中で必ず組み入れる。意見交流の場を設けることで、「友だちの意見を認める」「友だちの意見をもとに、自分の作品の見方・感じ方を深める」素地を育てていくようにする。そして、授業を重ねる中で、「鑑賞とは作品の造形からイメージした自由な発想を伝え合うこと」を感じさせていきたい。3つ目は、自分の考えを整理したり、友だちのよさに気づいたりできるように授業後、ふり返りカードを用いる。授業当初の作品の見方・感じ方の変化に気づき、成長を感じさせることで、今後の鑑賞学習への意欲につなげていきたい。
6.題材の指導計画
次 |
時 |
学習活動 |
指導上の留意点 |
評価の場面や方法 |
---|---|---|---|---|
一 |
1 |
○国立美術館アートカードを用いて、クラス全体で「しりとりゲーム」をする。 |
○自分の手札の作品を、造形に気をつけて鑑賞し、作品の中から感じとれる言葉をワークシートに書くことができるようにする。 |
○形や色、材料や表現方法をもとに、作品の特徴に気づき、アートゲームに進んで取り組むことができる。 |
二 |
2 |
○国立美術館アートカードを用いて「名探偵ゲーム」をする。(本時) |
○出題者がどのカードを選んだか推測するための質問が明確になるよう、造形に着目できるようにする。 |
○形や色、材料や表現方法をもとに、作品の特徴に気づき、アートゲームに進んで取り組むことができる。 |
二 |
2 |
○国立美術館アートカードを用いて「名探偵ゲーム」をする。(本時) |
○出題者がどのカードを選んだか推測するための質問が明確になるよう、造形に着目できるようにする。 |
○形や色、材料や表現方法をもとに、作品の特徴に気づき、アートゲームに進んで取り組むことができる。 |
3 |
○鑑賞部会作成アートカードを使って「せりふあてゲーム」をする。 |
○せりふと作品の類似点に着目して、カードを探すよう助言する。 |
○せりふと作品の類似点や相違点などに気をつけながら、アートゲームに取り組むことができる。 |
|
三 |
4 |
○国立美術館アートカードにせりふをつける。 |
○造形の特徴をつかみ、リズムのよいせりふが考えられるよう、キーワードとなる言葉に着目するようにしたい。 |
○形や色、材料や表現方法をもとに、美術作品に対する自分のイメージをもち、せりふをつけることができる。 |
7.本時の学習
①目 標
○形や色、材料や表現方法をもとに自分のイメージをもち、アートゲームによる鑑賞活動を楽しんで取り組むことができる。
○活動を通して、友だちの作品の見方・感じ方に共感したところや感心したところを見つけ、発表することができる。
②学習展開
主な学習活動・内容 |
指導の留意点 |
評価の場面や方法 |
---|---|---|
色や形、表現方法に気をつけて作品を見よう! |
||
○「名探偵ゲーム」の方法を知る。(※PDF参照) |
○指導者が模範を見せることで、ゲームの見通しをもつようにする。 |
○ゲームに楽しんで取り組む。 |
○指導者が提示したカードを見て「題名」を考える。 |
○作品と作品名のギャップがあるものを選ぶ。 |
|
○考えた「題名」を発表し合う。 |
○自分が考えた題名と、友だちが考えた題名を比較・分類することで、互いの作品の見方や感じ方の違いや共通点を見つけやすいようにする。 |
○友だちの作品の見方・感じ方で共感したところや感心したところに気がつき、発表する。 |
○ふり返りカードを書く。 |
○ふり返りカードに自己評価をすることで、事後学習への意欲につなげるようにする。 |