小学校 社会

小学校 社会

「江戸時代を生きた人々」 江戸時代の文化・学問(第6学年)
2012.10.09
小学校 社会 <No.004>
「江戸時代を生きた人々」 江戸時代の文化・学問(第6学年)
長崎県 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「江戸時代を生きた人々」 江戸時代の文化・学問

2.目 標

○態度
 江戸時代には,歌舞伎や浄瑠璃,俳句や浮世絵などの町人を中心とした文化や国学や蘭学といった学問が広がったことに興味・関心を持ち進んで調べようとする。

○理解
 
江戸時代には,歌舞伎や浄瑠璃,俳句や浮世絵などの町人を中心とした文化が広まったこと,また,国学や蘭学といった学問が広がったことを理解する。

○能力
 
教科書や資料集,その他の資料を活用して,江戸時代の文化や,学問について調べ,分かりやすく表現することができる。

3.評価規準

○関心・意欲・態度
 江戸時代に広がった町人を中心とした文化や学問について,興味を持って意欲的に調べている。

○思考・判断・表現
 江戸時代の文化や学問の広がりについて,具体的な人物と結びつけて考え,効果的に表現している。また,平和で安定した世の中になったこととつなげて考えている。

○観察・資料活用
 教科書や資料集,出島の見学などを通して必要な資料を集め,効果的に活用している。

○知識・理解
 歌舞伎や浮世絵,国学や蘭学といった江戸時代の文化や学問について,具体的な人物と結びつけて理解している。

4.本単元の指導にあたって

 江戸時代は,戦乱が終わり,平和で安定した世の中へと変わっていった時代である。こうした社会を背景に,商人や町人が力をつけてきて文化の担い手となっていく。本単元では,歌舞伎や浮世絵などの文化,国学や蘭学といった学問を具体的に調べることを通して,町人の文化が栄え新しい学問がおこったことが分かるようにすることをねらいとしている。
 本単元の指導に当たっては,まず,歌舞伎や浮世絵などを映像資料で提示する。歌舞伎や浮世絵について知っている子どもも少なからずいると思う。次に,解体新書の解剖図や伊能忠敬の地図を提示し,その正確さに驚きを持たせたい。そして,学習問題へとつなげていく。調べる段階では,総合的な学習の時間と関連させて,鎖国時代西洋への唯一の窓口であった出島の見学を取り入れる出島を具体的に調べることを通して興味関心を高め,実感を伴った理解へとつなげていきたい。また,蘭学が長崎を中心に広がっていったことを知ることは,郷土への理解と愛情を深める上で、意義深いものであると考える。まとめの段階では,これまで調べてきたことをもとに,江戸時代の文化と学問について文章でまとめる活動を仕組むことで,言語活動をとおして,自分の考えをまとめることができるようにしていきたい。

5.単元の指導計画

学習のねらい

子どもの活動と内容

評価規準の具体例

歌舞伎や浮世絵,解体新書や伊能図を見て、学習問題を設定する。

歌舞伎のビデオを見る。
・テレビで見たことがある。
・今も,続いている。

浮世絵を見て,版画であることを知る。
・とてもきれい。
・版画と知って,びっくりした。

解体新書の解剖図や伊能図を見る。
・とても正確だ。
・どうやって,作ったのだろう。

(関)
江戸時代の文化や学問について,関心を持ち,意欲的に発言したり,考えたりしている。

江戸時代には,どんな人たちが,どのような文化や学問をつくりあげていったのだろうか。 

学習問題の予想をし,調べる計画を立てる。

・戦国の世が終わって、平和になったから、平安時代のように文化が栄えたのではないか。
・服装を見ると,貴族や武士ではないようだ。
・長崎の出島から、西洋の文化や学問が入ってきていたのではないか。

(思・判・表)
学習問題に対する根拠のある予想をノートに書くことができる。



江戸時代の文化や学問について,教科書や資料集などを使って調べる。

歌舞伎や浮世絵,国学や蘭学について,教科書や資料集などを使って調べ,ノートにまとめる。

(文化について)
・近松門左衛門,井原西鶴,松尾芭蕉。

(国学や蘭学について)
(杉田玄白)
・当時の日本の解剖図と,ずいぶん違う。
・玄白たちも驚いただろうな。
・何年もかけて翻訳するなんてすごい熱意だ。

(伊能忠敬)
・歩いてこれだけの地図を作ったのがすごい。
・50歳を過ぎてからよくできたなあ。
・長崎から,ヨーロッパの文化が伝わってきていたのかな。

(本居宣長)
・日本人古来の考え方を研究したんだ。

(資活)
調べたことをノートに分かりやすくまとめている。
必要な人物や事柄を落とさずにまとめている。


(本時)

出島を見学し,蘭学が長崎を中心として,各地に広がっていったことを理解する。
(※出島の見学は,1時間を社会科,3時間を総合とする)

出島を見学して,蘭学が長崎を中心として広がっていったことを理解する。
・解体新書やエレキテルがあるぞ。
・時計や方位を測る道具などいろいろある。
・西洋の学問が長崎から,広がっていったんだ。

(知・理)
西洋の文化や学問が、出島から入ってきて、日本の各地に広まったことを理解している。

調べてきたことをもとに,江戸時代の文化や学問についてまとめることができる。

調べてきたことをもとに,江戸時代の文化や学問についてまとめる。
・江戸時代は,平和で安定した世の中であった。町人が力をつけてきて,町人を中心とした文化や長崎を入り口とした西洋の文化,蘭学などの新しい学問が盛んになった。

(思・判・表)
調べて分かったことをもとに,学習問題に対する答えを書くことができる。

6.本時の学習

①目標
 出島の見学を通して,出島が西洋に開かれたただ一つの窓口であったことと,出島から西洋の文化や学問などが日本にもたらされ,当時の文化や学問の発展に影響を与えたことを理解する。

②学習展開

主な学習活動・内容

指導の工夫と教師の支援

資料

1.自分が考えた予想をもとに,見学を通して何を調べるかを確認する。
・出島が何のために作られたのか。
・出島ではどんなことが行われていたのか。
・出島では,どんな人たちが生活をしていたのか。
・出島には,どんな人たちがやってきたのか。

○出島内の施設を見学して,調べる。
・出島は,キリスト教を広めることがないよう,ポルトガル人を住まわせるために作られたんだ。
・絹や砂糖,薬など多くのものが輸入されていたんだ。
・医学や科学の本も一緒に輸入されていたんだ。
・医者も一緒に来ていたんだ。シーボルトは有名で,長崎の町で「鳴滝塾」を開いていたんだ。
・時計やエレキテルなど,いろいろな道具も入ってきていたんだ。
・将軍にあいさつに行くときに,泊まったのが「長崎屋」というところで,多くの蘭学者が集まってきたんだ。
・長崎には,蘭学を学びに,多くの人たちが日本中から集まってきていたんだ。

○自分がたてた予想をもとに,見学をするように促す。このとき,パンフレットを使って,どこにどのようなものが展示してあるかを確かめるようにする。

○自分が調べたいことがどこに行けば調べられるのかは,出島のウエブサイトを使って,下調べをするようにしておく。

○自分が調べる事柄を,ノートに書いておき,調べて分かったことは,ノートに記録できるようにしておく。

○「さるくガイド」の方もいらっしゃるので,必要に応じて質問しても良いことを伝える。

○子供たちだけでは,調べて難しいことも出てくると考えられるので,必要に応じて,教師が解説したり,アドバイスしたりする。

○出島の施設を紹介したパンフレット

○出島資料館の施設・展示物

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○調べたことをまとめる。
・出島を通して,西洋の文化や学問がいろいろ入ってきていたんだ。
・長崎は蘭学の中心だったんだ。

○自分が調べようとしていたことが調べられたかを確かめるようにする。

○長崎の出島は,江戸時代西洋の文化や学問などを取り入れるただ一つの窓口だったことをおさえるようにしたい。

○江戸時代の長崎は,西洋文化や学問の中心だったことを理解することによって,郷土に対する愛情を育てていきたい。