小学校 算数

小学校 算数

垂直・平行と四角形(第4学年)
2012.10.09
小学校 算数 <No.003>
垂直・平行と四角形(第4学年)
大阪府 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

垂直・平行と四角形

2.単元目標

 直線の位置関係や四角形について観察や構成などの活動を通して、直線の垂直や平行の関係、台形、平行四辺形、ひし形について理解し、図形についての見方や感覚を豊かにする。

○関心・意欲・態度
 身の回りから垂直な2直線や平行な2直線及び、台形、平行四辺形、ひし形などを見つけ、それらが使われている場面について考えようとしている。

○数学的な考え方
 辺の位置関係や構成要素を基に、各四角形の性質を見出し表現したり、各四角形の対角線の性質を統合的にとらえたりすることができる。

○技能
 垂直な2直線や平行な2直線及び、台形、平行四辺形、ひし形をかくことができる。

○知識・理解
 垂直な2直線や平行な2直線及び、台形、平行四辺形、ひし形の意味や性質について理解し、図形についての豊かな感覚をもつ。

3.単元について

 本単元で扱う垂直・平行と四角形は、学習指導要領には、以下のように位置づけられている。

第4学年 C図形
(1)図形についての観察や構成などの活動を通して、図形の構成要素及びそれらの位置関係に着目し、図形の理解を深める。
 ア 直線の平行や垂直の関係について理解すること。
 イ 平行四辺形、ひし形、台形について知ること。

 図形については、第2学年で「長方形と正方形、直角三角形」、第3学年では「二等辺三角形と正三角形」を学習してきている。これまでの学習は、図形をとらえる視点として、「辺や頂点の数」、「辺の長さ」、「角の大きさ」に着目している。ここでは、「垂直」「平行」「対角線の交わり方や長さ」という新たな視点が加わる。

【図形の定義と性質】
 図形教材の解説には、「定義」「性質」という言葉が登場する。

例)長方形の性質
 ・向かい合う2組の辺が平行である。
 ・向かい合う辺の長さが等しい。
 ・すべての角が直角である。
 ・対角線の長さが等しい。   など

 定義とは、数学用語の意味を規定する文章のことをいう。図形を定めるときに必要十分な性質をとり上げればよい。小学校では、児童にとって分かりやすく、使いやすいものであるかどうかを配慮する必要がある。
 例にあげている長方形では「4つの角がみんな直角になっている四角形」と定義しているのはこのためで、性質としては「向かい合った辺の長さが同じで、4つの角がどれも直角になっている四角形」という表現になるだろう。

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【垂直・平行】
 導入では、右図のようなワークシートを使い、点と点をつないで4本の直線を引きいろいろな四角形をつくらせる。児童が作った四角形を素材に、四角形を仲間分けする。分け方の観点は角に着目させ、直角を持つものとそうでないもの分けさせる。直角に着目させる活動を通して垂直を定義する。また、直線の並び方の違いに気づく活動を通して平行を定義させていきたい。そして、水平や鉛直に置かれた典型的な図形をイメージで受けとる児童が少なくないと考えられるので傾いている場合や交わらない場合も見逃さず理解させていきたい。

【台形・平行四辺形・ひし形】
 導入で使った四角形を素材に四角形の辺の平行に着目させていく。辺の平行を観察する活動を通して、台形・平行四辺形・ひし形の定義をしていく。また、定義や性質を再確認させながらそれらをいろいろな方法で作図できるよう指導していく。

【対角線】
 初めてとり上げる内容である。やや抽象的な要素なのでいろいろな四角形に対角線をかき入れたりして対角線の持つおもしろさや不思議さを感じとらせて進めていきたい。

4.指導計画(全16時間) 

小単元

時数

主な学習活動

直線の交わり方


(本時)

・いろいろな四角形をつくり、四角形に関心をもつ。
・2本の直線の交わり方を調べる。

・垂直な直線のひき方を考える。
・垂直な直線をひく。

直線のならび方

・紙を折って、平行をつくる。

・平行な直線と、それと交わる直線でできる角度を調べる。

・2枚の三角定規を使った平行な直線のひき方を考える。

・方眼を手がかりに、垂直や平行な直線の見つけ方を考える。

いろいろな
四角形

・四角形の仲間分けをし、台形・平行四辺形をかく。
・2枚の平行四辺形を使って平行四辺形の特徴を調べる。

・平行四辺形のかきかたを考え、かく。

・ひし形の性質を考え、かく。

・いろいろな四角形の対角線の特徴をまとめる。

・長方形や平行四辺形の1本の対角線で切り、できた2つの三角形を調べる。

まとめ

・平行四辺形のしきつめにとり組む。

・「しあげのもんだい」にとり組む。

5.本時の目標(1/16)

 2本の直線の交わり方を調べる活動を通して、垂直の意味を知り、その弁別ができる。

6.本時の展開

学習活動
★(予想される考え・反応)

指導上の留意点
☆(主な発問)

評価

 四角形をつくってみよう

・四角形を思い出す。
★「4本の直線で囲まれてできた図形です。」

・四角形の定義を確認させる。
☆「四角形とはどんな図形をいうのでしたか。」(2年生で既習済み)


・配付されたカードで、自由に四角形をかく。

・点と点をつないで直線を4本かき、四角形を自由につくらせる。(16個の点がかかれているカードを配付)
・最初は、例で教師が直線のひき方を説明する。
☆「カードには16個の点があります。点と点を結ぶと直線が1本できますね。このようにして、直線を4本かいて四角形をつくってみましょう。」

☆「いろいろな四角形ができましたね。」

・興味をもって四角形をつくっている。

 直線の交わり方を調べよう

・学習課題をつかむ。
・四角形をつくっている直線と直線の交じり方を見る。
★「交わっているところは4つです。」

・四角形をつくっている直線の交じり方に着目させる。
☆「つくった四角形で、直線と直線が交わっているところはいくつありますか。」

・直線が交じわっているところに着目している。

・四角形をつくっている直線はどのように交わっているか調べる。
★「とがっている。」
 「交わっているところは四角形の頂点です。」
 「角度がバラバラみたいです。」
 「交わっているところが直角になっているみたいです。」

・自分のつくった四角形で、直線が交わっているところを観察させる。
・気づいたことを発表させる。
☆「直線が交わっているところを見て、何か気がつくことがないかよく見てみましょう。」

・自分のつくった四角形をじっくり観察している。 

・直角に着目する。

・直角の確かめ方を確認する。
★「三角定規の直角の部分を使います。」
 「分度器を使います。」
・直角の部分があるかどうか調べ、自分の四角形を黒板に貼りにいく。

・直角(特別な特徴)があることで、直角がある四角形と直角がない四角形に分けさせる。
☆「直角かどうか調べるのにどうしたら確かにわかりますか。」
 「直角がある四角形と直角がない四角形に分けてみましょう。」
・黒板を使って各々がつくった四角形をはらせる。

・直角の確かめ方がわかっている。
・直角を調べることができる。

・黒板に貼られた四角形を見て確認する。

・垂直の定義を知る。

・垂直な図形をワークシートで確認する。

・分けた四角形を全体で確かめさせる。
☆「全体を見てこれでいいですか。」
・垂直の定義を知らせる。
☆「このように、直角で交わっている2本の直線は、垂直であるとか、垂直に交わっているといいます。」
・ワークシートを配付する。
・垂直な図形を全体で確かめさせる。ワークシート使用。

・垂直の定義がわかる。

・ワークシートの図形で垂直な図形を確認できる。

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・板書(垂直の定義)を写す。
・直線が交わっていない場合を考える。
★「垂直でない。」
 「垂直です。」
 「わからない。」

・板書(垂直の定義)を書く。
・直線が交わっていない場合も垂直であることを知らせる。
☆「このような場合はどうでしょうか。ワークシートに書き込みましょう。」

・直線が交わっていない場合は垂直かどうか考えている。

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・直接2本の直線が交わっていなくても、直線をのばせば垂直に交わるときは垂直であるということを知る。

・板書(垂直の定義)を写す。

☆「このように、直接2本の直線が交わっていなくても、直線をのばせば垂直に交わるときは垂直であるといいます。」
・板書(垂直の定義)を書く。

・直線が交わっていない場合も垂直であるということがわかる。

・練習問題にとり組む。

・練習問題にとり組ませる。
・テレビモニターに問題を映し、全体で確認させる。(指名)

・提示された課題を考えている。
・課題を解決できる。

・ワークシートに感想を書き、ノートに貼って提出する。

・本時の学習を振りかえさせ、ワークシートに感想を書かせる。

・本時の学習内容をまとめている。