小学校 生活

小学校 生活

「あきと なかよし」(第1学年)
2013.07.08
小学校 生活 <No.003>
「あきと なかよし」(第1学年)
滋賀県 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

あきと なかよし
全25時間 10月~11月

2.単元のねらい

sei003_01 駅のすぐそばにある学校で,駅の中を通りながら通学してくる子どもも多い。マンション,新興住宅地が多く,自然の少ない校区である。
 入学して半年たち,子どもたちは音楽会,運動会など大きな行事を体験し,たくましくなってきている。今までは,学校の中で最年少であるので,上級生からしてもらうこと,優しくされることが多かった。しかし,入学前まではそれぞれの園で活躍してきた子どもたちである。本単元では,そんな子どもたちの力を十分に出したい。
 学校全体で行う「ドリームフェスティバル」では,1年生がゲームのお店を出して上級生を楽しませる活動を行い,保育園・幼稚園の交流会では,年下を楽しませるという活動を行う。多くの人と交流できる機会に1年生がお店屋さんになり,相手を楽しませることを体験する。他人に楽しんでもらうためには,1年生の子どもが十分に楽しまなくてはできないことである。一人ひとりが十分に自然に楽しみ,自然のおもしろさや不思議さに浸らせたい。そこから,他人も楽しませたいと思えるように,子どもの思いを大切にしていきたい。

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3.単元の目標

○生活への関心・意欲・態度
・身近な自然の中から,進んで秋を見つけようとしている。
・落ち葉や木の実をつかって,友だちと楽しく遊ぼうとしている。

○活動や体験についての思考・表現
・諸感覚をつかって,身近な秋を観察している。
・秋の自然をつかって,遊ぶものを工夫してつくったり,友だちと楽しく遊ぶために方法を考えたりして,それを表現している。

○身近な環境や自分自身への気付き
・四季の変化や季節によって自然の様子や生活の様子が変わることに気付いている。
・友だちとかかわって遊ぶ楽しさ,友だちの良さや自分との違いに気付いている。
・友だちと一緒に遊ぶ楽しさや,秋の自然とかかわる楽しさに気付いている。

4.活動の計画

事前準備

●下見
学校周辺にある秋の自然物がある場所への下見
 自然物が相手なので,探検に行く日にちの設定を考えた。ホールは多くのどんぐりが豊富にあるのだが,今年はスズメバチが11月になっても飛んでいて,行くことができなかった。下見では,子どもたちが夢中になるであろう物,危険箇所,探検場所などの安全面も見るようにした。
校外学習の下見
 秋に一度,バスに乗って校外学習へ出る。これを秋見つけの一つに設定したため,夏休みに校外学習のコースを歩き,集合場所,トイレ,トイレの時間,活動場所などの一日の流れを設定した。

環境設定

●導入
 下見をして拾ってきたどんぐりを教室に置き,子どもたちが関心をもてるようにした。

●イメージマップの活用
 秋のイメージマップをつくって教室掲示し,どんどん増やしていけるようにした。今後,冬見つけの単元でも冬のイメージマップを作成する予定である。四季を感じさせたいと考えている。

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●掲示物
 どんぐりや紅葉する葉の種類の絵本をカラーコピーし,いつでも子どもが見ることができるように教室に掲示した。また,保幼交流会までの見通しをもつように,カレンダーの掲示をした。

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●子どもたちの活動の保障
 自分が見つけた秋について発表する時間を設けた。まつぼっくりが開いたり閉じたりすることを発見し,その実験が流行った。子どもが自由に実験したり,どんぐりから出てきた虫を飼ったりすることができるようにしたりした。

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5.単元の流れ

活動[時数]

対話に見る活動の様子(子どもの思考の流れ)

1 あき,み~っけ
[7時間]
●秋探しをする。(学校,学校の周り,校外学習)
●秋のイメージマップを作成する。
●交流をする。

「アサガオのはっぱが小さくなったし,少なくなったよ。」

『どうしてかなあ。』
「秋になったからだよ。」

『秋をさがしてみよう。』
「どんぐりは,○○神社に行けばたくさんあるよ。」

『どんなものを見つけてきたかな。』
「どんぐりです。こんなに大きいよ。」
「まつぼっくりを見つけました。」
「見て,見て。どんぐりはよくまわるよ。」  
        ↓
『見つけてきた秋の宝物をつかって遊ぼうね。』

2 あきの たからもので あそぼう
[10時間]
●秋の宝物をつかって,楽しむ(個人での活動)。
●友だちと一緒に楽しく遊べるゲームをつくる。
●秋の自然に浸る。

個人の活動の中での会話

sei003_07「よくまわるどんぐりゴマはね…」
「競争しようよ。」

『お友だちと一緒にやりたいって,お友だちが増えました。次は,お友だちと楽しいゲームをつくりましょう。』
「どんなゲームがいいかな。」

『秋の発見をしたお友だちがいます。発表をしてもらうね。』
「まつぼっくりが開いたよ。」
「僕のも!」「私のも!」「どうしてかなあ。」「本で調べたら,いいんだね。」
「ひっつき虫を見つけたよ。」
「○○君とは違うひっつき虫を見つけたよ。」

初めは生活科での活動であったが,日常的な活動になっていった。

3 あきとなかよしランドを ひらこう
[8時間]※児童会の時間を利用
●作戦会議を開き,ゲームをパワーアップさせる。
●保幼交流会に向けて,ゲームの改良をする。
●保幼交流会を行う。

『今日は,1年3組なかよしランドです。ゲームをパワーアップさせるために困ったこと,良かったことを見つけましょう。』
「けん玉は壊れやすいから,丈夫にしてほしいね。」
「宝物つりは,お客さんが多くてつりざおがからまるよ。」

『もらった困ったカードは,ゲームをパワーアップさせるヒントです。どうするのか作戦会議を開きましょう。』
「せっかくつくったけど,フィールドでどんぐりごまが回しにくいって,カードが多かったね。簡単コースもつくろうよ。」
「負けって言うと,悲しくなるって。」
「がんばれって言おうよ。」

『保育園・幼稚園のお友だちが楽しむために,ゲームをどうしたらいいですか。』
「ルールを優しくしよう。」
「お兄さんやお姉さんにツバキの実って,何ですかって,何度も聞かれたよ。見本を見せるといいよね。」

6.評価について

振り返りを大切にする

 振り返りカードを用意し,本時の活動を振り返る時間を設けた。小単元「あき み~っけ」で使用するカード,その後での制作活動を行ったときのカードの2種類を用意した。制作活動を行ったときに使用したカードでの留意点は,時間をかけないこと,がんばりや友だちとの交流が見えること,次時の活動につなげられるようにすること,グループ内の様子を把握することである。

●時間
 時間を決めた。徐々に短くしていった。

●カードの視点
 カードに書くにあたり,視点を与えた。

●交流
 子どもたち同士が交流できるように,次時の初めに,担任から数名のカードの紹介をしたり,掲示をしたりするなどして,交流に努めた。

●グループ内の様子
 たくさんのグループの様子を毎時間把握するのは困難である。カードから様子を把握し,気になるグループは次時に中心に回るようにし,子どもの様子を把握する一つの方法にした。

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7.教師の手立て

●振り返りカードの活用

●教室掲示

●子どもの気持ちをアップさせる言葉・物
秋の拾ってきた自然物 秋の宝物
秋の宝物箱の利用
作戦会議 パワーアップ

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●きれいな付箋紙
よかったカード…ピンク
こまったカード…青
好きなように張りかえができる。似た内容のカードを分類することができる。

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