学び!とシネマ

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コララインとボタンの魔女 3D(2009年・アメリカ)
2010.01.25
学び!とシネマ <Vol.46>
コララインとボタンの魔女 3D(2009年・アメリカ)
ひとりの少女が、新たなファンタジーの扉を開く―。
二井 康雄(ふたい・やすお)
(C) Focus features and other respective production studios and distributors.

(C) Focus features and other respective production studios and distributors.

 もしも、目がボタンになれば・・・。
 周りがよく見えないだろう。しかし、目がボタンになってもいいのなら、そこにはたくさんの花が咲く美しい庭があり、面白いサーカスやミュージカルが楽しめ、おいしい食事がいっぱい、やさしいパパとママがいる。ただし、パパとママの目も、ボタンで塞がれている。そのような世界が、いったいどのようなものなのだろうか? 
 映画「コララインとボタンの魔女」(ギャガ配給)は、ニール・ゲイマンの同名の絵本が原作である。監督は「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のヘンリー・セリック。

(C) Focus features and other respective production studios and distributors.
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 コララインは遊びたい年ごろの少女で、アリゾナからオレゴンに引っ越してきたばかり。パパもママも忙しくて、なかなかコララインにかまってくれない。コララインは家の中を探索、小さな扉を発見する。開けてみると、そこはレンガで固められていて、どうすることもできない。
 ある夜、目を覚ましたコララインは、ねずみを追いかけていると、ねずみは小さな扉から逃げていく。レンガで固められていたはずの扉には、トンネルが通じている。コララインもトンネルに入っていくと、そこはもとの家と同じ。
 でも何かが違っている。なんとママの目はボタン、ピアノを弾いて歌うパパの目もボタン。晩ごはんは豪華なローストチキン、コララインの好きなマンゴー・シェイクにケーキもどっさり。庭には色とりどりのきれいな花たち。
 朝、目をさましたコララインは、現実の家に戻っている。コララインは、夢を見ていたとママに話すが、ママはちゃんと聞いてくれない。
 夜、コララインは、またトンネルに入っていく。そこには楽しいことがいっぱい。現実の世界にいた黒猫がコララインにささやく。「この世界が気にいったようだが、それは間違いだ」と。
 やがてコララインは、現実の世界がたいへんなことになっているのに気がつくが・・。

(C) Focus features and other respective production studios and distributors.
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 ストップ・モーションで、1コマ1コマ、丁寧に撮られたアニメーション。コララインの驚いたり、喜んだり、悲しんだりの表情がとても豊かである。
 楽しい、夢のような世界に居続けるには、目がボタンにされてしまう。現実の世界は、辛いことや悲しいことが多い。しかし、ちゃんと自分の目で、世界を見ることになる。
 登場するいろいろなキャラクターは、ややダークな雰囲気ではあるが、アニメーションの王道、もちろんユーモラスである。
 コララインの選んだ冒険につき合ううちに、なにか勇気のようなものが湧いてくるはずである。

2010年2月19日(金)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズico_linkほか
全国ロードショー

■「コララインとボタンの魔女 3D」

監督・脚本:ヘンリー・セリック
原作:ニール・ゲイマン著「コララインとボタンの魔女」(角川書店)
原題:Coraline
音楽:ブリュノ・クーレ
撮影監督:ピート・コザチク
コンセプト・アート:上杉忠弘
日本語吹替えキャスト:榮倉奈々、劇団ひとり、戸田恵子
2009年/アメリカ/カラー/ビスタ/5.1Ch/100分
配給:ギャガ powered by ヒューマックスシネマ