教育情報

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重要課題としての学級経営改善
2011.01.14
教育情報 <日文の教育情報 No.97>
重要課題としての学級経営改善
東京女子体育大学名誉教授 言語教育文化研究所代表理事 尾木 和英

学級担任の重要性の確認

 学級担任は、学級の子どもとの多様な接触の機会を持ち、子どもの個性や家庭事情、学校生活における人間関係などの多くの情報を持っています。
 このように学級担任は、学級の子ども一人一人のおかれている諸条件を総合的に捉え、計画的に生徒指導を進めることのできる立場にあります。
 最近は子どもの意識と行動が急激に変化し、これまでの指導では対応しきれない問題が多くなっています。直面する課題に対して柔軟に対処することができるよう、学級経営の改善を行うことが重要になっています。

■ 効果的な指導を目指す

 各学級において、新しい課題に対応する際には、過去の経験に寄りかかり、指導を自己完結的に捉えるのではなく、学年・学級、校内指導組織と密接に連携する関係を築き、新しい指導を開発することが重要です。実際の指導では、次の点に留意する必要があります。

  1. 学校全体の生徒指導の目標及び重点を明確にし、そこに学級経営の重点目標が位置づくようにする。
  2. 各学年、各学級の指導の重点目標について共通理解を図り、一貫性のある指導、組織的な指導を目指す。
  3. 子どもに対する指導を実際に行う機会として、教科等、特別活動、道徳の時間など、その内容と特質について確認し、効果的な指導展開を目指す。
  4. 全校的な指導組織及び各担当の取組内容を確認し、各学級の担う役割、各担当者の役割を把握する。
  5. 学級経営の立場から、家庭、地域、関係機関等との連携に関する基本的な内容について確認する。

■ 学級での子どもの生活の重視

 学級における子どもの生活は、極めて多様な内容を持っています。そして、学校における子どもの人間形成、成長発達は、その多くが学級を場とする生活の中で行われます。
 学級は、子どもにとって各教科等の授業を受ける場であるとともに、学校生活を送る上での基礎的な生活の場でもあります。
 子どもの学校生活の中心である学級が、充実したやりがいのある学級であるか、不安に満ちた荒れた学級であるかは、成長発達の大きな差となって表れます。学級担任は、学校全体の方針の下、子ども一人一人の円滑な成長発達が確かに進められることを目指し、学級を単位として展開される教育活動について諸条件を整備し、効果的に運営することが求められています。

■ 学級経営の重点

 学級は学習・諸活動、生活のための集団です。そこでの活動・生活を通して、子どもの人間形成ないしは成長発達を促す場でもあります。したがって、望ましい人格形成を促し、自己指導の力を獲得させるよう条件を整え、子どもの人間関係を調整し改善するよう働きかけることが学級経営の課題となります。
 学級経営を効果的に展開するためには、次のことに留意することが大切です。
 児童生徒自らが自主的に解決に取組むことを目指し、すべての児童生徒の自己実現、将来の社会的自立という点を経営方針の根底に据える。

  1. 学習活動に対して積極的に取組もうとする態度、豊かな人間関係の中でよりよい活動を目指そうとする主体性を重視して、学級づくりを行う。
  2. 真の児童生徒理解に立ち、自己指導力を育てることによって自分たちの手で問題の解決を図ることを大切にする。
  3. 子どもの発達課題、指導の系統性を考え、見通しを持って指導計画を立て、指導を展開する。
  4. 計画、実践、見直し、見直しを活かした全校の取組の中で学級経営の改善・充実に取組む。
  5. 学級経営の立場から、学校・家庭・地域、関係機関との連携を大切にして、指導を推進する。

■ 基本的生活習慣・校内規律に関する指導

 基本的生活習慣、校内規律は、人間の態度や行動の基礎となるもので、子どもにとって、社会的な自立や自己実現のために重要な意味を持っています。
 地域社会や家庭の構造・機能の変化によって、基本的生活習慣や規範意識が十分身についていない子どもが増えています。学級担任は、このような現状と課題を正しく把握し、学校、家庭、地域それぞれの役割の理解に立って、学校としての責任を自覚して指導を進めることが求められます。
 小学校段階では、具体的な資料を活用して子どもの理解を深めるなどの工夫をし、日常生活の実践に結びつく指導を行うことが大切になります。これを受け、中学校段階では、生活習慣や規律が自分にとってどのような意味があるかを考えることが重要になります。それを自分のより正しい判断、行動の習慣とし、そのことを集団の一員として必要な行動・態度に結びつけることが目指されます。
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