小学校 道徳
小学校 道徳

今回のテーマは、「アクティブ・ラーニング」についてです!
最近、どんどん新しい言葉が出てきて、さっぱり分からないわ……。言葉だけが一人歩きしている気がする……。分からないのは、私だけかしら? |
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そんなことはありません。分かっている人もいれば、まだまだよく分からない人も多くいると思います。新しい言葉は、新鮮で影響力がありますが、しっかりその言葉の意味を理解していかないと、大事な本質を見失ってしまいます。ちょっとここで、アクティブ・ラーニングについて考えてみましょう。 |
文部科学省の用語集では、以下のように書かれてあります。
教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。 |
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いろいろな方法があるということです。小学校においては、もうすでにやっていることです。 |
*能動的とは……自分から他へ働きかけること ←自分から進んでという点では、自発的と同じように感じるが、他へ働きかけるというのが「能動的」
この「アクティブ・ラーニング」という言葉は、日本では、大学教育から使われ始めたものです。
では、小学校では???
文部科学大臣は,平成26年11月20日に中央教育審議会に対して、次期学習指導要領に関して検討を行うように諮問し、諮問文「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」2)では、「そのために必要な力を子どもたちに育むためには,「何を教えるか」という知識の質や量の改善はもちろんのこと,「どのように学ぶか」という,学びの質や深まりを重視することが必要であり,課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)や,そのための指導の方法等を充実させていく必要があります。」とあります。
アクティブ・ラーニングの視点は、①対話的②主体的で③深い学びの3つです。 |
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道徳は、平成30年度から、「特別の教科 道徳」としてスタートしますが、道徳ではどのようにやっていくことがアクティブ・ラーニングになるのでしょうか? |
道徳の時間(道徳科)の特質をふまえた授業をしっかりやっていくことがこの3つの視点のためには不可欠です。新しい言葉に惑わされ、何か新しいことをしなくてはいけないとか、方法論のみにはしってしまうと、「深い学び」にはなりません。 |
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「道徳の特質」とは何ですか? |
①計画的・発展的に指導する時間
……今クラスでこんなトラブルがあったから、道徳でどうにか解決しようという時間ではないということです。
②学校の教育活動全体で行う道徳教育を補充・深化・統合する時間
……道徳の時間(道徳科)は、道徳教育の「要」の時間です。道徳教育の中で育まれたものを土台として深めていく時間です。
③自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方についての考えを深める時間
……自己を自分で見つめ、自己の生き方について教材(資料)や友達の意見から考えを深める時間です。ここが特にアクティブ・ラーニングの3つの視点そのものが入っています。
④道徳性を育てる時間
……道徳性を育てる時間であって、道徳的行為を実際に行ったり、体験したりする時間ではありません。
自己を見つめさせるためには…… |
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価値理解 |
人間理解 |
他者理解 |
この3つの道徳的価値の理解を図るには,児童一人一人がこれらの理解を自分との関わりで捉えることが重要です。
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まず、しっかり児童の心に響く教材を年間指導計画に基づいて選ぶことが大切です。人間は、目の前に起こる事象について、心に響いたものには無関心ではいれなくなります。自然と自分にあてはめて考えているものです。 |
教材にもよりますが、導入では、価値への導入をしっかり行っていくことで児童はその時間に考えることが明確になり、自己を見つめやすくなります。
展開前段で「自分ならどうしますか?」という発問をする時には、かなりの配慮を要します。自分の発言が、クラスの話し合いの中で議論になり、否定された場合、その児童が心を閉ざしてしまう危険性もあります。道徳の時間は、「よいと分かっていてもなかなかできない人間の弱さにも気付き、そこをよりよく生きるためにどうするべきか。」と自分の心と対話する時間です。多様な考え方や感じ方に触れ、児童一人一人が自己の生き方について考えを深めていけるようにすることが大切です。