高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

「シップヤード・ワークス」 大竹伸朗作
2010.04.30
高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.011>
「シップヤード・ワークス」 大竹伸朗作
「高校美術2」P.41掲載 ベネッセアートサイト直島/株式会社ベネッセホールディングス蔵
繊維強化樹脂、発泡スチロール/塗装/289×304×132㎝/1990 撮影=村上宏治
繊維強化樹脂、発泡スチロール/塗装/289×304×132㎝/1990 撮影=村上宏治

 大竹伸朗が暮らすのは、目の前に海が広がる宇和島です。
 そこで大竹が偶然出会ったのは、造船所に置かれていた漁船の木型でした。船が造られた後は巨大なゴミとしか扱われない船型の、「かたち」そのものに大竹は関心を持ちます。そして、実際の船と同じ材料を用い、船を造るのと同じ工程をたどって、アート作品「シップヤード・ワークス(造船所の作品)」を制作しました。
 人間の意識の中では、船は海を移動するモノとしてインプットされていると思います。その「かたち」をよく見ると、一つとして直線がなく、曲線からなりたっていることや、コストを抑えつつも速度を落とさないような材料が選ばれていることに気付きます。
 決められた役割だけのモノとして見ていると、気が付かないことがあります。しかし、「かたち」そのものに興味を抱くことで、今まで気付きもしなかった部分に関心が向き、新たな発見に喜びを見出すことはしばしばあります。モノだけではなく、人生の中で出会う友人や自分自身に対しても,同様な出来事があるでしょう。
「シップヤード・ワークス」と名付けられたこの作品は、今も直島の浜辺に設置され、まるで大竹本人が瀬戸内海に佇んでいるかのように日々行きかう船を見つめます。その姿はやがて訪れるであろう新たな発見に心ときめいているように悠々として見えるのです。

(ベネッセアートサイト直島 キュレイター 徳田佳世)

ベネッセアートサイト直島 ico_link

  • 所在地 香川県香川郡直島町琴弾地
  • T E L 087-892-3223
  • 休館日 年中無休

<展覧会情報>

  • 現在行われている企画展はありません。掲載作品「シップヤード・ワークス」は、ベネッセハウス屋外に常設展示されています。

<次回展覧会予定>

  • 瀬戸内国際芸術祭2010
  • 2010年7月19日(祝)~10月31日(日)
  • 会場:瀬戸内海の7つの島(直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島)+高松
  • 参加予定アーティスト:オラファー・エリアソン、ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー、木下晋、千住博、レアンドロ・エルリッヒなど
  • 作品鑑賞パスポートは主要なプレイガイド、コンビニエンスストア、旅行代理店他で発売中

その他、詳細は瀬戸内国際芸術祭2010 Webサイトico_linkでご覧ください。