小学校 道徳

小学校 道徳

道徳ことはじめ 第9号(学年共通)
2018.04.19
小学校 道徳 <No.031>
道徳ことはじめ 第9号(学年共通)
東京都小金井市立東小学校 指導教諭 田上由紀子

今回のテーマは、「評価をどうするの?」についてです!

いよいよ、平成30年度から、「特別の教科 道徳」は本格的にスタートしますが、評価はどうしたらいいのでしょうか?

こういう質問をたくさん受けるようになりました。
とにかく、「評価」するには、「授業」をきちんとする必要性があります。
道徳科の評価は、児童の人格形成に大きくかかわってきます。評価の方法や記述のことも心配ですが、まず、評価をするのに値する魅力ある授業をしていくことが大切です。

まず、「評価」とは何か、そして、「道徳教育における評価」とは何かを考えていきましょう。

 「教育における評価は常に指導に生かされ、結果的に児童の成長につながるものでなければならない」というのが 教育のすべてに共通する評価の意義 です。

道徳教育における評価の意義 ……児童の人格形成にかかわる重要な評価

 道徳教育の評価は、教師が児童を共感的に理解し、児童の人格形成を見守り、児童自身が自己のよりよい生き方を求めていく努力を認め、それを勇気付け、伸ばすところにその意義がある。

「易しく、深く、面白い 道徳科学習指導案作成入門」(後藤忠先生著)P.20より引用

では、「道徳科の評価の目的」は……?

 授業のねらいに即して、児童の「学習状況」や「成長の様子」を把握し、それを児童に確かめさせたり、それをもとに教師自らの指導を評価したりして、結果的に指導方法の改善に努めることが目的である。

前掲書より引用

以上のようなことを考えると、今まで以上に、担任が、児童の実態をしっかり把握したうえで、授業のねらいを立て、児童の実態に合った教材を選び、授業を展開することが重要になってくると考えます。

道徳科における児童の実態把握となると、いろいろ難しいと思うのですが……。

「教育は児童理解に始まり、児童理解に終わる」……児童理解に終わりはない

 児童理解は目に見える表面的な理解にとどまるものではありません。(中略)
とりわけ道徳教育は児童の人間的な成長に関与し、それを伸長するために行う重要な教育です。したがって、児童理解には極めて慎重で謙虚な態度が求められます。

前掲書P.6より引用

 心の中は、見えません。また、自分の心の中を見せないこともできるし、自分の心をごまかして繕うこともできます。また、自分ではそう思っていなくても、先生が期待しているような答えを言うこともあります。また、いろいろな思いがあっても、人前で話すことや、自分の思いを言葉に表すのが苦手で、なかなか人に伝えるのも難しい児童もいます。
 よって、道徳科の授業の中で、「たくさん発言している」=「よく考えている」とも一概には言えないし、「挙手をぜんぜんしない」=「何も考えていない」とも言えないのです。

表面的な児童の態度で、教師が勝手に早合点して、児童を理解したと思ってはだめですね。一人一人の児童の姿を道徳科の時間だけで評価するのではなく、常によく実態を把握して理解することが大切ですね。

 ですから、評価に当たっては、評価のための評価にならないことに留意し、計画性をもって無理のない評価をコツコツと重ね、 評価材を蓄積していくことが大事 です。

◇評価の基本方針
・数値による評価は行わず、記述式であること。
・相対評価はせず、個人内評価であること。
・個々の内容項目ごとの評価ではないこと。

◇評価の観点(「学習状況」や「成長の様子」)
(1)道徳的諸価値の理解(価値理解、人間理解、他者理解)
(2)自己を見つめる
(3)物事を多面的・多角的に考える
(4)自己の生き方についての考え
(5)授業への関心・意欲・態度
(6)学習課題に対する思考・判断・表現

◇評価方法
学習態度の観察、質問紙等への記述内容、発言内容 など

*具体的かつ継続的に実態の把握に努めることが大切

私も今年は、さらに児童理解を深め、児童の実態をしっかり把握して授業をしていこうと思っています。評価についても工夫しながらやっていきたいと思っています。
次号は、評価の仕方、評価例なども紹介できたらと思っています。