小学校 社会

小学校 社会

「受けつがれる祭りと人々のねがい」(第4学年)
2022.04.13
小学校 社会 <No.033>
「受けつがれる祭りと人々のねがい」(第4学年)
東京都練馬区立大泉小学校 主任教諭 岩谷大希

1.単元名

「受けつがれる祭りと人々のねがい」(第4学年)

2.目標

 地域で受け継がれている文化財や年中行事について地図などの資料で調べて年表などにまとめ、人々の願いや努力を考え、表現することを通して、文化財や年中行事は、地域の人々が受け継いできたことや、地域の発展など人々の様々な願いが込められていることを理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を追究・解決し、地域に対する誇りをもち、伝統や文化の継承に協力していこうとする態度を養う。

3.評価規準

知識・技能
○歴史的背景や経過、保存や継承のための取り組みについて調べ、文化財や年中行事の様子を理解している。
○文化財や年中行事は地域の人々が受け継いできたことや、人々の様々な願いが込められていることを理解している。

思考・判断・表現
○歴史的背景や現在に至るまでの経過、保存や継承のための取り組みなどに着目して問いを見出し、文化財や年中行事の様子について考え、表現している。
○文化財や年中行事を保存していることの意味を考えたり、自分たちにできることを選択・判断したりして、適切に表現している。

主体的に学習に取り組む態度
○文化財や年中行事について学習問題を追究し、解決しようとしている。
○学習したことをもとに、文化財や年中行事を継承していくために、東京都民の一人として自分たちにできることを考えようとしている。

4.本単元の指導にあたって

 教材として扱った三社祭は毎年5月に浅草の浅草神社で行われている祭りで、毎年150万人もの人が訪れている。
 4年生の児童にとっては自分の住んでいる都道府県で行われている祭りといえど、参加したことがなければその規模や様子、盛り上がりを実感するのは難しいと考えられる。まずは、地図を用いてどこの地域で行われているのか空間的に捉えさせるとともにその地域について簡単に紹介する。そして自分の住んでいる市区町村(練馬区:約70万人)の人口と参加人数を比較する。ICT機器を使用して動画や写真を見せるなど児童が少しでも身近に感じられる工夫をすることでその年中行事や文化財に関わる人の思いにせまれるように工夫したい。
 今回の実践では資料の都合上、文化財についての扱いが少なくなってしまった。可能であれば文化財についても丁寧に扱うことで、年中行事と文化財をどちらも守り、受け継ぐために様々な人々が工夫や努力を重ねていることや、それらの人々の思いや願いの共通点に気付くことができ、学びが深まると考えられる。また、学習のまとめでは直接運営に参加したり何かの活動をしたりするだけでなく、知ることや大切にしようと思うことも保存や継承につながることを授業の中で伝えていきたい。

5.単元の指導計画

学習のねらい

子どもの活動と内容

評価規準の具体例

1

東京都の代表的な文化財や年中行事について調べ、その概要を知る。

○東京都で受け継がれている年中行事や文化財について知る。
!浅草に行ったことがある。
!皇居は昔は江戸城だった。

【態度】
文化財や年中行事について関心をもち、すすんで調べようとしている。

2

三社祭について知り、学習問題と学習計画を立てる。

○三社祭の様子を知り、学習問題と学習計画を立てる。
?どれくらいの人が参加し、町のどれくらいの範囲で行われているのだろう。
?誰が祭りを開催しているのだろう。

【態度】
文化財や年中行事について疑問や予想から学習問題を立てようとしている。

3

三社祭の様子について調べ、理解する。

○写真や資料から祭りの概要を調べる。
!3日間(準備を入れると4日間)やっている。
○調べたことから考えたことや疑問を話し合う。
!神様の魂を込めているから、みこしは大切な物だと思う。

【知・技】
三社祭の様子について各種資料を活用して調べ、理解している。

4

三社祭の起源と歴史について調べ、理解するとともに、受け継いできた人々の苦労や努力を考える。

○三社祭の始まりと歴史について年表などの資料から調べ、理解する。
!江戸時代には今のような、にぎわう祭りになった。

【知・技】
資料を調べ、必要な情報を読み取り、三社祭の歴史について理解している。

5

三社祭の準備に携わる人々の働きや思いを知る。

○多くの人が関わっていることを知り、わかったことを話し合う。
!浅草神社奉賛会や町会の人を中心に、浅草中の人が協力して祭りをつくっている。

【知・技】
三社祭は多くの人の協力があること、人々の様々な思いが込められていることを理解している。

6

三社祭が受け継がれてきたわけについて、人々の思いや願いから考える。

○浅草神社の人や浅草に住んでいる人の話から、祭りを支える人々の思いや願い、苦労を考える。
!昔から受け継がれてきたものを子どもや孫にも伝えたいと思っている。

【思・判・表】
様々な人々の工夫や努力、願いを比較したり関連付けたりして考え、適切に表現している。

7

三社祭のキャッチコピーを考え、文化財や年中行事を守っていくために大切なことについて考える。

○今までの学習を資料やノートから振り返り、人々がどのような思いで受け継いできたのか話し合う。
!長い歴史のある祭りなので次の世代にも受け継ぎたいと願っている。
○三社祭のキャッチコピーを考え、交流する。
!700年の歴史と文化を守る三社祭
!みんなに愛され、みんなで受け継ぐ三社祭

【知・技】
調べてわかったことを文章や年表などにまとめて、三社祭は地域の人々が受け継いできたことや、それらには人々の様々な願いが込められていることを理解している。

8

9
本時

文化財や年中行事を守るために自分たちにはどんなことができるか考える。

○区内の文化財や文化財を保護している人の思いを調べる。
○文化財や年中行事を受け継ぐために自分たちにできることを話し合い、まとめる。
○地域の祭り(八幡神社例大祭)を主催する人の話を聞き、思いや願いを知る。
!多くの人に祭りのよさを知ってもらう。
!誰でも参加できるよう、安心・安全な祭りにしていったらいい。

【思・判・表】
学習したことをもとに、社会への関わり方を選択・判断して、適切に表現している。
【態】
学習したことをもとに、文化財や年中行事を継承していくために、東京都民の一人として自分たちにできることを考えようとしている。

6.本時の学習(9/9時)

①目標
○文化財や年中行事を守るために自分たちにはどんなことができるか考える。

②学習展開

主な学習活動・内容

指導の工夫と教師の支援

資料

○三社祭や地域の文化財を保存や継承していくための取り組みについて振り返る。
・準備をしたり、計画を立てたりする人たちがいた。
・子どもや孫の世代に受け継ぐため、安全に気をつけていた。

○ノートや副読本の資料から具体的な人の言葉を使って振り返りができるよう支援する。

○これまでの学習ノート
○三社祭や地域の文化財の写真
○各自が作ったキャッチコピー

・地域の文化財も、それを保護している人たちがいるから今の時代まで受け継がれてきた。

○浅草の人々との共通点を意識できるようにする。

○地域の祭り(八幡神社例大祭)を守ったり受け継いだりしている人の話を聞き、思いや願いを知る。
・自分たちも参加したことのある祭りだ。
・身近な地域にもお祭りを受け継ぐために努力している人たちがいる。

○地域の人材なので可能であれば直接話をしていただく、動画を撮影させていただくなど児童がより身近に感じられる工夫をする。

○地域の祭りの様子(動画や写真)
○地域の祭り(八幡神社例大祭)を主催する人の話

○浅草の人々の思いや願いと比較し、文化財や年中行事を守るために自分たちにできることを考え、話し合う。
・お祭りは、今までは自分が楽しむことだけ考えていたけれど、いろいろな人の思いが込められていることに気付いた。
・地域に残っている他の古いものも、何か理由があって残されているのだろうから調べてみたい。
・お祭りに参加して盛り上げることも行事を伝えていくのに役立ちそう。
・ごみを持ち帰ったりマナーに気をつけたりすることも受け継ぐために大切だ。

○祭りの運営に参加するだけでなく、様々な立場からどのようなことができるかを考えられるようにする。
○今の自分ができることだけでなく、将来の自分ができることという視点でも考えてよいことを伝える。
○これまで学習してきた人々の思いと関連付けて考えることができるようにする。