小学校 社会

小学校 社会

「わたしたちのくらしと水産業」(第5学年)
2023.03.31
小学校 社会 <No.042>
「わたしたちのくらしと水産業」(第5学年)
愛知教育大学附属名古屋小学校 研究部長 笠巻一倫

1.単元名

「わたしたちのくらしと水産業」(第5学年)

2.目標

水産物の種類や分布、生産量の変化、輸入などの外国との関わりについて調べまとめることを通して、我が国の水産業は、自然条件を生かして営まれていることや、国民の食料を確保する重要な役割を果たしていることを理解できるようにする。
日本で水産業が盛んな理由や背景について話し合うことを通して、我が国の水産業の概要と人々のくらし方を関連づけたり総合したりして、水産業が国民の生活に果たす役割を考えることができるようにする。
その中で、主体的に問題を解決しようとする態度や、我が国の水産業の発展のために関わろうとする心情を養うことができるようにする。

3.評価規準

【知識・技能】

我が国の水産業について、水産物の種類や分布、生産量の変化、輸入などの外国との関わりについて調べまとめることで、日本全国で様々な漁業が営まれ各地域で獲れる水産物を生かした食文化を育んできており、水産業は自然条件を生かして営まれていることや、国民の食料を確保する重要な役割を果たしていることを理解している。

【思考・判断・表現】

日本で水産業が盛んな理由や背景について、水産業の概要と国民生活を関連付けて追究したり話し合ったりしながら、食料生産が国民の生活に果たす役割を考えて自分の意見を表現している。また、水産業が抱える課題について、専門家との対話の中から捉え解決策を提案している。

【主体的に学習に取り組む態度】

我が国の水産業についての追究活動において、学習問題を解決するために計画を立てたり、自らの学びを振り返ったりして、粘り強く追究している。

4.本単元の指導にあたって

○社会参画するための教材について
・教材…サヴァ缶<岩手缶詰株式会社>
・授業協力…岩手缶詰株式会社、岩手県産株式会社、一般社団法人東の食の会

 水産業は様々な課題を抱えていることや東北地方は東日本大震災によって大きな被害を受けたことは知識として習得できるが、思考・判断・表現する場面において、あくまで「他人事」であることに変わりはない。そこで、東日本大震災の被害に最前線で向き合っている人と関わることで、「他人事」から「自分事」へ、さらに復興だけでなく日本の食料生産の未来を考えることで、より水産業が目の前に迫ってくると考える。愛知県に住む子どもたちが、東北の水産業の課題や様々な立場で震災復興に挑む人と出会うことで、子どもの学びの空間や事象との関係性についての視野が広がり、未来について議論することで大きな時間軸で学びが深まると考える。

5.単元の指導計画

学習のねらい

子どもの活動と内容

1

教材と出合い、問いを生み出す。

○主な水産物マップ、昔の水産業の様子(貝塚、江戸時代の浮世絵等)、世界の魚介類消費量などの資料から疑問や気付いたことを書き出す。

2

問いを吟味し、学習問題①を創る。

<問いの前提>
・日本は全国各地で様々な水産物が水揚げされる。
・日本は昔から水産業が行われている。
・日本は魚介類消費量が世界でも上位である。

学習問題① なぜ、日本は昔から水産業が盛んなのだろう?

3

問いを構成して、追究シートを作る。

○自分が立てた予想を確かめるための道筋を確認する。

4

追究の土台を作る。

○「水産業が盛んなのは、どのようなところだろう?」という問いについて、教科書や資料集で確認する。

5

7

各自で追究する。

○各自で追究する。

8

9

学習問題①について意見を書き、話し合う。

<児童のまとめ>
日本は自然環境や水産資源を大切にしながら、生産者の工夫や努力によって昔から水産業を営んできた。それによって、魚介類を食べる魚食文化が発展してきた。

10

東北で水産業に携わる人の話を聞き、学習問題②を創る。(本時)

○これまでの学習を振り返り、日本(特に東北地方)の水産業の課題を確認する。
○自分は、東北の水産業に対してどのように関わるとよいか考える学習問題②を創る。

学習問題② 東北の水産業をもっと盛り上げるためには、どうすればよいか?

11

12

各自でアイデアを考える。

○現状の強みを使って、東北の水産業を盛り上げるためのアイデアを考える。

13

東北で水産業に携わる人と一緒に、学習問題②について議論する。。

○理想の水産業をイメージして、どうすれば課題を解決できるかを議論する。
○消費者の立場で、できることを考える。

6.本時の学習

①目標
 水産業の課題を見出す場面において、東北で水産業に携わる人から話を聞くことで課題を身近に感じながら、課題解決に向かって学習問題を創ることができるようにする。

②学習展開

主な学習活動・内容

指導の工夫と教師の支援

資料

1 日本の水産業の課題を確認する。
・水産資源を保護する必要がある。
・高齢化による人手不足
・食生活の変化によるニーズの変化
→水産物の輸入増加

○前時までの学習で得た概念的知識を想起できるようにする。
○日本全国に共通する課題であることを確認する。

・前時までの板書

2 教材「サヴァ缶」を提示して、気付いたことを発表する。
・東北で生産されている。
・復興プロジェクトと書いてある。
・東の食の会とは?

○班に1つサヴァ缶を渡して観察できるようにする。

・サヴァ缶

3 東北の方々からの課題提示動画を視聴し、気付いたことや疑問を発表する。
・大きな被害を受けたのに立ち直っていてすごい。
・さらに盛り上げたいと言っていて、まだ足りないことが分かった。

○東北地方ならではの水産業の課題があることに気付かせる。

・課題提示動画

4 学習問題②を創る。

○これまでの気付きや疑問からキーワードを抽出して、学習問題②を創れるようにする。

学習問題② 東北の水産業をもっと盛り上げるためには、どうすればよいか?

5 東北の水産業のあるべき姿をイメージする。
・持続可能な産業
・魅力ある水産業
・安心・安全でおいしい水産物の生産

○東北に限らず、日本全体を考えて意見が言えるようにする。

資料

岩手缶詰(株) 阿部常之さん一般社団法人東の食の会 高橋大就さん

サヴァ缶