高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)

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「若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」
2013.02.01
高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.044 【東日本大震災復興支援】>
「若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」
「白象黒牛図屏風」長沢芦雪作 新版「高校美術1」P.30-31掲載

白象黒牛図屏風

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長沢芦雪「白象黒牛図屏風」紙本墨画/六曲一双/各155.3×359.0cm/18世紀末頃

 江戸時代後期の京都では多彩な画家たちが輩出し、それぞれに個性的な画風を競い合いました。錦小路の青物問屋の主人・伊藤若冲(1716-1800)によるマス目描きの作品などはその最たるものですが、長沢芦雪(1754-1799)の絵も驚くべき内容を備えています。この画家は、写生画の一大潮流を築いた円山応挙(1733-1795)の高弟で、奇想の画家として知られる人物です。記録によれば、芦雪には顕微鏡で観察した蚤を屏風いっぱいに描いた作品もあったと言います。一寸四方の極小画面に五百羅漢を収めてしまった銅版画のような作品も最近、数10年ぶりに再発見・公開され、大きな話題となりました。こんな意表を突く作品を好んで描いた芦雪の代表作として知られるのが、今回展示されるこの屏風です。
 寝そべった姿でも、屏風からはみ出してしまうほど大きく描かれた象と牛。たぶん実物大を意識したものでしょう。よく見ると、白象の背には黒い2羽のカラスが止まり、黒牛の腹の前には白い子犬が1匹ちょこんと座っています。大小と黒白、好奇心旺盛なカラスと無邪気な子犬、置かれた位置も含め、ここに描かれたすべてが対照を際立たせるために存在しているわけです。ユーモラスこの上ない表現は、江戸絵画の開いた地平の広大さをも教えてくれることでしょう。
 今回の展覧会は、東日本大震災の惨状に心を痛められた米国在住のプライス夫妻による、「東北の人々に美しいものをお見せしたい」「次代を担う子どもたちの勇気を喚起したい」との思いから実現したものです。被災地を思い訪れること、それが復興に向けての大きな力となります。ぜひこの機会にお出かけください。

(仙台市博物館主幹兼学芸室長 内山淳一)

<展覧会情報>

  • 東日本大震災復興支援
    「若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」

    2013年3月1日(金)~5月6日(月・振休)
    巡回:岩手県立美術館 2013年5月18日(土)~2013年7月15日(月・祝)
    巡回:福島県立美術館 2013年7月27日(土)~2013年9月23日(月・祝)
  • 休室日:月曜日(3月11日、4月29日、5月6日は開館)

展覧会概要

  • 伊藤若冲の作品をはじめ、長沢芦雪や酒井抱一・鈴木其一など江戸絵画の世界的コレクターとして知られるプライス氏のコレクションから、10数点の初公開作品を含む選りすぐりの優品100点で構成されます。仙台市博物館を皮切りに岩手県立美術館、福島県立美術館の被災地3県を巡回します。

■仙台市博物館ico_link

  • 所在地 仙台市青葉区川内26番地<仙台城三の丸跡>
  • TEL 022-225-3074

その他、詳細は仙台市博物館Webサイトico_linkでご覧ください。


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