指導のアイデア

私の美術館へようこそ!

  • 数間 亮
  • 杉並区立高井戸小学校 教諭
  • 対象学年:6年

授業について

本題材は、『デジタルアートカード』の収録作品の中から自分が気に入った作品を選び出し、その作品の形や色、イメージから想像を膨らませ、選んだ作品を展示するためのミニチュア美術館をBOXアートとして製作する題材である。
『デジタルアートカード』に収められた数ある作品の中から気に入った作品を選び出す鑑賞の時間から、その作品を展示するに相応しい美術館 を製作する立体で表す時間へと発展的に展開する授業となっている。作品の魅力を通して、つくりだす喜びを味わう題材である。

材料・用具・ICT機器

【鑑賞する際】
教師:PC、テレビ、『デジタルアートカード』、ワークシート
児童:タブレット、筆記用具
【立体に表す際】
教師:児童が選んだ作品の印刷写真、段ボール(主材料)、 装飾に用いる各種材料(線材・点材・面材、自然材・人工材・描画材など)
接着材(ボンド・グルーガンなど)、加工用具(カッター・糸のこなど)
児童:家から持ってきた材料

題材の目標、及び評価基準

知識及び技能

〇『デジタルアートカード』内の美術作品を見るときの感覚や行為を通して、動き、バランス、色の鮮やかさを理解している。
〇気に入った絵画作品を飾る美術館を表すときの感覚や行為を通して、動き、バランス、色の鮮やかさを理解している。
〇表現方法に応じて、前学年までの着彩や材料加工の経験や技能を総合的に生かし、表現に適した方法などを組み合わせ、表し方を工夫している。

思考力、判断力、表現力等

〇気に入った絵画作品を基に、自分のイメージをもちながら形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考えている。
〇動き、バランス、色の鮮やかさなどを基に、自分のイメージをもちながら、『デジタルアートカード』内の美術作品の造形的な良さや美しさ、表現の特徴などについて 考えあったりし、自分の見方や感じ方を深めている。
〇動き、バランス、色の鮮やかさなどを基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品の造形的な良さや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

学びに向かう力、人間性等

〇『デジタルアートカード』内の美術作品を見て、作品の良さや美しさを味わい、自分が気に入った絵画作品から立体に表わす学習活動に主体的に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに形や色などに関わり、楽しく豊かな生活を創造しようとしている。

授業の流れ【授業展開事例 全6時間扱い】

1次(1時間):鑑賞する

デジタルアートカード触れ、自分が気に入った作品を選ぶ
【発問】「『デジタルアートカード』の中から気に入った作品を選び、感じたことや考えたことをワークシートに書いてみよう」
【めあて】『デジタルアートカード』に興味関心をもち、形や色を意識して作品を見る体験し、感じたり考えたりしことを文章にする。

2次(4時間):立体に表す

自分が気に入った絵画作品から想像を膨らませ、その作品を展示する美術館をイメージし、立体作品に表す
【発問】「気に入った絵画作品を展示するため、その作品から得られたイメージを基に、自分だけの美術館をつくろう」
【めあて】思い浮かんだイメージを基に、自分なりの表し方を考え工夫して立体に表す

3次(1時間):鑑賞する

自分や友人の作品を鑑賞し、よさや美しさを味わう
【発問】「みんなの作品を一緒に見て、作品の違いや良さ、面白さを見付けよう」
【めあて】自分や友人の作品を鑑賞し、よさや美しさを味わう。
※授業後は、他のクラスや学年の友人も作品が鑑賞できるように廊下など図工室以外にも展示した。



授業後の一言

『デジタルアートカード』を授業で使用してみて非常に使い勝手の良い教材だなと感じました。様々なソート機能が用意されているため、配色や構図の参考資料に使いたい作品を瞬時に検索できますし、何より児童が楽しそうに使っていました。
鑑賞だけでなく、表現の資料探しにも使えるので便利です。デジタルにすることで、作品と向き合う壁を取り除き、先哲との対話をスムーズに促してくれる優れたツールだなと思います。
今回の題材を実践してみて、アートカードの作品と自分の表現イメージとを関連させることで、芸術作品とつながりながら自分の世界を広げている子供達の様子が見られました。学習活動を起点として、文化と深く関わりながら、楽しく豊かな生活を創造しようとする態度の育成にも一定の効果があることがわかります。