「ユアン少年と小さな英雄」

ある街の歴史を変えてしまった実在の忠犬物語

ユアン少年と小さな英雄よりボビーの写真 犬の登場するテレビドラマやアニメ、映画は、いままで数多く作られてきました。かつてはテレビに出てきた名犬リンチンチンやラッシーに胸躍らせたものです。
 このほど、スコットランドにいたテリア犬の実話に基づいた映画「ユアン少年と小さな英雄」(アルバトロス・フィルム配給)を見ました。

 舞台は1858年、スコットランドのエディンバラ。テリア犬のボビーは、飼い主の警官グレンや、ユアン少年と大の仲良しです。ある日、グレンは窃盗事件で負傷、結核にかかっていたこともあって、死んでしまいます。ボビーは、教会の墓地に埋葬された主人から離れようとしません。追い出されても追い出されても、ボビーは主人の墓に戻ってくるのです。
 ユアンも不幸な身の上です。古くなった建物が崩壊、母親を亡くしてしまいます。孤児院でもつらい仕事ばかり。ボビーの活躍でなんとか孤児院から抜け出します。
 そのころ、犬にも登録の制度が出来て、飼い主がすでに死んでいるため、ボビーは、捕らえられそうになります。ユアンはぶじにボビーを守ることができるのでしょうか?

 テリア犬はどこにでもいる犬ですが、このボビーは、なかなかの役者です。表情が豊かとでもいいましょうか、場面場面の感情が、素直に表情と仕草にあらわれるのです。悲しいとき、怒りをあらわすとき、うれしいときなどなど、そのときのボビーの表情や仕草が、とても自然なのです。
 ユアンは不幸な少年ですが、どんなことがあってもくじけたりはしません。ボビーを愛し、どんな目にあっても、前向きに生きていこうとします。
 たくさんの事件の連続ですが、ユアンとボビーはその都度、知恵を絞って工夫を重ねます。ハラハラしながら、ほっと胸をなでおろし、またドキドキしながら、微笑むことになります。  さわやかな感動に包まれる、すてきな映画です。

ユアン少年と小さな英雄よりボビーの写真 ユアン少年と小さな英雄よりボビーの写真

●3月、シャンテ シネにて 他、全国順次ロードショー