学びムーヴメント!トピックス「世界の美術教育を交流するイベントに参加しませんか。 (第32回 InSEA(国際美術教育学会)世界大会2008 in大阪)」

図画工作・美術の未来はどうなるのでしょう

画像:InSEA国際美術教育学会世界大会2008in大阪 学習指導要領の改訂が3月に告示されることはご存じの通りです。その内容はともかく、教科の授業時数は現状維持になったものの、多くの教科が時間数増になることを考えると、相対的に図工・美術の位置はますます低下していると言えます。生きる力の大切さは認識されていても、基礎的基本的な学力志向の中で想像力や創造性を培う教科をなおざりにすることは、将来の人材育成の観点からも大きな損失につながると考えます。諸外国では、アーツ・アドボカシーやアーツ・イン・エデュケーションという言葉で芸術教育を国造りの根幹に据えようという動きが顕著になってきています。
 2006年に開催されたユネスコ芸術教育世界会議(ポルトガル、リスボン)では、各国が国際競争力を高めるために、創造性を育成し文化力を高めることが不可欠であるという認識に立って芸術教育を基礎教育の一翼を担うものとして明確に位置づけようとする世界的な潮流があることが報告されました。我が国の教育改革がPISAの結果に左右されるのであれば、こうした芸術教育に関わる世界の動きも同様に見据えた施策を打ち出してほしいものです。
 我が国の図工・美術の位置づけを考える時、美術教育の価値を社会的にアピールすることが重要です。そうしたことを世界的な枠組みで話し合う機会が今年の8月に訪れます。「第32回 InSEA世界大会2008 in大阪」というのが大阪で開かれるのです。

InSEAって?

画像:InSEA 国際美術教育学会世界大会 2008 in 大阪 InSEAは、International Society for Education through Art、すなわち“美術を通した教育に関わる国際的な協会”ということになります。「国際美術教育学会」という邦訳が定着しているのですが、学会といった堅苦しい雰囲気を連想することはありません。美術教育で唯一の国際的な集まりで、今回の世界大会開催にあたって、大会会長として平山郁夫ユネスコ親善大使(前東京芸術大学学長)が就任し、その下に組織委員会が組織されて開催準備が進められています。

世界大会でぜひ交流を!

 世界大会に参加していろいろな国の美術教育者と交流しませんか?

 世界大会の日程や内容の詳細については、公式ホームページ「InSEA 国際美術教育学会世界大会 2008 in 大阪|大阪国際交流センター」でお知らせしています。 開催の時期は8月5日から8月9日まで、大阪の国際交流センターで行われます。
「こころ+メディア+伝統」のもとに、「メディア教育と芸術」「ミュージアムと学校教育の連携」「世界の幼児造形教育」「世界の美術教科書」「伝統文化と美術教育」「漫画・若者文化・視覚文化」など様々なトピックのもとに講演や発表が予定されています。
 イタリアのレッジョ・エミリア市から楽しい幼児の造形教育を紹介するジョヴァンニ・ピアッツァ氏、日本の造形遊びに似たドイツの芸術遊びをすすめるハイデルベルク教育大学のマリオ・ウアラス教授、フィンランドからはマルチメディア教育のマルチナ・ニーミネン教授、アメリカの各種教科書を編集してきたローラ・チャップマン女史、台湾の故宮博物院長の林曼麗女史など多数の美術教育者が来日予定です。世界の子ども絵画展や教科書展、あるいは様々なワークショップもあります。
なにしろ日本で世界大会(World Congress)が開かれるのは40数年ぶりということですから、世界の美術教育者と交流できるまたとない機会と考えていただければ幸いです。美術教育の社会的なアピール力を強化するためには、この世界大会を成功させる必要があります。子どもたちの想像力や創造性、そして感性を培う教育を保証するためにもぜひ参加してくださるようお願いいたします。

画像:InSEA国際美術教育学会世界大会