子どもたちの可能性を見守ろう!(∞のこどもたち・第5回おやじサミットin広島)

「∞(むげんだい)のこどもたち」展
日本科学未来館で開催。

画像:∞(むげんだい)のこどもたち 日本科学未来館
画像:∞(むげんだい)のこどもたち 日本科学未来館

 「∞のこどもたち」展(2月24日~3月3日)が、東京お台場の日本科学未来館で開催された。
 同展は、2007年に発足した「がんばれ!図工の時間!!フォーラム」でも取り上げられた「授業数が減りつつある図工の時間」にスポットをあて、子どもの“∞の可能性・夢”を育てることを考える企画展である。

 企画展スペースは都内29校の参加校による約500点もの図工作品で埋め尽くされ、どこを向いても子どもたちの創造力に触れることの出来る空間となっていた。

 「ツリーハウス」というインスタレーション作品では、親も、子どもの喜ぶ姿やその発想力に顔をほころばせ、作品の中に一緒に引き込まれているようだった。自分が作品で遊びたい気持ちを子どもに託すように「あっち行ってみて!こんなポーズしてみて」と伝える親の姿からは、改めて創造することの大切さを感じさせてくれる。

 2月24日のトークサロン『感じる、考える、表現する』では、藤幡正樹氏(東京藝術大学教授)、季里氏(ビジュアルプロデューサー)、原島 博氏(東京大学大学院情報学環教授)の3名による、「図工の時間」に埋め込まれている可能性の高さについて、自身の子ども時代の経験も交えて語りあう。

 子どもたちの「自由な発想を養う」ことの大切さ、つくる上で「時間を忘れるくらい集中する」ことの大切さ、つくることに必ずしも「理由付けは必要ではない」こと…など、図工の大切な要素について触れた。中でも、藤幡氏のエピソード「マッチ棒で電車を作った」では、
  “完成した作品が大人にとってはマッチ棒であっても、子どもにとっては、電車そのものとして認識されます。作業過程の中でマッチ棒が次第に電車へと変わるような子どもの創作では、テーマや理由付けは後付けであっても良いのです。

 と聴き、子どもと接するときに心掛けたいことは何なのかが伝わる。

 同展のタイトルに大きくえがかれた、印象的な「∞」の文字。このロゴが感じさせる楽しみに満ちた期待感の理由は、子どもたちと触れることで分かる。子どもたちの大きな可能性を大切にしていきたいと感じさせる企画展だった。

画像:∞(むげんだい)のこどもたち 日本科学未来館

第5回 全国おやじサミットin広島

 一方、2月23日には、第5回全国おやじサミットが広島で開催された。いま全国各地の学校や地域単位で結成されている「おやじの会」の大きなイベントである。

画像:第5回全国おやじサミットin広島 すでに、香川、三重、京都、鳥取大会につづき5回目となる今回は、世界遺産の厳島神社もある廿日市市に約600人が集まった。テーマは「いじめバスターズおやじの出番」。熱い父親たちだけでなく、母親らの姿も多く見かけた。
 子どもたちの健全なる育成を図るために、“大人が変われば子どもが変わる”を合言葉に、アピールして大会は終了した。

 大会では、「おやじ日本」代表の竹花豊氏から「バーチャル社会の弊害から子どもを守る」という設立時からの一貫した考えと活動の事例の発表。また、地元の野坂中学校区の保護者たちでつくる「おやじの会」を立ち上げた一人で、この広島大会を成功させようと命を懸けた野村洋一さんについての報告が印象に残る。

 自らガンと闘いつつも、地元の不良学生を、立ち直らせるために寝食を忘れ親身になり、更生させてきた人。自分の命よりも地域の子どもたちのことへ情熱をささげた。大会では、地元放送局が追いかけたドキュメンタリーの一部が流れた。誰でもマネしようにも、できるものではない野村氏の行動。ついにはこの広島大会を見ることもなく、昨年夏亡くなる。しかし、大会の壇上には野村氏の影響を受け更生した子どもたちが、メッセージを送った。「絶対に約束を守る、嘘をつかない人だった」が印象に残る。

 ともかく、おやじの会のパワーは地方各地で強まっているようだ。父親であり母親であり家庭教育を見直すこと、教育の原点なのかもしれません。

子どもの無限大の可能性を、学校の授業でも、家庭の中でも大切にしたいものである。