先輩からのアドバイス vol.43
【マンガ】題材との出会いはQRコンテンツで

指導や授業で、つまずきがちな悩みや疑問をとりあげ、ベテラン教師から読者と同じ目線で問題解決へのアドバイスを提案します。


ここがポイント

授業現場の改革
 全国の中学校で生徒一人ひとりがタブレット端末やパソコンを授業内で使えるようになってきています。当たり前のようにデジタル機器とともに成長してきた中学生の世代には、手元にあるこうした機器は、新しいツールでも目新しい機器でもありません。管理のためのルールや手順から入ろうとする指導者のほうが、おろおろする場面が出てきてはいないでしょうか。アナログ思考を否定はしませんが、アナログ思考の「縫い目」にデジタルリテラシーが存在することは否めません。まずは授業で、これらの機器が広げる学習世界を取り入れる勇気をもちたいものです。
 新たな展開を見せる教育現場に即し教科書が改訂されて、もうすぐ先生方のお手元でもご覧になれるようになるでしょう。どの出版社も内容を吟味し、新たな取り組みやアイデアを盛り込んでいると思います。日本文教出版が提供する教科書は、3冊の教科書編成で、特に2年生、3年生の学習において、飛躍的に成長する中学生の各学年の成長段階に合わせて学べるように配慮されています。高いシェアを誇る教科書だからこそ本来のあるべき姿、未来の教科書へのビジョンを踏まえた編集となっているのです。

魅力を発信QRコンテンツ
 いったいどのようにデジタル機器を学習現場に取り入れたらいいのか迷っている先生方に、抵抗なくデジタルアイテムを活用した授業を展開していただける秘密兵器が、すべての題材に用意されています。それがQRコードです。これをタブレットやパソコンのカメラでかざし読み込むと、その題材の導入に使える動画が展開されるのです。絵画・彫刻、デザイン・工芸の表現領域では先生と生徒の会話が再現され、題材の世界に自然と誘われます。鑑賞の題材では落ち着いたナレーションで作品の紹介や鑑賞することで生まれる魅力の発見がなされています。まるで教科書が紙面から飛び出し、自由に作品の数々が自分たちの主張を展開するようです。
 これらの動画は題材に出会い、授業の導入指導に多いに活躍することでしょう。ただよく理解してお使いいただきたい大切なことは、この動画を流せば授業の「導入」が成立するわけではないということを忘れずにいてほしいということです。あくまでもこれらの動画はそれぞれのページの魅力紹介であり、主題の明確化であり、学習の目標に準拠した内容であるということで、導入に使うための「素材」としてのコンテンツなのです。導入をどのように行えばいいのかの答えは、目の前の子どもたちの表情が教えてくれるでしょう。普遍性の高い学習指導要領と子どもたちの表情をつなぐのは先生方一人ひとりなのです。

※QRコード®︎は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

(シナリオ・監修、文 川合 克彦)