先輩からのアドバイス vol.12
【マンガ】「生徒はよく先生を見ている」思考力や表現力を育てるために

iPhoneアプリ「中学美術先生のためのABC」の一部コンテンツをWeb版として収録した本コーナー。指導や授業で、つまづきがちな悩みや疑問をとりあげ、ベテラン教師から読者と同じ目線で問題解決へのアドバイスを提案します。

ここがポイント


引き出しを開ける

 思考力は、知識や経験を使って問題を解決することで力として蓄積されます。でも、どの知識や経験を使ったら答えに近づくのかわからず、作業につまずく生徒がいます。そのつまずきや気づきを見取り、生徒が考えていることを把握するためには、教師は常に学ぶ気持ちを持つことが重要です。
 生徒は「考えなさい」と言われてもどこをどう考えてよいかわかりません。時間を戻したり、方向を変えたり、会話をやりとりすることで、生徒は、過去の経験に気づき、記憶が整理されてきます。これが、引き出しを開けるということです。その役割を教師が意図的に行うことが大切になります。

思考力から表現力へ

 生徒に、やってみたい、描いてみたいという気持ちを持ち続けさせることが、授業を展開する上で重要になります。そのためには、段階的に取り組ませ、難しいと思う気持ちを払拭することが大切です。
 単純作業は好きだけど考えることになると手が止まってしまう生徒が沢山います。導入の一つとして視野を広げる課題を与える方法があります。「言葉の連想ゲーム」という方法をよく利用しますが、絵や形についての方法の一つとして、次のような活動を行ってみてはいかがでしょうか。20秒ほどの時間で「魚」を描かせます。すると、ほぼ100%の生徒が横から描いた魚を描きます。真正面から見た魚を教師が例示したあと、次に20秒ほどの時間で「富士山」を描かせると、目玉焼きのように富士山を真上から描く生徒が出てきます。短時間なので、絵の善し悪しを評価するものではないので、生徒は、描くことの苦手意識を気にする必要がなくなります。このような物の見方の練習課題をいくつか行うことで、物を多角的にとらえさせ、アイデアスケッチに取り組みやすい環境をつくります。生徒の発達段階や目線にあわせ、計画的に意図的に活動させることで、思考の幅を広げ、課題に向かいやすくなるように導きます。そして、それは、意欲の向上とともに自分らしい形や色彩を発見することにつながっていきます。

(シナリオ・監修、文 菊田 寛)