サバイビング・プログレス - 進歩の罠

(c)2011 Cinemaginaire/Big Picture Media

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 サブタイトルに「進歩の罠」と付いたドキュメンタリー映画「サバイビング・プログレス」(ユナイテッドピープル配給)は、気宇壮大な文明批評を展開する。

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 およそ、人間が誕生して、どれくらいの歴史があるのかは知らないが、人間とチンパンジーは違っている。映画は、ある実験を見せる。黄色く塗られたL字型の積み木が2個。ひとつは、立てることができるが、もう一つには、重りが仕掛けられているのか、立てることはできない。チンパンジーは、一つは立てることができるが、もう一つは立てることができず、諦めてしまう。幼児が同じことをすると、立てられないほうが、なぜ立てられないのか、原因を見つけようとする動作を示す。これが、人間とチンパンジーの違いなのだそうだ。
 『暴走する文明 「進歩の罠」に落ちた人類の行方』を書いた作家のロナルド・ライトが、主なナレーションを担当する。ライトは言う。「知識という21世紀のソフトウェアを、5万年前のハードウェアで動かしているのが問題」と。
 確かに、いまの人間は、多くの技術を開発し、クスリを開発し、医療技術も進歩させた。宇宙にロケットを飛ばし、ステーションを作る。原子力も手に入れた。だが、マイナス面もある。霊長類学者のジェーン・グッドールは言う。「人間は、地球の生物で最も知的なのに、唯一の故郷、地球を破壊しようとしている」と。
 ライトは、いまの人口増加に触れる。ローマ帝国滅亡から大航海時代までの1300年間で、人口は2億人増えた。今は、3年ほどで2億人、増えている。70億人を超えた現在、この人口増加は無視できない、と。今は、先進国の資源消費が甚だしい。14億人を抱える中国が、欧米並の消費レベルになると、地球資源は完全に不足するそうだ。

(c)2011 Cinemaginaire/Big Picture Media

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 中国の国際研究学会のディレクター、ビクター・ガオは、中国の歴史を振り返りながら、唱える。「経済成長路線で、近代化、工業化を目指すべき」と。実際、中国では、見事な経済発展を遂げつつある。ところが、ライトは指摘する。「今、自然資本、つまり、空気、水、森林、農地、石油や金属などの鉱産物といった財産が、減りつつある」と。
 女性作家、マーガレット・アトウッドは、こう考えている。「世界は大きくはない。資源には限りがある。自然は永久に使い続けられない。無制限のクレジットではない」。人類の歴史で、さまざまな文明が起こり、滅亡した。原因は、資源の枯渇とされている。
 いろんな人が、経済の成長を願い、実行する。アメリカのブッシュ元大統領も、「経済は成長すると信じている」と演説する。日本の歴代の政治家たちも、そう考えている。はたして、そうだろうか? 遺伝学者のデイビッド・スズキは、経済学と現実社会は、まったく別物と考えている。「生命体があるから水が循環している。微生物がいるから土で食物が育つ。昆虫がいるから花が咲く。地球が健全さを保つには、自然の営みが必要」と言い、さらに「経済学が、こういった自然を無視している」と指摘する。
 食料不足、気候変動、エネルギーの枯渇などなど、いま私たちの抱える問題は多い。新しい技術開発で、ある程度、克服することは可能とは思う。が、しかし、そのような技術は、富める者がますます豊かになり、貧しい人たちには、何の恩恵も与えない。遺伝子工学や、いろんな技術が発展しても、ますます格差は拡大するばかり。
 さて、どうすればいいか。映画は、ラストで提案する。それは、私たち、ひとりひとりに関わってくることなのだが。
 監督は、カナダのマチュー・ロイ。共同監督にハロルド・クルックス。製作総指揮に、数々の傑作映画を撮り続けているマーティン・スコセッシが名を連ねる。配給は、ユナイテッドピープルという会社である。「映画で社会を変える」ということで、良質のドキュメンタリー映画を配給したり、DVDで、すぐれた映画の上映会を呼びかけている。応援したい仕事である。

2013年3月23日(土)より、渋谷アップリンクico_link ほか全国順次公開

■『サバイビング・プログレス - 進歩の罠』

監督:マチュー・ロワ
共同監督:ハロルド・クロックス
プロデューサー:ダニエル・ルイ、デニース・ロバート、ゲリー・フライブ
原作:ハロルド・クロックス、マチュー・ロワ
英題:SURVIVING PROGRESS
86分/カラー/英語/カナダ/2011年
配給:ユナイテッドピープル


日本軍隊における私的制裁の相貌

「一大家族」という語り方

 戦時中の日本軍隊は、天皇を頭首と仰ぐ「一大家族」である「天皇の軍隊」とみなされ、中隊を兵営における一個の家とみなし、内務班を基本単位とする「家庭」と位置づけることで成立していました。この内務班は、戦時における戦闘集団であるため、平時において起居を共にする生活のなかで「兵」を兵たらしめる教育の場として軍隊の成否を決定付けました。ここに内務班での教育は、下士官を中心に、「家族主義」の名の下に軍人たるべく、身心にわたる徹底した訓練として展開されました。その訓練は

1)日常生活の一挙一動に軍人精神を具現してこれを訓練し、軍紀に慣熟し、軍人に欠くべからざる各種善良なる品性を形成する訓練
2)上下同輩の間骨肉の至情を以て相親しみ、軍の本義に邁進する共同の目的の下に強固なる団結を完成する家庭的訓練
3)戦時編成に近似する団体内において命令下達・諸勤務の要領・陣中内務に資する訓練
4)命令規則を遵守し、困苦欠乏に耐え、諸勤務に勉励せしむる訓練
5)規律、容儀共に正しく且時間的なる生活訓練
6)礼儀作法に関する躾
7)馬匹の飼養管理、兵器・被服の手入保存等の演習訓練と馬匹の愛護、兵器・被服其他の官物を尊重し常に其員数を整理し置く訓練
8)火災予防・消防・非常呼集等の演習訓練
9)衛生を重んじる躾

 まさに軍隊生活は、日常の起居を共にする団体生活を営むなかで、絶対服従と団結心を心身に刻みこむ精神教育をとおして社会生活の躾をする世界でした。このような軍隊で身につけた生活の知恵を処世訓として生かすことで、その後の人生を上手に送った者にとり、軍隊生活は人生道場でもあったのです。そこでの日々は、良き記憶のみ思い出として残り、軍隊の厳しい訓練と躾をのりこえた己の現在を確認することで、当世の風潮を論難する根拠にもなっております。このような気分は、個性の尊重を説く戦後教育を批判する声をささえ、厳しい躾を強調し、たくましい青少年の育成を期待する風潮をうながしています。はたして内務班教育とは、そこでの規律や躾をささえたものとは、何だったのでしょうか。軍隊生活を認めた日記や文学作品から軍隊に囚われた人間の姿を読み取ることとします。

軍隊という世界

 1933年8月に入営した藤田稔は、15日に「厳正」「鉄石の団結、融和」「滅死奉公」「積極敢為」との部隊長訓示を受け、軍隊生活をはじめます。その日々を認めた『一無名兵士の手記』(みやま書房 1988年)には、脱走して自殺した兵の姿とともに、初年兵として教錬以上に、二年兵等につくす日々の営みが記録されています。

演習が終わると助教や助手のところへ飛んで行って、巻脚絆をといてやる。軍靴を脱がしてやる。それから自分だ。二名分の手入れ時には四,五名分の手入れをやる。襦袢、袴下、沓下がよごれている。洗濯。(8月25日)
「おい、お前はやる気があるのか?」
今村兵長は毛布の中で仰向けに寝たまま、噛みつくように怒鳴った。おれは不動の姿勢で殴られる覚悟をした。が、彼は殴らない。ジワリジワリと攻めてくる。(10月1日)

 中野重治は、二か月ほどの兵隊体験を「第三班長と木島一等兵」において、第三班長島田の姿にたくして軍隊生活をと描いています。

 まっ暗な中で、びしいッという肉を打つ音がしてわたしは目がさめた。
「むゥ、きさま・・・・」
 押さえた島田の声につづいてまたぴしりと鳴った。
「すみません。勘弁して下さい。すみません。勘弁してください。」
 浅岡はうつ伏しになって打たれているらしく、わたしが覚めてからは四回ほど同じことがくりかえされた。

 海軍は、乗組員を軍艦の部品とみなし、その錬度をあげるために制裁を制度化していました。宮内寒彌「艦隊葬送曲」は、「海軍罰直選」で、制裁の数々を描いています。

 ビンタ。そしてこれが動詞になると他は知らぬが呉の方では「ビンタをカチまわす」という。嫌なことばである。「ビンタ一つ飛ばす日はなし秋のくれ」
秋であろうと冬であろうと、一年四季を通じ、これは日常茶飯事だった。それが、いつわが上に来るかと思うと、気が滅入り、殺伐な、やり切れない気持だったが、次第になれてしまった。
 しかし、これも、平手の分は音も明るいし大して痛くないけれど、鉄拳を円盤投げのような格好で左右交互にやられると眼が眩んで倒れる。(略)
 海軍制裁法の王者は、かの「直心棒」または「精神棒」別名「バッタ」であろう。長さ一米余り、直径二寸位の樫か桜の棒が隊の玄関に堂々と飾ってある。これが、時あって満身の力で宙を斬って唸るのだ。この光景は委しく書くに忍びないが、人間の体というものは、臀部というものは案外強いものだ。犬や猿だったら、その場で死んでしまうだろうが、人間は、臀部が紫色と化しても、決して、死ぬものではない。犠牲者もあったが、普通の場合は死なない。これを総員罰直の時は一人平均五本から六本位、個人の場合は、軽いこともあるだろうが、気を失うまで食う。そして、水をかけて蘇生させて、更につづくこともある。

 海軍の制裁は、軍艦という運命共同体を担うものが一体化するための作法として、制度化されたものでした。この制裁作法は、陸軍における私的制裁の様式にもみられるもので、日本軍隊の共通した文化にほかなりません。このような軍隊教育の作法こそは、日本における集団の規律を支えるものとみなされ、現在も運動部をはじめとする世界の練習作法にみられる体罰の原点となったものです。
 学校教育、運動部等に広くみられる体罰は、このような軍隊における制裁を是とした訓練教育の延長にほかならず、人間を戦う部品とみなす日本の近代教育の原像にほかなりません。しかし制裁教育は、兵士の自殺を生み、入営を忌避する風潮を増幅し、反軍気分の温床となったがため、昭和期にその対応が検討されました。次回は、この制裁根絶への取り組みを検証していくことで、現在問われている体罰問題が提起している世界と同じことが論じられていることを読み解くこととします。いまだ日本の教育の根にある帝国軍隊の体臭から自由でない現況を撃つために。

参考文献

  • 大濱徹也『天皇の軍隊』(教育社歴史新書)
  • 大濱徹也・小沢郁郎編著『帝国陸海軍事典』(同成社)


「どんな動きをするのかな ~カムの仕組みを使って~」(第6学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「どんな動きをするのかな ~カムの仕組みを使って~」

2.目 標

○カムの仕組みを使って楽しく動くおもちゃをつくろうとする。
○アイデアに合わせて材料を選び,動く仕組みを生かして形や色を工夫してつくる。

3.準備(材料・用具)

教師:色画用紙,両面色中厚紙,化学接着剤,工作マット,竹ひご,きり,ペンチ,ラジオペンチ,サークルカッター,ハトメパンチ,ハトメ
児童:空き箱,牛乳パック,はさみ,のり,コンパス,色紙
共通:身辺材,カッターナイフ,サインペン,セロハンテープ,ペットボトルのキャップ

4.評価規準

○造形への関心・意欲・態度
 カムの動きに関心をもち,楽しい作品をつくることに取り組もうとしている。 

○発想や構想の能力
 動きからつくりたいものを思い浮かべ,形や色,材料を考えている。

○創造的な技能
 アイデアを基に仕組みの動きを試しながら,形や色,材料の組み合わせを工夫してつくっている。

○鑑賞の能力
 作品を動かして遊び,表現のよさや工夫を感じ取っている。

5.本題材の指導にあたって

【題材について】
 カムの仕組みの面白さは,ハンドルを回す動きが上下や回転・半回転の動きを生み出すところにある。いくつかの仕組みを使って,実際にハンドルをくるくる回す活動を通して,子どもたちはその動きの面白さにひきつけられるだろう。また,それらの動きから「○○が回るとおもしろいな。」や,「○○が回っている姿に見える。」など,自分なりのイメージをふくらませるだろう。イメージをスケッチに表し,色や形・奥行きなどを具体化することで,制作意欲はさらに高まることが予想される。テーマをあえてしぼりこまず,「回るもの」もしくは「回したいもの」を自由に発想できるようにすることで,【共通事項】に挙げられている「児童が自らの感覚や活動を通して形や色などをとらえること」が実現でき,本来のカムの仕組みが持つ動きの面白さを充分生かしたおもちゃづくりができると考えた。
 カムの仕組みづくりでは,スムーズな動きになるように,黄ボール紙をサークルカッターで切ったり,ペットボトルのふたを一緒に接着したりするなど工夫させたい。また,全員の仕組みが確実にそしてスムーズに動くことが,子どもたちの関心や意欲の持続に最も大切なことである。そこで,仕組みをつくる際に,見本やヒントカードを参考にしながら,班で協力し合って製作する方法を取りたい。アドバイスし合い,手を貸し合う。それでもうまくいかなければ,指導者がその班に入り,相談する。それをもとに,班で考える。そうすることで,全員が確実に仕組みをつくりあげることができ,自信を持って次のステップへと進むことができるだろう。
 そして,出来上がったカムの仕組みを使って,つくりたいものを楽しみながらつくる。その際,動きのさまたげにならないように大きさや重さ・重なりに注意してつくることや,つくりながら動かして,動きを確かめるようにするなど様々な工夫を重ねさせることで,確実に動くおもちゃをつくりあげ,表現への成就感を味わえるようにしたい。
 また,出来上がった作品を見たり動かしたりして楽しむ活動を通して,お互いの作品のよさに気付くだろう。そして気付いたことを伝え合うことにより,日々の生活の中でもお互いを尊重し合う態度につなげていきたいと考える。

【児童について】
 図画工作科では,これまでの学習を通して多くの題材と出会い,自分の思いにより近い表現ができるようになり,表現する喜びはさらにふくらんでいる。そのため,図画工作科の学習を楽しみにしている児童が多く,毎回どんな題材に取り組むのかと期待感を持っている様子が見られる。
 また,題材への期待感とは別に,自分の表現の広がりや可能性に大きな期待を持っている児童もいる。その要因として,学習の基礎基本の欠如が考えられる。6年生になって初めての図画工作科の取り組みである「修学旅行の思い出」では,それぞれの児童が思いを膨らませ,自分なりの表現方法で絵に表した。その際,もう一度絵に表す上での基礎基本を確認しながら,学習を進めた。そうすることにより,児童は新しい発想の仕方や表現の仕方に気づき,さらに思いが膨らんだ。また,友達の作品を鑑賞する活動においても,見る視点や伝え方など,基本を大切にしながら活動を進めた結果,お互いの表現に自信を持つことができた。
 このように,題材への期待と表現の広がりや可能性への期待が,図画工作科においては,大きく膨らんでいる。今回の題材でも,カムの魅力を思う存分味わうとともに,工作に表す上での基礎基本をしっかり確認しながら学習を進めることで,期待が喜びへとつながっていくことを期待したい。

【活動の様子】

ヒントカード(PDFが開きます)

部品のつくり方(PDF:513KB)

アイデアスケッチ(PDFファイルが開きます)

アイデアスケッチ(PDF:163KB)

活動の様子

友達の活動が見本になる。道具の使い方や仕組みの手順,思いを実現するための工夫など。

活動の様子

ヒントカードをもとに,話し合いながら活動する。「まず土台からつくるべきかな。」

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アイデアスケッチをもとに,話し合う。「この動きなら,クランクの方が適しているよ。」

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図工室の机には,きりを使うための穴があります。

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アイデアスケッチには,絵と言葉で思いを描く。活動計画や,振り返り,必要なものなども確認。

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ヒントカードを見ながら,思考錯誤を繰り返す。「次は何をつくればいいのだろうか…。」

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見本を参考して活動する。「ヒントカードでは,細かい所がよくわからないから見本を参考にしよう。」 

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友達と協力しながら安全に活動を進める。

6.題材の指導計画

学習活動

・留意点(・)と共通事項に
関する指導のポイント(*)

評価の視点(評価方法)
【評価の重点】



○カムの仕組みを理解し,楽しい作品づくりに興味をもつ。
・カムの仕組みを使ったおもちゃを見て,仕組みについて理解する。

・教科書の作品を見たり,参考作品を実際に動かしてみたりする中で,仕組みやその動きについて理解を深められるようにする。

・動きの面白さに気付き楽しい作品をつくることに取り組もうとしている。(活動・発言)
【関】

○簡単な仕組みをつくって十分に遊び,つくりたいものを発想する。
・動きからイメージしたものをアイデアスケッチにかく。

・サークルカッターの正しい扱い方を確かめ,仕組みがスムーズに動くようにつくる方法を知るようにする。
・つくりたいものをアイデアスケッチにして,仕上がりまでの見通しがもてるようにする。

・カムの仕組みから,つくりたいものを発想している。(活動・アイデアスケッチ)
【発】





○全体の仕上がりまでの見通しをもち,動きの面白さを生かして表現する。
・円の大きさや形などを工夫して仕組みをつくる。
・仕組みがスムーズに動くか試してみる。

・教科書のつくり方を参考にしながら確実に仕組みをつくることができるようにする。
・カッターナイフやきり・サークルカッターを使う場合は,正しい扱い方を確かめ,安全面に配慮する。
・仕組みやその動きをいろいろな方向や角度から見て,自分らしい思いの表れたものを考えるようにする。
・スムーズな動きが出るように,円の形や竹ひごを通す位置などを正確につくるように助言する(教科書P.13参照)。

・材料や用具を適切に扱い,仕組みが確実に動くようにつくっている。(活動・作品)
【創】

・自分が考えたアイデアを基にして装飾する。

・動きの妨げにならないように,大きさや重さや重なりに注意してつくるようにする。

・仕組みを基に,形や色,材料を生かすような工夫をしている。(活動・作品)
【創】

*動く仕組みが生きるように,形や色,奥行きを大切にしながらつくるようにする。

・材料に合わせた接着方法を用いるようにする。
・表現の過程の中で互いの作品を見合う場を設けることにより,友達の表現のよさを自分の表現に生かすようにする。

○作品を動かして遊び,表現のよさや工夫したところについて話し合う。
・グループの中で題名と工夫したところについて発表する。
・互いの表現のよさや工夫を見付けて話し合う。

・できあがった作品を動かしながらいろいろな方向から見るようにする。
・互いに紹介し合い,面白い動きや工夫したところについて気付くようにする。

・互いの表現について話し合い,よさや工夫を感じ取っている。(発言・鑑賞カード)
【鑑】

7.本時の学習

(ア)目標
材料や用具を適切に扱い,仕組みが確実に動くようにつくる。

(イ)学習展開

学習活動(○)と
予想される反応(・)

指導の留意点(○)と
その支援(◆)

具体的な評価規準(方法)

○前時までの学習を振り返り,本時学習のめあてを確認する。

○ラフスケッチを見て,前時までの活動を思い出させる。

用具と材料を正しくあつかい,仕組みが確実に動くようにつくろう。

○黄ボール紙の切り方や接着の仕方を工夫して,仕組みをつくる。

○リーダーを中心に,グループごとに取り組むようにする。
○つくる順序や方法を間違えないように,サンプルやヒントカードを机の中央において,何度も確認できるようにする。
◆机間巡視しながら工夫しているところを賞賛したりつまずきに応じて助言したりする。
○動きの速さや回り方などを確かめながらつくるようにする。
◆サークルカッターがうまく扱えない児童には,友達と協力するよう助言する。
○接着剤を使用したときは,洗たくばさみなどではさんでおくとつきやすいことを知らせる。
○動きがよく分かるように,先端に飾りをつけて動かすようにする。

【創造的な技能】
〈おおむね満足できる状況〉
・用具と材料を適切に扱い,仕組みが確実に動くようにつくる。
〈活動の様子・作品〉


〈十分満足できる状況〉
・用具と材料を適切に扱い,仕組みが確実にスムーズに動くようにつくる。
〈活動の様子・作品〉

カムのつくり方
①円やペットボトルのふたを接着する
②牛乳パックで土台をつくる
③ハトメパンチで土台に穴をあける
④千枚通しで円に穴をあける
⑤竹ひごをペンチで切る
⑥組み立てる

○友達の作品を見たり動かしたりして,よさや自分の作品とのちがいに気付く。

○活動の振り返り

「南田辺小キッズゲルニカ 自分にとって平和とは~僕たち私たちの平和~」(第6学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「南田辺小キッズゲルニカ 自分にとって平和とは~僕たち私たちの平和~」

2.目標

ア. 自分の持つ平和のイメージを話し合ったり、進んで絵に表そうとしたりする。
イ. 平和のイメージを絵に表し、友人のイメージと組み合わせて構想する。
ウ. 表したいことに合わせて材料や用具を自分で選び、組み合わせを考え、思いついたことを試しながら、表し方を工夫する。
エ. 感じたことや思ったことを話したり、友人と話し合ったりするなどして、表現のよさや特徴などが分かる。

3.準備

教師:キャンバス(約3.5m×7.8m)、白ケント紙、ポスターカラー、ローラー、刷毛、筆、ブルーシート、新聞紙
児童:絵筆、筆洗バケツ、パレット

4.評価規準

ア.造形への関心・意欲・態度

イ.発想や構想の能力

ウ.創造的な技能

エ.鑑賞の能力







・自分の持つ平和のイメージを話し合ったり、進んで絵や文に表そうとしたりする。

・平和のイメージを絵に表し、友人のイメージと組み合わせて構想する。

・表したいことに合わせて材料や用具を自分で選び、組み合わせを考え、思いついたことを試しながら、表し方を工夫する。

・感じたことや思ったことを話したり、友人と話し合ったりするなどして、表現のよさや特徴などが分かる。















①自分なりの平和のイメージをかくことに意欲を持つ。
②自分の平和のイメージを友人と話し合いながら進んで絵や文にかき表そうとする。

①平和のイメージを思いを持ってかくことができる。
②友人のイメージと組み合わせて、形や色、構成の美しさなどの感じを考えながら表し方を構想する。

①表したいことに合わせて材料や用具を自分で選び、組み合わせを考える。
②思いついたことを試しながら、表し方を工夫する。

①自分の感じたことや思ったことを話したり、友人と話し合ったりするなどして、表し方の変化、表現の意図や特徴などをとらえる。

5.本題材の指導にあたって

①児童観
 本学級の子ども達は、学年で「世界の中の日本」というテーマで総合学習に取り組んでいることもあり、世界の国々、人々に対する興味・関心が高い。世界の国々の様子を調べたり、週に一回の英語活動をしたりすることに意欲的に取り組んでいる。
 また、1年を通じていろいろな教科にわたって平和学習に取り組んでいる。国語科では「平和のとりでを築く」という単元で広島の原爆ドームが世界遺産になるまでを学習したり、「自分の考えを発信しよう」という単元で、「平和」を主題とした意見文を書く学習をしたりしている。総合学習では、世界で現在も起こっている紛争や難民問題を本やインターネットで調べて話し合った。他にも、広島や長崎に原爆が投下される前に、同じ大きさの火薬爆弾「模擬原爆」が投下され、多数の死傷者が出た田辺地域の歴史について体験者から話を聞いたりもした。
 しかし、子どもたちは、「戦争は二度と繰り返してはいけない。」「悲しい出来事だ。」という感想を持つものの、どこか他人事であり、現在も同じくらいの年齢の子ども達がその「悲しい出来事」に遭っていることまでは考えが及んでいなかった。
 これまでの造形活動は、A表現(2)の題材が多い。「不思議なつぼ」の絵では、パスを使っていろいろな色でぬり広げをしながら、つぼの中から出てくる不思議なものを表現した。ぼかしや型塗りこみを使いながら、パスの表現を楽しむことができていた。「水墨画~雪舟に学ぼう~」では、初めて水墨画に挑戦し、いろいろな濃さの墨を用意し、竹を表現した。また、出来上がった作品の良さを認め合うカードを交換したり、話し合ったりと鑑賞活動を楽しんだ。「お誕生日カレンダー」では、自分の誕生月からイメージする絵を考えたり、月や日付、曜日の文字をレタリングしたりして構成にもこだわって仕上げることができていた。「葦ペンで秋を描く」では、初めて触る葦の感触を楽しみながら、線にこだわって思い思いの秋のモチーフをしっかりと見ながら仕上げることができた。
 図画工作科の学習に興味・関心を持ち、楽しみにしている児童が多く、ほとんどの児童は楽しそうな表情で表現活動に取り組んでいる。特に、新しい表現方法や、興味のある題材に対しては意欲的に取り組むことができる。しかし、どのように描けば良いか思いつかず、活動が止まってしまう児童もみられる。

②指導観
 指導にあたって、第一次ではまず、ピカソの「ゲルニカ」を学年で鑑賞する活動から始める。一つの絵にじっくりと向き合うことは、ほとんどの児童が初めての経験であるので、十分に時間をとりたい。
 初めは、作品名だけを伝え、絵を目の前にして感じた印象を意見交流する。次に、「ゲルニカ」が描かれた時期や時代背景を伝える。背景を知った上で再び絵と向き合うと、違った見方、感じ方ができると考える。絵に自分の気付きを書き込めるワークシートも用意しておき、自分の見方や感じ方の変化を感じられるようにしたい。また、話し合い活動を十分にとり、多様な意見を認めていくことで、互いの見方や感じ方を深められるようにしたい。
 そして、次にピカソの「生きる喜び」の作品を提示する。「ゲルニカ」と比較し鑑賞することで、同じ画家の作品でも「平和」の表現が多様であることにも気付くことができるようにしたい。
 このような鑑賞活動を通して、「キッズゲルニカプロジェクト」への参加を意欲的に考えていくことができるきっかけになるようにしたい。
 子ども達にとっては、初めて行う共同制作である。133名一人一人が、主体的に取り組むことができるように計画していく。また、話し合い活動を通して自分にとっての「平和」とは何かについて自分なりの認識が深まるようにしたい。
 次に第二次では、まず「平和」という言葉から考える自分のイメージを確認し、一人一人の考えが違うことに気付く活動を行う。「文章で書く」「ウェッブ図」「絵で表現する」の3種類のワークシートを用意し、自分の表しやすいものを選んで、「平和」というテーマを表現する。表現したものを班で持ち寄り、共通点や相違点を話し合う。
 子ども達は、学級で話し合い活動を重ねていく中で、様々な意見があり、イメージをまとめるのは困難であることに気付くだろう。そこで、学級代表2名を募り、キッズゲルニカ実行委員会を立ち上げる。そうして、学級の意見を持ち寄り、学年の意見として一つにまとめ、共同作品にいかしていくことにする。実行委員会で決まったことや、話し合った内容は「南田辺小キッズゲルニカ通信」を発行し、制作状況を共通理解していくようにする。
 各学級である程度イメージがまとまったら、それを持ち寄り、学年としてのテーマを決める。それをもとに、今度はテーマに沿ってイメージを再構築し、自分のかきたいものを絵にかいていく。そしてかきたいものが似ている人同士で学級を越えてチームをつくる。
 種類によってはチームの人数にばらつきが出ることが予想されるが、自分のかきたいものを表現することを大切にしたい。チームが決定したら、今度はその中でチームリーダーを決め、形や色などをどう表現していくかを話し合い、プランニングシートにかいていく。一人一人のかきたいものをどうしたら組み合わせることができるのか、リーダーを中心に相談しながら意見をまとめていけるようにしたい。
 チームの意見がまとまったら、各チームリーダーと実行委員会メンバーで集まり、キャンバスのどの位置に何をかくか、構成を話し合う時間を設定する。全体のバランスを考えながら、学年の一つの絵としてまとまることができるように助言していきたい。
 構成が決定したら、グループで集まり、担当を決定する。プランニングシートに詳しくかくことで、チームの意見を共通理解できるようにしたい。そして必ず一人一人が責任を持って取り組むことができるように、プランニングシートを元に自分の担当のモチーフをどのようにかくのかを考えておくようにワークシートも用意しておく。
 かく内容、場所が決定したチームから、キャンバスに下絵をかいていく。離れて見たときに見えない大きさではないか、常に全体を確認しながらかいていけるように助言したい。
 着色にあたっては、ローラーや刷毛を使用し、大きいキャンバスにかくのが初めての経験であるのでスムーズにいくように、彩色の方法をまとめたものを掲示し、授業の最初に必ず確認するようにしたい。
 また、チームでプランニングシートを最初に確認する時間を設けて、その時間の活動に見通しを持って取り組めるようにしたい。他にも、大きなキャンバスに戸惑い、活動が止まってしまいがちな子どもに対しては、試し紙を用意し、作った色を試すことができるようにしたり、個別に声をかけていくようにしたりしていきたい。
 制作の途中でも、絵を見る視点を変えて、全体を捉えることができるように、ギャラリーから絵を鑑賞することを認めるなど、場の設定も工夫していきたい。授業の中でも、何人かの児童の工夫している表現を紹介したり認めたりする鑑賞の時間を設定する。こうすることによって、友だちの作品のよさに気付くことができ、新たな発想の手がかりになると考える。
 授業の終わりには、色、形、構成の美しさを意識して鑑賞できるようにしたい。さらに、チームで集まり進行状況を確認して、次の目標を設定する時間も大切にしたい。こうすることで、一人一人の思いが少しでも作品に活かすことができると考える。

③題材観
 本題材は、パブロ・ピカソの「ゲルニカ」(1937年)と同じ大きさのキャンバス(約3.5m×7.8m)に、平和の絵画を描くというものである。第二次世界大戦から50年たった1995年にアートジャパン・ネットワークによって「キッズゲルニカ 国際子ども平和壁画プロジェクト」として始められ、世界各地で100以上の作品が完成している。
 現在も紛争により、同世代の子どもたちが悲しい思いをしている。しかしその現実にまで、考えが及ばない子ども達にとって、本題材は現状を知るきっかけになると考える。   
 プロジェクトに参加している国の中には、目の当たりにした戦争の様子を描いた子どもたちもいる。それらの作品を鑑賞することによって、絵の持つメッセージ性についても考えることができるだろう。
 さらに、1年間を通して「平和」について考えてきたことの総まとめとして、自分たちの思いを表現することに適した題材だと言える。漠然と持っていた「平和」のイメージが、話し合い活動を繰り返す中で、自分にとっての「平和」とは何か、自分自身を見つめ直すことへとつながっていく。そして、イメージを絵にあらわすことによって、それはより具体的になり、自分の「平和」に対する考え方をしっかりと持つことができるだろう。
 キッズゲルニカは共同制作である。友人と共に一つのテーマで語り合い、共同して表現する活動を通して、様々な発想やアイデア、表し方などのあることに気付き、自分の表現や鑑賞に生かすことができると考える。一人一人の想いを大切にしながら、様々な意見を一つの作品にまとめていくことの難しさも感じながら、協力して大きな絵を完成させる喜びも感じることができるだろう。

6.指導計画(全20時間)

学習活動と支援
(■指導者の支援)

予想される
児童の意識のながれ

評価の観点







ピカソのゲルニカを鑑賞し、キッズゲルニカへの参加意欲を持つ。

1.ピカソのゲルニカや他の作品を鑑賞し、学習課題を持つ。
■「ゲルニカ」の描かれた時代背景を知らせる。

ピカソのゲルニカの鑑賞

・暗い感じがするな。
・馬や牛がかいてあるよ。
・町の名前だったんだ。

・自分の感じたことや想像したことを話し合ったり、進んで絵や文に表そうとしたりしている。

■「生きる喜び」の題名を考えたり、「ゲルニカ」と比べて鑑賞できるようにする。
■自分の気付きをまとめられるようにワークシートを用意する。
■「キッズゲルニカ」を知り、考えたことを話し合い、参加の意欲を持つ。

・同じ画家の作品でも、絵の感じが全然違うな。
・参加してはやくかいてみたいな。

・友人の見方や感じ方に共感したり、違いを感じたりしている。
・学習課題を持つことができる。
ア―①、エ―① 
(ワークシート、会話)







下絵の発想、構想を持つ。

1.平和のイメージを一人一人が絵や言葉で表し、話し合う。
■3種類のワークシートを用意し、自分にあったものを選べる
ようにする。

A 言葉や文章で表す

・ウェッブ図で表そうかな。
・平和とは、笑顔で暮らせることだと思う。
・温かい色だと思うな。

B ウェッブ図で表す

・自分の平和のイメージを進んで絵や文にかき表そうとする。
ア―②、イ―①
(ワークシート、会話、振り返りカード)
・平和のイメージを持ち、話し合いに進んで参加する。
ア―①、②
(会話)

C 絵で表す

2.ワークシートを元に、意見を交流し、学年の作品のテーマを決定する。
■班→学級→学年
■実行委員会を立ち上げて、学級の意見を持ち寄りまとめる。

・緑や木や山を思いうかべた友だちが多いな。
・共通のイメージは自然・夢・未来だった。

・自分の平和のイメージを進んで絵や文にかき表そうとする。
ア―②、イ―①
(ワークシート、振り返りカード)

3.イメージを共有し、描きたいものを絵に表す。
■学年のテーマに沿ってイメージするものをワークシートに表現する。

・「自然」だから山と海と花をかきたいな。

・友人のイメージと組み合わせて、形や色、構成の美しさなどの感じを考えながら表し方を構想する。
イ―①、ア―①、②
(ワークシート、会話)

4.似たようなものを描きたい人同士で学級の枠を越えてチームをつくり、どのように描いていくか話し合う。
■プランニングシートをつくり、完成図や制作過程を共通理解できるようにする。
■チームごとにリーダーをたてておくようにする。
■資料を集めておくようにする。

・海班は魚を10匹かこう。
・くらげや船もこの位置にしよう。

5.実行委員会と各チームのリーダーで集まり、パーツの配置、構成を話し合い、下絵を決定する。

・中央に何を置いたらいいかな。

南田辺章キッズゲルニカ





12






/
12

思いをこめて線描と着色をする。

1.下絵をもとにキャンバスに線描する。
■大きさを決めて、しるしをつけよう。
■わかりやすいように、線が決まったらペンでかこう。

・バランスを考えながら描くよ。
・重なりがあってもいいね。
・鉛筆でかいた線と変更しよう。

・平和のイメージを思いを持ってかくことができる。
・友人のイメージと組み合わせて、形や色、構成の美しさなどの感じを考えながら表し方を構想する。
イ―①、②
(作品、振り返りカード)

2.着色する。
■ローラーや刷毛を用意し、ポスターカラーを試すことができるように試し紙を用意する。
■チームで集まり、制作状況を確認したり、意見を話し合ったりする。

・大きい面だから、刷毛を使おうかな。
・もう少し暗い色を使ったら迫力が出るかな。
・となりの絵と色が重なっているので、変更しようかな。

・表したいことに合わせて材料や用具を自分で選び、組み合わせを考える。
・思いついたことを試しながら、表し方を工夫する。
ウ―①、②
(作品、振り返りカード)

下絵 着色








南田辺小キッズゲルニカを鑑賞する。

1.作品を鑑賞し、作品に込めた思いを文章で表す。
■ワークシートを用意する。

・世界中の子ども達がずっと幸せでいられますように願いをこめて描いたよ。
・戦争の建物チームの原爆ドームはすごく細かくかかれていて、迫力があるな。

・自分の感じたことや思ったことを話したり、友人と話し合ったりするなどして、表し方の変化、表現の意図や特徴などをとらえる。
エ―①
(会話・カード)

鑑賞1 鑑賞2

7.本時の学習

①目標
キッズゲルニカに思いをこめて着色しよう。

②学習展開

学習の流れと指導者の役割
(○学習活動 ■指導者の支援)

予想される
児童の意識のながれ

評価の観点

1.学習のめあてをつかむ。
○学習のめあてを確認する。

・○○から着色しよう。

・本時のめあてをもつことができたか。

南田辺キッズゲルニカに思いをこめて着色しよう!

2.造形活動を楽しむ。
○ローラーの使い方、刷毛の使い方を紹介する。
○着色する。
■必要に応じて、励ましたり相談にのったりする。
■活動がさらにひろがるように工夫している表現を紹介する。

・ローラーを使おうかな。
・自分の顔をぬろう。
・○○さんのように笑っている顔にしよう。

・説明を聞いて、使い方を理解しているか。
・描く過程で、新たな表し方などを見つけ、形を工夫することができたか。
・友だちの表し方を見たり、話を聞いたりしているか。

3.本時の活動を振り返る。
○描いたものについて話したり、友だちの気持ちを聞いたりして楽しく見る。

・○○さんのぬった木は幹が太くて迫力があるな。
・○○さんの花はいろいろな色が工夫してあってふしぎな感じがするな。

・自分が描いたものについて話したり、友だちの表し方を見たり、話を聞いたりして共に楽しんでいるか。

4.次時の予告をする。
○振り返りカードに記入する。

・今度の時間は葉っぱを仕上げたいな。

キッズゲルニカ

○○なシーサーをつくる。(第4学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.基礎データ

題材・単元名

○○なシーサーをつくる。
シーサーは守り神である。○○から自分を守ってくれるなど主題を決めてつくる。

時間数

5時間

題材・単元の
特徴

・主題をもつことによって、自分や身近な人のことを考える。
・「シーサー」や「狛犬」といった古来から日本各地にある身近な立体を鑑賞することによって自分の見方を広げる。
・粘土の可塑性を活用して、手でつくるよさを味わい、立体を工夫して表す。

授業環境

活動環境

美術室

教材や用具

粘土

コンピュータ
動作環境

使用デジタル教材

『みる美術』
日本美術 名品コレクション 編

OSバージョン

Windows XP

使用周辺機器

プロジェクタ

その他

できれば、電子黒板やデジタルテレビの方が望ましい。

2.活用事例及び展開

①ねらい
 手の感覚を十分働かせて粘土による立体をつくる。今回は、材料から発想するのではなく、「○○なシーサーをつくる」といった主題を決め、シーサーに限定することでそれに向かってどのように試行錯誤をすることができるかをねらいとする。

②本デジタル教材利用の意図
 導入の段階で児童の発想が生まれてくるように、写真による鑑賞をして興味をもたせる。
 なお、鑑賞するために使う写真であるが、自分が撮りためているコレクションを活用する。
 また、美術にかかわりのある者は、日頃から一般的にはゴミになりそうなものでも授業に役に立つかもしれないと集めたり、興味があるものについて写真をとっておいたり、新しい素材を試してみたりと収集癖が少なからずある。しかし、ためておいた写真等は、的を絞り込んで扱わないと焦点がぼけてしまい有効に活用できないことが多い。
 そこで、今回は『みる美術』の「マイコレクション機能」を活用して授業を組み立ててみた。

③評価について
◆造形への関心・意欲・態度
身近な場所に立体作品があることを知り、自分らしい見方や感じ方で味わおうとしている。○○から守ってくれるといった主題を考え、自分の考えたイメージを粘土で形にすることを楽しもうとしている。
◆発想や構想の能力
自分の表したいことを、粘土でどのような形にするかを考えている。
◆創造的な技能
粘土の特徴を捉え、つくる順番を考えながら工夫してつくっている。
◆鑑賞の能力
感じたことを話すなどよさや面白さなどを感じ取っている。

④指導計画

学習活動の流れ

指導上の留意点、評価方法※

<鑑賞> 30分

日本の建造物には、災いから建物を守るために獅子や狛犬などが置かれている。
多くは、木や石が材料になっている。一方、沖縄でたくさん見られるシーサーは粘土でつくられているものが多い。ルーツは同じであることから、獅子や狛犬やシーサーなどを味わいながら、自分のシーサーの発想する。

まず、先生が興味をもち、日頃からアンテナを広げておくことが必要。
ただし、先生の興味の一方的な押し売りではなく、児童が「見つける」ための授業展開にする。
※対話をしている中での観察。

<構想をねるためのスケッチ> 60分

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自分の主題を決める。
「○○にしてくれるシーサー」
「○○から守ってくれるシーサー」など。

立体であるため、見通しをもってつくれるように構想を練る。

※スケッチの中で、様々な表し方のよさを見る。

<粘土で工夫しながらつくる> 90分

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焼成しない粘土であるため、土粘土のような手応えでないのが残念。特に接着については、「どべ」で細かい部分を接着するだけでは弱いため、粘土をなじませせるような技術面についてアドバイスをする。

※大まかなパーツをつくっておいてからはりあわせたり、胴体が長くなりすぎて、短く切ってつなげたり、先のとがったもので毛並のような筋をつけたりしている工夫の過程を見る。

<教室前の廊下に展示する。>

3.本時の展開

①目標
 児童が形のイメージを広げられるようにするため、様々なことを見つけられるようにする。

②本デジタル教材を活用した授業の展開

主な学習活動・内容
(●教師 ○児童)

指導の工夫や
教師の支援・評価の留意点

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準備
「みる美術」のマイコレクションに作品を入れ、必要なものにブックマークを付けておく。

導入
●今日は「見つける」ことがねらいです。
●まず先生の写真コレクションから見ましょう。これは、愛知県の日間島で撮った狛犬です。狛犬ってみんな見たことあるかな。

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○近くの熊野神社にもあるよ。
●そうだね。神社で見るよね。

写真を撮ったときの、季節や場所の光、風の感じなどを交えて紹介する。

●なにか見つけたことがあったら教えて。

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○なにか頭の毛がカールしている。
●毛に注目したんだね。拡大して毛を見てみよう。 

児童は、自分の思考の回路に写真をつなぎ、自分の経験の中から「○○で見た」などの事実や「○○のように見える」などの見立てをしながらイメージをふくらませていく。

mirubi_kuraberuを押し、右側にも同じ写真を出す。左側には、写真の全体像を出しておき、右側は、mirubi_kakudaiを使って拡大し、見たい場所には、mirubi_idoを使って移動させる。

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○カールの形が波みたい。
●どうして、波みたいって思ったの?

全体像の写真が左側にあるために、児童が見つけた箇所がどこなのか、児童全員と「もうちょっと右」などと言いながら具体的に共有することができる。

自分が感じたイメージの発言が見られたら、そこから「どうしてそう思ったか?」などと対話を深めていく。

mirubi_modoruを押して、次の写真をだす。

●次を見ましょう。実は、狛犬はもう一頭いて、向かい合って建っているのね。さあ、似ているけど、ちょっと違うところを見つけられるかな。

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一対の写真を比べることにより、今度は違いを見つける。

○左側は口を開けていて、右側は口を閉じている。
●口に注目したんだね。両方の口を見てみよう。

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※左右の両方にmirubi_kakudaiのアイコンがついているので、両方いっぺんに拡大し、くらべることができる。

●何で口を開けているのと閉じているのがあるのでしょう。
○片方が話して、片方が聞いているんじゃないかな。
○なんか、叫んでいる感じがして、右側は我慢している感じがする。

具体的に「なんて言っているのか。」を聞くと、「あー」じゃないかと言葉がでるので、場合には阿吽の話などを取り混ぜる。

●次に口を両方開けているのを見てね。これは、東京大学の東洋文庫の前で見つけたものです。

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○鼻が豚みたい。
○ライオンみたいなたてがみがある。
○吠えている感じがする。
○ドラえもんみたいな鈴がある。
○筋肉がある感じで強そう。
○玉みたいなのを押さえている。

●次は、出雲で見つけたものです。

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○耳がたれているからかわいい。
○鼻が豚みたいなのは同じに見える。
○おしりを上げている。
○しっぽが大きくてかっこいい。

●次は、沖縄の首里城の入り口で見つけたものです。

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※沖縄では、シーサーと呼ばれている。
○ベロを出している
○牙がある。
○眉毛が濃い感じがする。
○体の横が平らになっている。

●最後に沖縄の博物館・美術館で見つけたものです。

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※沖縄の一番古いシーサーで「シーシ」という。風化してぼろぼろだが、大切に博物館の庭に保存されていることも伝えたい。

※日本各地にある狛犬やシーサーについて、いろいろな形があること知ってほしい。

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mirubi_sizeのアイコンを使って、大きさをくらべる。

※大きさをくらべたいときは、おおよその実物の大きさを「高さ(比較用)」に入れておくとくらべることができる。

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●いろいろ見つけられましたね。日本中にあるのも分かったよね。それでは、何のためにあるのでしょう。
○霊とか悪いものから守ってくれるんじゃないかな。
○門とかにあるから、番犬みたいな感じ。

●そこで、これから、自分のシーサーを粘土でつくります。
●アイデアを練りましょう。

<評価>
・自分らしい見方や感じ方で味わおうとしている。【関】
・感じたことを話しながら,よさや面白さなどを感じ取っている。【鑑】

※対話をしている中で、参加していればおおむね満足と捉える。大事なことは、児童の関心を引き出し意欲をもたせられたかどうかという教師側の問題。見せる作品等の選び方や、間合い、順番はどうだったか反省する。

③指導のポイント
 「シーサーをつくりましょう」といっても、見たことがない子もいる。たいてい教師は過去の作品をもってきたり、教師が沖縄でシーサーつくりの体験をし、そのスキルを児童に教えたりして、出来映えを重視してしまうことが多い。ここで大事なのは、児童の関心をどう引き出すかであると考える。日頃、教師自身が収集したコレクションは、片寄った見方を押しつけるのではないかと思われそうだが、様々な視点から足を運んで集めたものは魅力的なものであるとも言える。児童の発想を膨らまし引き出すためには、教師の柔軟なものの見方や考え方が必要である。また、児童の日常にも面白い立体がたくさんあることを知り、自分の見方を通して感じることの大切さを育てたい。

4.感想

 『みる美術』の「マイコレクション機能」は、操作がシンプルなだけに使いやすい。今回のように有名な作家の作品ではなく、日頃見つけたコレクションを生かしたり、児童の作品をコレクションして鑑賞できるようにしたりするのも有効であると考える。

大人と子どものずれが分かる図画工作・美術

 図画工作・美術に携わっていると、大人と子どもの「ずれ」を感じることが多々あります。今回は、その一例を挙げてみましょう。そこから図画工作・美術の役割を考えてみましょう。

 ある年、低学年のクラスに極端に寡黙な子どもがいました。話す友だちはクラスに一人だけ。声を聞くことすらまれでした。当時、校内研究のテーマは「学び合い」でした。私はこの児童を「学び合い」のできないおとなしい子ととらえていました。

art2_vol7_01

図1

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図2

 その見方が、「シャボン玉に乗って」という題材で変わったのです。題材は、まずシャボン玉遊びをして、その後に「本当にシャボン玉に乗ることができたらどうなるかな?」という提案で始まりました。多くの子は、すぐに画用紙に丸を描いて、その中にケーキや怪獣などを描き入れました。おしゃべりをしたり、友だちの絵を覗き込んだりしながら、どんどん表現を広げていました。でも、この児童は顔を上げず、周りを見ることも話すこともなく、、ただ一人で黙々とシャボン玉だけを描き続けていました。シャボン玉には何も乗っていません(図1)。それを見て、私は「やっぱり、この子に『学び合い』は無理だな」と思いました。ところが、しばらくすると児童の絵に、怪獣やケーキなどが表れ始めました(図2)。よく見ると、その子の絵が変わるのは「先生!ロボット描いた」「私、お花」など友だちの声が聞こえてきたときでした。児童は、周りの声を聞き逃さず、それを資源に絵を描いていたのです。
 私は、「この児童は友だちと話をしながら絵を描いている。豊かに学び合っており、一人ぼっちではない。」と思いました。そして「大人や学校制度の枠組みから寡黙な子どもに見えるだけで、本人にとってはそうではないのではないか」「私たちは子どもたちをいろいろ評価するけれども、それは本当に妥当なのだろうか」と思いました。

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図3

 そのような視点で図1を見ると、光、大小、重なりなど実に立体的にシャボン玉が描いてあります。絵の後半には、シャボン玉自体が生き物のようになっている形もあります(図3)。それはシャボン玉そのものへのこだわりにも思えます。児童はシャボン玉だけを描きたかったのかもしれません。周りや先生に合わせてロボットやケーキを描き入れたのかもしれません。「一見寡黙だけれども周りの様子を取り入れながら学び合う子ども」が、「シャボン玉を丹念に描きたかった」にもかかわらず、「友達や先生の声から」状況を判断して「『シャボン玉に乗って』という児童画」に変更した。そうだとすると、これは「シャボン玉に乗って」を描かせたかった大人の思いと、子どもの思いの「ずれ」だともいえます。
 そういえば、、私自身も似たような思いを味わった憶えがあります。幼稚園の年長のときです。「展覧会に出す絵を描こう」という内容でした。周りの友だちは山に行ったことや、海に行った思い出などを楽しそうに描いていました。私はそれが不思議で「なんで見ていないものが描けるんだ」と思いました。そして「隣のクラスに花があったから、あれを描きたい」と先生に頼み、私は花瓶にさしてあった一輪の菊とカーネーションを描きました。特に菊は花びら一つ一つまで丁寧に描きました。相当よく出来た絵になったと思い、展覧会は楽しみでした。でも、自分の絵は赤い色紙(銅賞)が貼ってありました。あの「夏、海で泳いだよ」という友だちの絵には金の色紙(金賞)が貼ってありました。その友だちの名前や展覧会の情景を思い出すくらい鮮明な記憶で、何か納得できず、哀しい気持ちがしました。
art2_vol7_04 それから45年後、その絵が私の実家から発見されました。今の自分が選ぶとすれば、やはり銅賞だろうと思います。なぜなら画用紙に花が二つ描かれているだけなのです。一枚一枚描いたはずの菊の花びらは結果的に塗り込められ、ただの丸い花になっていました。よく描けたという思いとはうらはらに、動きはなく平板で、児童画としては全く面白みのない絵だったのです。当時の私の思い、表現力、展覧会の思い、児童画らしさなどが見事に「ずれ」ていたのです。

 私たちは本当に子どもの描きたいものを描かせているのでしょうか。そもそも児童画って何なのでしょうか。そこには大人と子どもの「ずれ」が数多く存在しているように思います。私自身、まだ答えを見出すことができません。ただ、今回紹介した事例のように、子どもたちの姿は、常に大人の見方や制度などを問い続けてくれます。それだけでも、図画工作・美術は教育課程に必要だろうと思うのです。


カリキュラムの構成原理

icon_pdf_small「日文の教育情報 No.123」PDFダウンロード(346KB)

 日本では学習指導要領で各教科の目標や内容が定められている。それはどのようなことを基盤にして検討されるのであろうか。筆者は近年、それをカリキュラムの構成原理として、いろいろな場で提言してきている。学習指導要領のより深い検討を期待して、ここでもそれを紹介してみたい。

■ カリキュラムの構成原理

 カリキュラムの構成原理は多々挙げられるが、教育目的、内容編成、指導方法に分けて考察するのが分かりやすい。

◇教育目的に関する原理
 教育の目的を基盤にして、次の三つに整理できる。
A1.人間主義:人間形成を第一の目的とし、人格の陶冶、諸能力の形成、情意面の育成等を目的とする立場
A2.実用主義:実用性を第一の目的とし、日常生活や職業、社会の発展等に役立つことなどを目的とする立場
A3.文化主義:教育内容や学問の享受、継承、発展などを第一の目的とする立場
 上記の三つは共存的である。そこで、カリキュラムの構成においてはそれらをどのようにウエイトづけするかが問われる。

◇内容編成に関する原理
 教育内容の選択・配列については、互いに対立する原理を組みにして整理すると、主に次のものが挙げられる。
B1.系統主義vs経験主義
 系統主義:親学問の系統性を重視する立場
 経験主義:子どもの生活経験を重視する立場
B2.知識主義vs思考主義
 知識主義:知識を重視し、多くの知識を内容とする立場
 思考主義:内容は少なくし、思考の育成を重視する立場
B3.歴史主義vs現代主義
 歴史主義:親学問の歴史的発達順序を重視する立場
 現代主義:親学問の現代的な成果の反映を重視する立場
B4.集約主義vs螺旋主義
 集約主義:内容をまとめて指導することを重視する立場
 螺旋主義:内容の質を変えた繰り返し的指導を重視する立場

◇指導方法に関する原理
 学習理論や認識論を基盤にして、今日では、次の四つを主要な原理として挙げることができる。
C1.連合主義:連合説を基盤とする立場
C2.認知主義:認知説を基盤とする立場
C3.構成主義:構成主義を基盤とする立場
C4.状況主義:状況論を基盤とする立場

■ 構成原理に基づく学習指導要領の考察

 次に、上で整理したカリキュラムの構成原理に基づいて、戦後の特徴ある学習指導要領を分析・考察してみよう。
 まずは生活単元学習時代(1947~1958) である。このときは「生活をよりよくする」ことを最大の目標として、生活経験を軸に内容が編成された。したがって、目的は実用主義、内容編成は経験主義を基本原理としていた。方法は子どもによる実際生活と関わりある活動や経験を重視していたので、今考えると状況主義を主としていたと言える面がある。
 次は現代化時代(1968~1977) である。このときは「学問の現代的成果を教育に活かそう」がスローガンだった。したがって、目的は文化主義、内容編成は現代主義、系統主義である。方法はピアジェ理論が基盤とされたので認知主義である。
 最後は先の厳選化時代(1998~2008) である。このときは「生きる力」の育成が目的とされた。これはその中身から、目的原理は人間主義である。その下で、内容編成として、思考主義、集約主義が採られた。方法は構成主義、認知主義である。

■ 全国レベルのカリキュラムに求められるもの

 上記の三つの時代の教育、とりわけ算数・数学教育はいずれも学力低下などをもたらし、大きな批判を浴びた。それらの学習指導要領は理念的には意欲的な改訂であったけれども、実践的にはいずれも失敗と言わざるをえない。同じことを繰り返さないために、原因の考察は重要である。マクロ的に言えば、一つの原理を重視しすぎた、極端な改訂、大幅すぎる改訂であったことが指摘できる。それが全国レベルのカリキュラム改訂に適していないことについては下記のような理由が挙げられる。
 一つには子どもたちは本当に多様で様々な能力を有しており、一つを強調しすぎるとそれに合わない子どもたちが勉強嫌いや学校嫌いになってしまうことである。二つには、先に示した原理はいずれも重要で意義ある考えを掲げており、それらには対立するものもあるけれども、一方を重視しすぎるのではなく、できるだけ調整し、それぞれのよさを活かしてカリキュラムを構成することが全国的レベルのカリキュラムには求められると考える。三つには、全国レベルのカリキュラムには多くの教師、子どもそして保護者が関わるので、その多くの者に大幅な改革の理解や実践を短期間で求めることには無理が生じることである。
 上記のことから、全国レベルのカリキュラム改革はいろいろな原理を可能な限り、調和・調整し、漸進的に進めていくことが重要と考える。

日文の教育情報ロゴ

2013年1月、リニューアル創刊!

新しい「形(フォルム)」

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今日も日本のどこかで、
図工・美術の授業が行われている。

先生たちは、一生懸命考えている。

「どうしたら、子どもたちは、
わくわく、ドキドキするだろう?」

「どうしたら、子どもたちは、
その想像力と創造性の
玉手箱を開いてくれるだろう?」

そう、子どもたちは、
無限の可能性に満ちている。
新しい人間と文化を
創造する力をもっている。
子どもたちのほうがよっぽど、
宇宙や自然の秘密について
わかっているのだから。
創造は、世界の未来を拓く力だ。

子どもたちは、すばらしい!
そして、先生たちもすばらしい!

図工・美術の授業に
一生懸命な先生たちと子どもたちを、
「形」はこれからも応援し続けます。


インデックス

2  新しい「形」
4  特集 つくること、感動すること
   対談 藤嶋昭(東京理科大学学長)× 金井則夫(川崎市生涯学習財団理事長)
9  場の設定-図工室編- 内野務
10  授業実践 小学校1・2年生向き「土のえのぐで」
12  授業実践 中学校1年生向き「紙の輪パフォーマンス」
14  鑑賞 先ず見る「自画像」圀府寺司
16  ともに学ぶ
17  1 / 127,561,489 木下晋
20  生徒作品鑑賞


学習の活用を意識して最初から指導しよう

冊子表紙

1.活用について

 見方・考え方や能力、態度に対しては「活用」、学習内容に対しては「利用」と区別して使われることもありますが、むしろ、活用は、利用や応用を含んだより広い概念と考えてみたいと思います。知識基盤社会を考えるのも、知識を基盤にして、新しい問題に既習の知識を活用できる状況を強く意図したものといえます。さらに、活用しようとするからこそ、学習内容も考え方も豊かに学ぶ必要を、児童・生徒に感じさせることができるものと考えられます。
 ところが、全国学力・学習状況調査やPISAなどの結果を見ると、活用に関する解答状況が良くないことはいろいろなところで指摘されています。
 例えば、平成24年度全国学力・学習状況調査の算数のB⑤(3)(一輪車に乗れる学級の男女の割合)の結果は、正答率が23.8%であり、「日常生活で二つ以上の事象の大きさを比べるときには、量で比べる場合と割合で比べる場合があることを理解し、目的に応じて適切に使い分けられるようにすることが大切である。」と解説資料で指摘されています。
 これは単に、学習した後の記憶力だけの問題としては片付けられそうにありません。学習後に、うまく既習の知識や考え方が活用できなかったのではなく、新たな課題を解決するとき、これまでの学習で自分が身に付けたさまざまな知識や技能、見方・考え方から課題解決に必要なものを選び出し、解決につながるようにくふうし、使っていく力としての活用力がうまく習得されていないことが、その要因と考えられます。

2.活用力を育成する

 このような活用力の習得がうまくいかないのは、基礎基本的な内容の習得学習と新たな問題への活用の学習が分離して学習指導されていることが問題であることは、すでにこのRooTでも指摘されています。
 活用する授業で改めて習得した内容の活用を意識させるのではなく、初期学習の際に、当該の学習内容が他の学習内容や考え方とどのように関連するのか、さらには、生活や社会の問題へどのような活用が考えられるのかといった話題をちりばめて意識させておきたいものです。
 その結果、児童・生徒は当該の学習内容を理解し、直後の問題さえ解ければよいといった学習意識に終わるだけでなく、その学習内容を活用しようと意識するようになります。さらに、その後の当該の内容をうまく活用できた経験を経て、活用を意識した学びのプロセスとしての活用力が児童・生徒に生まれてきます。そのためには、次のようなことを授業展開に配慮したいものです。

①活用するための数学の基礎学習をするときに、当該の内容や考え方が活用されることに触れておきたい。
②学習した学習内容や考え方を活用するには、数学化したり、情報を活用するためのくふうをしたり、表現するなどして、関連内容にどのように気付くかという活用のプロセスを経験させたい。
③「何かにうまく使えないか」、「あっ!ここに使えそう」といった活用するための意識を常に持たせたい。

 このような活用力の学びをできるだけ日々の学習指導の中に組み込んでおきたいものです。

3.活用力を生かした授業

 次の図は、中学校3年生の2乗に比例する関数の初期学習(右側)と、その活用として、テレビに出てくる『アルプスの少女ハイジ』のブランコの長さを求める探究活動を考えた授業を表した図です。直接的にブランコの長さを求めるときに、活用できる知識として2乗に比例する関数の内容や考え方が働く様子を示しています。 
root_no10_01 実際、ハイジのブランコの長さを求める授業では、日常生活や社会で数学を活用する活動としての数学的活動が重視され、京都府福知山市に高さ22.9メートルのブランコがあるといった興味・関心を引くことなどにも触れられていました。
 このような生活や社会との関係での興味・関心やよさを喚起するためにも、2乗に比例する関数の初期学習の折りにも、日常での振り子の運動の話題に触れ、関連を図ることが大切です。
 そのために、算数の教科書でも、主に作業的・体験的な活動や、算数で学習したことを実際の場面で活用するといった算数的活動を『いち・に・算活』として取り上げています。
root_no10_02 例えば、活用したものとして、算数新聞が取り上げられています。(『小学算数』5年下P.86)
 なお、習得や活用型の学力育成の基本となる「もう1人の自分」(メタ認知)を育てることを心掛けることも大切でしょう。
 活用についていえば、「習ったことを活用することが大切だ」というメタ認知的知識を育成することによって、「算数・数学の学習内容を使ったから、問題解決がうまくいった」、「次も算数・数学の学習内容を使うと、問題解決ができるかもしれないぞ」という考え方を育てることが可能になってきます。


瀬戸内国際芸術祭2013

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瀬戸内国際芸術祭2013(春)開催ポスター

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レアンドロ・エルリッヒ「美しく捨てられて」

 瀬戸内国際芸術祭は3年に一度開催されるアートトリエンナーレ。第2回目となる今回は香川県西部の5島(沙弥島・本島・高見島・粟島・伊吹島)を加えた全12の島々等を舞台に開催。さらに、会期を春・夏・秋の3期に分け、日本の四季の美しさもアピールします。
 従来、美術はホワイトキューブと呼ばれる世界中どこでも同じ白い壁の空間で、作品自体に目を向けるように展示されてきました。これとは異なって、瀬戸内国際芸術祭では、島々に展開するアートは作品が設置された景観の魅力を際立たせ、その土地の文化に目を向けさせてくれます。瀬戸内海は、日本で最初の国立公園として指定された地域です。静かな内海が作り出す景観は美しく、観光資源として素晴らしいものです。しかし実際には、過疎化や産業廃棄物の問題など、島はそれぞれに問題を抱えています。アートやデザインを通して、なぜこの地を選んで人々は暮らしてきたのかという土地の記憶、人々の暮らしや文化を見直し、世界の課題を考えるきっかけとすることが目指されているのです。
 「美しく捨てられて」(高松市)のレアンドロ・エルリッヒは「スイミング・プール」(金沢21世紀美術館)などでも知られるアーティストで、高松市東部の観光地・屋島山頂の、廃止になったケーブルカーの山上駅を作品にし、再び息を吹き込みます。また、夏に公開される横尾忠則(アーティスト)と永山祐子(建築家)による「豊島横尾館」(豊島)や、香川県内の中学生が参加した「オニノコ 瓦プロジェクト」(女木島)など、形式もさまざまな作品が新しく発表されます。
 ポスターなどのコミュニケーションデザインも見どころの一つです。ポスターは季節ごとに色が変わり、ひるがえる旗によって瀬戸内海の風の気持ちよさと四季の変化を表現します。多くのアートが展開される芸術祭のポスターは、それ自体が特別な主張をすることはなくシンプルなデザインで、来場者を心地よく迎えてくれます。

(編集部)

<瀬戸内国際芸術祭情報>

  • 瀬戸内国際芸術祭2013ico_link
  • 春:2013年3月20日(水)~4月21日(日)
    夏:2013年7月20日(土)~9月1日(日)
    秋:2013年10月5日(土)~11月4日(月)
  • 会場 直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島、本島、高見島、粟島、伊吹島、高松港・宇野港周辺

芸術祭概要

  • 前回芸術祭から大幅に規模を拡大し、23の国と地域から約210組のアーティストが参加、全12の島々を舞台に作品を展開します。新しく加わった5島のうち、沙弥島は春、伊吹島は夏、高見島・本島・粟島は主に秋に作品が展示されます。

■瀬戸内国際芸術祭実行委員会事務局ico_link

  • 所在地 高松市サンポート1番1号 高松港旅客ターミナルビル6階
  • TEL 087-813-0741(平日)
  • FAX 087-813-0743
  • 総合インフォメーション
    TEL 087-813-2244(土日祝)

その他、詳細は瀬戸内国際芸術祭2013Webサイトico_linkでご覧ください。