「ふしぎなたまご」(第2学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「ふしぎなたまご」

2.目 標

 たまごから生まれてくるものを想像して、たまごの模様や生まれたものを絵に表す。

3.準備(材料・用具)

教師:たまごの形が印刷された画用紙、画用紙、色画用紙、紙テープなど

児童:クレヨン・パス、はさみ、のりなど

4.評価規準

<造形への関心、意欲、態度>
○たまごから生まれてくるものを想像し、イメージを広げて楽しく活動する。

<発想や構想の能力>
○たまごから生まれてくるものを想像し、そこからイメージを広げてたまごの模様を考えたり、生まれたものをかいたりする。

<創造的な技能>
○色、形、かき方を工夫して絵や模様をかいたり、用具を正しく使って材料を切ったり貼ったりする。

<鑑賞の能力>
○自分たちの作品を鑑賞して、色や形、表し方から作品のよさを感じ取る。

5.本題材の指導にあたって

 本題材では、「たまごから生まれてくるもの」から発想を広げ、たまごの模様、生まれたものなど、イメージを膨らませて作品をつくる。
 「たまごから何が生まれてくるかな?」と問いかけると、子どもたちからは、「鳥」や「恐竜」などの生き物だけではなく、「虹」や「宝石」など、様々な答えが返ってくる。子どもたちの発想を大切にして、そのイメージを表すために色や形、かき方を工夫することで、表現する楽しさを味わわせたい。

6.題材の指導計画

学習活動の流れ

指導上の留意点、評価方法

1
本時

2

○たまごから生まれてくるものを話し合ったり考えたりして決める。

○子どもたちから思いついたものをあげさせて、発想が広がるようにする。

○たまごの線に沿って紙を切る。

○たまごの形の内側に名前を書かせ、線が印刷されていない方に色を塗るようにさせる。

○たまごから生まれてくるものを考えて、たまごの色を塗る。

○生まれてくるものを想像し、たまごの色や模様をかくようにさせる。

○たまごの割り方を考えて、はさみで切ってたまごを割る。

○縦、横など割り方を示して、生まれるものにあった割り方を考えさせる。

3

4

○たまごから生まれたものをかき、はさみで切り取る。
○たまごを画用紙に貼る。
○画用紙にたまごの向きや生まれたものの貼り方を考えて貼る。

○画用紙に大きくかくようにさせる。
○たまごの裏に、緩衝材や紙を丸めたものを貼ってから、画用紙に貼らせて立体的にさせる。
○貼る場所によって、飛び出してきた感じや顔を出している感じになるのを示し、貼る前にたまごと生まれたものを画用紙の上に置いてみるようにさせる。

5

6

○周りを色画用紙や紙テープで飾り、「生まれた」感じが出るように工夫する。

○飾りの色や形を考えて貼るようにさせる。

7.本時の学習

①目 標
○たまごから生まれてくるものを想像し、たまごの模様をかく。

②学習展開(1時間目/6時間)

太字…教師の投げかけ

主な学習活動・内容

指導の工夫や教師の支援・評価の留意点

○めあてを知る。

たまごから生まれてくるものを考えて、たまごの模様をかこう

○配布された画用紙に名前を書く。

たまごの形が印刷された画用紙を配布し、たまごの中に名前を書かせる。

○線に沿ってはさみで切る。

○たまごから生まれてくるものを考える。

○たまごから、何が生まれてきたら楽しいか、嬉しいかを考え、想像を膨らませる。

○生まれてくるものからイメージを広げて、たまごの模様をかく。

○生まれてくるものが決まったら、それが生まれてくるたまごをイメージして、模様をかくようにさせる。

○次時の活動を知る。

「私」プロジェクト -私も知らない○○な私を表す-(第3学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.基礎データ

題材・単元名

「私」プロジェクト -私も知らない○○な私を表す-

時間数

10時間

題材・単元の
特徴

さまざまな視点から自分自身を見つめることができるよう,興味・関心があるもの,ことなどを言葉で表す活動,それらのイメージを具体化してジオラマに表す活動,自画像に表す活動を一連のプロジェクト活動として構成する。

授業環境

活動環境

美術室

人数

教師1名 生徒41名

教材や用具

コンピュータ,ディスプレイ(50型),その他,
制作に必要な用具

コンピュータ
動作環境

使用デジタル教材

提示型デジタル教材『みる美術』
西洋美術 フランス国立美術館連合 編,
その他,自作画像

OSバージョン

Microsoft Windows 7 Professional

使用周辺機器

(事前準備)デジタルカメラ,スキャナー

2.活用事例及び展開

①ねらい
 身の回りの人,もの,こととの関わりから自分自身を見つめ直し,発想,構想した自分のイメージを表現したり,主題を感じ取ったりする。

②『みる美術』利用の意図
 自分のイメージを自画像に表現するには,ただ自分自身の姿を描くだけでなく,顔や体の向き,ポーズ,色彩,線の表情,陰影のつけ方など,さまざまな造形的な要素を組み合わせる必要がある。また,自分自身の姿だけでなく,背景や余白の色みやそこに描くモチーフも大きく影響する。そこで,『みる美術』の作品登録機能,比較機能,拡大機能を活用し,作品から得られるイメージの違いや変化,それらに影響を与えている造形的な要素について意見交換を行い,作品画像の比較から表現活動に必要となる造形的な要素を確認するとともに,構想の視点をもたせることができるようにした。具体的には,『みる美術』収録作品画像,教師が準備して『みる美術』に取り込んだ作品画像を提示した。また,色彩やポーズ,背景を加工した作品画像を用いて比較の対象とし,色彩やポーズ,背景によるイメージの違いに生徒が注目できるようにした。

③評価について
[意]
鑑賞作品から得られるイメージやそれを生み出す造形的な要素に関心を持ち,自分を表す活動へのイメージを思い描いている。<活動の様子,スケッチブック>

[発]スケッチやスクラップなどを通して,表現活動に必要な情報を収集し,発想を膨らませながら活動に取り組み,さらに必要な情報を収集している。<スケッチブック,作品>

[技]活動を通して得た情報を多面的・多角的に捉え,主題を明確にしたり,表現意図を明確にして構想を練り直したりし,造形的な要素とそれらが持つ特徴や感情を生かしてイメージを表現している。<活動の様子,スケッチブック,作品>

[鑑]造形的な要素を手掛がりに作品の主題や作者が表したいイメージを捉えて,よさや美しさ,面白さを味わっている。<活動の様子,スケッチブック,作品>

④指導計画

学習活動の流れ

指導上の留意点,評価方法

※各時間の始めに,鏡を見て自分の顔をスケッチし,スケッチブックに描きためる。

○各時間の開始5分間にスケッチする活動を位置付ける。

1

○参考作品を鑑賞し,作者が表したかった自分自身のイメージがどのようなものであったか,話し合う。
○主題について考えていくことを知る。

○『みる美術』を使用してさまざまな自画像作品を提示し,以下の内容について感想を交流させる。
・作品の主題 ・作者のイメージ
・作者の表現意図 など
○自画像が描かれるに至った経緯や自画像を描く価値について考えさせ,主題設定につなげる。
<活動の様子,スケッチブックへの記述>

私らしい「○○な私」を見つける

4

○気に入った写真や雑誌の切り抜きなどをスクラップし,自分のイメージを言葉やスケッチに表す。
○自分の形を紙に写し取り,その中に自分が好きなものや関心があるもの,将来の夢などを(できるだけたくさん)書き込む。

○切り抜いた型を壁面に貼り出して,感想を交換する。
○箱の中に,自分を取り巻く世界を構成してボックスアートに表す。
○ボックスアートを鑑賞し,気付いたことを話し合う。

○イメージを膨らませる表現活動と,相互に鑑賞する活動を繰り返し設定する。
○活動を通して得られたイメージをイメージマップやスケッチでスケッチブックに記録させる。
○相互鑑賞の際,スケッチブックにまとめる際には,「どこ(何)が」「どのように」を明確にさせる。
<活動の様子,スケッチブックへの記述,作品>

1

○作品やスケッチ,制作の記録から主題「○○な私」を設定し,スケッチブックに自画像の構想をスケッチやメモで表す。
○表現方法や仕上がりのイメージなどについて,更に構想を練る。

○作品のイメージと造形的な要素の関連について注目させるために,「みる美術」で作品を提示し,比較しながら制作の視点を整理する。
○視点を基に,複数のスケッチをするよう指示し,その中からイメージに近いものを選んで構想を練らせるようにする。
<活動の様子,スケッチブックへの記述>

4

○各自の構想に沿って,自画像を制作する。
○展示した作品(型,ボックスアート,自画像)を鑑賞し,感想を話し合う。
○活動を振り返り,スケッチブックに制作のまとめを記述する。

○個々に応じて,材料の特性を生かした制作方法などを紹介するとともに,造形的な要素やその特徴を視点として助言をする。
○相互に鑑賞する活動を位置付ける。
※制作のまとめには,以下の内容をまとめさせる。
・どのようにして「○○な私」を表現したか
・自画像制作を通じて考えたことは何か
<活動の様子,スケッチブックへの記述,作品>

3.本時の展開(6時間目)

①目 標
[発]
活動を通して得た情報を多面的・多角的に捉え,主題を明確にしたり,表現意図を明確にして造形的な要素を視点に構想を練り直したりしている。<活動の様子,スケッチブック>

②『みる美術』を活用した授業の展開

主な学習活動・内容

教師の指導(○)・評価(※)


○これまでの活動を振り返りながら,自画像を制作するために必要なことについて考える。

○これまでの活動を振り返らせた後,自画像の構想を膨らませるための視点を確認する。
○『みる美術』で参考作品を示し,構図や色などによるイメージの違いについて考えさせる。

・顔の表情 ・ポーズ ・背景 ・色
・構図 など

※作品から得られるイメージの違いや変化,それらに影響を与えている造形的な要素を捉えている。


○「○○な私」という主題に設定し,表したいイメージをスケッチに表す。
○自分が表現したい主題とそのイメージをグループの仲間に紹介し,仲間からの意見を得る。
○仲間からの意見を参考にして,スケッチを見直し,更に構想を膨らませる。

○表情やポーズだけでは表しきれないイメージは,背景にコラージュなどの技法を用いて表現してもよいことを紹介し,その構想をスケッチにメモなどで書き加えさせる。
○表したい感じを伝え合う意見交換の場を設定する。その際,以下の視点を示し,スケッチに見られることを根拠として意見を述べさせる。

【紹介する人】
・主題「○○な私」とそのイメージ
【意見を言う人】
・主題がよく表れている部分…強調する
・主題の表現に不要な部分…省略,単純化する
・主題からイメージする色,形,質感など

※活動を通して得た情報を多面的・多角的に捉え,主題を明確にしている。



○表現方法や仕上がりのイメージなど,スケッチブックに構想をまとめる。
○スケッチブックに活動の振返りを記入する。

※表現意図を明確にして造形的な要素を視点に構想を練り直している。

③指導のポイント
<視点の確認><具体的なイメージの喚起>


 自画像の制作に先立ち,これまでの活動を振り返り,制作のポイントについて話し合う時間を設けた。生徒は,これまでのスケッチから,目や口の形,陰影のつけ方,コントラストによって受ける印象が変化することを感じており,自画像制作のポイントに挙げた。これらの視点について,具体的なイメージを喚起し,表現意図を明確にすることができるよう,『みる美術』の比較機能を用いて,造形的な要素が与えるイメージの違いや変化について考えさせた。比較には,シーレの「黒の壺のある自画像」と,これを教師が加工した画像を用いた。提示した画像は,原画よりも黄みを強くしたもの,背景をなくしたもの,作品中の手をなくしてポーズを変えたものなどである。作品を見比べる中で,生徒は,造形的な要素が与える影響について理解を深め,制作のポイントを整理した。

④感想等

 『みる美術』を活用したことにより,作品を構成する造形的な要素についての理解が深まった。生徒は,色や形などの造形的な要素を共通の言語として互いの作品について感想を交流していった。また,他者の意見を参考に,表現対象としての自分自身を捉え直したり,主題や表現意図を明確にしたりしながら活動に取り組んでいった。ブックマーク機能を用いて提示したい画像を登録しておけること,自作の画像などを追加登録して使用できること,多数の作品を次々と提示したり,並べて提示したりできることは,題材全体を通して,さまざまな場面で活用することができた。しかし,造形的な要素について意識が強まりすぎたために,作品の一部分に注目してしまい,全体のイメージを捉えたり,新たな発想に結びつけたりすることができずにいる生徒も少なからず見られた。造形的な要素とそれらが持つ特徴や感情についての理解は,表現の活動,鑑賞の活動どちらにも欠かせないものであるが,それらだけでは説明しきれないよさや美しさ,面白さも美術の魅力である。今後の実践においては美術の醍醐味を味わいながら,その核心に迫るような手立てを工夫するとともに,よりダイナミックな表現活動を展開できるように改善を図る。

チョコレートドーナツ

(c)2012 FAMLEEFILM, LLC

 心震える。差別され、偏見の目で見られる弱者たちの哀しみか、想いを寄せ合う同士が共に暮らせない無念さか。それでも人と人とが寄り添おうとする。男と女の愛ではない。さまざまな愛の形のひとつである。映画「チョコレートドーナツ」(ビターズ・エンド)を見て、震えが止まらない。

(c)2012 FAMLEEFILM, LLC

 14歳のダウン症の少年がいる。愛し合う男性二人がいる。三人がいっしょに生活しようとする。アメリカの社会、法制度は、それを許さない。今なお、ゲイには差別、偏見がある。まして、映画の舞台となる1979年頃のアメリカでは、なおのこと。最近の映画「私はロランス」は、女性になりたいと願い女装するロランスと、ロランスの恋人の女性との切ないラブ・ストーリーだが、周囲のロランスに注がれる好奇の眼差しは偏見に満ちていた。本作でも、ホモ野郎だとか、オカマだと罵られるし、ダウン症に対する偏見も根強い頃の話である。1970年代にアメリカで実際にあった話が、映画の脚本の基になっている。

(c)2012 FAMLEEFILM, LLC

 女装してクラブで唄い、ベッド・ミドラーに憧れ、歌手になる夢を抱くルディ(アラン・カミング)。唄うルディを見つめているのは、ゲイを隠している弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)。二人はすぐに仲良くなり、それぞれの過去や夢を話し合う。
 ルディの住むアパートの隣に、薬物中毒の母親(ジェイミー・アン・オールマン)と、ダウン症の息子マルコ(アイザック・レイヴァ)が住んでいる。母親はマルコを残して男友達と出かけてしまう。心優しいルディは、マルコの面倒をみるようになる。
 母親が逮捕され、マルコは施設に収容される。ルディとポールは、夜中、施設を抜け出したマルコを発見する。二人は服役中の母親の了承を取り付け、審理の席では従兄弟と偽り、マルコを引き取ることになる。
 マルコはアシュリーの人形と、チョコレートドーナツ、ハッピーエンドのお話が好きで、ディスコ・ダンスが得意だ。三人の楽しい食事、マルコにお話を聞かせるルディ。マルコは学校にも通い、幸せな日々が続く。1年ほど経ったある日、ポールの上司のホームパーティがきっかけでポールとルディの関係が公になる。従兄弟と偽った審理の席での証言が原因で、マルコは再び施設に入れられてしまう。
 ルディはポールに言う。「今こそ、法で世界を変えるチャンスだ」と。そして、マルコを呼び戻すべく裁判に持ち込む。ゲイであることが決定的に不利となり、二人の願いは却下されてしまう。さらに二人はベテランの黒人弁護士とともに控訴するのだが。
 ラスト近く、ルディがボブ・ディランの名曲「I Shall Be Released」を唄うシーンがある。「…私の光がやってくるのが見える 西から東に輝きながら もうすぐ今日にでも 私は解き放たれる…」。さらに、震える。たとえ血がつながっていなくても、人を想う心は誰にも止めることはできない。
 世界には、人間には、さまざまな愛の形がある。特殊な愛の形への偏見、差別が、次第になくなってはいるとは思うけれど。映画はつまらない大人の偏見や常識にとらわれず、人を想い、柔軟な優しい心を持つことの意味を静かに問いかけてくる。
 マルコがチョコレートドーナツを食べて「おいしい」と、すてきな笑顔を見せる。三人で過ごした幸せな日々のホームビデオが挿入される。どちらもドラマ展開に重要なシーンで、優れた構成、演出と思う。監督はトラヴィス・ファイン。俳優もこなし、本作が監督作としては初の日本公開となる。

2014年4月19日(土)、シネスイッチ銀座ico_linkほか全国順次ロードショー!

『チョコレートドーナツ』公式Webサイトico_link

監督:トラヴィス・ファイン
出演:アラン・カミング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイヴァ、フランシス・フィッシャー
原題:Any Day Now
アメリカ/2012年/97分/カラー
日本語字幕:大西公子
配給:ビターズ・エンド

「がっこう だいすき!」スタートカリキュラム(第1学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名/実施時期

「がっこうだいすき ともだちだいすき」/4月入学時~5月第1週(GWまで)

2.学校を取り巻く環境

 わたしたちの学校がある横須賀市は,軍港の町として広く知られている。二方が東京湾・相模湾に面していて,市の内陸には決して高くはないが,小さい山がたくさんあり谷戸が多くある地域である。それ故,漁港もいくつもあり,農業も盛んである。本校は,そんな横須賀市の東(東京湾に面している)の小高い丘に建っている。近くには大塚台古墳跡地や吉井貝塚が残されている。歴史のある土地だが,学校自体は新興住宅地内に建てられた新しい学校である。丘の上には住宅が建ち並んでいる。しかし,丘を下ると,京浜急行の車両を造っている工場があったり,運送会社が3社立ち並んでいたりと丘の上とは景色がだいぶ異なる。とにかく,学区が広い。1年生が探検する公園も全部で12か所ある。児童数も市内では多いほうで,20以上の保育所・幼稚園から入学してくる。クラスで同じ園からの入学が自分一人ということもしばしばである。

3.入学時の課題

 幼稚園・保育所など幼児教育では,遊びを通してさまざまなことを学んでいる。しかし,小学校教育では,机上の学習が増え,体験することを大切にしつつも,座って学習することが多くなり,学び方が大きく変わる。そして,児童の中には学習の仕方になかなかなじめずに,教室を飛び出したり,45分間の中で一つの学習に集中できなかったり,自分のやりたいことを優先してしまい集団で学習できなかったりすることが起こってきたと言われている。それを小1プロブレムと呼んでいる。
 まとめると,小学校低学年では,幼児教育の成果を踏まえ,体験を重視しつつ,
 ①小学校生活に適応すること
 ②基本的な生活習慣等を育成すること
 ③教科等の学習活動に円滑な接続を図ること
等が課題としてあげられている。

4.入学時期の課題と生活科との関連

 小1プロブレムなどの問題が生じる中,小学校低学年では,幼児教育の成果を踏まえ,体験を重視しつつ,小学校生活に適応すること,基本的な生活習慣等を育成すること,教科等の学習活動に円滑な接続を図ること,などが課題として指摘されている。そもそも生活科新設の趣旨の中には,幼児教育との連携が重要な要素として位置付けられており,その意味からも,小1プロブレムなどの問題を解決するために,生活科が果たすべき役割には大きな意味がある。

5.単元の流れ

※画像をクリックするとPDFが開きます。

第1週目

第1週目

第2週目

第2週目

第3週目

第3週目

第4週目

第4週目

第5週目

第5週目

6.それぞれの課題(前述)を解決するための手立て

(1)小学校生活に適応するための手立て

①「わかりやすい指示」
●視覚的にわかるようにする。(児童が一人で動けるようにする。)

  • トイレの使い方をプロジェクターで具体的に絵を使って説明する。
  • 机の中やロッカーの整理の仕方を絵で表示する。
  • 時計の針の位置で行動を指示する。
  • 登下校のグループを色で表示し,帽子に色を貼り付ける。
  • 基本生活に必要になるグループを年間を通じて活用する。(こちらも分かりやすいもので表示する。例えば「りんご…(赤)」,「ぶどう…(紫)」,「バナナ…(黄)」,「みかん…(橙)」等。)

●事前に説明する。(「大切な話をするよ。」と言ってしっかり聞かせる。)

  • 掃除の仕方・給食当番の仕事等,一度は全体で指導する。(給食当番の仕事は学校栄養職員にしてもらうと効果的である。その後は,初めてのときに具体的に手取り足取り教える。)

●授業規律と開始・おわりのあいさつの仕方を教える。

  • 勝手に教室を出て行ったりおしゃべりしたりしてはいけない。
  • 誰かが話しているときは,その人を見てしっかり話を聞く。
  • 話したいときは,「はい。」と言ってから話すようにする。

●整列の仕方を教える。(しばらくは,座っている座席順とする。)

●給食当番の仕事を教える。

  • 学校栄養職員に白衣を着る意味,手の洗い方等の大切さを伝えてもらう。最初の給食当番のとき(グループが変わる毎に)に,白衣の着方・立ったままのたたみ方・仕事の表の見方・仕事の内容について教える。

②「幼児教育の生活の仕方を取り入れた手立て」
●幼稚園・保育所では,自分のやりたい遊びを選ぶことができたり,今の遊びをやめて違う遊びに変えたりと,児童の思いで動きを取り入れることができる。しかし,小学校の授業の中では,自由に動き回ることはできない。机上で学習することが多い。けれども,入学当初の児童はおよそ45分間の一授業時間を集中して取り組むことが難しい。動きのある活動を少し盛り込むだけで,児童の集中力は持続する。
例えば,座る場所を変えるだけでもよい。

[国語の授業]で,
①読み聞かせをする。
 教科書で紹介されている絵本を読んだり,教科書を範読したりなど。本を読みたい場所に集める。
②通常の授業を行う。
 自分の席に座り,書いたり読んだりする活動をする。

(2)基本的な生活習慣等を育成する指導

①「丁寧な指導」
●ニコニコタイム

 学校生活を楽しく過ごすには,集団としてのマナーを身に付けることが大切である。また,日々の生活を充実させるために,基本的な生活習慣は不可欠となる。
 そこで,本校では「ニコニコタイム」というものを実践している。「ニコニコタイム」は,健康教育の一環として全校をあげて取り組んでいる。養護教諭が中心となり,一か月に一度テーマを決め,一週間健康的な生活習慣を身に付けるために取り組んでいる。そして,児童が取り組んだ実践に対し,家庭から励ましやアドバイスなどの言葉を書いてもらい,児童・保護者がともに意識化できるように活動している。
 取り組んだ実践のワークシートについては,6年間ずっとファイルに綴じてとっておく。いつでも振り返ることができる。

ニコニコタイム

4月

・早起きをしよう

10月

・背中を伸ばそう

5月

・朝ご飯を食べよう

11月

・好き嫌いなく食べよう

6月

・歯みがきをしよう

12月

・手を洗おう

7月

・バナナうんちをしよう

1月

・うがいをしよう

8月

・体を清潔にしよう

2月

・外で遊ぼう

9月

・早く寝よう

3月

・1年間の生活を振り返ろう

(3)教科等の学習活動に円滑な接続を図るための「スタートカリキュラム」

①「幼児教育を意識した授業の組み立て」
●なかよしタイム(学級で朝の会をやり,その後1時間目の後半2/3 30分間)

 保育所・幼稚園では,遊びを通して体を動かし,体験を通して学んできた。その学びの形態から,一人ひとりにあてがわれた個人の机に座り,45分という小刻みの間隔で,意識しない限りあまりつながりのない教科学習の学びの形態へと変わる。それに不安を抱えずに移行していくには,小学校側としてどう工夫すればいいのかということである。
 そこで,わたしは次のように手立てを考えた。
 一日の始まりの時間を,保育所・幼稚園のようにゆったりと過ごすことで,今日一日の見通しをもって,意欲的に過ごすことができるのではないかと考えた。そうすることで,児童が必要以上に不安感を抱くことなく,小学校というところを受け入れられるのではないか,安心して意欲的に学校生活を送れるのではないかと考えた。

「なかよしタイム」として
 毎日,学級の朝の会終了後に学年でフロアに集合し,一緒に歌を歌ったり(音楽),踊ったり(体育),群読したり,名刺交換したり(国語),数のゲームをしたり(算数)して,学年の児童どうしの親睦を深め,知り合いを多くつくり,学年の教師と触れ合うことで,小学校は安心なところだと思ってもらえるようにした。そして,2時間目にスムーズにつながるようにと考えた。
 例,「なかよしタイム」で数のゲームをした後に,2時間目に算数を学習する等など工夫している。

例えば,
例1「もうじゅうがりへいこうよゲーム」

児童の活動

留意点

1.学年の歌を歌う。(始まりの歌)

・振りを付けて,歌って踊る。

2.歌「もうじゅうがりへいこうよ」を歌う。

・新しく歌を教える。

3.ゲームのルールを理解する。

・笛の数の人数でグループをつくることを伝える。

4.ゲーム「もうじゅうがりへいこうよ」をする。

・元気よく動き回ってよいことを伝える。他クラスの児童とも仲 よく遊ぶよう伝える。

5.2時間目,算数の授業へ

例2「歌をうたおう」

児童の活動

留意点

1.学年の歌を歌う。(始まりの歌)

・振りを付けて,歌って踊る。

2.教科書に載っている歌を当てながら,楽しく振りを付けてメドレーで歌う。

・楽しく歌う。

3.校歌を歌う。

・校歌を教える。

4.2時間目,音楽の授業へ

例3「名刺交換」

児童の活動

留意点

1.学年の歌を歌う。(始まりの歌)

・振りを付けて,歌って踊る。

2.ゲーム「かもつれっしゃ」で遊ぶ。

・歌は何でもよい。

3.ゲーム「かもつれっしゃ」をアレンジして,じゃんけんの後,事前に準備しておいた名刺を交換する。

・あいさつしながら交換する。

4.2時間目,国語の授業へ

例4「群読をしよう」

児童の活動

留意点

1.学年の歌を歌う。(始まりの歌)

・振りを付けて,歌って踊る。

2.教科書「あかいとり ことり」を音読する。

・大きな声で読ませる。

3.音読と群読の違いを教わる。

・1年生にわかるように教える。

4.「あるけ あるけ」を群読する。

・リズムにのって読めるように指導する。

5.2時間目,国語の授業へ

例5「広場を大きなキャンバスにして」

児童の活動

留意点

1.学年の歌を歌う。(始まりの歌)

・振りを付けて,歌って踊る。

2.描いてよい場所を知る。簡単なルールを知る。

・大体の範囲を伝える。

3.コンクリートにチョークで絵を描く。

・仲よくチョークを使う。

4.みんなで絵を見合う。

5.2時間目,図工の授業へ

②大単元構想
 幼児教育においては,学習が分化されてなく,総合的に学んできている。「○○をしてあそぼう」という目標が決まったら,その目標に一人で準備したり,グループで話し合って準備したりする。そこには,小学校でいういわゆる「教科」が散りばめられている。数を数えたり,自分の思いを相手に伝えたり,思いを絵で表現したり,ときには歌を歌ったり体を使って踊ったりしながら・・・。しかし,小学校は「これから,国語のお勉強をします。」や「これから,算数のお勉強をします。」と,わけられてしまう。慣れない入学当時の児童にとっては,とてもわかりにくい慣れていない学び方なのである。
 そこで,入学当初の間,総合的に学ぶカリキュラムをつくっていろいろな教科を盛り込み,自然な形で分割されている教科を学ぼうとするのがスタートカリキュラムの考えだ。
 各教科が分割し,専門的にわかれている学び方に,慣れているわたしたち大人からすると,逆に理解しにくいことだが,入学当初の児童にとっては総合的に学ぶほうが自然の学び方になる。そして,少しずつ小学校の各教科のカリキュラムに移行していければ一番よいと考える。さらに,その大単元にあるのが,低学年の児童の特性を生かした教科,すなわち生活科という捉えが自然だ。
 多くの小学校では,入学してしばらくの間,生活科で学校探検の単元を行うだろう。その際,生活科を中核に置きながら,国語科・算数科・音楽科・図画工作科・体育科などの内容を,合科的に扱い,大きい単元を構成することが望ましい。そして,これらの考えから,第1学年入学当初のカリキュラムを『スタートカリキュラム』として,別格に捉え編成することが必要とされている。
 このように,スタートカリキュラムを編成し,総合的に学ぶ幼児教育の成果を徐々に小学校教育に生かすことが,小1プロブレムなどの問題を解決し,学校生活への適応を進めることになるものと期待されている。

大単元構想(合科的な指導)の例
・生活科「がっこう たんけん」を活動に他教科を取り入れる大単元構想

(4)考察
 今年度手探りで「スタートカリキュラム」に取り組んでみて,成果できること,反省すべきことなどがいくつか出てきた。

成果できる点
①学年で取り組んだことで,学年の教師が他のクラスの児童もわかり,見取ることができたことだ。学年会等で一人の子に対して,理解を深めることができた。児童から見ても知っている先生が増えるのだから安心がもてるのではないかと実感する。

②学年便り等で,学校生活上において必要なことを共通確認してきたことで,保護者がクラス間の差を気にする様子もなく,安心してもらっているように感じる。家庭学習プリントも学年共通で毎日出しているのも功を奏していると思われる。

反省すべき点
 認識が甘く,不勉強だったり,日々の忙しさに追われてしまったりして,「スタートカリキュラム」を大単元構想のもとで,計画的に取り組むところまで行かなかった。児童の思考を考えたら,毎時間ごとに分類される学習よりも,幼児教育で経験してきたつながりのある学習の仕方で,1か月間の学習を合科で捉えて取り組めたらよかったと反省している。そうすれば,児童の思考はさらにスムーズに学べただろう。

(5)今後の課題
①誰が受けもっても,スタートカリキュラムが職員間で当たり前のごとく実践できるように受け継いでいくための整理をしたい。

②「スタートカリキュラム」を,大単元構想でカリキュラム化して残していきたい。

③少しずつ始まったのだが,近隣の幼稚園・保育所の先生たちとも情報交換をして,連携をとっていきたい。そうすることにより,幼児教育と小学校教育双方の理解が深まり,お互いの教育の仕方がわかれば,より滑らかに移行できるようになるからだ。全ては子どものために,一人でも不登校児を出さず,小学校生活を楽しめるようにしていきたい。

「がっこうだいすき ともだちだいすき」(第1学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名/時数・実施時期

「がっこうだいすき ともだちだいすき」/全18時間 4月~6月

2.学校を取り巻く環境

 本校は,40年ほど前に山の一部を開発してできた住宅地である。開校当時は,1000人ほどの児童がいたが,現在では,350人ほどとなっている。学校は,山の頂上近くにあり自然に恵まれ,天気のよい日には,校舎の4階から遠く横浜ベイブリッジや東京スカイツリーを見ることができる。校区には,幼稚園1園,小学校1校,中学校1校がある。住宅地の中の一角には商店が少しあり,自然を生かした公園が多く,四季の変化を感じることができる。地域では,見守り隊の方が多くいて,登校時や下校時となると横断歩道などに立って子どもたちの安全を配慮してくれている。
 校庭が広く,校舎は,渡り廊下でつながっている。そして,廊下がとても長い。また新々校舎の1階には,デイサービスの施設が入っている。
 入学当初は,級外の先生方や介助員さんのお手伝いが大いに助かった。そのため,子どもたちにとっては,多くの先生方と接していたことになる。また,入学式では,6年生が名札を付け会場の席まで案内してくれ,入学式の翌日からは,クラスに来て朝の準備のお手伝いや紙芝居を読んでくれたり,ゲームを教えてくれたりしていた。1年生にとってたくさんの人とかかわることができたため,すぐになじむことができたように思える。子どもたちは,とても元気がよく,休み時間ともなると外のアスレチックで遊ぶことが多い。廊下は,静かに歩くように始めに話をしたが,トイレ水飲み休憩となると廊下を走り出す子が多かった。一週間もしないうちに階段を駆け下り,角のところでけがをした子が出た。それからは,お互いに声をかけながら歩くようになった。しかし,日が経つにつれ,忘れかけているように感じた。そのため,たびたびこちらから声をかけた。だんだんと学校に慣れ,いつのまにか校舎の中を探検し始め,「がいこつをみた。」「どこにあるの?」「あとで行ってみよう。」と言う児童の言葉から,学校探検が始まった。

○単元について
 「がっこうだいすき ともだちだいすき」の単元は,入学当初のスタートカリキュラムが含まれる。ここでは,児童が学校の施設を利用したり,先生や友だち,学校生活を支えている人々とのかかわりを深めたりしながら,学校生活を豊かに広げ,楽しく安心して遊びや生活ができるようにすることをめざしている。
 学校生活では,学校の施設の様子や人々のことがわかるだけではなく,楽しく安心して安全に遊びや生活ができるようにすることが大切である。なお,学校の施設や人々とかかわる活動を行う際,学校の公共性に目を向けるよう配慮する必要がある。学校の施設は,みんなのものであること,学校にはみんなで気持ちよく生活するためのきまりやマナーがあることなどに気付いたり,学校生活のリズムを身に付けたりすることなどが大切である。
 安全については,自然災害,交通災害,人的災害の三つの災害に対する安全確保に配慮することが大切である。これを踏まえ,以下についての安全が考えられる。

 *交通安全・・・歩行,自転車での通行などで,交通ルールを守って事故にあわないようにする。
 *災害安全・・・火災,地震,風・水害などから身を守るようにする。
 *生活安全・・・日常生活で,転倒,衝突,落下など,けがをしないような行動をする。
 *防犯安全・・・誘拐,痴漢,盗撮などの犯罪から身を守るようにする。

 今回は,この中のうちの学校探検のまとめの1つとして,「生活安全」に着目した。「楽しく安心して遊びや生活ができるようにする」の中の「安心」には,「安全」という意味も含まれると考えた。学校の中で出会った人々の中で,用務員さんから,児童へのメッセージをいただくことにした。用務員さんの仕事の中で防護柵の修繕やアスレチック・校舎内での木のささくれなどによる事故やけがの予防について話してもらった。学校の中にはみんなの安全について見守ってくれる人がいることや安全に関するものが学校の中にはたくさんあることに気付くとともに,自分たちも学校の中での安全について考え,自分でできることをしていこうとする態度が身に付くようにしたい。

 学校探検を行ったときには,「みつけカード」を書くようにし,その「みつけカード」をもとに友だちと交流した。1年生のこの時期,一人ひとり全員の前で話をしていくと,全員の話を聞き終わる前に飽きてしまうということと,まだ全員の前で話をするのが苦手な児童もいるので,少ない人数での交流がよいと考える。そこで,二人組で話すこととした。何度か交流をしていくうちに,だんだんと慣れてくるように思う。
 学校探検を行っていくにつれ,初めは施設に目がいくが,何度か探検していくうちに人へと目がいく子が出てくる。施設だけでなく人との交流もしてほしいと思うので,人に目がいった児童をみんなに紹介すると,次の探検では人と交流する児童が増えていく。そこで,「みつけカード」のほかに,「さいんカード」も用意することでたくさんの人との交流ができると考える。

3.単元目標

○学校の探検や生活を通して,施設を利用できるようになったり,学校の人々とのかかわりを深めたりしながら,安心して安全に学校生活を送ることをできるようにする。
〈内容(1)〉

評価規準

生活への関心・意欲・態度

活動や体験についての
思考・表現

身近な環境や
自分についての気付き

ア.学校生活へ関心をもち,人やものとかかわろうとしている。

イ.学校のことを知り,安心して安全に学校生活を送ろうとしている。

ウ.自分の行ってみたいところややってみたいことを見つけている。

エ.探検活動や日常生活を通して,楽しいことや気付いたことなどを目的に応じて自分なりの方法で表現したり,伝えたりしている。

オ.施設の利用の仕方や友だちとのかかわり方,マナーについて考えている。

カ.施設の位置や特徴,役割,学校を支えている人々の存在や働きなどがわかっている。

キ.みんなで施設を利用する楽しさやよさに気付いている。

ク.学校にある施設はみんなで気持ちよく生活するためのきまりやマナーがあることに気付いている。

4.事前準備

●職員間の意思の疎通
 本単元は,小学校生活のスタートの大事な時期に行うため,学校全体で児童を見ていくという観点から,全ての職員に学校探検をする際大切なことを伝えておく。

○学校探検について
・探検をする際の約束を児童と一緒に決める。
(廊下は静かに歩く・大きな声を出さない・部屋に入るときは,挨拶をする・置いてあるものには触らない など)
・前もって,学校探検をやる日を職員に伝えておく。
・授業中探検を行うため他のクラスの授業の妨げにならないよう,児童には静かに行動することを話し,職員には気になるときは,その場で注意をしてもらうよう伝える。
・部屋に入る際は,あいさつをするよう児童に指導し,職員には児童ができていない場合はその場でやり直すよう声をかけてもらう。
・給食室を見せてもらうときの注意を,あらかじめ給食調理員や学校栄養職員に聞いておく。

○ゲストティーチャー
・事務の先生や用務員さんなどに仕事の話をしてもらうよう伝えておく。

●学習環境の設定
・どの教室や部屋へも行けるようにする。鍵がかかっている場合はそのままにしておく。後で,疑問をもったときに一緒に行くようにする。

5-1.単元の流れ

◇がっこうだいすき ともだちだいすき【18h】

1.がっこうは たのしいよ(1h)
○幼稚園や保育所と異なるところを見つける。

2.なかよく なろうね(3h)
○あいさつをしたり,自己紹介をしたり名刺交換などをする。
○2組の児童とも名刺交換を行う。

3.みんなで あそぼう(1h)
○校庭の遊具の使い方やルールについて学習し,みんなと遊具で遊ぶ。鬼遊びやドンジャンケンを行う。

4.どこへ いこうかな だれに あえるかな(2h)
○校舎の中を探検し,どんな部屋があるか見たり,先生や主事などの学校で働く人と話したりする。

5.みつけたよ きいたよ1(7h)
○グループで校舎の中を探検し,どんな部屋があるか見たり,先生や主事などの学校で働く人と話したりする。
○2~4人のグループで探検する。
○探検から帰ってきたら,3~4人に発表をしてもらう。
○ペアで2~3分間で見つけたことを話したり,聞いたりして「おはなしこうかん」(情報交換)をする。
○探検と情報交換を何度か繰り返す。
○多くの子が出会った人に教室に来てもらい,仕事の内容などを聞く。
○学校の中にある安全に関係しているものを見つける。
○安全に学校生活を送ることができるようにするためには,どうしたらよいか考える。
○学校のきまりやマナーを聞く。

6.みつけたよ きいたよ2(2h)
○校舎の外を探検する。

7.みてきたことを つたえよう(2h)
○学校たんけんで体験したことや発見したことを伝え合う。

5-2.単元での主な学習活動

小単元の目標

○主な学習活動・□子どもの反応・
*留意点

主な評価規準

◇がっこうだいすき ともだちだいすき【18h】

○がっこうは たのしいよ(1h)
幼稚園や保育所と異なるところに気付き,学校生活の楽しいところ見つけをして,みんなでもっと楽しくしていこうとする意欲をもつことができるようにする。

○幼稚園や保育所と異なるところを見つける。

□学校は大きい。
□校庭が広い。
□遊具で遊んでみたい。
□学校は楽しそう。
□お部屋がたくさんある。

*自由に発言させるようにする。

ア.学校生活へ関心をもち,人やものとかかわろうとしている。
【関・意・態】

○なかよく なろうね(3h)
自分のことを紹介し合ったり話したりすることで,友だちのことを知り,みんなと仲よく交流することができるようにする。

○あいさつをしたり,自己紹介をしたり名刺交換などをする。
○初めは,自分のクラスで名刺交換を行う。
○子どもが,2組とも名刺交換をしたいと言う言葉で,2組の児童とも名刺交換を行う。

□お友だちを増やしたい。
□もっと名刺を書きたい。
□2組の子とも,名刺交換したい。

*自己紹介がなかなか言えない子には,教師がそばで一緒に言葉を添える。
*名刺は,初めは6枚程度にする。

ア.学校生活へ関心をもち,人やものとかかわろうとしている。
【関・意・態】

エ.日常生活を通して,楽しいことや気付いたことなどを目的に応じて自分なりの方法で表現したり,伝えたりしている。
【思・表】

○みんなで あそぼう(1h)
今までにしたことのある遊びを紹介し合って仲よく遊び,交流することができるようにする。

○校庭の遊具の使い方やルールについて学習し,みんなで遊具で遊ぶ。鬼遊びやドンジャンケンを行う。

□これ,おもしろい。
□この鬼ごっこ知ってる。
□あつ,ドンジャンケンだ。
□ブランコは,順番だよ。

*学校生活の滑らかな適応を図るため,幼稚園や保育所で経験したことのある活動をする。

キ.みんなで施設を利用する楽しさやよさに気付いている。
【気】

○どこへ いこうかな だれに あえるかな(2h)
校舎の中を探検するときに出会う人に気持ちのよいあいさつをしようとするなどして,いろいろな人に進んでかかわろうとする。
校舎を探検する中で,様々なものや場所に進んでかかわろうとする。

○校舎の中を探検し,どんな部屋があるか見たり,先生や主事などの学校で働く人と話したりする。

□この廊下の先は何だろう。
□学校探検したい。
□がいこつ見たい。
□音楽室に行ってみたい。

*学校探検の1回目は,クラス全員で1時間を使い,校舎全部を回った。
*もう一度行きたいという気持ちを高めるため,一回目の探検は,1時間という短い時間にした。

□もう終わり?
□もっと行きたい。
□自分たちで行きたい。

*児童の,「もう,おわり?」「もっと見たい」という気持ちから,また学校探検をすることにした。

○探検の約束やグループを決める。

*2回目からは,自分で行きたいところに行きたいというので,『約束』をみんなで決め,それから探検に行くことにした。
*3~4人のグループをつくる。

ア.学校生活へ関心をもち,人やものとかかわろうとしている。【関・意・態】

○みつけたよ きいたよ1(7h)
校舎探検をし,学校にはみんなで使うものがいろいろあることや,いろいろな人の支えによって学校生活ができているということに気付くことができるようにする。

学校探検に繰り返し行く中で,もっと行ってみたいところややってみたいことを見つけることができるようにする。

探検を通して見つけたことや気付いたことを表現することができるようにする。

○学校探検に行く前に,みんなで決めた約束の確認をいつも行う。
○グループで校舎の中を探検し,どんな部屋があるか見たり,先生や主事などの学校で働く人と話したりする。

*3~4人のグループで探検する。
*探検中,子どもたちの様子や発言をよく見たり聞いたりする。
*探検してきたら,「みつけカード」に記録をさせ,交流のときに役立てる。

○探検から帰ってきたら,3~4人に発表をしてもらう。
○ペアで2~3分間で見つけたことを話したり,聞いたりして情報交換をしてからまた次の探検へ出かける。

*探検と情報交換を何度か繰り返す。

□調理員さんとお話したよ。
□図書室へ行ったよ。
□やまびこのお部屋にトランポリンがあった。
□文房具のいっぱいある部屋に行って,見せてもらった。
□何ていう名前の先生かわからなくなった。
□お名前を書いてもらえばいいんじゃない?
□廊下の真ん中に点線がある。

*何度か交流をしていくうちに,初めは施設だけに目がいっていた児童も人へと目を向けるようになり,「さいんカード」をもって行くようになった。

ウ.自分の行ってみたいところややってみたいことを見つけている。
【思・表】

エ.探検活動や日常生活を通して,楽しいことや気付いたことなどを目的に応じて自分なりの方法で表現したり,伝えたりしている。
【思・表】

カ.施設の位置や特徴,役割,学校を支えている人々の存在や働きなどがわかっている。
【気】

○学校探検で出会った人に教室に来てもらい,仕事の内容などを話してもらう。

□どんなお仕事をしているのですか。

*探検中の発言やみつけカードをもとに子どもたちから名前の出ている人に教室に来てもらい,話をしてもらう。
*1回目は,事務の先生に来ていただいた。

ア.学校生活へ関心をもち,人やものとかかわろうとしている。
【関・意・態】

○ゲストティーチャーの用務員の話から,安全について考える。

□窓の柵を直してくれたよ。
□釘が出てたところを直してくれた。
□避難訓練やったね。
□廊下は走ってはいけないんだよね。
□消火器があったよ。
□防災備蓄倉庫っていうお部屋があった。

*2回目は,用務員に来てもらった。
*学校には,みんなが安心して生活できるように,安全についても考えてくれている人がいることに気付くとともに,安全に過ごせるような決まりや工夫があることに気付くようにさせる。

○学校の中にある安全に関係しているものを見つける。

イ.学校のことを知り,安心して安全に学校生活を送ろうとしている。

○みつけたよ きいたよ2(2h)
学校を探検し,学校生活を支えている人々,動植物や施設などの様子に気付くことができるようにする。

○校舎の外を探検する。

□クリーム(鶏)ちゃんがいた。
□クリームちゃん,だっこしたよ。

*休み時間に鶏の世話をしている上級生に会い,鶏を触らせてもらう。

□草を刈っている人がいた。
□給食室に行きたい。

*探検してきたら,「みつけカード」に記録をさせ,情報交換のときに役立てる。
*情報交換や学校探検を何度か繰り返し行い,学校の様子がわかるようにする。

カ.施設の位置や特徴,役割,学校を支えている人々の存在やはたらきなどがわかっている。
【気】

○みてきたことを つたえよう(2h)
学校探検の様子を振り返り,楽しかったことや感じたことを自分なりの表現でまとめることができるようにする。

○学校探検で体験したことや発見したことを話し合う。

□図書室に本がたくさんあります。
□給食室の鍋は,大きいです。
□用務員さんが草をかっています。
□用務員さんが壊れたところを直してくれます。
□学校には,たくさん人がいます。
□クリームちゃんを上級生がお世話しています。
□理科室にがいこつがあります。
□職員室に悪い人が入ってこないように監視カメラがあります。

*学校探検で見つけたことや感じたことを友だちや家の人に話すために,カードなどを用意しておく。
 カードを家へ持ち帰り,家の人に探検して見つけたことを話す。

○学年で発表会を行う。

*隣のクラスと見てきたことを発表し合う。少人数(4人×2)の中で一人一つずつ時間内で繰り返し発表していく。時間になったら,グループを交代していく。

エ.探検活動や日常生活を通して,楽しいことや気付いたことなどを目的に応じて自分なりの方法で表現したり,伝えたりしている。
【思・表】

オ.施設の利用の仕方や友だちとのかかわり方,マナーについて考えている。
【思・表】

ク.学校にある施設はみんなで気持ちよく生活するためのきまりやマナーがあることに気付いている。
【気】

6.評価について

●探検カード
 探検に行ったときに児童がカードをかく。この時期はまだ字が書けない児童が多いので,絵からどこへ行ったか,何に関心をもったかを読み解く。

●職員からの情報
 探検をしたときの様子を職員から聞くことで,児童の様子がわかる。

●教師自身のカード
 児童名簿に,そのとき気付いたことをメモしておく(探検中・探検後)。
 児童の探検カードや児童の話から,探検した場所や関心をもったことやもの,人をメモしておく。

7.教師の手立て

●児童のつぶやきをひろう
 自分が思ったことを何でも話せる学級づくりが大切である。その中から,児童の「たんけんしてみたいな」「みてみたいな」「さわってみたいな」などのつぶやきから,できる範囲でやらせてあげることで次への意欲へとつながる。また,一緒に驚いてあげたり,喜んであげたりするなど共感することで児童は安心感をもつ。

●安全について
 学校探検のまとめの1つとして,「生活安全」に着目し,安全についての学習を1時間設ける。
 ○避難訓練
 ○ゲストティーチャー
 ○学校生活の振り返り
 ○安全に関するものの探検
 避難訓練を実施した後の学習だったため,自分たちの安全について考える際,避難訓練のことも出てきた。また,学校探検で見つけてきた中に廊下の真ん中にある点線については,右側通行できちんと歩くことを再度認識した。
 「楽しく安心して遊びや生活ができるようにする」の中の「安心」には,「安全」という意味も含まれると考え,ゲストティーチャーとして用務員に,窓の防護柵の修繕やアスレチック・校舎内での木のささくれなどによる事故やけがの予防について話してもらった。
 鍵のかかった部屋の一つに防災備蓄倉庫があり,中をみんなで探検し,校庭の探検では,防災倉庫も見ることができた。職員室で監視カメラを見つけた児童がいたので,みんなで確認し,学校の中には,非常口や消火器,防火シャッター,消火栓などがあることにも気付くことができた。

●探検カードの活用
 この時期,まだ字が書けない子も多いので,探検から帰ってきたときに,カードの端に「おんがくしつ」「ほけんしつ」「かていかしつ」など教師が書いてあげると,後でカードを読み解く手立てとなる。

●活動を繰り返す
 ○何度も探検に行く
 ○「おはなしこうかん」(情報交換)
 探検から帰ってきたとき,初めて行った場所や発見したこと・もの・人について2~3人に発表してもらい,新たに行ってみたい場所や見てみたいもの,会ってみたい人への関心を高める。
 探検へ行く前に3分ほど,隣の子と学校探検で見つけたことや出会った人などについて「おはなしこうかん」(情報交換)をすることで,次に行ってみたいところや会ってみたい人への関心を高める。

●鍵のかかった部屋
 始めから鍵を開けておかないことにより,なぜ鍵がかかっているのか,中はどのようになっているのかと考えるきっかけとなる(コンピューター室,防災備蓄倉庫など)。

●置いてある物に触らない
 理科室や家庭科室には,危険なものもあるため,グループで自由に探検をしていると目がいき届かないので,置いてあるものには触らないという約束を決めた。
 音楽室には,楽器がたくさんある。触ってみたいが触ってはいけないという約束から,「こんど,がっきをならしてみたいな」という言葉が出てくる。その言葉を拾い,みんなで音楽室へ行き,みんなで使うものだから大切に使うことを約束してから使うようにさせることで,楽器の使い方を学習することができる。