my実践事例:高等学校 美術/工芸 No.008 “未来を描くプログラム「EGAKU」(第1学年)”を追加しました。
月別アーカイブ: 2025年3月
未来を描くプログラム「EGAKU」(第1学年)
1.題材名
未来を描くプログラム「EGAKU」
2.学年
1学年
3.時間数
4時間
※1回4時間のプログラムを、異なるテーマで3回実施する。
4.領域・分野
A表現 (1)絵画・彫刻 ア(ア)(イ) イ(ア)(イ)
B鑑賞 ア(ア)
5.題材設定の理由
本題材は一般社団法人ELABの提供するプログラムである(*1)。自身の内面と向き合い個々の感じ方や考え方を活かしつつ、制作や鑑賞の活動を行い、自己認知や自己肯定へとつなげることを目的としている。また、互いの作品鑑賞を通し多様な価値観を知り、コミュニケーションの基盤となる他者理解を目指している。令和2年度から令和3年度にかけて部活動の生徒がプログラムに複数回参加し、その後の変化や成長の様子から、多くの生徒に体験してもらいたいと考え、令和4年度より授業に導入することとした。
6.準備(材料・用具)
7.目標
- テーマをもとに自己を見つめ、感じたことや考えたことを基に、形体や色彩、構成などについて考え、創造的な表現を行おうとしている。
- 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深めている。
- 自己の内面を探り、テーマから感じ取ったことや考えたことなどを基に表現の創造活動に主体的に取り組むことができる。
- 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組むことができる。
8.評価規準
プログラムの特性上、作品自体の評価は行わない。
発 テーマをもとに自己を見つめ、感じたことや考えたことを基に、形体や色彩、構成などについて考え、創造的な表現を行っている。
鑑 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深めている。
態表 自己の内面を探り、テーマから感じ取ったことや考えたことなどを基に表現の創造活動に主体的に取り組もうとしている。
態鑑 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組もうとしている。
10.題材の指導計画
1回4時間のプログラムで、テーマをもとにした「創作ワーク」で自己との対話、「鑑賞ワーク」で他者との対話を行い、「自己認知・自己肯定」「他者理解」「主体性」「創造的コミュニケーション力」を高める。本校では3回のプログラムと全体の振り返りの計14時間を実施している。
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時 |
主な学習活動 |
【評価の観点】 |
評価規準 |
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知・技 |
思 |
態 |
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1 |
1 前回の振り返り(25分) |
態鑑 |
態鑑 プログラム①の活動を振り返り、自身について気付いた事・感じた事、他者について気付いた事・感じた事、その気づきを今後どう活かすかについて考えた事を自分なりに言語化しようとする。(活動の様子、ワークシート記述) |
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2 制作ワーク(40分) |
発 |
態表 |
技 目的や意図に応じて画材の特性や効果を生かすとともに、表現方法を創意工夫し、主題を追求して創造的に表わしている。(活動の様子、ワークシート記述) |
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3 自分の作品の画像化(10分) 4 額装、自分の作品鑑賞(20分) |
態鑑 |
態鑑 主体的に作品を鑑賞して、造形要素の働きや全体のイメージ、作風などを理解している。作者の表現について考え、見方や感じ方を深める鑑賞の創造活動に取り組もうとしている。(活動の様子、ワークシート記述) |
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5 片づけ(5分) |
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3 |
6 鑑賞ワーク(10分) |
態鑑 |
態鑑 主体的に作品を鑑賞してテーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組もうとしている。(活動の様子、ワークシート記述) |
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7 グループ鑑賞(10分) |
態鑑 |
態鑑 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組もうとしている。(活動の様子、ふせん記述) |
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8 グループ対話鑑賞(35分) |
態鑑 |
態鑑 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組もうとしている。(発言) |
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9 全体での共有(10分) |
態鑑 |
態鑑 作者の意図や造形的なよさや美しさを感じ取り、テーマについて考え、見方や感じ方を深める鑑賞活動に主体的に取り組もうとしている。(発言) |
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10 振り返り(25分) |
態鑑 |
態鑑 プログラム②の活動を振り返り、自身について気付いた事・感じた事、他者について気付いた事・感じた事、その気づきを今後どう活かすかについて考えた事を自分なりに言語化しようとする。(活動の様子、ワークシート記述) |
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11 ワークシートの回収、片づけ(10分) |
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(授業外:題材の終了後) |
鑑 |
鑑 (ワークシート:再確認) |
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11.授業を終えて
生徒の振り返りからは、言語化できるようになったことで自身の考えや思いを表現する力が伸びたことや、日常生活においても学びを生かそうとする様子が読み取れる。現段階では美術Ⅰ選択者のみの実施であるが、ゆくゆくは1学年全体での実施を推進していきたい。
「自分の発表する力や言語化能力が高くなり、美術の時間だけでなく日常生活でも自分の成長を感じたことができた。」「気持ちを伝えることが苦手だったが、対話を通して言語化力が身についた。」「今までは作品の完成度やうまさにこだわりすぎていたけど、EGAKUの授業を通して作品に込めた思いが伝わることが一番大事だと思いました。」「今まではただ『すごい』『きれい、上手だ』という感想しか持たなかったことが、『この作品にはどのような空間が広がっているのか』や『作者は何を描きたかったのか』など様々な観点から考えるようになった。」「鑑賞が面白いと思えるようになった。」「誰かに伝わりやすいように言葉を選んで、わかりやすくまとめられる力が付いたかなと思います。日々の会話の中でそれを活かしていきたいなと思います。」「決めつけをせずに鑑賞することで柔軟な視点を持つことができたので、物事を多様な視点から考えることに活かしていきたいと思った。」「相手とは考えていることが違うことがほとんどなので、そういう意見を受け止められるようにしたいと思ったし、自分の想いが伝わるように言葉や絵で表現したいと思った。」(生徒の振り返りより)
*1:一般社団法人ELAB公式ホームページ
福島県立葵高等学校 今期で3年目となる美術の授業での「未来を描くプログラム」を実施(2024.12.05)
https://elab.jp/topics/2024-12-05.html
Webマガジンまなびと:「学び!と共生社会」Vol.62
Webマガジン:「学び!と共生社会」Vol.62 “障害者の生涯学習と共生社会”を追加しました。
障害者の生涯学習と共生社会
はじめに
(1)「生涯学習」とは?
生涯学習とは、端的にいうと「生涯を通じた多様な学習活動」のことで、一般には、人々が生涯に行うあらゆる学習、すなわち、学校教育、家庭教育、社会教育、文化活動、スポーツ活動、レクリエーション活動、ボランティア活動、企業内教育、趣味など様々な場や機会において行う学習のことをいいます(*1)。
我が国では、ユネスコの成人教育推進国際委員会で提唱された生涯教育の構想を契機として、昭和40年代から取り組まれてきています(*2)。
(2)障害者の生涯学習について
上記の文部科学省の資料(*1)によると、国として「障害者の生涯学習」に取り組むことになったのは2つのきっかけがあったといいます。
一つは、2006年(平成18年)に国連総会で「障害者権利条約」が採択され、条約の批准に向けて、障害者基本法の改正(平成23年)、障害者差別解消法の制定(平成25年)など国内法を整備が進められ、2014年(平成26年)に「障害者権利条約」の批准に至ったことが挙げられます。
国連の障害者権利条約第24条には、教育に関して記述されています(*3)。この条文は、インクルーシブ教育の実施を明示した条文として知られていますが、それだけなく、生涯学習の確保についても確かに記されています。
第二十四条 教育
1 締約国は、教育についての障害者の権利を認める。締約国は、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現するため、障害者を包容するあらゆる段階の教育制度及び生涯学習を確保する。(略)
もう一つのきっかけは、2016年(平成28年)10月に、当時の文部科学大臣が特別支援学校を視察した際に保護者から『子供たちは、特別支援学校を卒業した後に、学びや交流の場がなくなってしまう』という不安の声を聞いたことが挙げられています。
これらのきっかけがあったことで、2017年(平成29年)度から文部科学省の生涯学習政策局文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課に「障害者学習支援推進室」新設されることになったということです。以後、障害者学習支援推進室では、障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実に向けてさまざまな取り組みを進めてきています(*1)。
一人の個人の人生は、学校教育を受けている時間よりも、それ以外で生活している時間の方が圧倒的に多いのですから、学校教育段階でのインクルージョンはもとより、ソーシャルインクルージョンの実現を目指すことも大切だということになります。したがって、障害者の生涯学習も、当事者や関係者だけの問題ではなく、障害の有無に関係なくすべての人に関わりのあることだととらえて、多面的に考えていかなければならない課題だといえます。
そこで、令和6年度末にあたり、このことに関してどのように組織的な取り組みが進められてきているのかを振り返り、今後の方向性について確認しておきたいと思います。
障害者の生涯学習推進の背景
(1)特別支援教育対象者について
まず、公表されている最新のデータから、特別支援教育対象者数と卒業者の進路を示します(*4)。
特別支援学校卒業者の推移、年々増え続けています。その推移を図1に示しました。令和5年(2023年)度は151,362人となっていました。
図1 特別支援学校在籍者数の推移(令和5年度特別支援教育資料に基づいて筆者作成)
また、令和5年度の特別支援教育対象者数を見ると、幼・小・中・高段階の総数は14,092,022人に対して、特別支援学級在籍者数が151,362人(1.07%)、特別支援学級在籍者数が372,795人(2.65%)、計524,157人で全体の3.72%となっています(表1)。通級による指導を受けている児童生徒数は198,343人(1.39%)(表2)。さらに、通常学級に在籍していて、学習面や行動面で著しい困難を示す発達障害の可能性がある小中学生が8.8%、高校生は2.2%(文部科学省が2022年12月13日に発表した調査結果)という数値も示されています。
生涯学習を考えるにあたっては、このように特別なニーズを有する児童生徒が幼児児童生徒全体の1割を超える状況になっていることを認識しておく必要があります。

表1 特別支援学校、特別支援学級在籍者数(令和5年度特別支援教育資料)
出典:文部科学省ホームページ
https://www.mext.go.jp/content/20250128-mxt_tokubetu02-000039998-2.pdf

表2 通級による指導を受けている児童生徒数(令和5年度特別支援教育資料)
出典:文部科学省ホームページ
https://www.mext.go.jp/content/20250128-mxt_tokubetu02-000039998-2.pdf
(2)特別支援学校の卒業者の進路について
進路はどのようになっているのでしょうか。令和6年度のデータは現時点で公表されていませんので、令和5年度の特別支援教育資料(*4)から特別支援学校高等部卒業者の学校卒業後の状況(学校基本調査)を示します(表3)。
これを見ると、特別支援学校卒業者の約92%の障害者が就職又は社会福祉施設等入所・通所などの障害福祉サービスなどに進んでいることがわかります。
障害福祉サービスなどに進む約6割の人は、学校教育の期間を障害者の集団で過ごし、学校卒業後もインクルーシブな環境とは言い難い場で生活を続けることになります。
特別支援学校卒業生の高等教育機関への進学率は約2%。特に、9割近くを占める知的障害卒業生は約0.5%に留まっています。
このように見ると、学校を卒業してしまうと障害者の多くは、学びの機会に恵まれていないことがわかります。本人に学びの意欲があっても、それが叶わないということになります。

表3 特別支援学校高等部卒業者の状況(*5)
出典:文部科学省ホームページ
https://www.mext.go.jp/content/20250128-mxt_tokubetu02-000039998-2.pdf
(3)障害者本人の意識
学校を卒業してからも学び続けることについて、障害がある人自身はどのようにとらえているのでしょうか。古いデータになりますが、文部科学省では、平成30年度に障害者本人への調査を実施しています(*6)。
障害種別やライフステージ別に精査すると、異なった傾向が認められるのですが、全体的な概要としては次のように整理されていました。
- 生涯学習の経験
「余暇・レクリエーション(31.1%)」
「健康維持・増進,スポーツ(30.3%)」
「学校段階で学んだ内容の維持・再学習(27.4%)」 - 生涯学習のニーズ
「健康の維持・増進,スポーツ活動(25.5%)」
「社会生活に必要な知識・スキル(23.3%)」
「余暇・レクリエーション活動(22.6%)」 - 経験よりも今後のニーズが高いもの
「一緒に刺激し合う仲間づくり等(3.1ポイント)」
「社会生活に必要な知識・スキル(0.5ポイント)」
- 身近に感じている情報
「知りたいこと(46.3%)」
「文化や芸術(40.1%)」
「身体を動かすこと(39.1%)」 - 身近に感じていない情報
「身に付けたい技術(26.8%)」
「仲間と学びあう場やプログラム(28.3%)」
- 学習参加への物理的障壁 「ない」「あまりない」 あわせて 55.4%
- 外出することに困難を感じて「いない」「あまりない」 あわせて 53.9%
- ⼀緒に学習する友⼈、仲間 「いない」「あまりいない」 あわせて 71.7%
- 習費⽤を⽀払う余裕が「ない」「あまりない」 あわせて 71.5%
- 学ぼうとする障害者に対する社会の理解が「ない」「あまりない」 あわせて 66.3%
これらの結果から、障害者自身が学習機会の充実は重要だと思っているものの知りたいことを学ぶための場や学習プログラムが身近にあるとは言い難い状況にあり、一緒に学習する友人や仲間がいなかったり学ぼうとする障害者に対する社会の理解がなかったりするという課題が示されたといえます。
また、「障害者権利条約」における「⽣涯学習の確保に関する規定」記載の認知状況について、記載されていることを認知している者は23.9%しかいなかったという調査結果も示されていました。ここには、障害当事者への啓発の課題も認められます。
(4)社会教育施設等の状況
平成30年度の調査(*6)では、社会教育施設等の状況についても調べられていました。それによると
- 公民館等が障害者の学習活動の支援に関わった経験の有無 14.5%
- 障害者への学習支援事業を行っている社会教育施設 10.3%
- 障害者の学習活動支援に関わる担当者がいる 5.6%
- 障害者の学習活動支援に関わる組織がある 3.3%
という結果が示されています。
この調査結果からは、学習活動を支援する施設についても、障害がある人は身近にある施設との関わりが少なく、そのことも障害者をめぐる学びの機会が不足している原因になっているということが認められます。
学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業
(1)文部科学省報告書「障害者の生涯学習の推進方策について」
文部科学省では、平成30年度の調査を受けて、有識者会議を設置しました。障害のある人や支援団体などの意見を踏まえ、「障害者の生涯学習の推進方策についてー誰もが、障害の有無にかかわらず共に学び、生きる共生社会を目指してー」という報告書が平成31年(2019年)3月にまとめられています(*7)。
そこでは、目指す社会像として「誰もが、障害の有無にかかわらず共に学び、生きる共生社会の実現」を掲げ、以下のような側面の重視が示されていました。
(1)誰もが,障害の有無にかかわらず学び続けることのできる社会であること
(2)障害者が,健康で生きがいのある生活を追求することができ,自らの個性や得意分野を生かして参加できる社会であること
また、障害者の生涯学習推進において特に重視すべき視点として、以下のような項目が掲げられています。
(1)本人の主体的な学びの重視
(2)学校教育から卒業後における学びへの接続の円滑化
(3)福祉,労働,医療等の分野の取組と学びの連携の強化
(4)障害に関する社会全体の理解の向上
こうした方向性の下に、障害者の生涯学習を推進するための方策が、(1)学校卒業後における障害者の学びの場づくり、(2)障害の有無にかかわらず共に学ぶ場づくり、(3)障害に関する理解促進、(4)障害者の学びを推進するための基盤の整備という4つの観点から示されています。
それらを受けて、障害者の生涯学習推進に向けて早急に実施すべき取り組みが国、地方公共団体、特別支援学校、大学、民間団体ごとに明示され、それぞれが役割分担し、多様な学びの場づくりを推進していくということが示されています。詳細は、資料でご確認ください。
(2)生涯学習の実態 平成6年度の取り組み
それでは、具体的に障害のある人の生涯学習について、どのようなことが取り組まれているのでしょうか。図2は令和6年度の「学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業」概要です(*8)。
令和6年度学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業では、調査研究、実践研究、普及啓発活動の強化に予算が配分されていることがわかります。

図2 令和6年度「学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業」概要
出典:文部科学省ホームページ
https://www.mext.go.jp/content/20240618-mxt_kyousei01-000036612_43.pdf
(3)共に学び、生きる共生社会コンファレンス
平成26年の障害者権利条約の批准や平成28年の障害者差別解消法の施行等も踏まえ、学校卒業後の障害者が生涯を通じて学び続けられる社会、共に学び生きる共生社会の実現に向けて、障害者の生涯学習の機会を全国的に整備・充実するために令和元年(2019年)度より障害者の生涯学習活動の関係者が集う「共に学び、生きる共生社会コンファレンス」が全国各地で開催されています。
そこでは、障害者本人による学びの成果発表等や、学びの場づくりに関する好事例の共有、障害者の生涯学習活動に関する研究協議等を行い、障害の社会モデルに基づく障害理解の促進や、支援者同士の学び合いによる学びの場の担い手の育成、障害者の学びの場の充実が目指されています。
令和6年度「学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業」には37団体が関わっています。その概要は、「障害者の生涯学習推進ポータルサイト」から確認できます。各地の実践からグッドプラクティスを選び出し、優れた取り組みや質の高い実践モデルを示すことで底上げを図ろうとしていることが理解できます(*9)。
今後の方向性
令和4年(2022年)度に実施された「障害者の生涯学習活動に関する実態調査~地方公共団体及び障害者本人を対象とした実態調査~」の報告書では、調査結果を踏まえて以下の4つの柱を示しています(*10)。
①庁内外の連携体制の構築
②ニーズの把握とプログラムの充実
③生涯学習に関する普及啓発、情報提供
④市区町村と都道府県の連携
こうした方向性のもと、令和6年度の取り組みでは、経験の浅い自治体・団体のスタートアップを積極的に支援するための方策やコンファレンス・フォーラムの開催により障害理解の促進や支援者同士の学び合いによる学びの場の担い手の育成、障害者の学びの場の充実が目指されています。
省庁間や市区町村と都道府県間の壁などを超えて、こうした支援推進事業が着実に展開されていくことが期待されます。
まとめ
生涯学習は障害の有無に関係なくすべての人にとって大切だという視点に立って、障害者の生涯学習について、国としてどのように組織的取り組みが進められてきているのかを振り返り、今後の方向性について確認してきました。
平成30年度「生涯学習を通じた共生社会の実現に関する調査研究」-学校卒業後の障害者が学習活動に参加する際の阻害要因・促進要因等に関する調査研究報告書-(*11)では、その阻害要因として、まだまだ当事者中心主義になっていないことが挙げられていました。また、生涯学習の担い手に対する予算の配分や支援主体が未整理といった課題も示されていました。
諸外国の例を見ると、例えばEU諸国では、1990年代から様々な取り組みが進められてきていますが、「特別なニーズを持つ人々が学習機会に参加し、最終的には開かれた労働市場に参加できるようにする」ことが目指されているようです(*12)。
EU圏では、知的障害がある人がより主体的に生涯学習に臨んでいけるような配慮に関する検討も進んでいます(*13)。
またデンマークなど北欧諸国のように、知の欲求を満たすために自分の好きなことが学べる場として、「フォルケホイスコーレン」という国籍、年齢、学歴、宗教等を問わず、誰でもが入れる全寮制の学校を設けている国々もあります。学校教育終了後も学びなおしができる場が用意されているということになります(*14)。目先の利益を優先するよりも長期的視点に立って社会を支える人間形成に軸足を置いているように思えます。
2010年代後半から、わが国でも本腰を入れて、障害がある人の生涯学習が推進されるようになっており、投入される財源も増えてきています。この取り組みが年々充実してきていることを感じていますが、障害者の生涯学習は社会全体の課題であることを認識して、広い視野に立って今後の歩みが着実に進んでいくことを期待したいと思います。
*1:文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室 障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実について(令和6年度「ともに学び、生きる共生社会コンファレンス」in 藤沢 文部科学省資料)
https://metapacafe.com/conference/
*2:文部科学省 生涯学習概念の系譜
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318300.htm
*3:障害者権利条約
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html
*4:令和5年度特別支援教育資料
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1406456_00012.htm
*5:令和5年度特別支援教育資料第1部データ編
特別支援学校高等部(本科)卒業者の状況(国・公・私立計)
https://www.mext.go.jp/content/20250128-mxt_tokubetu02-000039998-2.pdf
*6:文部科学省委託調査 平成30年度 「生涯学習を通じた共生社会の実現に関する調査研究」-学校卒業後の障害者が学習活動に参加する際の阻害要因・促進要因等に関する調査研究報告書-
https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/__icsFiles/afieldfile/2019/07/24/1419299_1.pdf
*7:障害者の生涯学習の推進方策について―誰もが,障害の有無にかかわらず共に学び,生きる共生社会を目指して―(報告)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/041/toushin/1414985.htm
*8:文部科学省「学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業」概要
https://www.mext.go.jp/content/20240618-mxt_kyousei01-000036612_43.pdf
*9:「共生社会の学び」障害者の生涯学習推進ポータルサイト
https://kyouseisyakainomanabi.mext.go.jp/conference/conference_r6/
*10:障害者の生涯学習活動に関する実態調査
~地方公共団体及び障害者本人を対象とした実態調査~
https://www.mext.go.jp/content/20240222-mxt_kyousei02-000034175_01.pdf
*11:平成30年度「生涯学習を通じた共生社会の実現に関する調査研究」-学校卒業後の障害者が学習活動に参加する際の阻害要因・促進要因等に関する調査研究報告書-
https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/__icsFiles/afieldfile/2019/07/24/1419299_1.pdf
*12:Eurydice Report Adult and Training Education in Europe Widening Access to Learning Opportunities 2015
https://eurydice.indire.it/wp-content/uploads/2016/06/Adult_Education_Training_EN-2.pdf
*13:Creating Pathways to Lifelong Learning for Adults with Intellectual Disabilities
https://www.inclusion-europe.eu/creating-pathways-to-lifelong-learning-for-adults-with-intellectual-disabilities/
*14:デンマークのエグモントホイスコーレンとは?障害者と健常者が共に学ぶ学校の全貌に迫る!
https://welserch.com/otagaisama/egmont_hojskolen
my実践事例:小学校 図画工作 No.068
my実践事例:小学校 図画工作 No.068 “実技講習「ともに学び合おう!子どもの気持ちになって教材研究」”を追加しました。
実技講習「ともに学び合おう!子どもの気持ちになって教材研究」
1.実技講習
「ともに学び合おう!子どもの気持ちになって教材研究」
2.研修のねらい
本市の小学校教育研究協議会図画工作科部会では、夏季休業中に行う研修日を、前半は研究協議「研究主題に向かって!皆で高め合おう!」、後半は実技研修「ともに学び合おう!子どもの気持ちになって教材研究」と題して、いわき市の図画工作教育の発展のために研修に励んでいます。今回は、後半の実技研修「ともに学び合おう!子どもの気持ちになって教材研究」について説明します。
教材研究では、教科書に新しく掲載された題材を取り上げ、低・中・高学年ブロックごとにその模擬授業を行います。
図画工作部の理事が教員の役割を果たしながら授業を進め、その他の部員が各学年の子どもたちとして自由に発想をし、以下の題材に取り組みました。
①低学年:「スルスル ビューン」(1・2年上)
②中学年:「顔を出したら なんだかワクワク」(3・4年上)
③高学年:「けずって見つけたいい形」(5・6 年上)
3.準備物(材料・用具)
次のようなお便りをもとに、各部員が教科書や指導書を見ながら、自校の児童の実態を踏まえながら準備物を各自で用意します。
実技講習の内容および準備物について
○低学年:「スルスル ビューン」(1・2年上)
※楽しく滑らせて遊ぶおもちゃを、何度も試しながらイメージを広げ、つくったりつくり直したりする。
準備物:空き箱、紙筒、紙皿、はさみ、のり、セロハンテープ、ペン、色画用紙、紙テープ、PEテープ、折り紙など
○中学年:「顔を出したら なんだかワクワク」(3・4年上)
※思わず顔を出したくなるパネル。どんなパネルができるかな。形や色、あなや材料の組み合わせは?
準備物:段ボールカッター、木工ボンド、はさみ、絵の具、クレヨン、ペン
○高学年:「けずって見つけたいい形」(5・6年上)
※かたまりをけずり、少しずつ形を変えながら、自分が面白い・美しいと感じる形を見つけよう。
準備物:スプーン・フォーク・バターナイフ・ピーラー・串・粘土ベラなど家庭にあって子どもたちが準備できそうな物)
※各ブロックの準備物等は、指導書等でご確認ください。
4.実践を振り返って
毎年、各部員が、自校の児童を想定しながら製作をしたり、用意された材料や提示物、効果的な場の設定の中で製作したり、試したりしながら、「児童の困り感はどういうところだろうか?」「用意する材料や用具は、どんな物が適しているのだろうか?」「こういう場面があったら楽しいなあ~」などと思いながら活動していて、これこそが教材研究だと感じています。
この研修では、部員一人ひとりが理事や他の部員との学び合いの中で多くのことに気づき、その題材で培われる能力や製作の中で感じる楽しさを感じ取っていると思います。自分がつくった作品以外も写真に収め、さまざまな作品のよさや工夫などにも関心をもっている様子が見られました。各部員の授業への意欲が高められていることと信じています。
①低学年:「スルスル ビューン」
吹き抜けスペースにつくった「試しの場」。角度の違うたくさんの紐を設置し、仕組み作りの際や完成した作品を滑らせることができるようにしました。導入では、教員役の理事が箱などを滑らせることの面白さに気づくような投げかけと、ひもの素材やクリップなど材料の相性などについての講義をしました。
そこから発想を得た部員は、持ってきた材料で製作を始めました。互いに見せ合いながら、自分なりの作品をつくり始めます。
つくった作品がひもを滑ることができるか、教室内に設けた試しの場で確認し、できた作品をもって吹き抜けスペースに移動します。
仕上がった作品を吹き抜けスペースに持っていき、設置されたさまざまな角度のひもの中から一つを選び、自分の好きなところで滑らせました。さまざまな工夫をした作品に、他の部員からは大きな拍手が湧き上がりました。
②中学年:「顔を出したら なんだかワクワク」
教師役の理事からは、子どもたちが行きたい場所やなりたい自分を想定しながら製作する楽しさについての説明がありました。
各部員は「どこに穴があったらいいか」「どんな絵にしようか」など、担任している子どもたちの笑顔を想像しながら楽しく製作していました。
グループで見せ合う際には、どのグループも笑顔にあふれ、最後には全員が自分の顔を穴から出しての発表です。記念撮影の際には、たくさんの笑顔と拍手にあふれました。
③高学年:「けずって見つけたいい形」
教師役の理事からは、様々なけずれる物(材料)とけずる物(用具)の紹介がありました。実物を見ながら購入先なども教えてもらったり、教材を購入しなくても身の回りにある物を使ってできるということを学びました。
石けんアドのいいにおいに包まれながら、一心不乱に削り続ける部員の皆さん。教師役の理事にアドバイスをもらいながら、独創的な作品がたくさん製作されました。
デジタル教科書サポートサイト:文部科学省「令和7年度 学習者用デジタル教科書の導入」について
デジタル教科書サポートサイト:「文部科学省「令和7年度 学習者用デジタル教科書の導入」について」
を追加しました。
中学校 美術:「みんなの作品ギャラリー」更新
中学校 美術:「みんなの作品ギャラリー」
を更新しました。
高等学校 情報:副教材「情報Ⅰ大学入試 対策問題集」「速習 ポイント攻略 情報Ⅰ」追加
高等学校 情報:副教材に「情報Ⅰ大学入試 対策問題集」(2026年4月発行予定)と「速習 ポイント攻略 情報Ⅰ」(2026年4月発行予定)を追加しました。
my実践事例:小学校 道徳 No.054
my実践事例:小学校 道徳 No.054 “「絵はがきと切手」(第3学年)”を追加しました。



























