「ポーズのひみつ」(第4学年)

1.題材名

ポーズのひみつ

2.学年

第4学年

3.分野

鑑賞する

4.時間数

2時間(他題材の導入や、美術館への校外学習の事前指導としても展開可能)

5.題材設定の理由

 教科書に掲載されている美術作品とアートカードによる鑑賞の題材である。子どもたちは、真似をすることが好きである。作品の登場人物の真似をしながら鑑賞することで、作品を楽しみながら見てその面白さやよさを味わわせることができるようにした。
 当校では、どの教科でも日常的に「ロイロノート」という学習アプリを活用している。図画工作科でも、鑑賞活動や振り返りカードの記入などの場面でこのアプリを活用することによって、子どもの学びを蓄積し、一層学びを深めたり評価に生かしたりすることができると考えた。

6.準備物

使用するアプリ:ロイロノート・スクール(以下「ロイロノート」という)
教師:作品画像(印刷してラミネート加工したもの)、タブレット、教師用指導書付属のポスター、アートカード、ポーズで使えそうな材料、ホワイトボードマーカー、作品画像データ、振り返りカード(PDF)

※作品画像と振り返りカードのデータは、ロイロノートの資料箱へ保存しておく。

子ども:タブレット

7.目標

(1)題材の目標

 美術作品のポーズを真似したり、感じたことや気付いたことを伝え合ったりしながら鑑賞し、お気に入りの作品をまとめることにより、作品のよさや面白さを味わうとともに、見方や考え方を広げることができる。

(2)観点別目標

【知識及び技能】
 描かれているものや人物のポーズに注目して、真似しながら美術作品を見たり、感じたことや気付いたことを友達と伝え合ったりすることを通して、形の感じや色の感じ、それらの組み合わせによる感じ、明るさなどが分かる。

【思考力、判断力、表現力等】
 ポーズを真似しながら見ることを通して美術作品の造形的なよさや面白さ、表したいこと、いろいろな表し方などについて感じ取ったり考えたりするとともに、友達と交流することを通して自分の見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】
態鑑 進んで美術作品を見て、描かれているものやポーズに注目しながら作品に主体的に関わり、
作品のよさを味わう中でつくりだす喜びを味わおうとする。

8.本題材の指導にあたって

 導入では、教科書に掲載されている4作品から鑑賞活動を始め、絵をじっくり見る面白さや、気付いたことや感じたことを交流しながら見る楽しさを味わえるようにしたい。その際、作品を印刷してラミネート加工したものを班ごとに用意し、ホワイトボードマーカーで書き込みながら見ることで、考えを可視化し他の班の友達とも交流しやすくする。
 次に、アートカードから選んだ10作品も併せて、ポーズを真似しながら鑑賞する。図工室にある材料を小道具に使ったり、ポーズができたら記念写真を撮ったりすることで、様々な作品をじっくり見て楽しむことができるようにした。
 最後に、本時で鑑賞した中から一番のお気に入り作品を選び、ロイロノートを使って振り返りカードにまとめさせる。本時で鑑賞する作品をデータ化し、ロイロノートの「資料箱」に入れておくことで、児童が自分で作品を選び、振り返りカードに貼り付けられるように工夫した。

9.授業の実際

学習活動の流れ

◆:指導上の留意点 ◎:評価方法
下線部:造形的な視点に関する事項

1.絵を見る視点や、本時の流れを確認する。

<絵を見る視点>
何がかいてあるか。登場人物はどのような人か。どのようなポーズをしているか。何を話しているか。きれいだと思うところは。どこからそう感じたか。など

◆美術作品の鑑賞が初めての児童なので、絵の見方や見る視点を伝えるとともに、本時の流れを確認する。

2.4枚の絵を鑑賞する。
(1)班ごとに、印刷した絵に書き込みながら見る。

◆印刷では見えづらい部分もあるため、教師用指導書付属のポスターを黒板に掲示しておく。

(2)他の班に、自分たちの見つけたことや感じたことを伝える。

◆書き込んだ絵を見せながら、伝え合わせる。伝え合う際には、どの意見も否定しないこと、違う考えも面白がることをルールにした。
【活動の様子の観察、絵への書き込み】

3.作品のポーズを真似しながら鑑賞する。

体の動きだけでなく小道具も使いながら、作品のポーズを再現できるようにさせる。
◆写真を撮影する際は、その作品を再現するための構図も考えさせる。

4.お気に入りの作品を選び、振り返りカードにまとめる。
○振り返りカードに書くこと
・お気に入りの作品
・真似をした自分たちの写真
・気に入った理由
・鑑賞して感じたこと、気づいたこと など

◆ロイロノートの資料箱から、お気に入りの作品や自分たちで撮った写真を貼り付けさせる。
その作品を気に入った理由や、真似をしながら鑑賞した感想なども書くように伝える。
鑑態【活動の様子の観察、撮影した写真、振り返りカード】

10.実践を振り返って

真似をしながら鑑賞することは、とても効果的であった。実際にポーズをとることで、「こんな動きをしていたのか」「どうしてこっちを向いているのかな」などと新たな気づきをもった児童も多く、美術作品を味わうことができた。
毎題材の終了時に、振り返りカードをロイロノートで書かせてきた。紙で印刷したワークシートに書き込む方法よりも、教師・子ども共にメリットが大きいと感じている。

<特に大きなメリットを感じること>

作品写真を撮影すること自体が、子どもの一つの表現になる。
鉛筆で書くのは苦手な子どもも、タブレットでなら抵抗なく書ける。
全ての題材のカードをデータで一括管理できるので、評価の材料としても子どもの学びの蓄積としても効果的である。
提出されたカードを紙に印刷してからコメントを入れたり、教室に掲示したりすることができる。
作品写真を児童自身が撮って貼り付け、タブレット上で提出するため、教師が撮影したり、名簿で提出確認したりする手間が省ける。

「つながる」図画工作~「ジャズをかこう」の実践~(第6学年)

 図画工作科の授業では、子どもたちはいろいろなモノやコトとつながっています。本稿では、「ジャズをかこう」(第6学年)の実践を「つながり」の視点から示します。

1.はじめに

 「ジャズをかこう」は、杉並区立杉並第二小学校での実践です。1999年に兒玉由起子先生が東京都武蔵野市の小学校でジャズミュージシャンを学校に招き、「絵に表す」授業をされたのがこの実践の始まりです。以降、兒玉先生の勤務校が変わられても20年以上継続されています。(*1)
 本実践では、ジャズの特徴でもある〈アドリブ〉と〈セッション〉を、「その場で『表したいこと』が生まれること」と「友だちの表現した形と色を捉え、自分の表そうとする形と色を見つけること」〉として捉えました。

2.題材の概要

(1)題材名

「ジャズをかこう」

(2)分野

絵に表す/鑑賞する

(3)学年

第6学年

(4)材料用具

タイベック紙、下がき用のチョーク、アクリル絵の具、筆、パレットとしてのお盆、筆洗バケツ、雑巾 など

(5)指導計画

8時間
○立石一海トリオ(*2)のジャズ演奏を鑑賞する。(音楽科 1時間)
①自分の表したいことをスケッチする。(1時間)

  • ジャズを聴いたときの印象や感じたことから、かきたいモノやコトをスケッチする。

ワークシート:アイディアスケッチ

②友だちとセッションしながら、グループの絵をかく。(6時間)

アイディアスケッチを基にグループ作品の構想を話し合う

  • 3つのグループに分かれ、1500×2400(mm)の画面にアクリル絵の具で表す。
  • 自分の表したいことと友だちの表現をセッションさせ、グループのテーマを決め、テーマに沿ってグループで表現の仕方を工夫して表す。

③自分たちや他のグループの作品を鑑賞する(1時間)

  • ジャズを聴いたときの印象や感じたことから、かきたいモノやコトをスケッチする。
(6)題材の目標

 ジャズの演奏を聴いて、形や色などの造形的な特徴を捉えながら、自分が感じたことや表したいことを友だちとセッションしながら大きな絵に表す。

(7)評価規準

【知識及び技能】

  • ジャズを聴いて、自分の感じたことや表したいことを表すときの感覚や行為を通して、動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどを理解している。
  • 表現方法に応じてアクリル絵の具を活用し、前学年までの経験や技能を総合的に生かしたり、表現に適した方法を組み合わせたりするなどして、表したいことに合わせ、工夫して表している。

【思考・判断・表現】

  • 動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどを基に、自分のイメージをもちながら、ジャズを聴いて感じたこと、見たことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさの感じなどを考えながら、どのように主題を表すかについて考えている。
  • 動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどを基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わいジャズを聴いて感じたことや表したいことを、進んで友だちとセッションしながら大きな画面に表す学習活動に取り組もうとしている。

3.つながり

〈題材設定に関連して〉

(1)阿佐谷ジャズストリート
 2016年以降は、「阿佐谷ジャズストリート(*3)」の一環として実践しています。10月には、J R阿佐ヶ谷駅近くの商店街に杉並区内の有志の小・中学校の授業やクラブ活動で取り組んだ児童・生徒の作品が展示されます。

阿佐谷ジャズストリートに昨年度の6年生作品が飾られる

(2)音楽科との連携
 立石一海トリオによるライブからこの実践が始まります。この授業は音楽科の鑑賞として実施され、子どもたちはピアノとドラム、ベースで奏でられるジャズを身体で感じます。

体育館での立石一海トリオのライブ 身体全体でジャズを聴く

 立石一海さんがジャズについてお話ししてくださいました。

世界中の人や文化が集まる港町ニューオリンズで生まれたジャズがミシシッピ川を流れ、アメリカ全土に広がり、海を渡って日本にやってきた。『ジャズ』は旅する音楽なんだよ。

(3)アドリブとセッション
 「はじめに」でふれたように、本題材では、ジャズの特徴である〈アドリブ〉と〈セッション〉をキーワードと捉えています。友だちの表現とつながることで、発想や構想が新しく生まれ、表現の方法を工夫して表そうとすることが期待できます。

響き合い① 互いを大事にしながら

〈学習活動における指導の工夫〉

(1)互いに影響し合って
 意見を出し合いながらグループ作品のテーマを設定します。友だちのかきたいことや表現を尊重しつつ、グループとしての作品の表現を工夫します。

響き合い② かきたいモノやコトを表す

(2)発想・技能
 自分の表現と友だちの表現を結びつけ、グループの表現を工夫します。アクリル絵の具の特徴を活かしながら、前時にかいたモチーフの上に色を重ねたり、新たなモノやコトをかき加えたりしながら「私たちの作品」の表現を追求します。

色を重ねて 新しいモノやコトが生まれる

(3)鑑賞活動
①「表す」と「見る」
 学習活動の中で、「見る」ことを意図的に提案する場面を設定します。自分や友だちがどのように表現しているのか、自分たちの表現がどのように展開しているのかを「見る」ことで、表現の計画図を確認したり、修正したりすることができます。
②完成した作品を「見る」
 本年度は筆者がファシリテーターとなり、鑑賞の授業を実施しました。それぞれの作品に何がかかれているか、作品の特徴はどこにあるのかを検討し、それぞれの「見る」視点を設定しました。

鑑賞活動①  みんなで〈見る〉

鑑賞活動②  友だちと〈見る〉

 作品①から③の順に鑑賞したところ、次のようなイメージが生まれました。作品②の水平線の向こうには広い海が広がり、作品③のミシシッピ川がその海に流れこんでいます。その海には作品①の「ジャズ島」が浮かんでいるのです。

作品①

作品②

作品③

4.おわりに

この作品では何回かの授業で色を塗り重ねてきました。それは単なる色の重なりではなく、ミシシッピ川を流れる時間だったり、過去だったり、これからの未来だったりするのです。これらの作品は、時間と空間の層であると思いました。

 この言葉は、鑑賞授業の最後に一人の男児が発した言葉です。子どもたちがこれまで学んできた教科、環境問題、生命などの知識と経験を総動員して表されたのが3枚の作品だったことに改めて気付かされました。

〈本実践に関する問い合わせ〉
共栄大学教育学部 井ノ口和子 inoguchi▲kyoei.ac.jp(▲を@に置き換えてください)

*1:杉並第二小学校では、2021年度から図工専科教諭である市川江真先生が授業者となり、兒玉先生は市川先生のサポートをされています。
*2:立石一海(ピアノ/作編曲)を中心に、佐藤忍(ベース)、鈴木麻緒(ドラム)で構成されているジャズトリオ
*3:1995年から開催されている東京都杉並区の阿佐ケ谷駅周辺のジャズイベント

コロナ禍における主体的・対話的で深い学びの実現を目指したカリキュラム・マネジメント~「にじいろスマイルプロジェクト」の実践から~(第5学年)

※本実践事例は、前任校いわき市立高坂小学校での取り組みです。校長が示したビジョンを受け、教育課程実施を担当する教務主任が中心となり、全職員で取り組んだ実践です。

1 はじめに

 令和2年度は、本来であれば、小学校の新学習指導要領全面実施の年であり、「社会に開かれた教育課程」の実現に向け、様々な実践がなされるはずであった。しかし、全世界を巻き込んだ新型コロナウイルス感染症は、今までの価値観や生活様式を大きく変え、学校においても、学校行事をはじめ数多くの教育活動が中止、規模縮小を余儀なくされた。
2011年 津波被害を受けた市内の学校 楽しみにしていた学校行事が中止となり落胆する子どもや、感染症対策に追われ、思い描いた教育活動ができず疲労感がにじみ出ている教職員を見て、早急に学校経営・運営ビジョンを見直し、「多くのことができなくなった今年だからこそ、今年しかできない豊かな学び」を通して、主体的・対話的で深い学びが実現できるカリキュラム・マネジメントを推進しなければならないという思いを強くし、できるところから、手探りで取り組むこととした。
 また同時に、今回のコロナ禍への対応においては、福島県の教職員にとって、東日本大震災とその後の福島第一原子力発電所事故後の学校の運営で得た教訓や課題を生かさなければならないという思いも抱いていた。

2 危機的状況の中の学校経営で大切にしたいこと

 教育課程を管理する校長として、次のカリキュラム・マネジメントの三つの側面を重視し、柔軟に、スピード感をもって取り組むことが、授業の遅れを取り戻しつつ、子どもたちにとって、今年しかできない豊かな学びを実現するために不可欠であるととらえた。

学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点
PDCAサイクルの確立
必要な人的・物的資源等の効果的な活用

である。
 あわせて、コロナ禍におけるカリキュラム・マネジメントの視点として、子ども一人一人が「感性や想像力を働かせ対象や事象を捉え、自分のイメージをもちながら意味や価値をつくりだすこと」を大切にしたいと考えた。日頃から図画工作科で大切にしていることである。

3 実践のあしあと

(1)「地域の医療従事者の方々を応援したい」

校舎のブルーライトアップを実施して、医療従事者や地域の方に感謝を伝えたいという構想が生まれる 医療機関が多いという地域の実態から、臨時休業が明けてまもなく、子どもたちから素朴に「地域の医療従事者の方々を応援したい」という思いが表出されてきた。その思いを大切に考え、学校や子どもたちを取り巻く状況を見つめなおす中で、校舎を青い光でライトアップし、医療従事者や地域の方々に感謝のエールを贈るという学習活動を構想した。理科の「電流の学習」や、総合的な学習の時間における「地域を知る活動」などと関連させながら、自分たちの思いを伝える活動へと展開していくことが期待された。

(2)Sさんとの出会いから

Sさんとの出会いから 大幅に遅れている授業時数を確保しながら、子どもたちの思いに寄り添った教育活動を展開するには、学年や教科等を超えたプロジェクト型学習を組織することが有効であると考えた。プロジェクト型学習においては、学校のみならず、企業やNPO、自治体、研究者など様々なネットワークとネットワークづくり、コーディネートなどがカリキュラム・マネジメントにおいては重要になる。子どもたちがどんな人と出会い、その人から何を感じて学びを広げていくのかに寄り添いながら、学習を展開していくのである。
ソーラーパネルで明かりをつける 今回、理科のゲストティーチャーとして、地域の公園などの電飾やライトアップを手がけているNPO代表のSさんを招くことができた。学習を進める中で、子どもたちが校舎をライトアップしたいという思いを抱いていることを知ったSさんは、自身がボランティアで使用している小型ソーラーパネルのLEDライトを貸し出すという提案をしてくださった(日中自然に充電し、暗くなると光を発するLEDライトは、予算的にも、管理面でも好都合な素材であった)。

Sさんから借りたしょうゆ差しでつくったLEDライト

(3)ライトアップから広がるプロジェクト型学習

 Sさんから約200個のLEDライトをお借りし、校舎のライトアップに成功してから、子どもたちの学びは急速に広がっていった。各学級から募った児童でプロジェクトチームを組織し、全校からライトアップのデザイン画や、そのデザインに寄せる思いを募集・選定して、定期的にライトアップのデザインを変えていった。また、子どもの意見から、一連の活動を「にじいろスマイルプロジェクト」と名付け展開することにした。

児童から募ったデザイン画をもとに定期的にライトアップのデザインを変更

全校児童から募ったデザイン画。デザインに込めた思いも大切に

全校児童にライトアップの様子を知らせる掲示

デザインが採用された子どもの思いを校内放送で全校児童に伝える

自分たちが発信している活動への思いを、手紙で医療従事者の方々に贈ったところ、保健所や医療センターの皆さんから、たくさんの感謝の返信をいただいた。そのことで、より相手意識、目的意識を明確にした活動に広がっていった。このことは、日々の国語科で育んできた「思いや考えを伝え合うことができるカ」がもとになり、関係者の心に響き、よりよい関係性をつくり出すことに結び付いていた。

医療従事者の方々への感謝のメッセージを保健所の方に届けた

保健所の方から寄せられたメッセージ保健所や医療機関から見えるライトアップされた学校

ライトアップについて「青一色から、カラフルなライトアップにしてみたい」という意見を取り入れ、カラーセロハンを生かしてライトアップを展開した。はじめに図画工作科の授業で、形や色の特徴を生かしたデザインを構想した。蛍光色の色紙を使い、ブラックライトで自分の作品を点灯してみることで、イメージをふくらませるとともに、どの子どもにも自分の取組みのよさを実感させることができた。

ブラックライトで照らし、自分の作品のよさを実感

カラフルなライトアップに成功

Sさんからお借りしていたLEDライトが、電気のインフラが整備されていない途上国の子どもの読書灯になることを知った4年生。そこから全校で支援物資集めが始まり、何がその国の友だちに喜ばれるのか、海外の生活を想像した活動へと展開した。外国の友だちに思いを伝えるために、図画工作科や外国語科の学習の時間に、ALTの先生にも加わっていただき、英語表現を学びながらメッセージカードをつくる活動にも広がっていった。

Sさんから電気が通っていない国の子どもたちの話を聞いて始まった支援物資集めの活動

卒業前、小学校の様々な行事が中止となってしまった6年生に、プロジェクトチームの5年生が中心となって感謝のメッセージを贈る活動を行った。医療従事者や地域の方々などへ感謝を伝える活動を通して、学校の仲間や家族など、身近な人への思いを高めることにつながった。

6年生に感謝の気持ちを伝えようプロジェクト

暗くなると6年生への感謝のメッセージがライトアップされる

4 むすびに

 今回コロナ禍という特殊な状況での取組みであったが、子どもたちは、我々教師が想像している以上のことを考えてきた。その子どもの思いの広がりや学びの深まりに柔軟に対応するためには、教師自身もより一層、「ひと・もの・こと」と主体的・対話的に関わり合わねばならないことを実感した。そして、これからの時代に求められる資質・能力を子どもたちに育むためには、各学校の特色や地域の実態に応じた「カリキュラム・マネジメント」を通じて、効果的な学習内容や活動を組み立て、各教科等における学びと関連付けていくことがますます重要になってくる。

※本実践に関するお問い合わせは下記までお願いいたします
ooishi.masafumi▲fcs.ed.jp(▲を@に置き換えてください)

「動き出すストーリー」(第4学年)

1.題材名

「動き出すストーリー」

2.学年

第4学年

3.分野

工作に表す 鑑賞する

4.時間数

6時間

5.題材設定の理由

題材について
 GIGAスクール構想が一気に進み、PCを活用した学習が積極的に行われるようになり、平面や立体の表現に「動き」をつけることが容易になった。本題材は、物語の一場面を三次元のスペースに紙粘土で表現するというものである。コマ撮りアニメーションの仕組み「KOMAKOMA」を使って、登場人物が実際動いたらつくる喜びが倍増すると考えた。
 これまでは、粘土でつくった作品そのものがまるで動いているかのように表現することが求められた。粘土でつくる作品は短時間で容易につくり、アニメーションによって動きをつけることで、臨場感あふれる表現が可能になると考え、本題材を設定した。

児童について
 軽量紙粘土は1年生の時からたびたび扱っており、その経験から彩色や接着等、表したいことに合わせて多様な表現をすることができる。また、PC(タブレット)の扱いにも慣れているので、被写体を動かしながらコマ撮りする活動も可能であると考えた。

6.準備物

教師:軽量紙粘土、背景に使う段ボール、チャック付きビニル袋(軽量紙粘土の保管用)、ラップ、色画用紙 など
児童:粘土板、粘土べら、爪楊枝、割り箸、水彩絵の具、カラーペン、接着剤、手拭き用タオル、個人用PC(タブレット)、KOMAKOMA×日文(https://www21.nichibun-g.co.jp/komakoma/ ) など

7.題材の目標

 物語のお気に入りの場面の様子や登場人物をつくり、コマ撮りアニメーションの仕組みを使って動画にすることを楽しみながら、その物語のよさや面白さを表現する。

観点別目標

【知識及び技能】

  • コマ撮りアニメーションの仕組みを使い、物語の面白さを表すときの感覚や行為を通して、形の感じ、色の感じ、それらの組合せによる感じ、色の明るさなどが分かる。
  • 表現方法に応じて材料や用具を活用するとともに、前学年までの粘土や絵の具、接着剤などの経験を生かし、手や体全治を十分に働かせ、表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  • 形の感じ、色の感じ、それらの組合せによる感じ、色の明るさなどを基に、自分のイメージをもちながら、物語から感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、表したいことを考え、形や色、材料などを生かしながら、どのように表すかについて考える。
  • 形の感じ、色の感じ、それらの組合せによる感じ、色の明るさなどを基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品、製作の過程などの造形的なよさや面白さ、表したいこと、いろいろな表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 進んで物語から感じたこと、想像したことをコマ撮りアニメーションの仕組みを使って表したり、鑑賞したりする学習活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.評価規準

【知識・技能】

  • コマ撮りアニメーションの仕組みを使い、物語の面白さを表すときの感覚や行為を通して、形の感じ、色の感じ、それらの組合せによる感じ、色の明るさなどが分かっている。
  • 表現方法に応じて材料や用具を活用するとともに、前学年までの粘土や絵の具、接着剤などの経験を生かし、手や体全治を十分に働かせ、表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。

【思考、判断、表現】

  • 形の感じ、色の感じ、それらの組合せによる感じ、色の明るさなどを基に、自分のイメージをもちながら、物語から感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、表したいことを考え、形や色、材料などを生かしながら、どのように表すかについて考えている。
  • 形の感じ、色の感じ、それらの組合せによる感じ、色の明るさなどを基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品、製作の過程などの造形的なよさや面白さ、表したいこと、いろいろな表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わい進んで物語から感じたこと、想像したことをコマ撮りアニメーションの仕組みを使って表したり鑑賞したりする学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画(全6時間)

  1. 教師が簡単につくった動画を見て、アニメーションの仕組みを知る。
    自分が選んだ物語の中からつくりたい場面を決め、構想を練る。 (45分)
     ⇅ 行き戻り
  2. 紙粘土で登場人物をつくる。(90分)
     ⇅ 行き戻り
  3. 場面の背景になる土台をつくる。(45分)
  4. 登場人物の動かし方や撮影の仕方を工夫しながら、KOMAKOMA×日文でコマ撮りする。
  5. 互いの作品を鑑賞し、よさや面白さを伝え合う。

10.活動の様子

【作品例➀】「ヤマタノオロチ」

物語の舞台をつくる。段ボールを二つ折りにして、垂直の状態が保てるようにモールを使った。

登場人物は自分が表したい場面に登場するものだけをつくる。舞台におさまるように小さめにつくるのがコツ。

登場人物を舞台に置き、どう動かすかを考える。

登場人物を少しずつ動かしてコマ撮りする。アングルを変えたり、アップやズームをしたりして撮影していた。

【作品例➁】「ごんぎつね」

段ボールの下半分に切り込みを入れて、立体的な舞台にした。景色も紙粘土で丁寧につくっていた。

ごん、兵中、うなぎと、表現したい場面の登場人物を色にもこだわってつくった。

国語の授業で読み取った情景を想起しながら、登場人物を丁寧に動かしていた。

途中で撮影した動画を確認しながら、次の動きを考えて撮影していた。

※完成作品はこちらからご覧ください。
https://www21.nichibun-g.co.jp/komakoma/gallery/#cs_49

※本題材で使用している「KOMAKOMA×日文」はこちらからご利用いただけます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/komakoma/

「巨大な絵と対話してみよう」(第5学年)

1.題材名

「巨大な絵と対話してみよう」

2.学年

第5学年

3.分野

「鑑賞する」

4.時間数

1時間

5.題材設定の理由

 本題材は、蔵王町在住の画家、加川広重さんをゲストティーチャーとして招き、自身の巨大な水彩画「雪に包まれる被災地」(546cm×1664cm)を目の前で児童が鑑賞していく授業である。
 新学習指導要領では、「造形的な見方・考え方」が重要なポイントとなる。本題材では、郷土の画家が制作した巨大な絵画を鑑賞し、制作者本人と対話することを通して、児童の「造形的な見方・考え方」についての深まりや広がりが期待できると考える。

6.準備物

教師:水彩画「雪に包まれる被災地」、ワークシート

「雪に包まれる被災地」5m40cm×16m50cm/2011年

児童:筆記用具、クリップボード

7.題材の目標

【知識及び技能】
 郷土の画家の作品に触れ、見た時の感覚や行為を通して、動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどを理解する。〔共通事項〕

【思考力、判断力、表現力等】
 動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどを基に、自分のイメージをもちながら、郷土の画家の作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴などについて感じ取ったり、考えたりする。

【学びに向かう力、人間性等】
 つくりだす喜びを味わい、主体的に郷土の画家の作品のよさや美しさを味わう学習活動に取り組んでいる。

8.題材の評価規準

主な評価規準

十分満足

指導の手立て

知識

技能

 自分の感覚や行為を通して、動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどを理解している。

 作品を見たり、友達と意見交流したりする学習活動を通して、動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどを理解している。

 動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどに気付けるような問いかけや言葉かけを行う。

思考

判断

表現

 動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどの特徴を基に、自分のイメージをもちながら、郷土の画家の作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴などについて感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

 見て理解した作品の動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどの特徴を基に自分のイメージをもちながら、造形的なよさや美しさなどについて、感じ取ったり考えたりしたことを友達と伝え合い、ワークシートに言葉や絵で表すなど自分の見方や感じ方を広げている。

 動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどの感じを基に、郷土の画家の作品のよさや美しさに目を向けることができるような問いかけや言葉かけを行う。

主体的に
学習に
取り組む
態度

 動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどの特徴を基に、自分のイメージをもちながら、郷土の画家の作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴などについて感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

 見て理解した作品の動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどの特徴を基に自分のイメージをもちながら、造形的なよさや美しさなどについて、感じ取ったり考えたりしたことを友達と伝え合い、ワークシートに言葉や絵で表すなど自分の見方や感じ方を広げている。

 動き、奥行き、バランス、色の鮮やかさなどの感じを基に、郷土の画家の作品のよさや美しさに目を向けることができるような問いかけや言葉かけを行う。

9.本題材の指導にあたって

(1)児童について
 本学級の児童は、表したいという思いはあっても具体的なイメージがもてなかったり、何からどのように活動を進めればよいか分からなかったり、造形的な活動に苦手意識をもっている児童もみられる。これまでの鑑賞活動では、友達の作品に対して、「きれい」「すごい」と漠然とした言葉で表現することが多く、自分の感じたことをいろいろな言葉で何とか表現し、伝えようとすることには消極的である。

(2)指導にあたって
 絵全体の構図を俯瞰で捉えさせるとともに、細部に描き込まれた様々なモチーフについても着目させる。
 色の組み合わせ、筆の運び、構図など自分のこれまでの造形活動や様々な生活経験と結び付けた気付きを大切にし、友達と対話の過程を通して、自分の感じたことで、児童の「造形的な見方・考え方」について深め、広げていきたい。さらに児童一人一人の思いを引き出していくことで、お互いの感じ方の違いを知り、作品への見方を広げていくことを期待できると考える。郷土の画家との出会いを通して、作品を身近に感じ、作品に込められた思いに気付かせたいと考えた。

10.本時の指導

【導入】
○体育館床に設置された絵を2階ギャラリーから俯瞰して見る。
どんな感じがしたか第一印象を聞き取った。

「怖い」「暗い」「真ん中に人がいる」と感じた児童の声が多かった。

【展開】
T:「今日はこの大きな絵を鑑賞して、気付いたことや感じたことをみんなで伝え合っていきましょう」
○体育館フロアに降りて、絵を近くでみる。

どんなものが見えたかつぶやくというよりは、ほとんどの児童が大きな絵を右や左、上や下と夢中になって見ていた。
T:「絵の中に見えるものや描かれている部分から感じることをワークシートに書いてみましょう」
○個人で思い思いに鑑賞する。
伝え合うときは、教師がファシリテーターとなり、友達の感じたことを共有できるようにした。
T:「友達が見た部分を探してみよう」「どうしてそう感じたのかな」

・児童の書いた内容
ボート→昔使われていたものかな、花→悲しい感じがする
小さい家→置き去りにされたおもちゃみたい
水→すごく雨が降った後、東日本大震災
倒れた木→寒くて枯れてしまったのかな
荒れ果てたようす→地球温暖化が進みすぎた姿、戦争のあと

○作品にどんな思いが込められているのかをグループごとに考える。
再び2階ギャラリーからグループごとに絵を鑑賞し、ワークシートを参考に感じたことを話し合う。

・児童の反応
「柱に木や草が引っかかっているから、水が向こうから来て、反対側に引いていったような感じがする」
「右側は暗いのに、左側の空は明るいよね。右は過去で、左は未来を表しているのかな」
「自然災害で流された町に戻ってきた人たちかな。中央の船や荒れ果てた感じがするところに人が戻ってきて愕然としているようだな」
「震災かな。浸水している様子や藁などの付き方が水に流された感じがする」

○制作者から話を聞く。

【振り返り】
○振り返りの感想を書く。

・児童の反応
「震災が起こるとこんな感じになるのかと、怖いと思った」
「大きな絵の迫力とそこから伝わってくる加川さんの思いを感じることができて楽しかった」
「震災は、こんなにつらかったんだと思った」
「私たちは震災のときに生まれて震災のことは知らないけれど、絵を鑑賞して知ることができた」
「描き方や色などの工夫がすごくて心をつかまれました」

・水彩画家 加川広重氏ホームページ(kagawahiroshige.net)

「絵から広がる物語(言葉から形・色)」(第3学年)

1.題材名

絵から広がる物語(言葉から形・色)

2.学年

第3学年

3.分野

絵に表す

4.時間数

4時間

5.準備物

教師:八つ切画用紙、スパッタリングやドリッピング、スタンピング等に必要な用具と材料、多様な描画材(クレヨン・パス、油性ペン等)
児童:絵の具用具、国語科「たから島のぼうけん」を基に創作した物語

6.題材設定の理由

 本題材は、物語のお気に入りの場面や登場人物の心情を、形や色、表現技法などを工夫しながら、想像を広げて絵に表す活動である。そこで大切なのは、児童が「この物語の絵をかきたい」という思いをもつことだと考える。本学級の児童は、国語科「たから島のぼうけん」で、場面の様子や登場人物の心情を考えて物語の創作に取り組んできた。そして、物語を書き進める過程で、表紙や挿絵をかくことで、一冊の本を完成させたいという思いを抱くようになった。一冊の本を完成させたいという目的意識をもつことで、自分の物語に対する思いを基に発想を展開し、必要感をもって造形活動に取り組むことができると考え本題材を設定した。扱うことのできる材料や用具が広がり、様々な表現技法を身に付けてきたこの時期に、自分の思いに合った形や色、表現技法を選択し、表現することができたという達成感や、絵に表すことで物語の雰囲気がより伝わるようになったという実感、自分の作品を多くの人が見てくれたという喜びを味わうことは、次の造形活動や楽しく豊かな生活を創造しようとする態度につながると考える。

7.題材の目標

【知識・技能】

  • 水彩絵の具やパスなどの用具を適切に扱うとともに、スパッタリングやドリッピングなどの経験を生かし、手や体全体を十分に働かせ、表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考・判断・表現】

  • 形や色などの感じを基に、自分のイメージをもつ。
  • 物語から想像したことから、表したいことを見付け、形や色などを生かしながら、どのように表すかについて考える。
  • 自分たちの作品の造形的なよさや面白さ、表したいこと、表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 想像を広げて進んで絵に表す活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】

  • 絵に表すときの感覚や行為を通して形や色の感じが分かっている。
  • 水彩絵の具やパスなどの用具を適切に扱うとともに、スパッタリングやドリッピングなどの経験を生かし、表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】

  • 形や色などの感じを基に、自分のイメージをもちながら、物語から想像したことから表したいことを見付け、形や色などを生かしながらどのように表すかについて考えている。
  • 形や色などの感じを基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品の造形的なよさや面白さ、表したいこと、表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、見方や感じ方を広げている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わい、想像を広げて進んで絵に表す活動に取り組もうとしている。

9.指導計画

【1時目】

  • 場面の様子や登場人物の気持ちなどを基に、物語の表紙の絵に表す形や色などを考え、イメージマップに表す。
  • 形や色、表現技法を様々に試しながらイメージに合った表し方を見付け、アイデアスケッチをかく。

【2時目】

  • 表したいことに合わせて、形や色、スパッタリングやドリッピングなどの表現技法を工夫して表紙の絵をかく。
  • 形や色、表現技法を選び、組み合わせることで、自分のイメージする表現に近づける。

【3時目】

  • 友だちの作品を見たり、意見交流をしたりすることで、より自分のイメージに合った表現に近づける。
  • 本題材で製作した表紙と国語科で書いた物語を合わせて、一冊の本を完成させる。

【4時目】

  • 友だちに自分の作品を紹介したり、友だちの作品を鑑賞したりして、作品のよさを見付ける。
  • どこに展示するとたくさんの人に見てもらえるかを考え、展示の計画を立てる。
  • 活動の振り返りをする。

10.活動の様子

【1時目】
 物語のテーマ(友情、挑戦など)や登場人物の心情などを、どのような形や色、表現技法にすれば表現できるかを考え、イメージマップに表した。そのイメージマップを基に、実際に様々な形や色、表現技法を試しながら、自分のイメージに合った表し方を見付けてアイデアスケッチを作成した。自分で創作した物語への思いが強く、かきたいイメージがはっきりとしているために、イメージマップから試しの表現、アイデアスケッチの作成へと、活動が停滞することなく意欲的に活動することができていた。

1)イメージマップ2)アイデアスケッチ

 ここでは、児童一人ひとりが、自分の個性を発揮して造形活動ができるような学習環境にするため、スパッタリングやドリッピング等の表現技法を試す場を設定したり、アクリル絵の具やパス、油性ペン等の描画材を準備したりすることで、児童が自分の思いを試しながら納得のいく表現をすることができるようにした。そのことで、様々な形や色、表現技法を試しながら、自分の思いに合った表現を見付けようとする児童の姿が見られた。

3)表現技法コーナー4)試しの表現

【2時目】
 表紙の絵をかく活動でも、1時目と同様に児童が個性を発揮して造形活動ができるような学習環境を設定した。活動中には、「この色の方が物語の雰囲気に合っているから、色を変えてみよう」「思っていた感じと違うから、別の表現技法を試してみよう」というように、より自分のイメージした表現に近づけようとする児童の姿が見られた。

5)6)形や色、表現技法にこだわりをみせる児童

【3時目】
 自分のイメージする表現に近づけることはもちろん、読み手を意識した表紙をかきたいという思いから、「どのような構図や色遣いにすれば手に取ってもらえるかな」「物語の雰囲気を表すためにはどういう形や色が合っているかな」など、造形的な見方・考え方を働かせながら活動することができていた。また、友だちにアドバイスを求めたり、友だちの表現を参考にしたりする児童の姿も見られた。製作した表紙を国語科の物語と合わせ、一冊の本として完成させた。

7)友だちにアドバイスを求める児童8)じっくりと自分の表現に向き合う児童

【4時目】
 「たくさんの人に読んでほしい」「友だちの本を読んでみたい」という児童の思いから、互いの本を鑑賞する活動を設定した。児童は物語の内容と共に、その内容に合わせた表紙の絵の工夫を見付けることができていた。同じ思いをもって活動に取り組んだからこそ、友だちの表現のよさに気付くことができたと思われる。さらに児童の提案により、貸出カードを準備して互いの本の貸し借りができるようにした。休み時間には貸出コーナーの前に集まり、たくさんの友だちと本を囲んで談笑する児童の姿が見られた。そこでは、「○○さんの本を借りて、お母さんと一緒に読んだよ。」「先生、私の本もう4人も借りてるんだよ!」という児童の嬉しそうな声が聞こえてきた。図画工作科の授業と児童の生活がつながった場面である。

9)鑑賞の様子10)貸出コーナー

11)児童作品12)児童作品

13)児童作品14)児童作品

「ふぞく小のへんてこたいそう」(第2学年)

1.題材名

「ふぞく小のへんてこたいそう」工作に表す

2.目標

【知識及び技能】

  • KOMA KOMA×日文(*1)アプリ等を利用してアニメーションをつくるときの感覚や行為を通して、形や色などに気付く。
  • 「KOMA KOMA×日文」に十分になれるとともに、手や体全体の感覚などを働かせ、表したいことを基に表し方を工夫して表す。

【思考・判断・表現】

  • 形や色などを基に、自分のイメージをもつ。
  • 絵本『へんてこたいそう』(*2)を見て感じたことから表したいことを見付け、好きな形や色を選んだり、いろいろな形や色を考えたりしながら、どのように表すかについて考える。
  • 自他の作品の造形的な面白さや楽しさなどについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 楽しく『へんてこたいそう』を見て感じたことからアニメーションに表す活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しい生活を創造しようとする。

3.評価規準

【知識及び技能】

  • 「KOMA KOMA×日文」アプリ等を利用してアニメーションをつくるときの感覚や行為を通して、形や色などに気付いている。
  • 「KOMA KOMA×日文」に十分になれるとともに、手や体全体の感覚などを働かせ、表したいことを基に表し方を工夫して表している。

【思考、判断、表現】

  • 形や色などを基に、自分のイメージをもちながら、絵本『へんてこたいそう』を見て感じたことから表したいことを見付け、好きな形や色を選んだり、いろいろな形や色を考えたりしながら、どのように表すかについて考えている。
  • 形や色などを基に、自分のイメージをもちながら、自他の作品の造形的な面白さや楽しさなどについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • 互いの表現の違いや面白さや楽しさを味わい、主体的に活動に取り組もうとしている。

4.題材について

(1)題材設定の理由
 GIGAスクール構想の実現が前倒しで進んだため、令和2年度中に1人1台端末の整備が整い、コンピュータを学習に用いる場面が増えた。しかし、急激な整備であったため、導入段階である低学年を対象とした実践はまだ多くないように感じる。また、使うことだけで終わってしまい、教科の見方・考え方に迫るような実践は多くないと考える。そのような状況の中で、ICT活用能力と図画工作科で身に付ける資質・能力を相関的に高めるため授業デザインを意図し、本題材を設定した。

(2)指導にあたって
 子どもたちはカメラ機能を使用したことはあるが、絵を動かすということは初めてだったので、主に「KOMA KOMA×日文」アプリの扱いについては丁寧に指導するようにした。動かせるようになってからは、何度もやり直したり、よりよくするために考える時間を確保したりする時間を設定した。また、友人と交流する中で表現の深められるようにすることを意図して、できた作品は「Microsoft Teams」(*3)にアップロードして共有したり、ペアで協力しながら撮影したりするなどして、交流場面が増えるように工夫した。イメージしたことが具現化できるように、一人一人に合わせた具体的な指導・支援をするように留意した。

5.準備物

教師:トレーシングペーパー
児童:個人用タブレット端末、カラーペン、色鉛筆、筆記用具

6.指導計画(全2時間)

(1)『へんてこたいそう』を鑑賞したことからイメージを広げ、学校のいろいろな場所にあるマークを、簡単なアニメーションの仕組みを生かして、工夫して動かすことを楽しむ。(1.5時間)
(2)完成したマークを展示し、交流しながら鑑賞する。(0.5時間)

7.活動の様子

(1)絵本『へんてこたいそう』を読み聞かせした後、学校にあるいろいろなマークを探してタブレットで撮影する。
 導入では、絵本『へんてこたいそう』の読み聞かせをした。絵本の中に出てくるマークの動きをまねしながら、興味深く聞く様子が印象的だった。
 その後、学校の中にあるいろいろなマークを探しに行き、タブレット端末を使用して撮影した。改めていろいろなマークがあることに気付くことができた。

●マーク探しの探検

(2)教室に戻り「KOMA KOMA×日文」アプリを使用して二コマの写真を使用したアニメーションを製作する。
 教室に戻った後、「KOMA KOMA×日文」アプリを使用してマークを動かすための方法を指導した。指導の際には、「KOMA KOMA×日文」アプリの画面をミラーリングで大型モニターに映し、どのように行うかを具体的に指導した。
 その後、自分の撮影してきたマークの中から動かしたいものを選び、どのような動かし方をするか考えながら絵に表した。トレーシングペーパーを半分に折り、最初は下の方に絵をかき、次にトレーシングペーパーを重ねて下の絵をすかしながら、動いた姿をかいた。何度もめくって重ねてを繰り返しながら、イメージに合う動きになるように工夫して表していた。

●イメージに合うように工夫して表現

 トレーシングペーパーに絵をかいた後、「KOMA KOMA×日文」アプリを利用して撮影した。イメージした動きになったか確かめながら何度も撮影する様子が見られた。撮影機能はとてもシンプルなので、低学年の児童でもアプリの操作がスムーズにできていた。動く時間を調整するために、同じ絵を二回撮影する方法なども使いながら工夫していて表す様子も見られた。

男子トイレエレベーター

家庭科室AED

(3)製作したアニメーションを、「MicrosoftTeams」にアップして互いに鑑賞し合い、感想を交流する。
 できた作品は、「MicrosoftTeams」上にアップロードして見合えるようにした。自分の作品についての感想を書き込んだり、他の児童の作品にリアクションしたりしながら交流し、互いの作品の違いや面白さ・楽しさなどに気付く様子が見られた。「KOMA KOMA×日文」アプリは作品がGIFアニメで保存されるので、アップロードする際にも使い勝手がよかった。

(4)QRを作成し、マークのそばに掲示。タブレットを使用してAR(拡張現実)のような鑑賞体験を楽しむ。
 完成した作品を広く鑑賞してもらえるようにするため、クラウド上に作品のデータを入れ、リンクをQRコードで作成し、モデルにしたマークの近くに展示した。タブレット端末を持参してQRコードを読み込むと、動くマークが画面に表示され、それを実際のマークを見ながら鑑賞すると、あたかも実際のマークも動いているような感じになり、ARのような鑑賞を体験できた。

●QRコードを使用した展示

 鑑賞の後、学習を振り返った子どもたちの意見としては以下のようなものが挙げられた。
・工夫して絵を動かすのが面白かった。
・タブレットを使うと、今までできないようなことができて楽しかった。
・簡単な仕組みでできたのがすごいと思った。
・友だちの作品も面白かった。いいところは真似してみたい。
・もっといろいろなマークを動かしてみたい。
 造形的な見方・考え方を働かせながら意欲的に活動することを通して、満足のいく活動になったという様子が見られた。他の学年の児童も作品を鑑賞して「面白かった」「自分たちでもやってみたい」と感想を伝えてくれた。広く鑑賞の機会をつくったことも学習効果を上げるために効果的であったように思う。

実践で使用したコマ撮りアニメーション制作アプリ「KOMA KOMA×日文」や、そのほかのアニメーション作品については、こちらのWebサイトでご確認ください。
https://www21.nichibun-g.co.jp/komakoma/?utm_source=cs046

*1:https://www21.nichibun-g.co.jp/komakoma/app/
簡単にアニメーションをつくれるアプリ。パソコンやタブレット上で使用できる。
*2:新井洋行『へんてこたいそう』2021 小峰書店
https://www.komineshoten.co.jp/special/hentekotaiso/
*3:「MicrosoftTeams」とは、Microsoftが提供するグループチャットのソフトウェアである。プロジェクト別あるいは個人間でさまざまなやりとりができる。テキストチャットだけでなく、Skypeを使った通話やビデオチャットも可能である。また、Word、Excel、PowerPointなどの文書ファイルをMicrosoft Teams内で直接開いて操作できる。

※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。

「形が動く 絵が動く」(第5学年)

1.題材名

「形が動く 絵が動く」
工作に表す

2.目標

コマどりアニメーションの仕組みを使って、表し方を工夫する中で、普通なら動かないものが動く面白さを発見したり、動きのキーワード(ウゴワード)をもとに「動き」を追求したりして、アニメーションをつくる。

【知識及び技能】

  • コマどりアニメーションの仕組みを使って、楽しい動きや変化をつくるときの感覚や行為を通して、動き、奥行き、バランスなどを理解する。
  • 表現方法に応じてデジタルカメラやタブレットコンピュータを活用するとともに、前学年までの材料や用具についての経験や技能を総合的に生かしたり、表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして、表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  • 動き、奥行き、バランスなどを基に、自分のイメージをもちながら、材料などを動かして感じたこと、想像したこと、見たことから、表したいことを見つけ、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じなどを考えながら、どのように主題を表すかについて考える。
  • 動き、奥行き、バランスなどを基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 主体的にコマどりアニメーションの仕組みを使って、楽しい動きや変化をつくる学習活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする態度を養う。

3.題材設定の理由

 動画や写真を撮影したり編集したりすることが当たり前な社会に生活する子どもたちにとって、アニメーションをつくることはとてもワクワクする活動であると考えた。また、今回の活動では、動きを何度も確認したり友人と見合ったりできるよう、「KOMA KOMA×日文」 アプリを使って取り組んだ。
 題材においては、「動き」を追求できるように、動きに関するキーワード「ウゴワード(回転・集合・行進・広がる)」を提示した。動かすものは「ありえないこと」を生み出す楽しさを感じられるように、「普通だったら動かない」身近なものとし、子どもたちの筆記用具や図工室にある材料・用具を使用した。消しゴムや鉛筆が命を吹き込まれたように動き出した瞬間、子どもたちの心が動くことを期待したい。
 指導にあたっては、タブレットの基本操作に慣れるためにも、まず共通のウゴワードを提示し、必然的に「動き」に着目できるようにした。また、ウゴワードによって、互いの動かし方や撮影の仕方の工夫を見つけやすくし、友人のよさを取り入れながら表し方を自分なりに工夫できるようにした。
 情報モラルの指導においては、実体がない動画作品の取り扱いについて、絵や立体の作品と同じように大切にしなければならないということを丁寧に確認した。子どもたちにとって身近なものであり、簡単に操作ができるからこそ、軽いものと捉えず、作品の尊さをしっかりと感じ取ってほしい。

4.準備物

教師:背景に使うパーテーション(プラスチック段ボール)、書画カメラ、教師用タブレット、プロジェクター、図工室に普段から置いてあり自由に使えたりなじみがあったりする材料・用具(色画用紙、カラーペン、描画材、木材など)
児童:タブレット

5.指導計画(全5時間)

  1. アニメーションの仕組みを知り、活動の見通しをもつ。
    動きのキーワード(ウゴワード)「回転・集合・行進・広がる」をもとに、身近なものを使って表す。(2時間)
  2. 動きや変化を確かめながら、表したいことを考え、形や色、配置、動かし方などを工夫して表す。
    ウゴワードを自分で考えてつくる。(2時間)
  3. 作品を鑑賞し、作品のよさや面白さについて伝え合う。(1時間)

6.資質・能力を育成するための指導の手立て

【知識及び技能に関する事項】

  • 子どもたちが何度も試しながら表し方を工夫できるように、アニメーションをつくるときの撮影の方法や再生・保存の仕方を導入で簡潔に説明する。
  • どのような動きに見えるか、確かめながらつくるように声かけをする。
  • 表したいことに合わせて材料を選べるように、図工室にある身近なものを自由に使えるようにする。
  • アニメーションをつくるときの撮影の方法に慣れることができるように、共通の動きのキーワード「ウゴワード」をはじめに提示する。

【発想や構想に関する事項】

  • 「動き」に着目し、面白い動きを生み出したり、同じキーワードからいろいろな表し方が考えられることに気づいたりできるように、共通の動きのキーワード「ウゴワード」をはじめに提示する。
  • 子どもたちの活動の中で見つけた、カメラの位置、撮影の場所、動かし方、対象物などの工夫を共有し、より発想が広がるようにする。

【鑑賞に関する事項】

  • 共有フォルダに保存し、いつでも互いの作品を見合い、友人の作品のよさを理解しながら、共感・賞賛し合えるようにする。
  • 作品を鑑賞する際に、「どんな動きが面白かったか」「どんな表現がよかったか」など、動きのよさや造形的なよさに着目できるよう声かけをする。

【学びに向かう力、人間性等に関する事項】

  • 動きや変化について友人と話し合いながら活動することを促す。
  • 友人の作品を見ることで、いろいろな表現方法があることに気づけるようにする。

7.指導のポイント

●ウゴワード
 「お話づくりではなく、みんなには動きの面白さをとにかく追求してほしいんだよ。だから動きのキーワード、名付けてウゴワードをみんなに紹介するね」と始まった今回の題材。あらかじめ動きが生まれやすい言葉「回転」「行進」「集合」「広がる」を用意し、くじのように引き当て提示した。
 動きに着目した「ウゴワード」は、響きもキャッチーで子どもたちの心をつかみ、活動の方向を明確にした。アニメーションづくりは、ストーリーをつくりこむ面白さもあるが、ストーリーに固執してしまうと動きに変化が出づらく、折角のコマどりアニメーションの面白さを最大限に感じることが難しいと考えた。
 活動していくと、子どもたちの中からこんなウゴワードはどうかな?とアイディアが生まれてきた。はじめのウゴワードで生まれた多様な動きを生かしたり、新たな動きを発見したりしながら、自分なりに考えたウゴワードでつくることで、活動がどんどん発展していくことを目指した。

●「ありえない」を生み出す面白さ
 「普通だったら動かない」ものを対象物にすることで、それが命を吹き込まれたように動き出す「ありえない」ことへの驚きが子どもの心を大きく動かすことを期待した。その心の動きが、何度も試しながらつくったり、友人の作品のよさを積極的に取り込んだりする意欲につながると考えた。

●情報モラル教育
 ICTを活用するうえで外せないことが、情報モラル教育である。つくる楽しさだけでなく、機器の正しい使い方や、データの扱い方は自分や友人を守ることになることをしっかりと伝える必要がある。情報にあふれた時代だからこそ、子どもたちには正しい知識を身に着けてほしい。

8.授業の様子

●導入

 最初にくじ引きして取り出したウゴワードは「行進」。全員が「行進」をテーマにアニメーションづくりに取り組んだ。一次の中盤で二つ目のウゴワード「広がる」を提示し、「行進」をさらに追求してもよいし、「広がる」で新しくつくってもよいことを伝えた。

●作例

 教師の作例として、「普通だったら動かない」ペンが動いているアニメーション作品を見せた。また、同様にペンを使って、撮影の方法などを演示した。

●背景に使うパーテーション

 背景用に、プラスチック段ボールで作ったパーテーションを用意した。用意したパーテーションを使う児童は多かったが、色画用紙で背景をつくる児童、カメラの位置を低くしたり、真上から撮影しようとしたりする児童もいた。

●動きを確かめる児童

 撮影画面を見ながらもののずらし方を考えたり、何度も再生して動きを確認したりしながら、児童は製作に取り組んでいた。

9.作品

●ウゴワード「行進」でつくられた作品

●ウゴワード「広がる」でつくられた作品

実践で使用したコマ撮りアニメーション制作アプリ「KOMA KOMA×日文」や、そのほかのアニメーション作品については、こちらのWebサイトでご確認ください。
https://www21.nichibun-g.co.jp/komakoma/?utm_source=cs045

「あちこちクリエイター」(第5学年)

1.題材名

「あちこちクリエイター ~サーボモーターの仕組みから~」工作に表す

2.目標

Micro:bitでプログラミングしたサーボモーターの動く仕組みを使って,表したいものを考え,材料や用具の使い方を工夫して表す。

3.評価規準

【知識及び技能】
・あちこち動くサーボモーターの仕組みを使い,楽しく動くものをつくることを通して,動き,バランスなどを理解している。
・表したいことに応じて身辺材などを活用するとともに,前学年までの材料や用具についての経験や技能を生かして,表し方を工夫して表している。

【思考,判断,表現】
・動き,バランスなどを基に,自分のイメージをもち,仕組みを動かして感じたことなどから,表したいことを見付け,形や色,材料の特徴,構成の美しさなどを捉え,どのように主題を表すかについて考えている。
・自他の作品の造形的なよさや美しさ,表現の意図や特徴,表し方の変化などについて,感じ取ったり考えたりし,自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】
・つくりだす喜びを味わい主体的にサーボモーターの仕組みを使って,楽しく動くものをつくったり鑑賞したりする学習活動に取り組もうとしている。

4.題材について

(1)題材設定の理由
 プログラミング学習が必修化され,1人1端末が整備される中,子どもがコンピューターを学習に用いる場面が多くなってきた。また,国際的にみてもSTEAM教育の重要性も指摘されている。しかし,プログラミングをするだけで終わってしまい,教科の見方・考え方に迫るような実践は多くないと考えている。そのような状況の中で,プログラミングと図画工作科がお互いを高め合うような学びをねらった。工作に表す領域には,動きを生かして表現する機構工作がある。サーボモーターのプログラミングと合わせれば,そのような学びに迫れるのではないかと考え,この題材を設定した。

(2)児童について
 高学年の子どもたちは,今までにたくさんの材料や用具と出会い,多様な造形活動を経験してきている。その経験の中から,表したいことに合わせて表現方法を選ぶことができるようになっている。論理的に考える力も身についてきており,仕組みをうまくいかして表現することにも意欲的なことが多い。また,社会的な話題や他教科等で学習したことを作品に取り入れる表現等も表れてくる。このような要素から,子どもたちの多様な表現が予想されるので,思いついたことができるように支えたい。

(3)指導に当たって
 子どもたちはプログラミングしサーボモーターを動かすことが初めてなので,機器やアプリの扱いについては丁寧に指導するようにした。動かせるようになってからは,十分に考える時間を確保したり,手を動かして考えたりできるような環境を設定した。また,友人とのやり取りの中での,表現の深まりを期待するため,自然な交流が生まれるように動線を工夫した。今まで経験してきた材料や用具が思い出されるように声かけしたり,思い描いた動きになるようにプログラムを整理したりと,1人1人にあった柔軟な指導を心掛けた。

5.準備物

教師:Micro:bit,サーボモーター,ストロー(φ4mm),マスキングテープ,紙コップ,小さめの箱,紙皿,色画用紙,カラーペン,はさみ,カッターナイフなど
児童:個人用PC,筆記用具

6.指導計画(全4時間)

(1)Micro:bitをプログラミングして,サーボモーターを動かしながら表したいことを考えよう。(1時間)
(2)材料の使い方やサーボモーターの動かし方を工夫しながら,思いついたことを表そう。(3時間)

7.活動の様子

(1)Micro:bitをプログラミングして,サーボモーターを動かしながら表したいことを考えよう。(1時間)

①Micro:bitを用いたプログラミングのやり方を知り、サーボモーターを動かす。

子どもたちは初めてのプログラミングだったので,やり方をまとめた資料やその他必要な情報をPCに送って共有した。また、プログラムのダウンロードや各機器の接続といった作業も必要なので,ゆっくり確実に進めることを大切にした。サーボモーターが動いたときは「やった。動いた。」と喜び,表現への意欲の高まりがみられた。

②サーボモーターの動きから表したいことを考える。

「ええ~と、どうしようかな…」
じっと,サーボモーターの動きを見つめる子,とりあえず動く部分に色画用紙を貼ってみる子,土台の種類や土台の貼り付け方をいろいろ試す子。それぞれがそれぞれの考え方をしていた。そのうちに、「これ、○○みたいだな」と考えが浮かんできたようだ。

③友人と考えを共有し,自分の考えを深める。

「私はこういう感じで表そうと思ってる」「なるほど、とってもいいね!」
しばらくすると,友人の考えが気になってきた様子で自然と交流が始まったので、「もっと交流していいよ」と全体に声をかけた。自分の言葉で説明したり,友人の考えを聞いたりすることで,さらに考えを深めていった。

(2)材料の使い方やサーボモーターの動かし方を工夫しながら,思いついたことを表そう。(3時間)

①表したいことに合わせて、材料や用具を工夫してつくる。

今回は電子機器が作品に使われるので,接着は粘着力の低いマスキングテープを用いた。
「こうしたいんだけど……どんな材料を使おうかな」「割りばしとか使えるかも」。
基本は色画用紙を使うが,子どもたちは今まで積み上げてきた材料の経験を生かしながら活動していた。材料の形や色を工夫して,自分の表したいことに迫っていった。

②製作途中の作品の動画を撮って共有し,鑑賞する。

この題材は動きを生かした表現が重要なので,学習支援アプリを使い,動画を撮って共有し,鑑賞した。製作途中で鑑賞することで,他の表現から刺激を受け,自分の考えが広がったり深まったりすることをねらった。ICT環境がないときは,鑑賞するのに手間取ったり時間がかかったりしていたが,この方法によって,スムーズに鑑賞することができた。副次的な効果として,自ら動画を撮ることで,自分の作品を客観的に見ることにもつながった。

③材料やサーボモーターの動かし方を工夫しながら,思いに合わせてさらにつくる。

「みてみて~。こんなのできた!」
表したいことが形になってくると,モーターのプログラムを工夫する。そのプログラムを試しながら,表したいことをさらにつくっていく。図工のいい所とプログラミングのいい所がうまく響き合って,子どもの表現を深めていた。

「ホームランって,文字が出るようにしたよ。」
Micro:bitはサーボモーターの制御以外にも,LEDを光らせて絵や文字を表示したり,音楽を流したりするなどいろいろなことができる。モーターを動かすプログラムしか伝えていなかったが,いつの間にか作品にそのような表現を取り入れる子も表れ始める。ただそのようなプログラムに熱中しすぎて,モーターの動きを作品にいかすことがおろそかにならないように,「へぇ!文字も表示できるんだね」など,個別に価値づけるようにした。

④できた作品を鑑賞し,学習活動をふりかえる。

自分の考えた通りにモーターの動きをプログラムできるので,作品に多様性があったと感じる。また動画を撮って共有もしたが,最後は,実際の作品を見て回った。画面ではなく,実物を見ることで,立体的な感覚が働き,作品の迫力やかわいらしさをより感じることができたようだ。

8.作品

島に取り残された人。SOS!助けて~

出動!ドクターヘリ

アウト!ワニがおそってくる!(Micro:bitでプログラムしたゲームでアウトになるとワニに襲われる。)

打つ!ウツ!リアルな野球場。(野球場の音楽が流れて,ボールを打つ。その後,ヒットという文字が表示される。)

「つながる つながる みちとまち」(第6学年)

1.題材名

想像のまちをかこう「つながる つながる みちとまち」

2.学年

第6学年

3.分野

「絵に表す」「鑑賞する」

4.時間数

4時間

5.準備物

教師:絵本「旅の絵本 安野光雅 福音館書店」,色画用紙(四つ切画用紙すべてに道の起点と終点の印をつけておく),ハードパステル
児童:クレヨン・パス,カラーペン

6.題材設定の理由

 生産年齢人口の減少,グローバル化の進展,技術革新等によりこれからの社会は,ますます予測困難な社会となっている。さらに人工知能の進化は,これからの社会を一変させると予想されている。そのような中で,子どもたちには,他者と協働して課題を解決したり,様々な情報を見極め,新たな価値を生産したりしていくことが求められている。
 このような状況を見たとき,図画工作科の果たす教育的役割は大きい。しかしながら,「感性や想像力を豊かに働かせて,思考・判断し,表現したり鑑賞したりするなどの資質・能力を相互に関連させながら育成する」ことが十分ではないなど,教科としての課題が残っていたり,図画工作科の授業を苦手としている教師がいたりするのも現状である。これらを鑑み,私は,「主体的・対話的で深い学び」の視点の下に本題材を開発し,地区の研修会で先生方を児童に見立て模擬授業を行った。すると,菊地先生がご自身のクラスで私の指導案を基に実践を行ってくださった。本稿はそれをまとめたものである。
 発見,楽しさ,驚きは,創造活動の原動力である。本題材では,まず俯瞰的な視点による表現についての鑑賞を行う。そこで子どもたちは,発見をする。次にそれを基にグループで「テーマの設定」・「用紙や画材の選択」をし,楽しく個々の製作を行う。最後にそれらをつなぎ合わせ共同作品とし,そのダイナミックさや多様性に驚きながら相互鑑賞をする。これらの活動を通して,子どもたちは,必然的に「主体的な学び」や「対話的な学び」「深い学び」を行うとともに,表現と鑑賞が一体化され,様々な表現や思いにふれ,豊かな情操を培うことができるものと考える。

7.題材の目標

【知識及び技能】
・安野光雅の絵本を鑑賞したり,想像した街を絵に表したり友人とつなげたりするときの感覚や行為を通して,動き,バランスなどを理解する。
・表現方法に応じてハードパステル,クレヨン・パス,ペンなどを活用するとともに,前学年までの材料や用具についての経験や技能を総合的に生かしたり,表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして,表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考力,判断力,表現力等】
・安野光雅の絵本を見たり,話し合ったりしながら感じたこと,想像したこと,見たことから,表したいことを見付け,形や色,材料の特徴,構成の美しさなどの感じなどを考えながら,どのように主題を表すかについて考える。
・安野光雅の絵本や自分たちの作品の造形的なよさや美しさ,表現の意図や特徴,表し方の変化などについて,感じ取ったり考えたりし,自分の見方や感じ方を深める。
・動き,バランスなどを基に,自分のイメージをもつ。

【学びに向かう力,人間性等】
・主体的に安野光雅の絵本を鑑賞したり,想像した街を絵に表したり友人とつなげたりする学習活動に取り組み,つくりだす喜びを味わうとともに,形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識及び技能】
・安野光雅の絵本を鑑賞したり,想像した街を絵に表したり友人とつなげたりするときの感覚や行為を通して,動き,バランスなどを理解している。
・表現方法に応じてハードパステル,クレヨン・パス,ペンなどを活用するとともに,前学年までの材料や用具についての経験や技能を総合的に生かしたり,表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして,表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。

【思考,判断,表現】
・動き,バランスなどを基に,自分のイメージをもちながら,安野光雅の絵本を見たり,話し合ったりしながら感じたこと,想像したこと,見たことから,表したいことを見付け,形や色,材料の特徴,構成の美しさなどの感じなどを考えながら,どのように主題を表すかについて考えている。
・動き,バランスなどを基に,自分のイメージをもちながら,安野光雅の絵本や自分たちの作品の造形的なよさや美しさ,表現の意図や特徴,表し方の変化などについて,感じ取ったり考えたりし,自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】
・つくりだす喜びを味わい主体的に安野光雅の絵本を鑑賞したり,想像した街を絵に表したり友人とつなげたりする学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画(全4時間)
実践協力:福島県須賀川市立長沼東小学校 菊地優子

(1)「どんな『まち』にするか話し合おう」 1時間
  • 絵本「旅の絵本」(安野光雅 作 福音館書店)を俯瞰的な表現法の視点を基に鑑賞する。
  • 絵本をテレビ画面に投影しながら「文章が一言も書いていないね」「すべてのページで共通している視点は?」「どこから見て描いたように見えるかな?」などの働き掛けをしながら鑑賞し,空から見ているように街をかきたいという意欲を高める。
  • 製作のイメージが膨らんだところで,「グループごとに自分たちの想像のまちをかこう」と提案をし,グループ活動に入る。
  • グループで話し合い,「まちのテーマ」を決め,ワークシートに記入する。
  • テーマに合った画用紙の色や画材について話し合い,ワークシートに記入する。

(2)「自分のまちをかこう」 2時間
  • グループでの話し合いを基に,テーマに合った色画用紙を選択する。画用紙には,教師があらかじめ,道の起点Aと終点Bの印を付けておき,必ず印のところから道をかき始め,終点で出て行くことを確認する。
  • 起点と終点の決め方のポイント:①画用紙の左側の一点を起点Aとする。右側を終点Bとする。②AとBを同じ高さにすると,組み合わせたときに画用紙がずれることなく組み合わさるが,道が直線的になりやすく面白さに欠ける。図のように位置を変えることで,組み合わさった時の驚きや感動が生まれる。③起点,終点の印の付け方は,画用紙を重ね,それをずらして,印を付けると簡単にできる。なお,起点と終点の道幅は,同じにする。


(3)「みんなの絵をつなげてみると…」 1時間
  • まず,グループで絵をつなげでみる。「うわー!つながった」「○○さんのここの道が分かれたところがいいね」「ねえ,つなぐ順番を変えたらどうかな?」「なんか違ったまちに見えるね。」
  • グループで絵をつなぎ,それぞれの作品のよさやテーマについて話し合う。
  • 他のグループの作品を見て話し合う。
  • 友人の作品を見てそのよさを伝える。


  • 次に学級全員の作品をつなげてみる。「わあ!ぜんぶが,つながるよ」「楽しいね」

  • みんなの絵をつなげて,出来上がった共同作品のよさや思ったことや考えたことを話し合う。ワークシートに書く。発表する。


10.おわりに

 今回は第6学年で実践したが,この題材は,アレンジをすることで,他の学年でも実践することができる。以下は,その例である。
【低学年】
「すすめ わたしたちの ゆうえんち」
道を通路にして,ジェットコースターやいろいろなアトラクション,人々をかき,それらを組み合わせて遊園地をつくる活動。
【中学年】
「すすめ 海底トンネンル」
道をトンネルにして,海底の中を人が歩き,周りにいろいろな海底生物をかく活動。
「すすめ 宝島」
宝島の財宝に続く道をかき,島に隠されたトリックやいろいろな自然をかく活動。