先輩からのアドバイス vol.17
【マンガ】田村君の美術館デート

iPhoneアプリ「中学美術先生のためのABC」の一部コンテンツをWeb版として収録した本コーナー。指導や授業で、つまづきがちな悩みや疑問をとりあげ、ベテラン教師から読者と同じ目線で問題解決へのアドバイスを提案します。

ここがポイント


3つの観点と鑑賞の能力

 平成29年に新たな学習指導要領の内容が公示されました。改訂された内容の中でも大きな注目を浴びたのが、育成したい資質・能力を三つの柱にまとめたことです。これにより各教科の目標・内容についてもこれらの柱で整理されることになりました。同じように評価の観点についても「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という3つの観点が示されています。これまでの4つの観点には「鑑賞の能力」という観点が示されていましたが、観点の記述としては鑑賞の言葉が消えたことになります。現場では、しっかりとした指導者の意識がないと、独立した学習活動としての鑑賞活動が弱まることにつながるかもしれません。

美術作品を鑑賞するということ

 鑑賞は「美術作品などに関する鑑賞」と「美術の働きや美術文化に関する鑑賞」に分けることができます。特に美術作品などに関する鑑賞は、資料集などの提示で紹介することはできても、授業の中で本物の作品に触れることは難しいのが現状です。そこで美術館に足を運び、本物の作品に触れるという鑑賞を、夏休みなど長期の休み期間に、生徒たち自身の個人的な行動にゆだねることは仕方のないことなのかもしれません。本物の作品との出会いは生徒たちに多くの発見や鑑賞の視点を与えてくれます。しかし、その感じ取り方が豊かなものとなるためには、事前に鑑賞する楽しさを味わわせるための、多様な視点を示すことが大切です。学びとしての鑑賞の方向性を教師が一方的に強要することなく、個々の審美眼にゆだねてみましょう。鑑賞後はそれぞれの感想を発表し合い、話し合うことで気づかなかった作品のよさや美しさ、作品の持つ魅力について学びを深めることができます。作品の魅力に直接触れた感動は、言わずとも子どもたちの一生の宝物として素敵な価値意識を形成することでしょう。

(シナリオ・監修、文 川合 克彦)