堀越学園で皆勤賞!?

生活&総合教室No.58表紙

 中学校を卒業した後、上京して堀越学園に入りました。それから17歳でデビューしたんですけれども、そのころは仕事もあまりなくて、毎日学校に通ってましたね。1回も休みませんでした。
 仕事で忙しいクラスメイトのためにノートをコピーしたり、生徒会の行事だったり、そっちの方が忙しかったかな(笑)。
 担任の理科の先生は、授業は厳しかったですが、冗談が好きで、生徒と真剣に付き合ってくれてすごく励みになりましたし、わたしをかわいがってくれた体育の先生は、「体操の選手になれ」っていつも声をかけてくれました。とにかくいろんなことが忙しくて、充実していましたね。同じクラスの、売れっ子のクラスメイトと自分を比べてあせる気持ちはありましたけれども、その反面、学園生活は「必要としてくれる先生がいる!」とか「ああ、求められているんだ!」という充実感がありました。今思えばそれがなかったら挫折していたかもしれません。
 学校に行かなきゃ本当に楽しいことを見逃してしまうっていう風に思えるような空間になればいいですよね。
 現いま在、10歳になる息子と一緒に過ごす時間をできるだけ大切にしています。親として教えてあげられることは何だろうかとよく自問自答しますが、いつか自分がだれにも負けない好きなことを見つけてほしいと思っています。勉強でも、趣味でも、何でもいいんです。わたしは偶然にも1番好きなことを仕事にできて本当に恵まれていると思います。好きなことがつづけられる幸せって、かけがえのないものなんだよっていうことだけは伝えてあげたいと思います。
 息子の通う学校にも、子どもと一緒に本当に感動したり、励ましあったりっていう先生がたくさんいらっしゃるので、とても心強く思います。授業だけじゃなくて、運動会とか音楽会だとか、そう
いう時に子どもたちと一緒に喜んで、感動して泣いてくれてっていう先生の姿を見ると本当に感謝しています。
 先生方には、これからも子どもたちとともに、いい学び舎を築いていってほしいですね。(談)

松本明子

松本 明子

1966年生まれ。香川県高松市出身。
日本テレビのオーディション番組「スター誕生!」第44 回決勝大会に合格し、デビュー。バラエティ番組などで明るいキャラクターで人気を得る。
2000年に第一子となる長男を出産。現在は、仕事に子育てに奮闘中。
松本明子オフィシャルブログico_link


愛情のこもった言葉を…

生活&総合教室no57表紙

 五輪選手ってもともと特別な人じゃないの?…という先入観をおもちの方って結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。
 実は、わたしが本格的に陸上部に入部したのは、高校生からなんですよ。
 中学3年の夏にテニス部を引退した後、駅伝の人数が足りないから「ちょっと手伝って!」と誘われたのがきっかけなんです。
 周囲の人がたまたまかけた一声や、先生や両親からほめられたことって、嬉しくていつまでも覚えていたり人生を大きく左右する言葉になったりするかもしれないですね。
 特別素敵な言葉を用意する必要はありません、想いがこもっていれば大丈夫なんです。例えば、わたしが指導を受けた小出義雄監督はとにかくコミュニケーションを大切にする方でした。
 「ちばちゃんならできるよ」…と来る日も来る日も言われつづけていると、最初は本当かな?と不安に思うことも正直ありましたが、そのうち監督の言う通りかもしれないと心から信じられる自分へと変わっていきました。
 現役を引退してからは全国各地を飛び回り、小学生のマラソン教室への参加や、小学校を訪問し一日だけの夢先生などの活動を積極的に行っています。
 「マラソンは速くても遅くてもどちらでも大丈夫! 大切なのは自分のペースで一生懸命やり抜くことだよ」とまずスポーツに興味をもたせ、楽しませることをポイントにしています。スポーツをすることで体だけでなく心の健康も保てると考えています。
 学校現場で驚いたことは、小学生なのに自分が思い描いた夢をチャレンジしないうちから諦めてしまっている子どもが多いことです。
 せっかく興味をもったのに簡単に諦めてしまってはもったいない !何か一つ、一生懸命になれるものを見つけてチャレンジすることで、人として大きく成長し豊かな心をはぐくむことができます。
 子どもたちはそれぞれにすばらしい能力をもっています。先生や保護者の方々、周囲のみなさんが、ポンと背中を押してあげるような愛情のこもった言葉をかけてあげてくださいね。

千葉 真子

千葉 真子

1976 年生まれ。京都府宇治市出身。
立命館宇治高校卒業後、旭化成に入社。96年アトランタ五輪1万メートルで5位入賞、97年アテネ世界選手権1万メートルで銅メダル。
旭化成退社後は、豊田自動織機に所属。佐倉アスリート倶楽部の小出義雄氏の指導を受け、03年パリ選手権マラソンで銅メダルに輝く。
現在は全国のマラソン大会のゲストランナー・講演会・テレビ出演などで活躍し、「スポーツで世の中を元気にしたい」という目標に挑戦中。
オフィシャルウェブサイト:BEST SMILEico_link


「シップヤード・ワークス」 大竹伸朗作

繊維強化樹脂、発泡スチロール/塗装/289×304×132㎝/1990 撮影=村上宏治
繊維強化樹脂、発泡スチロール/塗装/289×304×132㎝/1990 撮影=村上宏治

 大竹伸朗が暮らすのは、目の前に海が広がる宇和島です。
 そこで大竹が偶然出会ったのは、造船所に置かれていた漁船の木型でした。船が造られた後は巨大なゴミとしか扱われない船型の、「かたち」そのものに大竹は関心を持ちます。そして、実際の船と同じ材料を用い、船を造るのと同じ工程をたどって、アート作品「シップヤード・ワークス(造船所の作品)」を制作しました。
 人間の意識の中では、船は海を移動するモノとしてインプットされていると思います。その「かたち」をよく見ると、一つとして直線がなく、曲線からなりたっていることや、コストを抑えつつも速度を落とさないような材料が選ばれていることに気付きます。
 決められた役割だけのモノとして見ていると、気が付かないことがあります。しかし、「かたち」そのものに興味を抱くことで、今まで気付きもしなかった部分に関心が向き、新たな発見に喜びを見出すことはしばしばあります。モノだけではなく、人生の中で出会う友人や自分自身に対しても,同様な出来事があるでしょう。
「シップヤード・ワークス」と名付けられたこの作品は、今も直島の浜辺に設置され、まるで大竹本人が瀬戸内海に佇んでいるかのように日々行きかう船を見つめます。その姿はやがて訪れるであろう新たな発見に心ときめいているように悠々として見えるのです。

(ベネッセアートサイト直島 キュレイター 徳田佳世)

ベネッセアートサイト直島 ico_link

  • 所在地 香川県香川郡直島町琴弾地
  • T E L 087-892-3223
  • 休館日 年中無休

<展覧会情報>

  • 現在行われている企画展はありません。掲載作品「シップヤード・ワークス」は、ベネッセハウス屋外に常設展示されています。

<次回展覧会予定>

  • 瀬戸内国際芸術祭2010
  • 2010年7月19日(祝)~10月31日(日)
  • 会場:瀬戸内海の7つの島(直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島)+高松
  • 参加予定アーティスト:オラファー・エリアソン、ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー、木下晋、千住博、レアンドロ・エルリッヒなど
  • 作品鑑賞パスポートは主要なプレイガイド、コンビニエンスストア、旅行代理店他で発売中

その他、詳細は瀬戸内国際芸術祭2010 Webサイトico_linkでご覧ください。


故郷…

生活&総合教室No.56

 生まれ故郷の神戸に久しぶりに、本当に久しぶりに帰った。
 帰ったという言葉はふさわしくないかもしれない。
実家はないし家族も残ってはいない。
 生まれて15才まで過ごした土地は、もうすっかり記憶の片隅に追いやられて、その二倍以上の年月を暮らした東京の方がはるかに故郷と呼ぶにふさわしく思えていた。
 だが…六甲山の緑の中に点在する家々を見た時、昔のままの姿をとどめる母校の前に立った時、わたしは何度も不思議な感覚にとらわれた。
 急に風の音が遠のき、鳥の鳴き声も人の生活のかすかな気配もかき消され、懐かしくて切ない異空間の中に引きずり込まれる。
 数十年の歳月はストンと抜け落ちて、あの頃が昨日のことのように鮮やかに蘇るのだ。
 わたしの周りには気配が次々とやってきた。
 それは、当時のままの元気な両親だったり、祖母だったり、学校の行き帰りに夢を語り合った友だちだったり。
 わたしを見つけると懐かしそうに話しかけてきた。
「今までどこにおったん?」
「何してたん?」
 気がつくと飼い犬のコロまでが尾っぽを振ってわたしを見上げている。
 みんな久しぶりに帰ったわたしを歓迎してくれている。
 これは夢を見ているのだろうか、それとも今までが夢でやっと覚めたのだろうか…。あまりにもありありとした感触に、一瞬それが現実のように思えて混乱する。
 ほんの少し過去を旅して、わたしの心、いや体さえも優しくあたたかな活力で満たされていた。

早瀬久美

早瀬 久美

兵庫県神戸市生まれ。
1966年、岩下志麻主演の映画「紀の川」で映画デビュー。そして69年にTV番組「お嫁さん」のお嫁さん役でドラマデビューを飾り、翌70年には森田健作主演ドラマ「俺は男だ!」の吉川操役で一躍人気を集める。
以後は映画をはじめドラマやバラエティー、さらに司会業にも進出。
85年、アメリカに渡り、95年までの10年間をアメリカで過ごし、05年から本格的に女優復帰を果たす。
テレビ大阪系「ボランティア21」で準レギュラー。
曾祖父は高名な国文学者、物集高見博士。


平成23年度用 新版「小学書写」教科書特集号

※PDFデータをダウンロードしてお読みいただけます。(下記ご参照)

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インデックス

今こそ書写教育の必要性と重要性を説く
学びの基本としての書写の重要性
西橋靖雄
2.
[指導のミカタ]鉛筆の持ち方をくふうしよう

4.
書写の「ココが知りたい!」
萱のり子
5.
[特集]新版教科書はこう変わる!
 新版「小学書写」教科書の内容紹介
 新版教科書をこう使う➀
 デジタル教材に期待して
16.
コンドウアキの書写的生活[連載第一回]

わたしの習った教科書

icon_pdf_small線 Line No.1 「小学書写」教科書特集号(1/3):ダウンロード (5 MB)

icon_pdf_small線 Line No.1 「小学書写」教科書特集号(2/3):ダウンロード (7 MB)

icon_pdf_small線 Line No.1 「小学書写」教科書特集号(3/3):ダウンロード (7.9 MB)

※ファイルの内容について
・PDFファイルは、閲覧・印刷用です。
・イラストや写真は解像度を落としています。
・コンピュータ・回線環境によってはダウンロードに時間がかかる場合があります。

※データのダウンロード(保存)方法 
ダウンロードには下記方法があります。
・アイコンを直接クリックした後表示されるページで、「別名で保存」を選択して保存してください。
・アイコンを右クリックし「対象をファイルに保存」や「リンクを別名で保存」などを選択し、保存先を選んでください。


書道ガールズ!! -わたしたちの甲子園-(2010年・日本)

(c) NTV

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 書道は、義務教育で習っただけであるが、字を書くのが好きである。筆だけではなく、鉛筆、万年筆、サインペンなど、いろいろな筆記具で字を書き、紙や筆を買いに、何度も北京に出かけている。
 仕事で、いくつかの書籍のカバーや見出し、雑誌の見出し、映画のタイトルなどの書き文字を書いているが、うまい下手というより、できるだけ楽しい気持ちで、字を書いているつもりである。

 このほど、書道部で活動する女子高校生たちの群像を描いた「書道ガールズ!! わたしたちの甲子園」(ワーナー・ブラザース配給)を見た。
 映画は、字を書く目的はなにかを伝えて、あきさせない。派手な映画ではないが、筆によるパフォーマンスに取り組む高校生の群像を描いて、さわやかである。タッチはコメディだが、随所に泣かせるうまい演出で、笑って、ホロリ。
 そしてまた、友情、師弟や父娘間の対立と和解、活気ある町への再生など、いくつかのエピソードが、ていねいに描かれる。

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 舞台は、紙の生産で名高い愛媛県の四国中央市。町のどこからでも、製紙工場の煙突が見える、のどかな町である。中央高校書道部の部長、里子(成海璃子)は父が書道家で、小さいころから書道を習っている。副部長の香奈(桜庭ななみ)、里子に負けないほどの腕をしている美央(山下リオ)たちが、里子の仲間である。
 ある日、臨時教員として書道部の顧問に、池澤先生(金子ノブアキ)が赴任してくる。ゲーム機オタクの池澤は、まったく里子たちの活動に無関心、教える気は微塵も感じられない。池澤は、里子たちの前で、音楽にのせての書のパフォーマンス、みごとな腕を披露する。
 書道部の清美(高畑充希)が、池澤のパフォーマンスを見て、感激、なんと演歌の「王将」に合わせて、書のパフォーマンスを始める。「部活にそんなものを持ち込まないで」と、里子は怒る。やがてそれは、停滞する商店街にあって、文房具店を営む清美の家の、閉店セールのためであることが判明する。
 部員は協力しあって、閉店セールにパフォーマンスを実行するも、失敗に終わる。里子のまわりに、美央の退部、清美の引っ越し、いじめにあう部員、幼なじみの実家の紙工場の火事など、つぎつぎと事件が起こる。
 そんな中、里子は、なんとか町に活気を取り戻そうと、ほかの高校に呼びかけての「書道パフォーマンス」を思いつく。
 はじめは無関心だった池澤も、里子たちの熱意に、きびしい特訓をほどこすようになる。

(c) NTV
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 参加高校は4校、太い筆にたっぷりの墨、重さ20キロにもなる筆を操ってのパフォーマンス、まさに「書道の甲子園」が始まろうとしている。ラストは、なかなかのドラマ、ささやかな奇跡が起こる。
 気持ちが沈んだままに字を書いても、だめ。うまい下手ではなく、いかに心をこめて書くか、である。映画からは、字を書く喜び、楽しさが、強く伝わってくる。
 劇中、おおげさではなく、太い筆から飛び散る墨の量は半端ではない。登場人物の顔、衣服に、墨が飛び散る。そして、見る側に、大きな筆で字を書いてみたい、と思わせる迫力に満ちている。
 主役の里子を演じる成海璃子はまだ17歳、健気な部長役を熱演。清美に扮する高畑充希は18歳。やや空気の読めないひょうきんな役どころを、達者に演じる。書のシーンは吹き替えなし、若い俳優さんたちの特訓が実った。
 監督は猪俣隆一。大ヒットした「マリと子犬の物語」に続く第2作目である。

2010年5月15日(土)、新宿バルト9ico_link ほか全国ロードショー

■「書道ガールズ!! -わたしたちの甲子園-」

監督:猪股隆一
脚本:永田優子
音楽:岩代太郎
製作:大山昌作
撮影:市川正明
プロデューサー:藤村直人、坂下哲也
出演:成海璃子、山下リオ、高畑充希、小島藤子、桜庭ななみ ほか
2010年/日本/121分/35mm/カラー/シネマスコープ/SRD
配給:ワーナー・ブラザース映画
宣伝:アルシネテラン


春休みと教師、今むかし

表示が色で表されていると瞬時に判断ができます。(東北道と磐越道の快適なインターチェンジ)

表示が色で表されていると瞬時に判断ができます。
(東北自動車道と磐越自動車道の快適なインターチェンジ)

 縦に長い日本列島では、桜の開花を待つこの季節は、地域それぞれに風物詩があることでしょう。それが春休みにあたる地域が多いのではないでしょうか。この時期は、小中学校の先生方にとって年度末の事務処理等で、もっとも多忙期と思われます。職場を移る先生にとってはなおさらでしょう。内示から着任の挨拶が済むまでの間は、二度と転任したくないと思うほど忙しさを極めるようです。
 学校の先生たちから春休みがなくなって、どれくらいになるでしょう。若い先生方は「そんなのがあったのですか?」と驚くかもしれません。
私が中学校教師として初任だった頃の昭和50年代には、児童生徒と同様に春休みがしっかりとあったのです。部活動や事務処理で忙しくしている先生もいましたが、多くの先生は職務専念義務の免除を使うか研修期間でした。その頃は土曜が出勤日でしたが、夏や冬のように、春にも短い休みがあったのです。
 長期休みをウキウキした気分で待つのは、子どもも大人も同じだったのではないでしょうか。長期休暇だからこそできる充実した時間の過ごし方がありました。海外の美術館巡りをする人、夏山登山を企画する人、そして春秋の公募展に向けてキャンバスを張る人、また数年かけて50ccバイクで日本縦断に挑戦したり、東海道を徒歩で挑戦したりする人もいました。休み明けにその体験談を聞くのを楽しみにしているのは子どもたちでしたが、教師たちも互いの土産話に興味津々でした。

 ところが、そんな楽しい教師たちとは逆に、春休みが特に忙しくなる先生がいました。
 教務係の先生方です。生徒数と先生方の配置が確定すると、格子状に仕切られた黒板のような大きな板が倉庫から出番となります。時間割を組む板です。横軸が先生方の名前、縦軸が曜日ごとの校時で区切られていました。それにクラス名が書かれた1cm角程の木製のコマを並べて時間割組みが始まるのです。コマの移動は千枚通しを突き立てて行いました。クラス数の多い学校では、9割方コマが入ったあたりから調整が難しくなります。長考の末、千枚通しを突き立てる教務主任の横顔は、棋士かハスラーのようにカッコ良く見えたものでした。その頃の教務主任の心意気は、新年度計画と雑務をすべて教務が請け負い、極力、先生方に研修の機会を与えたいという一点でした。春休み明けに出勤した職員室の机上には、教務が準備したプリント資料がズッシリと積まれていました。それに沿って新年度第一回の職員会議が開かれるのです。
 その教務が忙しい間に、それを免れた先生や出勤していない先生は何をしていたのでしょう。一年間の疲労回復に当てた人もいたでしょう。教科専門を深めたり教材研究をしたり、あるいは校庭の花壇整備や校舎のペンキ・ワックス塗りをしていた先生もいました。
 いずれにせよ、リフレッシュした姿で新しい年度の教壇に先生が立つことを教務主任は期待していたように思います。授業で使う教科書は、教科によっては内容が大きく変わることがないわけですから、教科内容を教授するだけなら大学を出たばかりの新米教師にもある程度は勤まりますが、内容がわかりやすく楽しい授業を展開したり、工夫された教材や導入を準備したり、子どもたちが憧れる先生であり続けるには、大学卒業以来、放電ばかりしてきた先生に、それを期待することはできないでしょう。専門以外の情報にも興味をもち、全人的に豊かに成長する生涯学習者としての姿があってこそ、子どもたちにとって魅力ある先生でいられるのだと思います。底の浅い知識や経験だけでは、子どもたちの眼を輝き続けさせることはできないでしょう。体験や経験不足の課題は子どもにも大人にも共通することではないでしょうか。自然体験や社会体験は子どもの頃だけで済むものではありません。造形遊びは小学生にだけ必要なことでしょうか。大人自身がよく遊び、よく学んできたかを問い直してみる必要がありそうです。

 長期休暇がなくなっている教師たちは、いつ充電の機会があるのでしょう。教壇に立つということは、有能に事務処理を行うこととは別のところで、人間性の蓄えとゆとりが必要なのではないでしょうか。まずは学び上手、遊び上手を目指すことが必要なのかもしれません。
 遊び上手とは、寸暇を生かす技を身につけることと、遊び仲間がいるということだと私は学びました。

導入事例 Case23

小学校4年『お花のプレゼント』(3時間)
 * お母さんや祖母(または6年生)にプレゼントする牛乳パックの花かごをつくる題材です。相手のことを思いやりながら、贈る気持ちを味わってくれればと考え題材設定しました。

◎主な材料

  • 牛乳パック
  • 割り箸
  • モール
  • 数種類の布
  • セロハンテープ
  • 接着剤

◎ 導入の工夫

T:(牛乳パックでつくった花かごを示しながら)これ、何でつくったかわかる?
C:牛乳パック!
T:そうだね。これにお花を入れると…?(数本の花を入れて見せる。)
C:わ~!きれい。それつくるの?
T:そう。みんなでつくってみよう。こんな花かごがあったら素敵でしょ!誰にプレゼントしたい?
C:お母さん。先生にもあげたい。誰にもあげないで自慢する。
T:先生は、おばあちゃんにあげようかな?もう、78歳になるんだよ。みんなのおばあちゃんは?
T:そうか、おばあちゃんが静岡だったり、東京だったりするか。
プレゼントする人のことを思いながら、花かごのつくり方を考えてね。

学び!と美術vol036_07学び!と美術vol036_07 学び!と美術vol036_02 学び!と美術vol036_03 学び!と美術vol036_04

(S先生の実践から)


年度始めの文書管理

■ 特色ある学校づくりと学校文書

 地域に開かれた特色ある学校づくりのためには、社会の変容や学校への期待に応じる教育活動のための情報収集と活用が欠かせない。また、効果的に情報を発信し、自校の目標実現に向けて全教職員の協働体制を確立する、あるいは家庭・地域に理解と協力を促すことがこれまで以上に重要になっている。年度始めには、改めて教育情報・学校文書の果たす役割を確認する機会をつくりたい。
 学校が目指す目標にはどのような側面があるか。それぞれの教職員が担う役割、家庭・地域の果たす役割としては何が求められるのか。そうしたことについて共通理解を持つ。適切な文書を作成・活用し、一体になって取組を行う。そのことによってより効果的に教育活動が展開され、教育力が発揮されることを認識したい。 
 こうした基本認識のもと、新しい年度の学校教育目標や教育活動の重点を踏まえて次のことに留意し、文書管理の体制を整えることが必要になっている。

■ ますます重要になる連携体制

 これまでの学校には、ややもすれば情報はなるべく校内にとどめ、すべての問題を校内で解決しようとする傾向があった。学校の責任、信頼感の確保への配慮があったのだが、最近は、家庭・地域、関係機関との連携抜きで問題を解決することが難しくなっている。また、説明責任を果たすことと信頼関係を重ねてとらえるようにもなっている。
 今後は、家庭や関係機関とネットワーク化を図り、同時に学校としての説明責任を果たすという、新たな考え方に基づく学校経営の展開が重要になっている。
 学校経営については、その成果と課題を公表する基本姿勢が求められる。学校評価であれば、評価結果に加えて今後の改善方策についても公表することが望まれている。
 課題の共有、連携体制の構築のためには、そこに機能する文書の工夫が重要になる。年度始めにあたって、保護者、地域の連携のもと、これからの学校を築くための学校文書をどう工夫するかが課題になる。

■ 課題解決に向けての取組と学校文書

 新学習指導要領のもと、新しい実践の展開が必要になっている。地域社会や家庭の構造・機能の変化によって、様々な課題を抱える子どもが増え、その面でも指導改善が大切になる。
 実際の指導に際しては、①全教職員が学校の当面する課題を受け止め、組織的に指導に当たる、②学校での指導・対応の基本姿勢を保護者・地域住民に公表し、一致協力して指導を進める、③困難な問題については学校だけで抱え込むことなく、保護者や関係機関等との連携のもとに対応することが重要になる。そこでは、こうした指導・対応のための情報の収集と活用、そこに機能する文書の整備が大きな意味を持つ。 
 パソコンの普及によって、昨年までのデータを引き出し、必要な修正で文書を作成することが可能になった。それだけに、機械的な操作ではなく、新たな課題意識をもって文書を作成する基本姿勢を持つようにしたい。

■ 学校文書の果たす役割

 課題を共有すること、説明責任を果たすことが大切になり、どのような内容を盛り込んで配布文書を作成するかがますます重要になっている。
 一般的に文書といえば、通知・通達、照会などの学校が受け取る公文書、また、通知、回答、報告、申請などの学校が発する文書などが中心となるが、学校づくりにかかわって重要度が増しているのは、校内・校外での共通理解、活動推進のための各種情報・文書である。
 特に新学習指導要領対応に関しては、その趣旨を踏まえての新しい取組について教師の創意を促す、その内容を保護者に伝えることに機能する文書の工夫が求められている。

■ 文書の取扱に際しての留意点

 基本的に言えば、文書の収受と作成については一定の手順を定めて適正に行うことが原則である。文書管理については思いがけない事態を招くことのないよう、十分な配慮を持って厳正に行われることが必要である。
 文書の取扱が情報機器を通じて行われた場合、これまではありえなかったような事故が発生することが懸念される。年度始めには、管理体制を点検することが大切である。
 情報管理、文書の取扱においては、守秘義務の履行と個人情報の保護に関して厳守する基本姿勢が重要である。
 個人情報保護などの配慮を欠くとき、学校への信頼は一挙に崩れることになる。十分な配慮のもと、家庭、地域等との信頼関係を重視する学校づくりに機能する、適正かつ効果的な文書を作成、管理する。年度始めには、全職員の間でそのことを徹底することが求められる。

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社会の変化と教育

■ 工業化社会と教育

 日本は明治以来近代国家建設のために学校制度を整備して先進西欧諸国を手本とする工業化をめざした。明治期はまだ農耕社会の要素の濃い社会であったため封建的道徳(親孝行、長幼の序の重視、指導者への敬意等)が人々に根付いていた。政府はそれを活かしながら先進国の科学技術の移入、発展に努めた。いわゆる和魂洋才といわれる工業化の推進であったが短期間のうちに大きな成果をあげた。このような前近代的道徳観を基盤とする日本の教育制度、教育観は日本の社会に適合し、戦後の民主化の流れの中でも生き続け、日本の教育はその水準の高さ、「効率性」の面で世界から注目された。
 ところが工業化の進展の中で社会や家族の形態は次第に変わってくる。工業化社会は必然的に核家族化を促し、人々の考え方も個人主義的価値観に傾斜していくことになる。科学技術の発達は工業の生産性を高め社会を成熟化させる。著しい物質的繁栄は個人の欲望充足の可能性を高める。テレビの個人所有がすすみ親との同居は減少し、個室を得た家族は自分の城をつくる。情報の多様化は個人の行動や思考の多様化をもたらす。人々は画一化を嫌い個性重視を志向するようになる。企業も営業政策として個人単位の需要拡大を図る。学校においてはかつて日本の教育の伝統でもあり世界各国から評価された全国一律の画一教育は次第に困難となり「先生の指示に従う」、「一斉授業を静かに受ける」というような「学校文化」は徐々に崩れてきた。経済の発展とともに全国の学校で不適応生徒や教師の指示に従わない生徒、自己中心的自己主張する生徒が増加するようになった。

■ 工業化社会から情報化社会へ

 こうした傾向は科学技術、わけても通信技術の発達によってさらに拍車がかかる。パソコンやケータイ(携帯電話)は世界各地に普及し、個人にとって必要な情報の授受を通して民族、性別、年齢、地域、職業をこえた個人を社会の構成単位にしてしまう。個人の意志が集約化され生産、消費、風俗、政治の形まで変えてしまう。いわゆる情報化社会の到来である。工業化社会を支えていた核家族も個人単位のバラバラの存在になり個人の価値観による行動様式が一般化する。こうなると家族の求心力も連帯も稀薄化し家庭の教育力の低下は避けられない。個人単位の社会では地域というコミュニティも崩れ、地域の教育力は低下ないしは消滅してしまう。
 こうした新たな教育課題に対応するため我が国では1980年代の臨教審以来様々な教育改革がすすめられた。一般に未経験の新しい社会で新秩序をつくろうとする場合、従来の社会の体制や価値観に依拠することが多い。「教育改革」も過去の安定した時代を善とする立場を基にすすめられる傾向にある。ところが現実は過去の社会の変化や否定の上に出現しているのであるから既存の価値観や理念と対立することになりがちであるためなかなか成果があがらない。情報化社会というのは先進諸国も初めて経験する事態であるので日本が学ぶべきモデルもない。私たちはこの現実と正面から向き合いあるべき教育を追求していかなくてはならない。

■ 情報化社会の教育

 現在の日本では若者の様々な問題行動が指摘されるが頼もしい生き方も多くみつけることができる。自分の意志で努力している人もたくさんいる。進んで人との連帯を求めて被災地や困っている人のためのボランティア活動にとりくむ人やスポーツや趣味に生き甲斐を感じている人も多い。キーポイントは自主性ということだろう。学校教育では従来のように用意された教育内容を押し付けるだけでなく個々の生徒のニーズを掘り起こし、それに適合する内容を工夫し自主的に学ぶ意欲をひき出すことが重要である。美術や音楽等の芸術関連の授業や部活動を含めた豊富なメニューを用意することが必要である。教師は学ぶ意味について生徒を納得させる力量と情熱が必要条件である。こうした条件を満たした優れた教師によって学ぶ意欲を触発された生徒は自主的に学習にとりくみ成果をあげる。生徒の意欲をひき出す教師の力は教師自身が自主的、主体的に研鑽することが何より重要であるから上からの命令や管理強化はなじまない。国や自治体はこうした指導者の確保と物理的条件(少人数教育等の教育環境の整備)を満たさなくてはならないだろう。
 当然財政上の問題は大きいが、社会の安定化、人材育成のコストと考えるべきである。明治政府が学校制度を始めたとき、戦後6・3制教育のため全国に中学校を新設した折の財政面の労苦を考えれば今の国力からみて決して不可能ではない。
 個人を単位とする情報化社会に適合する教育は個人の能力をひき出し育てる教育本来の目標に近づく可能性をもつものと言えよう。

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クロッシング(2008年・韓国)

c 2008 BIG HOUSE / VANTAGE HOLDINGS. All Rights Reserved.

(c) 2008 BIG HOUSE / VANTAGE HOLDINGS. All Rights Reserved.

 いろいろと脱北者のことが報道される。何らかの理由で、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)から亡命、国外に出る人たちのことである。もとは同じ民族、北から南(大韓民国)へ逃れる人が増えているという。
 また2002年には、北京のスペイン大使館に25名が駆け込み、韓国に亡命。同じ年、vol048_081陽にある日本領事館に、少女のいる家族5人が駆け込もうとした。これは中国の公安が阻止し、脱北は失敗に終わった。日本の領事館は、ただ傍観するだけであった。
 このように、北からひそかに隣国の中国に入り、外国の大使館や領事館に駆け込み、亡命、という方法も多い。
 北朝鮮から逃れようとする人たちの現実は、わたしたちには、なかなか、きちんと伝わらないようである。ただ、いまなお脱北者はあとを絶たないという。だからこそ、脱北者人権連合といった組織もある。
 そのような背景をもとにした映画「クロッシング」(太秦配給)を見た。

c 2008 BIG HOUSE / VANTAGE HOLDINGS. All Rights Reserved.
(c) 2008 BIG HOUSE / VANTAGE HOLDINGS. All Rights Reserved.

 北朝鮮の炭坑の町。元サッカー選手で、いまは炭坑で働くヨンス(チャ・インピョ)は、貧しいけれど、妻ヨンハ(ソ・ヨンファ)、11歳の息子ジュニ(シン・ミョンチョル)と、幸せに暮らしている。父子はサッカーで遊ぶのが大好き、雨の中、ボールを蹴る。
 ヨンスの友人が南のスパイ容疑で連行される。家族は離ればなれになる、このようなケースも多いという。

 生活総和という、職場や地域単位の相互批判集会がある。ある日、妻のヨンハが、この生活総和の会場で倒れる。結核である。クスリが手に入らない。このままでは死んでしまう。しかたなく、ヨンスはクスリを求めて中国に向かう。 
 やがて、ヨンハは亡くなる。一人になったジュニは、家を処分したわずかなお金で父の行方を探すことになる。映画は、この悲惨な状況を、実にリアルに描いていく。
 ジュニは、幼なじみの少女と再会し、国境を越えようとするが、捕まってしまう。北から逃れるのに失敗した人たちの収容所に、ジュニと少女は入れられてしまう。
 ヨンスは、vol048_081陽のドイツ大使館を経由して、やっとの思いで、韓国のソウルにたどり着く。脱北関係の情報を提供したり、手引きをする仲買人を通して、ヨンスはジュニの消息を知ることになるが…。
 悲劇である。脱北者の現実のすべてが描かれているわけではないと思うが、このような状況があるのは、かなり事実だろう。もちろん、北朝鮮の大半の人たちは、ふつうに暮らしているはずである。

c 2008 BIG HOUSE / VANTAGE HOLDINGS. All Rights Reserved.
(c) 2008 BIG HOUSE / VANTAGE HOLDINGS. All Rights Reserved.

 映画は、実際に北を逃れたたくさんの人から取材、中国や韓国での撮影は、もちろん極秘に進められたという。
 監督は、娯楽映画でも手腕をみせるキム・テギュン。綿密な考証と長い時間をかけて撮られた映像からは、痛いほど、虐げられた人たちの叫びが聞こえてくる。
 自らも脱北者で、映画の助監督を務めたキム・チョリョンは言う。「幸せを分かち合うという、このあたりまえのことでさえ、北朝鮮では実現できないことを伝えたかった」と。
 おなじ人間なのに、思想や信条のちがいから、憎み合うという歴史は、いまなお、世界のあちこちで続いている。

2010年4月17日(土)より渋谷ユーロスペースico_link名古屋シネマスコーレico_link
5月1日(土)より銀座シネパトス千葉劇場ico_linkシネマート心斎橋ico_linkほかロードショー!

■「クロッシング」

第28回韓国映画評論家協会賞 音楽賞(2008年)
第16回イチョン春史大賞映画祭(2008年) 子役賞・美術賞・音楽賞・撮影賞・脚本賞・監督賞・最優秀作品賞・審査員特別賞?
第21回東京国際映画祭[アジアの風](2008年)招待作品 
第81回米国アカデミー賞外国語映画賞部門(2009年) 韓国代表作品  
第13回米国ハリウッド映画祭(2009年)グランプリ受賞

監督:キム・テギュン
製作:BIG HOUSE、VANTAGE HOLDINGS
制作:Camp B
脚本:イ・ユジン
撮影:チョン・ハンチョル
音楽:キム・テソン
出演:チャ・インピョ、シン・ミョンチョル、ソ・ヨンファ、チョン・インギ、チュ・ダヨン
2008年/韓国/107分/35mm/カラー/シネマスコープ/SRD
配給:太秦