中学校公開授業2020を追加しました。
月別アーカイブ: 2019年12月
Webマガジンまなびと:「学び!とPBL」Vol.21
Webマガジン:「学び!とPBL」Vol.21 “生徒たちがつくる国際会議”を追加しました。
生徒たちがつくる国際会議
1.国際会議でプロジェクトの方向付けを
地方創生イノベーションスクール2030のプロジェクトは、様々な困難を抱えていました。このプロジェクトは、地域の課題を高校生自身が見つけそれに取り組む実践部分と、そこから生まれてくる様々なエビデンスを分析する研究部分に分かれていました。「実践」の解釈のしかたが極めて多様で全体を貫くものは何なのかが見えにくい、研究もまた同様で、こうしたプロジェクト型学習の研究母体が日本の場合、きわめて層が薄いというのも課題となっていました。このプロジェクトの最終ゴールを「国際会議」にしようと考えたのは、成果の共有が一番の目的でありましたが、こうした課題を踏まえてプロジェクト全体の方向付けを行うという意味も含まれていました。もちろん、プロジェクトの目的であるグローバルコンピテンシーを伸長させることも当然重要な柱でした。
実は早い段階から国際会議を開催するイメージはあったのですが、ボード会議に初めて国際会議で話題にしたのは、プロジェクトがスタートした翌年の8月で、開催しようと考えていた年のちょうど1年前のことでした。通常、国際会議となれば――規模や内容にもよりますが――、1年前にはほぼ枠組みが決まっていて、あとは内容を詰めていくだけ、というのが当たり前です。「東北復幸祭〈環WA〉in PARIS」でも2年半かかりました。それに対し、この国際会議は1年前に開催を議論し始め、開催を決断したのが10ヶ月前、実行委員会が動き出したのは8ヶ月前の12月のことでした。
2.プロジェクト学習としての国際会議
図1 他の高校生国際会議を視察する しかも課題は山積みです。東北スクールの経験があるとは言え、今回はプロジェクトへの参加校が全国に散っており、どのように実行委員会を結成したらいいのかもわかりません。最も難しいのは、生徒のアイディアで国際会議を組み立てるという点です。国際会議に参加した経験のある生徒は、数地域の数名のみで、生徒の多くは国際会議のイメージすらほとんどありません。その生徒たちで、仕事を分担する→アイディアを出す→全体に諮る→決定する→準備をする→実行する、のプロセスをどうつくるか、見当もつきませんでした。さらに日本はホスト国を務めますが、国際会議は海外の生徒も立派な構成員です。日本の会議に海外の生徒が参加するのではなく、海外の生徒たちも同じように国際会議をつくるメンバーとしての参加を求めるべきということになります。
図2 ESDの国際会議主催者に学ぶ つまり、国際会議の取り組みはこれまでの実践の集大成などではなく、これをつくり上げること自体が生徒たちのプロジェクト学習となったのです。会議をつくり上げる上で生徒たちは無数の困難と直面することになる、それをどのようなチームで、どのような大人たちに協力を求めて壁を乗り越えていくのか、ということなのです。生徒が参加する国際会議は数多くあります。その多くは、あらかじめ大人がテーマや枠組み、スケジュールを決め、あらかじめ生徒は英語によるプレゼンテーションを練習して披露し、いざディスカッションとなると凍り付いてしまう、というのが日本の平均的な高校生の姿です。語学力がすべてを決めてしまうということがいいことなのかどうなのかも議論となります。実際、いくつかの生徒による国際会議を見てきましたが、多くの会議の進行役を預かっている高校生は帰国子女で、彼らの多くは日本を外側からは見られますが、内側からは見ることができません。
図3 実際の国際会議の会場を視察する 国際会議前年の12月に初めて、実行委員の生徒たちが顔合わせをし、大人主導ではなく生徒中心の会議をつくっていくことが確認されました。福島市、ふたば未来学園高校、和歌山県、福井県、広島市などの中・高校生が顔を揃え、ぎこちない感じで自己紹介しました。しかしこの場ですら、自分たちの意見が通らないのではないか、と不満がもれ聞こえていました。今思えば、高校生主体で行うと取り決めたものの、大人の関わり方についてはほとんど議論されておらず、そのために地域によって高校生に丸投げになってしまったり、高校生を使って大人の意見を代弁することになったりと、認識のズレは歴然としており、いつの間にか実行委員長になってしまった私は、その運営の難しさを痛感することになります。
3.生徒による共同宣言を!
国際会議のコンセプトは三つでした。一つは文化交流。異国の生徒同士が自由に交流し、友達になることが目的です。形式的な国際会議ではここまで実現することができないと考え、まさに生徒自らが企画する私たちの国際会議ならではの特徴ということができます。二つ目が実践交流。海外も含めた各地域の生徒たちが、それぞれの学校や地域でこれまで取り組んできた実践を、ブース形式で披露します。三つ目は教育のイノベーション。異国の生徒同士が議論しあい、問題解決を目的とした21世紀の教育のあり方を考えるという、とてもハードルの高い内容です。これらを各地域の高校生や先生方が役割分担し、8ヶ月で準備を進めていくことになります。
図4 国際会議の具体例を話してもらう しかしこれだけでは、国際会議の「顔」になるような、集大成となるものが足りないことにすぐに気がつきます。この会議が1回限りで終わってしまうのならまだしも、次の会議に結びつける「何か」がほしいと考え、その何かを「生徒共同宣言」にしてはどうかということになりました。「共同宣言」の類いは事務局があらかじめ準備し、当日満場の拍手で採択されるものですが、これを生徒たちでつくる、しかも海外の生徒も含めてつくってしまおう、ということになります。ハードルはどんどん高くなっていき、現在の大人たちで本当にこれを指導しきれるのか、不安だらけとなりました。
国際会議の名前が決まりました。「生徒国際イノベーションフォーラム2017」です。
平成30・令和元年度 図画工作科研究発表会
平成30・令和元年度 図画工作科研究発表会を追加しました。
令和元年度(第63回) 岩手県教育研究発表会
令和元年度(第63回) 岩手県教育研究発表会を追加しました。
機関誌・教育情報:「生活&総合navi」Vol.77
機関誌・教育情報:「生活&総合navi」Vol.77 “[特集]みんなが主役になれる学校をつくろう(前編)” を追加しました。
[特集]みんなが主役になれる学校をつくろう(前編)
Webマガジンまなびと:「学び!とICT」Vol.01
Webマガジン:新連載スタート!「学び!とICT」Vol.01 “指導者用デジタル教科書(教材)で日々の授業を改善しよう”を追加しました。
Webマガジン「まなびと」にて、新連載「学び!とICT」がスタートしました!
指導者用デジタル教科書(教材)で日々の授業を改善しよう
1.進む環境整備と学校現場
学校において,ICT機器の普及が進んでいる。費用面において,自治体間の格差が見られるが,ハードウェアの整備については,すでに児童・生徒用コンピュータの導入に関心があたっている。(編集部注:2019年12月、文科省が「GIGAスクール構想の実現」を公表)
一方,学校現場に目を移してみると,教師によるICT活用さえ日常化していない例も見受けられる。忙しくて準備する時間がない,とか「今までにできなかったことをICTで実現しよう」と考え,なかなか日常的なICT活用が進まないといったところがその理由となっている。
いくら「主体的・対話的で深い学び」の充実といっても,多くの場合,教師が授業の進捗についてはコントロールしていることが多い。このような中で,児童・生徒の活動の充実,それにしかもICTを活用した学習場面をいきなりイメージすることは難しい。
まずは,教師が普段とっている授業スタイルに,無理なくICTを導入することから始めたい。今までICTがなくても行っていた授業をどのように改善できるか,という視点からICTを取り入れたい。
2.指導者用デジタル教科書(教材)の活用
そこで効果的に機能すると考えられるもののひとつが,指導者用デジタル教科書(教材)である。実際に,導入されている学校では,多くの教師が活用しており,強力なコンテンツのひとつとなっている。2018年度の調査によると(文部科学省 2019),小学校では56.6%の学校で,中学校では61.4%の学校でなんらかの形では導入されている。ICT活用に長けていなくても,かんたんに利用できる。もし,なにかの教科のデジタル教科書・教材が導入されている場合は,授業で使うことを考えよう。
指導者用デジタル教科書(教材)は簡便に利用できる。確かに,Web上にも教材となりうるデジタルコンテンツはたくさんある。こうした教材では,何を使うか考えるのに時間がかかるが,指導者用デジタル教科書(教材)の場合,基本的に教科書紙面と同じものが用意されているので,準備に手間取ることが圧倒的に少ないというのがメリットだ。
3.効果的な活用の工夫
活用としては,まずは単純に提示をすることから始めてみたい。普段,教師として説明をしているつもりでも,児童・生徒には伝わっていない,あるいは伝わりきっていない授業場面があまりに多い。教科書のどのページやどの図を見るか,そのように些細に思われることが全員に伝わっておらず,それが積み重なることで,彼らの集中力をそいだり,授業目標の到達に至らないケースをよく目にする。まず,児童・生徒が活用しているそのものを一斉提示し,誰が見ても理解できるような指示や説明をしたい。そうすることで,実際の説明時間も短縮でき,児童・生徒の活動により多くの時間をあてることができる。
その次に,授業で児童・生徒の興味や関心を高めるための活用を考えたい。教科にもよるが,指導者用デジタル教科書(教材)で取り上げられている部分のひとつひとつの要素に注目をしてみよう。例えば,グラフや写真,図表については拡大できるものが多い。大きく見せて,よりわかりやすくなる授業を意識しよう。
中には,紙の教科書で扱うことができない,動画等の素材が含まれるものもある。文字だけではイメージ化をはかりにくいものについて,こうした教材で補うことも考えたい。通常は,教師が探して提示するものであるが,指導者用デジタル教科書(教材)ではこうした素材が教科書と連携しているのでより充実した授業の展開が考えられる。
文部科学省(2019)学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1287351.htm
大阪教育大学・大学院連合教職実践研究科・准教授。
専門分野は教師教育学(特に教育工学,メディア教育)。主な著書に『初等中等教育におけるICT活用』(ミネルヴァ書房,共編著)など。