令和2年度 福島大学附属小学校 教育研究公開を追加しました。
月別アーカイブ: 2020年3月
小学校 生活:「生き活きうぃーくる」第60回
小学校 生活 ブログ:「子どもがかわる 授業がかわる『生き活きうぃーくる』」第60回
を追加しました。
Webマガジンまなびと:「学び!と美術」Vol.91
Webマガジン:「学び!と美術」Vol.91 “国際バカロレア教育とバンコク・アート&カルチャー・センター~バンコク調査報告(1)” を追加しました。
国際バカロレア教育とバンコク・アート&カルチャー・センター~バンコク調査報告(1)
国際バカロレア教育って何?
国際バカロレア教育(IB:International Baccalaureate)は、1968年にスイス・ジュネーブで設立された国際バカロレア機構(IBO)が実施する教育プログラムです。認定校で学び、最終的に認定証書(ディプロマ)を獲得すれば、そのスコアに応じて、世界中のIBを認めている大学に入学できます。世界的に大変価値の高い資格で、すでに日本国内で76校の学校が認定され、文部科学省も普及・拡大を進めています(※3)。
「IBの使命」を具現化したものが「IBの学習者像」です。「探究する人」「挑戦する人」「信念をもつ人」など国際的な視野をもって活躍できる人材が想定されています。この学習者像を目標に(※4)、統合的で構造的な学習が行われます。高等学校の場合、数学や理科、芸術など6つの教科と、論文や体験学習など3つのコア(課題)をクリアすると、ディプロマ取得のための最終試験が受けられるシステムになっています(※5)。

このプログラムで欠かすことができないのが芸術です。といっても「芸術を学ぶ」というものとは異なります。むしろ芸術を通して、より深い知の構造を獲得しようとするものです。芸術を統合的に用いた教育に関心のある筆者としては興味深いところで(※6)、その可能性を調べるべく、国際バカロレア教育の研究者小池研二先生(横浜国立大学教授)と一緒にタイに向かいました。
美術館に似顔絵屋さん?
今回の調査では、学校だけでなく国際バカロレア教育にふさわしい教育資源についても調査しました。その一つが、バンコク・アート&カルチャー・センターです。日本人学校関係者から勧められたまま(※7)、理由もよくわからず訪問しましたが、行ってみると「なるほど!」という施設でした。
まず1階は一般的なイベント会場、2-4階には大小のギャラリースペース、ショップや飲食店などの商業スペース、そして5階以上が企画展等の会場です。ニューヨークのグッゲンハイム美術館のようならせん状の建築で、なかなかおしゃれです。
「どんな作品が見られるのかな」「タイの美術状況はどうなのだろう」などと思って入ったとたん、面喰いました。2階に上がって真っ先に出会ったのは「似顔絵屋さん」なのです。「え……」日本でも馴染みの、観光地やお祭りでよく見られる、あの「似顔絵屋さん」です(※8)。そのほか、手作りの小物売り、お土産店、怪しいフィギュア屋さんなど屋台的な商店が、エスカレータの両側の通路に並んでいるのです。ここ、一応、美術館ですよね……。
気を取り直してギャラリーに進むと、2階から4階は市民や学生の作品などが展示されています。一般の方が多く出品している印象ですが、アカデミックな経験のある作家さんの展示もありました。
5階以上は企画展示室です。訪問時はLGBTについての現代作家展が行われていました。水墨画のような伝統的な手法、現代的なインスタレーションなど様々な表現方法の作品が展示され、中にはショッキングな表現でタイ社会におけるジェンダーの在り方を問い直そうとする作品もありました。「敬虔な仏教徒の多いタイで大丈夫?」と心配するほど、挑戦的な展覧会だと思いました(※9)。
つまり、階を上がるにつれて「市井のアート」からいわゆる「芸術」までが一堂に観覧できるのです。このような方法が世界的に見られないわけではありませんが、少なくとも日本で「似顔絵屋さん」を常設する美術館やアートセンターを知りません。なんとも不思議な「?」が残るバンコク・アート&カルチャー・センターでした。
バンコク・アート&カルチャー・センターから生まれる「問い」
バンコク・アート&カルチャー・センターを教育資源として活用するという側面から考えてみましょう。路地のアートから、市民の文化活動、さらに芸術まで、同時に観覧できる施設から、どのような「学習の問い」をつくれるでしょうか(※10)。
- 私たちは、バンコク・アート&カルチャー・センターで、どれが芸術で、どれが芸術でないと判断しているのだろうか。
- 倫理的に批判されるかもしれない作品を芸術だと見なし、公的資金を投入しているとしたら、その根拠は何だろうか。
- きわどい主張をしたり、見る人に衝撃を与えたりするのは芸術といえるのか。
- 個人の好みや感情、思想などだけで芸術は成立するのだろうか。etc.
おそらく、子どもたちは次のような議論するでしょう。
- なぜ我々は似顔絵を芸術として認めないのか。私たちが作品を芸術として判断する根拠は何か。
- 似顔絵がアートでないとすれば、その理由は価格か、テクニックか、作家のメッセージか、専門家の言説か、あるいは私たちの感情や感覚か。
- 公的資金を用いて購入したり、支援したりする作品とそうでない作品の境目は何か。
- 人にショックを与えることで反応を引き出し、社会的メッセージを広めるのは芸術家にだけ許された特権だろうか。
- 芸術は「個人的な知識」だけで成立しているわけではない。文化、歴史、信仰など「共有された知識」と切り離して理解することはできない。etc.
公立美術館においては、いまだに児童作品や市民の作品展示を拒絶する‟敷居の高い“美術館があります。一方で、美術館に遠足で訪れているだけという例も多く見られます。どちらも、もったいないと思います。「芸術を知る」「美術に親しむ」などの範囲で終わり、美術が成り立つ構造自体を問い直すような資質を獲得するには至っていないからです。
国際バカロレアディプロマ資格取得プログラム(IBDP)の中核的な特徴の一つに「知の理論(TOK:Theory of Knowledge)」があります。あえて簡単に述べれば「何かを知っている」ということよりも、「自分が知っている」ことの根拠を確かめる学習です。
バンコク・アート&カルチャー・センターで感じたのは「美術館自体を学習の資源にすることで、自分が知っている(と思っている)ことを問い直すような根源的な問いに向かう学習が組織できるかもしれない。」ということでした。おそらく、バンコク日本人学校の関係者は、それをねらってこの施設を調査対象として提案したのでしょう。国際バカロレア教育導入の理由の一端が見えたような気がしました。
次回は日本人学校の有志が学習した「知の理論(TOK:Theory of Knowledge)」ついて検討します。
※1:青森県上北地方小学校教育研究会図画工作科部会に所属し、「人とのつながりをつくりだす版画教育 」で第50回教育美術・佐武賞を受賞した執筆者の一人野坂佳孝先生(現在泰日協会学校 第1小学部 教頭)です。
※2:泰日協会学校(バンコク日本人学校)は、1926年創立の盤谷日本尋常小学校を前身とするタイ国認可の私立学校(日本国文部科学省在外教育施設認定校)。公立学校よりも予算や教育内容の自由度が高く、海外派遣された家庭の子どもたちが数多く通っています。 https://www.tjas.ac.th/
※3:文部科学省IB教育推進コンソーシアム https://ibconsortium.mext.go.jp/
現在、候補校等を含むと国内IB認定校等数(2019年11月11日時点)150校。多くは高等学校やインターナショナルスクールですが、小中学校や幼稚園もあります。
※4:10の学習者像 https://ibconsortium.mext.go.jp/wp-content/uploads/2019/04/IB学習者像.pdf
※5:センター試験のような選択問題ではなく、小論文のような記述式の問題です。
※6:『学び!と美術』では、これまでも大分県立美術館や三ケ島中学校の実践を取り上げてきました。
学び!と美術<Vol.65>『美術を核にした教育プログラム』(2018年1月)
学び!と美術<Vol.66>『「朝鑑賞」で学校改革』(2018年2月)
※7:日本人学校ディレクターのオーラスム・トリーアモーンラット女史に推薦してもらいました。ディレクターについては、https://www.tjas.ac.th/bkkgaiyo
※8:「似顔絵屋さん」、近年は集合施設や商店街などでも散見されるようになってきました。
※9:9階はメインの企画展やイベントが行われる場所ですが、訪問した日はクローズでした。
※10:問いと答えの例は下記文献を参考にしています。Sara Santrampurwala他4名著、田原誠・森岡明美訳『Theory of Knowledge 知の理論 スキルと実践』オックスフォード大学出版局(2016) 及び Wendy Hedorm Susan Jesudason著、Z会編集部訳『TOK(知の理論)を解読する ~教科を超えた知識の探究~』Z会(2016)
臨時休業期間における児童生徒用コンテンツの紹介
弊社Webサイトの中から、新型コロナウイルス感染症対策に伴う臨時休業期間に、児童生徒の皆さんが活用できるコンテンツをご紹介します。臨時休業期間の家庭での学習に役立てていただけましたら幸いです。
my実践事例:小学校 図画工作 No.043
my実践事例:小学校 図画工作 No.043 “「つながる つながる みちとまち」(第6学年)”を追加しました。
「つながる つながる みちとまち」(第6学年)
1.題材名
想像のまちをかこう「つながる つながる みちとまち」
2.学年
第6学年
3.分野
「絵に表す」「鑑賞する」
4.時間数
4時間
5.準備物
6.題材設定の理由
生産年齢人口の減少,グローバル化の進展,技術革新等によりこれからの社会は,ますます予測困難な社会となっている。さらに人工知能の進化は,これからの社会を一変させると予想されている。そのような中で,子どもたちには,他者と協働して課題を解決したり,様々な情報を見極め,新たな価値を生産したりしていくことが求められている。
このような状況を見たとき,図画工作科の果たす教育的役割は大きい。しかしながら,「感性や想像力を豊かに働かせて,思考・判断し,表現したり鑑賞したりするなどの資質・能力を相互に関連させながら育成する」ことが十分ではないなど,教科としての課題が残っていたり,図画工作科の授業を苦手としている教師がいたりするのも現状である。これらを鑑み,私は,「主体的・対話的で深い学び」の視点の下に本題材を開発し,地区の研修会で先生方を児童に見立て模擬授業を行った。すると,菊地先生がご自身のクラスで私の指導案を基に実践を行ってくださった。本稿はそれをまとめたものである。
発見,楽しさ,驚きは,創造活動の原動力である。本題材では,まず俯瞰的な視点による表現についての鑑賞を行う。そこで子どもたちは,発見をする。次にそれを基にグループで「テーマの設定」・「用紙や画材の選択」をし,楽しく個々の製作を行う。最後にそれらをつなぎ合わせ共同作品とし,そのダイナミックさや多様性に驚きながら相互鑑賞をする。これらの活動を通して,子どもたちは,必然的に「主体的な学び」や「対話的な学び」「深い学び」を行うとともに,表現と鑑賞が一体化され,様々な表現や思いにふれ,豊かな情操を培うことができるものと考える。
7.題材の目標
・安野光雅の絵本を鑑賞したり,想像した街を絵に表したり友人とつなげたりするときの感覚や行為を通して,動き,バランスなどを理解する。
・表現方法に応じてハードパステル,クレヨン・パス,ペンなどを活用するとともに,前学年までの材料や用具についての経験や技能を総合的に生かしたり,表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして,表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。
・安野光雅の絵本を見たり,話し合ったりしながら感じたこと,想像したこと,見たことから,表したいことを見付け,形や色,材料の特徴,構成の美しさなどの感じなどを考えながら,どのように主題を表すかについて考える。
・安野光雅の絵本や自分たちの作品の造形的なよさや美しさ,表現の意図や特徴,表し方の変化などについて,感じ取ったり考えたりし,自分の見方や感じ方を深める。
・動き,バランスなどを基に,自分のイメージをもつ。
・主体的に安野光雅の絵本を鑑賞したり,想像した街を絵に表したり友人とつなげたりする学習活動に取り組み,つくりだす喜びを味わうとともに,形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。
8.題材の評価規準
・安野光雅の絵本を鑑賞したり,想像した街を絵に表したり友人とつなげたりするときの感覚や行為を通して,動き,バランスなどを理解している。
・表現方法に応じてハードパステル,クレヨン・パス,ペンなどを活用するとともに,前学年までの材料や用具についての経験や技能を総合的に生かしたり,表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして,表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。
・動き,バランスなどを基に,自分のイメージをもちながら,安野光雅の絵本を見たり,話し合ったりしながら感じたこと,想像したこと,見たことから,表したいことを見付け,形や色,材料の特徴,構成の美しさなどの感じなどを考えながら,どのように主題を表すかについて考えている。
・動き,バランスなどを基に,自分のイメージをもちながら,安野光雅の絵本や自分たちの作品の造形的なよさや美しさ,表現の意図や特徴,表し方の変化などについて,感じ取ったり考えたりし,自分の見方や感じ方を深めている。
・つくりだす喜びを味わい主体的に安野光雅の絵本を鑑賞したり,想像した街を絵に表したり友人とつなげたりする学習活動に取り組もうとしている。
9.指導計画(全4時間)
実践協力:福島県須賀川市立長沼東小学校 菊地優子
(1)「どんな『まち』にするか話し合おう」 1時間
- 絵本「旅の絵本」(安野光雅 作 福音館書店)を俯瞰的な表現法の視点を基に鑑賞する。
- 絵本をテレビ画面に投影しながら「文章が一言も書いていないね」「すべてのページで共通している視点は?」「どこから見て描いたように見えるかな?」などの働き掛けをしながら鑑賞し,空から見ているように街をかきたいという意欲を高める。
- 製作のイメージが膨らんだところで,「グループごとに自分たちの想像のまちをかこう」と提案をし,グループ活動に入る。
- グループで話し合い,「まちのテーマ」を決め,ワークシートに記入する。
- テーマに合った画用紙の色や画材について話し合い,ワークシートに記入する。
(2)「自分のまちをかこう」 2時間
- グループでの話し合いを基に,テーマに合った色画用紙を選択する。画用紙には,教師があらかじめ,道の起点Aと終点Bの印を付けておき,必ず印のところから道をかき始め,終点で出て行くことを確認する。
- 起点と終点の決め方のポイント:①画用紙の左側の一点を起点Aとする。右側を終点Bとする。②AとBを同じ高さにすると,組み合わせたときに画用紙がずれることなく組み合わさるが,道が直線的になりやすく面白さに欠ける。図のように位置を変えることで,組み合わさった時の驚きや感動が生まれる。③起点,終点の印の付け方は,画用紙を重ね,それをずらして,印を付けると簡単にできる。なお,起点と終点の道幅は,同じにする。
(3)「みんなの絵をつなげてみると…」 1時間
- まず,グループで絵をつなげでみる。「うわー!つながった」「○○さんのここの道が分かれたところがいいね」「ねえ,つなぐ順番を変えたらどうかな?」「なんか違ったまちに見えるね。」
- グループで絵をつなぎ,それぞれの作品のよさやテーマについて話し合う。
- 他のグループの作品を見て話し合う。
- 友人の作品を見てそのよさを伝える。
- 次に学級全員の作品をつなげてみる。「わあ!ぜんぶが,つながるよ」「楽しいね」
- みんなの絵をつなげて,出来上がった共同作品のよさや思ったことや考えたことを話し合う。ワークシートに書く。発表する。
10.おわりに
今回は第6学年で実践したが,この題材は,アレンジをすることで,他の学年でも実践することができる。以下は,その例である。
道を通路にして,ジェットコースターやいろいろなアトラクション,人々をかき,それらを組み合わせて遊園地をつくる活動。
道をトンネルにして,海底の中を人が歩き,周りにいろいろな海底生物をかく活動。
宝島の財宝に続く道をかき,島に隠されたトリックやいろいろな自然をかく活動。
機関誌・教育情報:形 forme No.320
機関誌・教育情報:「形 forme(図画工作・美術)」No.320 “[特集]中学美術の学びを考える<その2> カリキュラム・マネジメントの核となる「美術」” を追加しました。
[特集]中学美術の学びを考える<その2> カリキュラム・マネジメントの核となる「美術」
2020 愛知教育大学附属名古屋小学校 実践研究発表会
2020 愛知教育大学附属名古屋小学校 実践研究発表会を追加しました。








