小学校 生活 ブログ:「子どもがかわる 授業がかわる『生き活きうぃーくる』」第65回
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月別アーカイブ: 2020年4月
機関誌・教育情報:「その他の教育資料」No.41
機関誌・教育情報:「その他の教育資料」No.41 “中学社会 見方・考え方はこう働かせる” を追加しました。
中学社会 見方・考え方はこう働かせる
機関誌・教育情報:「どうとくのひろば」No.26
機関誌・教育情報:「どうとくのひろば」No.26 “教科書特集号” を追加しました。
教科書特集号
二つの国の間で現在と未来が交差する
1.ミュンヘン駅の夜
アムステルダム・スキポール空港を発ち、ドイツ・ミュンヘン空港に着いたのは夕方でした。空港から電車でミュンヘン中央駅に移動し、さて、早くホテルに入って明日に備えようと駅を出ると、周辺は異様な光景が広がっていました。駅の内外を行き交う大勢の人、彼らのほとんどは中東の装いです。うっすらと煙が漂う駅の周辺、オレンジ色の光に照らし出された彼らこそ、シリアからトルコを経て地中海を渡り、イタリアを北上してドイツに入ってきた難民の人たちでした。ドイツ南端のミュンヘンは、イスラム過激派の迫害を逃れてきた彼らがめざしたドイツの入り口でした。
当時、シリアを中心に活動する過激派は平穏に暮らす人々の暮らしを弾圧し、多くの難民は地中海を渡って、命からがらヨーロッパ大陸に逃れてきました。その情報は連日日本でも報道されていましたが、思いもかけず、その恐ろしい現実を目の当たりにすることになりました。下半身を失った男性が板にのって手で移動するその姿は、ブリューゲルの絵に出てきそうです。ここは、私たちの知っている42年前のオリンピック開催地ミュンヘンではなく、その凄惨さが報道されていた難民キャンプそのものでした。私たちは身の危険を強く感じ、一目散にホテルに駆け込み、その夜は一切外に出ることはありませんでした。
2.ドイツとオランダのコントラスト
EUの中でもドイツは積極的に難民を受け入れ、多くの支援をもたらしました。しかしそれはドイツ国民の税金や仕事を難民に分け与えることとなり、国民の反対運動も激しくなっていました。一方隣接するオランダは難民の受け入れを厳しく制限し、永住権を取得するにはオランダ語の習得など多くの条件を満足させる必要があります。オランダの首都・アムステルダムをモデルにしたコペンハーゲンを首都に持つデンマークも、オランダと同じ政策をとっています。
図1 エルンスト・マッハ・ギムナジウム この、オランダとドイツの難民政策のコントラストは、余りにも強烈です。私はその直前まで、人道的に難民は受け入れるべき、いや受け入れなければならないと考えていました。しかし、この光景を目の当たりにした時、決してそのような上辺だけの同情を許さない、現実の厳しさを痛感したのでした。「解のない問い」に挑戦させようとするPBLを構想するとき、教室の中だけの安易な判断に決して留まらない、現実を直視する複数の視点が必要だということを思い知らされた経験となりました。
翌日朝のミュンヘン中央駅はゴミこそ散乱していましたが、難民の人たちをただの1人も目にすることなく、オフィスに向かう人たちだけが行き交っていました。恐ろしい夢から醒めたようでした。
3.エルンスト・マッハ・ギムナジウム
図2 中等部の英語の授業 さて、ドイツに足を踏み入れた目的は、ミュンヘン郊外のハールにあるエルンスト・マッハ・ギムナジウムと福島のふたば未来学園高校とをつなぐことでした。ふたば未来学園高校の生徒たちは既に何度かドイツを訪問し、省エネルギーの現状などを視察していますが、持続的に研究を進めるためにパートナーを固定したいというねらいがありました。
図3 世界各地と交流する同校 エルンスト・マッハ・ギムナジウムは中高一貫の中等教育学校で、他のドイツの高校と同じように海外連携が活発で、EU圏外の高校とも提携していました。持続可能な開発やグローバル及び異文化教育に力を入れており、「ヨーロッパにおける環境教育学校」で優秀賞を受賞している有名校です。学校ぐるみでフェアトレード(開発途上国の原料や製品を適正な価格で購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易のしくみ(※1))の実践研究を行っており、ここに限らずEUの高校の問題意識の高さを強く感じました。
図4 プレゼンテーションする学生たち 私たちは中等部と高等部の授業を参観した後、訪問の目的を伝え、今後の進め方について協議しました。ふたば未来学園高校とはSkypeでつなぎ、リアルタイムで情報交換を行いました。同行した学生たちが福島の現状をプレゼンし、先方から大きな信頼を得ることとなり、帰国後、学生たちはふたば未来学園高校に入って、エルンスト・マッハ・ギムナジウムとの協働をコーディネートすることになりました。
Webマガジンまなびと:「学び!とPBL」Vol.25
Webマガジン:「学び!とPBL」Vol.25 “二つの国の間で現在と未来が交差する”を追加しました。
共生社会の実現に向けた障害理解教育のありかたを考える
新型コロナウイルス感染の影響で、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は2021年に延期となりましたが、内閣官房では、「世界中から障害のある人も含めあらゆる人が集い、そして、障害のある選手たちが繰り広げる圧倒的なパフォーマンスを直に目にすることのできるパラリンピック競技大会は、共生社会の実現に向けて社会の在り方を大きく変える絶好の機会である」と捉え、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を掲げています。オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として共生社会の実現に向け「心のバリアフリー」を推進しようとするものです(*1)。「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことです。
これを受けて、文部科学省でも、すでに「交流及び共同学習」の全国的な推進事業によりその普及に取り組んでいたところではありますが、新たに「心のバリアフリー学習推進会議」が設けられ、「交流及び共同学習」の一層の充実が図られることになりました。また、新しい幼稚園教育要領、小学校・中学校学習指導要領及び特別支援学校の教育要領及び学習指導要領においても、交流及び共同学習の更なる充実を図るよう規定されていることについてはこれまでに記してきたところです。
このように、東京でのオリンピック・パラリンピック競技大会の開催や障害者権利条約の批准を受けてのインクルーシブ教育システムの構築の推進を契機として、学校教育でも「共生社会」の実現に向けた動きが加速されていることは大変意義深いといえます。他方、国内における意識調査において、明確な差別的な振る舞いが行われているときに同調的な行動をする人は少ないものの、高齢者、外国人、障害者に差別的な考えを持っていると答える人が多かったという報告(*2)があることにも気を留めておく必要があるように思います。真の意味での「心のバリアフリー」の実現のためには、「共生社会」実現に向けた活動が表層的なレベルに留まっていては不十分だということです。自分たち自身に関わることとして、深層における理解や共感にまでその取組を高めていく必要があるのではないでしょうか。
「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、「心のバリアフリー」を体現するためのポイントとして、以下の3点が示されています。
(1)障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。
(2)障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。
(3)自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。
これらのポイントを表層的なレベルに留めるのではなく深層から理解させるためには、障害理解教育の質的な充実が目指されなければならないでしょう。交流及び共同学習は、障害理解教育の重要な柱の一つですが、それは、障害理解教育の一部です。すでに記したところですが、小学校・中学校の新学習指導要領においては、交流及び共同学習の一層の充実のみならず、障害のある児童等に関する配慮が教科ごとに記述され、通常の学級における教科指導においても、個に応じて指導内容や方法を工夫することなど、これまでよりも一歩踏み込んだ規定もなされています。学校におけるすべての活動において障害理解教育の視点が大事だということです。そのためには、現実対応だけに留まるのではなく、子どもの発達の様相を考慮しつつ長期的な展望に立った構造的な障害理解教育の在り方が検討され、それが日々の実践の中に組み込まれていくことが期待されます。
*1:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokyo2020_suishin_honbu/ud2020kkkaigi/pdf/2020_keikaku.pdf
*2:三重野卓(2018) 共生システムの論理と分析視角―「生活の質」およびガバナンスとの関連で― 応用社会学研究,60,135-146
Webマガジンまなびと:「学び!と共生社会」Vol.03
Webマガジン:「学び!と共生社会」Vol.03 “共生社会の実現に向けた障害理解教育のありかたを考える”を追加しました。
「令和3年度版 中学校教科書のご案内」特設サイトを公開
「令和3年度版 中学校教科書のご案内」特設サイト
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