月別アーカイブ: 2020年7月
第65回 造形教育センター 夏の研究大会
第65回 造形教育センター 夏の研究大会を追加しました。
中学校 美術:「みんなの美術室」、機関誌・教育情報:その他の教育資料 No.44 更新
中学校 美術:学習支援コンテンツ「みんなの美術室」の「教師向け資料」に「B301相談室 vol.1(若手の先生のための授業改善シリーズ)/『美術の評価』『表現技法とレタリングの指導』(北海道・花輪大輔 先生)」を追加しました。機関誌・教育情報:その他の教育資料 No.44でもご覧いただけます。
中学校美術 B301相談室 vol.1
「学習活動の重点化等に資する年間指導計画参考資料」更新
学習活動の重点化等に資する年間指導計画参考資料:【小学校】書写を更新しました。
Webマガジンまなびと:「学び!とESD」Vol.07
Webマガジン:「学び!とESD」Vol.07 “ポスト・コロナ時代の教育 ‘ESD for 2030’からの示唆 ~その1~”を追加しました。
ポスト・コロナ時代の教育 ‘ESD for 2030’からの示唆 ~その1~
「変化に向かうまたとない好機」
にわかに起きた新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄された世界のあり様をふり返り、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏は次のように語っています。
コロナ前の世界は瀕死の状態でした。地球温暖化や経済格差は悪化する一方で、人工知能(AI)によって失業した人々が職を求めて列をなしていた。私たちはコロナ前の誤った世界に戻してはならず、新しい世界をつくらなければなりません。政治指導者がまずやるべきは、コロナ前の世界に決して戻さないと誓うことです。今は変化に向かうまたとない好機です。(The Asahi Shimbun Globe. No. 231. 2020年7月5日)
「瀕死の状態」をもたらした「誤った世界」とは常軌を逸したグローバル化が生み出した格差社会や気候変動に翻弄される社会です。こうした社会を支えてきた価値観の形成に大きな影響を及ぼしてきたのは教育ですから、教育にとっても「変化に向かうまたとない好機」であると言えましょう。
ところが、ウィズ・コロナのいま、全国で夏休みを返上してまで授業や宿題で学習の遅れを取り戻す必要性が連呼され、多くの先生に焦りが見られるようになりました。もちろん、こうした努力は学力保障という意味においては重要かもしれません。ただ、制度内での努力だけでなく制度そのものを見直す努力、すなわち旧来の制度内での変化ではなく制度や枠組み自体の変化が求められているのではないでしょうか。
今、問われなくてはならないのは、従来の就学(通学)主義、管理主義、形式主義、成果主義、評価主義、能力主義、教科主義、年齢主義、そしてこれらを支えてきた「学校文化」です。今月そして来月と、新型コロナウイルスの発生とほぼ同時期に産み落とされた国際的な教育枠組みである‘ESD for 2030’に注目し、従来の「学校文化」もしくは学校の「当たり前」を捉え直してみたいと思います。
古くて新しい課題
ユネスコはユヌス氏と同様の危機感をつとに示していました。『教育の再考(Rethinking Education)』などのレポートには随所に行き過ぎた経済成長優先の開発のあり方への警鐘が鳴らされています(*1)。
このレポートでは「学習の4本柱」、すなわち「知るための学び」「為すための学び」「共に生きるための学び」「存在を深めるための学び」から成る学習の4類型の中でもグローバル化の時代においては特に「共に生きるための学び」と「存在を深めるための学び」が重要であり、今こそ「ヒューマニスティック・アプローチ」が重要であると主張されています。中でも「存在を深めるための学び(Learning to be)」は現代社会が常軌を逸脱した方向に向かおうとする時の警鐘としてしばしば登場してきた概念です。
1972年に刊行されたLearning to Be: The World of Education Today and Tomorrow(邦訳『未来の学習』)で知られるようになった「存在を深めるための学び」の理解にはエーリッヒ・フロム著『生きるということ』(原題:To Have or To Be)が参考になるでしょう。「持つ様式」と「ある様式」は人間の二つの基本的な存在様式であり、前者は近代化を推し進め、グローバル化を下支えする消費社会を形成してきました。他方、後者は人がモノとして扱われたり処理されたりする消費社会の様式とは異なり、「世界との真正な結びつき」が築かれていくのに不可欠な様式です。
こうした「ヒューマニスティック・アプローチ」の系譜は、グローバル化の荒波の中でもユネスコの諸事業を通して1970年代以後も連綿と受け継がれており、ESDの文脈においても見出させます。次号で詳しく紹介する‘ESD for 2030’のキーワードはまさにその延長線上に位置付けられ、ポスト・コロナの時代においてはいっそう示唆に富むメッセージとなって立ち現れています。
*1:『教育の再考(Rethinking Education)』(文部科学省仮訳)
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2015/07/09/1359574_05.pdf
生徒国際イノベーションフォーラム2020@online
生徒国際イノベーションフォーラム2020@onlineを追加しました。
my実践事例:高等学校 美術/工芸 No.003
デザイン:サインのデザイン ―季節に関する行事のマークをデザインする―(第1学年)
1.題材名
2.サブタイトル
季節に関する行事のマークをデザインする
3.目標
造形的な見方・考え方を働かせて,社会で使われているマークの特徴から役割や働きを読み取り,学んだことを自らの作品を通して美しく表現している。
日本で四季折々に行われてきた行事について知り,その特徴から主題をとらえて創造的な表現の構想を練っている。
造形的な見方・考え方を働かせて生活や社会の中の美術の働きを理解しようとしたり,主体的に主題を示しつつ表現や鑑賞の活動に取り組んだりしている。
4.準備(材料・用具)
5.評価規準
社会におけるデザインの役割や働きについて理解し,自らが構想したマークを丁寧に表現している。
日本で四季折々に行われてきた行事の特徴から自ら主題を作り,個性豊かなマークのデザインを構想している。
生活や社会の中のデザインの働きを考察したり,そこから学んだことを自らのデザインに主体的に取り入れ表現したりしようとする。
6.本題材の指導にあたって
生徒たちが,絵の具を扱うために必要な技能を身に付けた上で,本題材に取り組めるようにカリキュラムを工夫した。
前題材では,春夏秋冬から発想・構想し,自らがイメージした通りに色を塗る活動を通して,色彩について学んだ。授業では,それぞれの季節から感じる温度や匂いや雰囲気,その季節だからこそ出会える植物や食べ物等からイメージを広げるように指導した。
本題材では,形について学ぶことを目的とする。生徒にはコンセプトに沿った1色のみで塗ることを求めたり,形を工夫したりすることで,自らの意図を示すように指導した。
本校は単位制普通科の昼夜間定時制課程である。美術が好きで多くの支援がなくとも取り組めてしまう,不登校経験があり十分に学べていない,外国で学び美術の授業すらなかったなど,多様な生徒が在籍している。それゆえに生徒によって高等学校の美術に必要な学力の習得段階に違いがある。美術Ⅰではそれらの生徒全てに対して美術の楽しさを教え,美術Ⅱ及び美術Ⅲで必要となる基礎的な能力を育むことを重視している。
①丁寧に取り組む姿勢の育成【知識及び技能】
本校の生徒は定規を用いて決められた長さを測り曲がらないように線を引く,絵の具を自分が意図した通りに混色しムラなくはみ出さずに塗る,字体の見本を見ながら正しくレタリングするなど,基本的な作業でつまずいてしまうことがある。しかしこれらの方法を理解し丁寧に取り組む姿勢があれば,よりイメージに近い作品を仕上げることができる。本題材は創造することの楽しさを味わうとともに,必要な技能を養うことをねらいとした。
②自己肯定感の醸成【思考力,判断力,表現力等】
生徒からよく聞く発言として「自分には才能がないから…」というものがある。美術教師であればこの言葉は誰もが聞いたことがあるのではないだろうか。本題材を通じて生徒が,一つ一つ手順を追って論理的に考えることで,自らの意図に沿ったデザインを発想・構想できることを経験し,生徒たちの自己肯定感を高めたいと考えた。近年,社会において「デザイン思考」の必要性が強く言われている。美術教育を通じて,社会で必要とされる思考力,判断力,表現力等を養うことを目的とした。
③社会への興味・関心【学びに向かう力,人間性等】
最近は生活の中で日本の伝統を感じることが減りつつある。そのため,子どもたちは日本で四季折々にどのような行事が行われてきたのか知る機会が少なくなっている。また本校の場合は外国から来日して学んでいる生徒もおり、日本について知らないことがまだまだ多い。本題材を通じて,日本古来の風習や伝統文化について学ぶことにより,社会への興味・関心をもち,豊かな人間性を育むことをねらいとした。
7.題材の指導計画
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授業数 |
学習活動の流れ |
指導上の留意点,評価方法 |
評価規準,評価方法 |
|---|---|---|---|
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1時間 |
導入① |
① 団体や企業はマークを定めており,そこには意味や意図が込められていることを理解できるようにする。 |
【知識・技能】 |
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1時間 |
導入② |
① 日本の伝統的な行事は,どの時期にどのようなことが行われているのか,理解できるようにする。 |
【知識・技能】 |
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4時間 |
展開① 発想・構想 ① 取り上げた行事から1つ選び,使用する物やイメージすることを箇条書きにする。 |
① 手順を追って構想するように指導する。 |
【発想や構想】 |
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5時間 |
展開② 制作 |
評価について以下の3点を重視することを生徒に伝える。 |
【知識・技能】 |
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1時間 |
まとめ |
互いの感性の違いから生まれた作品を鑑賞し,よさを味わえるようにする。 |
【思考・判断・表現】 |
8.授業を終えて
本題材は2学期に美術Ⅰで取り組む。興味深い点は,熟考した結果それぞれの生徒が,他者と異なるデザインをすることである。多様な生徒がいれば発想・構想もそれぞれ違う。以上からこの題材は生徒が他者との違いを楽しむことができる課題であると考える。
前述したように本校の生徒は多様である。美術の授業を通じて多様性を受け入れ,自らの人生を幅広く豊かなものにできる生徒を育成したいと日々考えている。




