Webマガジンまなびと:「学び!と共生社会」Vol.13

Webマガジン:「学び!と共生社会」Vol.13 “「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」報告に示されている小・中学校への期待”を追加しました。

「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」報告に示されている小・中学校への期待

 前回、文部科学省「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」の報告素案を紹介しましたが、パブリックコメントを経て、最終の報告がこの1月にまとめられました(*1)

 報告は「Ⅰ.特別支援教育をめぐる状況と基本的な考え方」「Ⅱ.障害のある子供の学びの場の整備・連携強化」「Ⅲ.特別支援教育を担う教師の専門性の向上」「Ⅳ.ICT利活用等による特別支援教育の質の向上」「Ⅴ.関係機関の連携強化による切れ目ない支援の充実」の5部で構成されています。
 前回は報告素案全体を俯瞰して、小・中学校の先生方に是非とも知っておいていただきたい内容として「これからの特別支援教育の方向性」と「全ての教師に求められる特別支援教育に関する専門性」について紹介しました。
 今回は最終的にまとめられた報告において、障害のある児童生徒とない児童生徒が可能な限り共に教育を受けられる条件整備としてどのようなことが示されているかを確認していきたいと思います。小・中学校におけるインクルーシブ教育システムの構築については、「Ⅱ」の「2.」に「小中学校における障害のある子供の学びの充実」として示されています。報告の概要(*2)にその骨子が整理されていますので、それに即してまとめていきたいと思います。

特別支援学級と通常の学級の子どもが共に学ぶ活動の充実

 ここでは、通常の学級の対応として、「交流及び共同学習」の一層の充実を求めています。さらに、特別支援学級の児童生徒が、在籍する学校の通常の学級の一員としても活動するような取組が重要であるとして、「ホームルーム等の学級活動や給食等について、可能な限り共に活動する」ことや、「教科学習についても、児童生徒の障害の状態等を踏まえ、通常の学級と特別支援学級が共同で実施することが可能なものは、年間を通じて計画的に実施すること」が必要だとしています。そのためには、両学級の教育内容の関連を図っていくこと、ユニバーサルデザインや合理的配慮の提供を前提とした通常学級の学級経営・授業づくりを進める必要があり、管理職のリーダーシップの発揮が望まれるということになります。

自校で専門性の高い通級による指導を受けるための環境整備

 障害のある児童生徒が在籍する小学校等で専門性の高い通級による指導を受けられるようにすることが大事で、その方策としては、他校の担当教師が巡回して指導を行う仕組みや担当者がICT・遠隔技術を活用して専門的な指導を受けられるような仕組みを整える事が大事だとしています。これらは行政面の課題であり、先生方の努力だけでは実現しないことですが、こうした方向性が示されていることをしっかり認識しておきたいものです。

通級による指導等の多様で柔軟な学びの場の在り方の更なる検討

 この項では、知的障害単一の児童生徒(*3)への対応について取り上げています。知的障害単一の児童生徒は、現状では通級による指導の対象となっていません。障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り共に教育を受けられるようにするという「障害者の権利条約」の精神からは、「知的障害があったとしてもその程度が軽度で、通常の学級での学習活動に概ね参加している者は通級による指導の対象に加えることも考えられる」わけですが、会議ではそうした意見に対して「知的障害のあるものは特別支援学級での指導が効果的」という反論もあったようで、報告では両立併記にとどまっています。
 また、この報告では、小学校等において、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が共に学ぶ取組を更に進めるための方策の一つとして「特別支援教室構想」にも言及しています。この構想は「全ての児童生徒が通常の学級に在籍し、教師が一人一人の障害の状態等に応じた合理的配慮の提供やティームティーチング等による多様な学習形態での指導を行ったり、必要に応じて特別の場で障害に応じた指導を行ったりする」というもので、平成17年の中央教育審議会「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」などにも盛り込まれていたのですが、強い反対があり日の目を見ることがなかったものです。すでにいくつかの自治体では、特別支援教室を導入したり(*4)、障害の有無に関わらず全ての児童生徒ができる限り通常の学級に在籍して必要な時間に特別な指導を受ける取組を行ったりしています(*5)。今後の展開を注視したいと思います。

 今次の報告では検討課題にとどまっているものも多いのですが、具体化に向けた取組が進んでいくことを期待したいと思います。詳細は「報告」本文でご確認ください。

*1:新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議 報告【本文】
https://www.mext.go.jp/content/20210208-mxt_tokubetu02-000012615_2.pdf
*2:新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議 報告【概要】
https://www.mext.go.jp/content/20210208-mxt_tokubetu02-000012615_1.pdf
*3:「知的障害単一の児童生徒」とは、知的障害があるが、それ以外の障害を合わせ有していない児童生徒のことを表しています。
*4:東京都の取組
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/primary_and_junior_high/special_class/
*5:神奈川県の取組(時事ドットコムニュース【連載】インクルーシブ教育最前線)
https://www.jiji.com/jc/v7?id=2019inkk

小学校 図画工作:「みんなの図工ギャラリー」追加

小学校 図画工作:「みんなの図工ギャラリー」の3・4年生の作品の「【絵】絵の具でゆめもよう」を更新、5・6年生の作品に「【立体】糸のこ流いけばな」「【工作】ダンボールのメトロポリス」「【絵】墨と水から広がる世界」を追加しました。

台湾・立人高級中學学園祭!

1.学園祭前夜

図1 福島ブースの準備 2019年3月27日、準備を万端に整えた私たちの一行は台湾に向け出発しました。成田で一泊し、深夜まで学生と生徒の打ち合わせが続きました。中国語に通じた学生や院生のサポート体制は頼もしい限りでした。
 学園祭の前日の29日、台中市の立人高級中學に到着すると、すでに祭の準備は始まっていました。同校の私たちのパートナーは、そのような忙しい合間に会いに来てくれ、再会を喜ぶ間もなく、すぐにブースと「希望のヒカリ」の準備に取りかかりました。
図2 「希望のヒカリ」の組み立て 「希望のヒカリ」は、同校の校史資料室に置いてもらえることになり、そこで組み立てていくと、オブジェがイメージしていたものよりはるかにより大きく、高さが天井ギリギリとなってしまいました。「迷惑にならないか」と校長先生に聞きましたが、「大きいことはとてもいいことだ!」と喜んでくれました。一部の生徒らは傍らで、本校に贈呈する折り鶴による「福」の文字を組み立てていました。校長先生は、一連の作業を興味深そうに見ていました。
図3 福島ブースに集まる台湾の高校生 外では、福島の生徒たちに台湾のパートナーたちが手伝う形で福島のブースの展示の準備に大わらわでした。持ち運びできる展示物にしようと、ポスターをタペストリーの形にまとめそれらの配置を考えました。その中身ではネイティブのチェックを端折ったために、意味の通じない言葉を指摘され、慌てて修正しました。気がつくと、福島のブースの周りには人だかりができており、パートナーたちが内容を説明してくれました。
図4 校史資料室にて 生徒たちが最も力を入れていたのは、ダンスの発表です。割り当てられたリハーサルの時間を一杯に使い、登場から退場まで入念に打ち合わせをし、音楽のチェックにも余念がありませんでした。
 その夜、PTA理事会のレセプションに大人と生徒代表が招待され、挨拶をしました。校長先生は懐から、「日本の生徒からもらった鶴だ」として取り出し、とても嬉しそうに周りに披露していました。

2.学園祭――3600人の前で

図5 運動会に参加して 当日は、これ以上望めないほどの学園祭日和となりました。入場行進や運動会にも参加が許され、クラスごとに団結の旗を手にして入場し、最後に赤いシャツで揃えた福島チームが紹介され、全校生からの大きな拍手が青空に響き渡りました。開会式では、全校生3600人の前で「希望のヒカリ」の目録を贈呈し、「私たちは世界的に悲劇の地として知られた福島からやってきた。立人高級中學の先生や生徒たちにエネルギーをもらって、今日の日を迎えることができた。これからも絆を強くしていきたい」と挨拶をしました。
図6 台湾の高校生とコスプレ 来賓の交流の席では、この交流の元を作ってくれた楊思偉先生が福島との交流の意義を、丁寧にスピーチしてくれました。「日本の福島は、大震災を経験して新しい教育プロジェクトを始めた、OECDなどの国際機関といっしょに次世代の新しい教育をつくり出そうとしている。台湾も視線を外に向け、生徒たちに必要な教育を創っていかなければならない」という趣旨でした。これを聞いた、台中女子高級中學のPTAの方が「是非本校とも交流していただけないか」と、日本語で親しげに近寄ってきました。いろいろ話していると、私たちがやろうとしていることと重なることが多く、新しい方向性が見え隠れするものでした。実際これは、翌年実現することとなります。
図7 福島のためにメッセージを書く高校生たち その頃、生徒たちは参加していた運動会で四苦八苦していました。ボールを道具でリレーするゲームでは見事に最下位となり、大笑いとなります。

3.「魚ではなく釣り竿を」

 福島のブースには、大勢の生徒や大人が詰めかけました。チームの中国語が話せる生徒は、この日のために作ったパンフレットをあちこちに配り歩き、ブースに台湾の生徒を連れてきました。このような状態でしたから、福島市チームのブースは人が絶えませんでした。
図8 福島市チームのステージ発表 午後のステージでは、日本風にアレンジしたダンスが生徒たちの好評を博しました。直前のアトラクションが、台湾の生徒による「銃さばき」のパフォーマンスです。台中でも高評価をもらっているそうで、台湾には徴兵制があることを思い起こさせられました。これらの指導は軍人が行っており、台湾の生活指導も軍人が担当します。
図9 台湾伝統の「銃さばき」 学園祭の1日も始まれば、あっという間に終わってしまい、後片付けを終えた生徒たちは心地よい疲労感に包まれていました。閉会式では、運動会の成績が紹介され、福島チームも大きな拍手の中で記念のペナントを受け取りました。私たちはこの日の内に、台中から台北に移動し、翌朝の便で日本に帰らなければなりません。先生方や生徒たちに何度も何度も感謝のご挨拶をし、そそくさと立人高級中學を後にしました。
図10 閉会式で紹介される福島市チーム その夜、ホテルで一連の取り組みの振り返りを行いました。ガイドさんからも「日本人でここまでがんばる生徒は初めて、感動した」と言ってくれました。「台湾と交流している日本の高校はたくさんある。けれどもここまで関係を築いて、いっしょに協働できている学校はとても少ない。やろうとする意志力が一番大切」と言いました。留学生のスタッフ院生は「魚を与えられるのではなく、釣り竿をもらって釣り方を覚えることが大切。生徒のみんなはもらった釣り竿を上手に使わなければならない」と、言いました。
 思えば、これまで4年間活動をしてきた高校2年生は第一線を退くこととなり、これがほぼ最後の活動となります。ずいぶん、遠くまで来てしまったな、と改めて思いました。

機関誌・教育情報:「社会科NAVI」Vol.27

機関誌・教育情報:「社会科NAVI(小・中学校 社会)」Vol.27 “[ここに注目!]GIGAスクール構想の実現がもたらすデジタル時代の学び” を追加しました。