わたしはダフネ

© 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati

 この世には、悪い人など存在しないかのような、ほんわか、心あたたまる映画が「わたしはダフネ」(ザジフィルムズ配給)だ。
 主人公のダフネ(カロリーナ・ラスパンティ)は、ダウン症の女性だ。少女のように見えるが、すでにスーパーマーケットで働いていて、30代くらいの設定だ。ダウン症とはいえ、ダフネは普通の女性と何ら変わらない。陽気で、誰にでも、はっきりとものを言う。
 イタリアのあるキャンプ場。ダフネは両親と3人で過ごしている。ダフネは、ダンスが好きで、この夜も、ダフネはみんなと楽しそうに踊っている。
 キャンプから戻る日、ダフネの母マリア(ステファニア・カッシーニ)が、突然、倒れてしまう。すぐ病院に運んだものの、マリアは亡くなる。ダフネと父ルイジ(アントニオ・ピオヴァネッリ)は、呆然とする。ルイジは、泣きじゃくるダフネを心配するが、ダフネは、「タバコの息が匂う」と、ルイジに辛くあたってしまう。
© 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati マリアの葬儀が、生まれ故郷トスカーナのコルニオーロで営まれ、なんとか終わる。近所のスーパーで働いているダフネは、店長を始め、いい仲間に恵まれていて、みんなは、なにかとダフネのことを心配してくれている。
 ダフネとふたりきりになったルイジに、妻を亡くした悲しみが次第に募ってくる。つい、ささいなことから、父と娘が衝突する。
 ルイジは、「もう働けない」と弱音をはくが、ダフネは、「母さんの故郷まで、歩いて行かない?」と提案する。そして、ダフネは、「お世辞ではなくて、父さんは世界一」とルイジに抱きつく。
 父と娘は、途中まで列車を乗り継ぎ、マリアの故郷を目指す。
 じつにシンプルなドラマだが、この映画の世界は、まるで、人の善意に満ちているようだ。旅の途中、父娘は、「猟師の宿」に泊まる。宿の夫婦の応対が、アメニティに満ちて、とてもいい。また、山道では、森林警備隊の青年二人が、車で送ってくれる。
© 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati 映画の宣伝文句にこうある。「あなたとなら、信じられる。世界はやさしさに満ちている、と」。その通りの映画だ。
 そして、ラストシーンの父と娘の会話が、縮まった父娘の距離感が消滅するほどで、心ふるえる。あざやかで、見事な幕切れ。
 映画の成功は、主役ダフネを演じたカロリーナ・ラスパンティを見出したことだろう。カロリーナ自身は、ダウン症を抱えながら、実際に生協のスーパーに勤めている。そして、自伝ともいえる小説を上梓するほどの作家でもある。
 脚本、監督は、フィレンツェ生まれのフェデリコ・ボンディ。長編の劇映画は2作目で、これが日本初公開となる。人物のきめ細やかな心理を、表情の微妙な変化で表現、さらに、ほどよいユーモアが配されて、達者な演出ぶりだ。
 今年の上半期に公開された映画のなかでも、強く勧めたい一作だ。

2021年7月3日(土)より、岩波ホールほか全国順次ロードショー

『わたしはダフネ』公式Webサイト

監督・脚本:フェデリコ・ボンディ
原案:フェデリコ・ボンディ、シモーナ・バルダンジ
エグゼクティブ・プロデューサー:アレッシオ・ラザレスキー
プロデューサー:マルタ・ドンゼリ、グレゴリオ・パオネッサ
撮影:ピエロ・バッソ 編集:ステファノ・クラヴェロ
音楽:サヴェリオ・ランツァ 衣装:マッシモ・カンティーニ・パリーニ
出演:カロリーナ・ラスパンティ、アントニオ・ピオヴァネッリ、ステファニア・カッシーニ、アンジェラ・マグニ、ガブリエレ・スピネッリ、フランチェスカ・ラビ
2019年/イタリア/イタリア語/94分/カラー/シネマスコープ
原題:DAFNE 字幕翻訳:関口英子
配給:ザジフィルムズ 後援:公益財団法人日本ダウン症協会
厚生労働省社会保障審議会 推薦【中学生以上、保護者・指導者等、一般(啓蒙) 】

SDGsと人権教育のつながり

 第2回では、SDGsに焦点を合わせて人権教育を論じてみたいと思います。近年、日本政府は、Society5.0とSDGsを学校改革の出発点としてあげることが増えています。Society5.0は次回に取り上げるとして、今回は、SDGsについてご一緒に考えましょう。

1.SDGsの17目標

 多くの方もご存じの通り、SDGsは2015年に国連が定めた2030年までの目標です。図1にあるSDGs17の目標を記したロゴは、見たことがあるでしょう。しかし、このロゴを一目見て、17あるSDGsの諸目標の関連性が即座にわかるという人は少ないだろうと思います。

図1 持続可能な開発目標(SDGs)
https://www.un.org/sustainabledevelopment/news/communications-material/

2.SDGs目標の相互連関

 SDGsは2015年9月25日第70回国連総会で「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書として採択されました。その採択されたときから、17の目標は人間・地球・環境・平和・パートナーシップという5つの枠組みで説明されていました。その枠組みを使い、これら17の目標の相互関連を示す図があります。それは次のもので、国連情報センターから発信されています。

図2 SDGs諸目標の関連
国連グローバル・コミュニケーション局

 いろいろな説明の仕方があるのですが、一番わかりやすかったのは、次のような説明です。図2の上にある「人間People」は図1の上段、目標1-6に当てはまります。これら6つの目標は、直接人間と関係が深く、「あらゆる形態の貧困と飢餓に終止符を打ち、尊厳と平等を確保する」とされています。人権諸条約など国際的な人権文書との関わりも強いと言えます。
 図2の右側にある「豊かさProsperity」は、図1の中段、目標7-12に当てはまります。これらは、社会の経済的発展との関連が強く、経済的発展が持続可能であるために何が必要かを示しています。「自然と調和した、豊かで充実した生活を確保する」という説明が付されています。
 左側の「地球Planet」は、図1の下段にある目標13-15に特に関わります。環境との結びつきが深い項目です。「将来の世代のために、地球の天然資源と気候を守る」と説明があります。
 これらに加えて、目標16に当たる「平和Peace」、すなわち「平和で公正、かつ包括的な社会を育てる」という項目があります。最後に、目標17「パートナーシップPartnership」があり、「確かなグローバル・パートナーシップを通じ、アジェンダを実施する」とされています。
 このような説明を学ぶと、SDGsというのはよくできた目標だと感じます。一度に17個の目標を示されるだけだとわたしは圧迫感さえ感じたのですが、それを5つに分けて相互の連関を示してもらえると、わたしの場合は、「なるほど」と思えました。
 これら17の目標はすべて、人権と深い関わりがあります。諸目標と人権との関わりについては、ヒューライツ大阪のウェブサイト をご覧ください。
 ここで特に示したいのは、人権教育にとくに関連が深い、目標4であり、そのなかの4.7です。

3.SDGsのターゲット4.7

 SDGsのなかでも、人権教育にとりわけ関係が深いのは、目標4「教育」です。目標4に含まれるターゲットの全文 については、リンク先のウェブサイトをご覧ください。ここでは、とりわけ関わりの深いターゲット4.7を取り上げて説明します。

4.7
2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。

 前回も紹介した「人権教育・研修に関する国連宣言」(以下「人権教育宣言」と略)は、前文ですべての人の教育を受ける権利(=「人権としての教育」)を確認した上で、第2条で、人権教育には「人権に関する教育」「人権を通じた教育」「人権をめざす教育」が含まれていると定めています。SDGsも同様の構成となっており、ターゲット4.1から4.6までですべての人の教育を受ける権利を規定した上で、ターゲット4.7で教育の内容や質を重視した事柄を定めています。この内容は、人権教育と深く関わるものです。
 ターゲット4.7を読むと、現代的人権教育は、人権について学ぶだけではなく、持続可能な開発のための教育(ESD)、男女平等、平和と非暴力、グローバル・シチズンシップ、多文化共生、開発教育などと結びついて進められるべきだということになります。

4.SDGsへの批判

 このように、国連の提唱したSDGsは世界に広く受け入れられつつあります。日本では、外務省のウェブサイトに「SDGs推進企業」として300近い企業の名前が挙がっています(2021年6月20日現在)。SDGsに積極的に取り組んでいる企業がこんなに出てきているのです。
 しかし、SDGsに対して批判もあります。さきのSDGs推進企業の一つは、最近のイベントで「耳障りのいい言葉を装いながら、その矛先はビジネスチャンスや金儲けに向いていたり、SDGsのためのSDGsがあまりに礼賛されている風潮があります」と述べて、日本におけるSDGsのあり方に疑問を投げかけています。逆に、「国連がそんな目標を提唱しても、実現するのは無理」という悲観的な声もあります。研究者にもさまざまなスタンスがあり、斎藤幸平さんなどは「SDGsは民衆へのアヘンである」と述べて、SDGsを強く批判しています。
 こうした様々な意見を受けとめつつ、SDGsに関わる教育は進めなければならないということになります。SDGsに依拠して進める利点は、なんと言っても日本政府がこれを全面的に支持しているという点にあります。文部科学省などから支持を得やすいですし、逆に批判は向けられにくいと言えます。また、その中に人権もきちんと組み込まれていますから、人権教育としても進めやすいはずです。さらに言えば、批判の声も紹介しながら学ぶことによって、SDGsを越えた発想や具体的取り組みを考えられることにもなります。

Webマガジンまなびと:「学び!と人権」Vol.02

Webマガジン:「学び!と人権」Vol.02 “SDGsと人権教育のつながり” を公開しました。

「水産業のさかんな地域」(第5学年)

1.単元名

「水産業のさかんな地域」(第5学年)

2.目標

 我が国の水産業について、生産の工程、人々の協力関係、技術の向上、輸送、価格や費用などに着目して地図帳や各種の資料で調べ、水産業に関わる人々の工夫や努力を捉え、その働きを考え表現することを通して、水産業に関わる人々が、生産性や品質を高めるよう努力したり輸送方法や販売方法を工夫したりして、良質な食料を消費地に届けるなど、我が国の食料生産を支えていることを理解するとともに、水産業の課題や解決への取組を理解できるようにする。
 我が国の水産業について、主体的に学習問題を追究、解決しようとする態度や、我が国の水産業の発展について考えようとする態度を養う。

3.評価規準

知識・技能
○生産の工程、人々の協力関係、技術の向上、輸送、価格や費用などについて、地図帳や各種の資料で調べて、必要な情報を読み取り、水産業に関わる人々の工夫や努力について理解している。
○調べたことを図や文などにまとめ、水産業に関わる人々は、生産性や品質を高めるよう努力したり輸送方法や販売方法を工夫したりして、良質な食料を消費地に届けるなど、我が国の食料生産を支えていることを理解している。

思考・判断・表現力
○生産の工程、人々の協力関係、技術の向上、輸送、価格や費用などに着目して、問いを見出し、水産業に関わる人々の工夫や努力について考え表現している。
○食料生産と国民生活を関連付けて、食料生産が国民生活に果たす役割を考えたり、学習したことを基に消費者や生産者などの立場から多角的に考えて、これからの水産業の発展について自分の考えをまとめたりして、適切に表現している。

主体的に学習に取り組む態度
○我が国の水産業について、予想や学習計画を立て、学習を振り返ったり見直したりして、学習問題を追究し、解決しようとしている。
○学習したことを基に消費者や生産者の立場などから、水産業の発展について考えようとしている。

4.本単元の指導にあたって

 本小単元では既習で働かせた見方・考え方や既習で獲得した知識を生かす場面を意図的に設定した。例えば、米作りも水産業も様々な立場の人が協力している点や、自然環境を守ったり生かしたりしている点は共通している。「米作りと水産業は、共通している点が多い。」と子どもが捉えることができれば、既習を生かして考えようとする子どもが育つのではないかと考えた。また、本実践では、社会で見られる課題を教材化した。我が国の水産業は、水産資源の減少、労働人口の減少や高齢化といった課題を抱えている。つかむ段階では、このような水産物を確保することが難しい状況で、水産業に関わる人たちがどのように水産物を確保しているか問題意識をもてるようにした。社会に見られる課題と課題解決に取り組む人の姿を取り上げることで、社会的事象に共感し、切実感をもって学習に取り組めると考えた。

5.単元の指導計画

学習のねらい

◆本時の問い ○子どもの活動
・子どもの反応

資料

日本の主な漁港の水揚げ量を調べることを通して、水産物の生産地の分布について理解できるようにする。

◆私たちが食べている水産物はどこでとれるのだろう。
○日本の主な漁港の水揚げ量を調べる。
○日本の近海で多くの魚が獲れる理由を調べる。
・私たちが食べている水産物は、銚子や焼津、釧路などで多く水揚げされている。また、魚を獲るだけでなく、養殖も盛んだ。

◎魚や水産加工品の写真
◎主な国の一人1年あたりの魚や貝の消費量のグラフ
◎漁港の水揚げ量、養殖量が分かる地図
◎地図帳
◎日本の近海で多くの魚が獲れる理由

日本の水産業の課題を調べ、水産物の確保について疑問を出し合い、学習問題をつくることができるようにする。

◆日本の水産業にはどのような課題があるのだろう。
○日本の水産業の課題について調べる。
・漁師の数が減っている。
・水産資源が減少して、魚がとりにくくなっている。
○水産資源の減少の原因を調べる。
・魚をとり過ぎてしまったことが原因だ。

○日本の水産業について疑問を出し合い学習問題をつくる。

◎不漁の新聞記事
◎さんま不漁のニュース・漁師の話(映像)
◎水産業で働く人数の推移
◎水産資源減少の原因の映像

◎私たちの食生活(写真)

【学習問題】大変だ!日本の水産業!水産業のさかんな地域の人たちは、消費者が魚を食べられるように、どのようのことをしているのだろう。

学習問題について予想し、学習計画をたてることができるようにする。

○学習問題について予想する。
・魚をカントリーエレベーターのようにたくさんためている。
・魚を品種改良のように改良している。
・大学の研究者との協力している。
【稲作の学習を生かした予想】

○日本の水産物の自給率や水産物の輸入相手国や輸入品目について調べる。
・日本は約半分の水産物を輸入している。

○日本の水産業に関わる人は、水産物を確保するためにどのような工夫をしているか予想する。
・養殖をしている人がたくさん魚をためている。
・網でとったあと生きたままどこかで飼っているのではないか
○予想を基に、学習計画をたてる。
・あみ漁法の工夫
・つり漁法の工夫
・養殖の工夫
・港や輸送の働き

◎水産物輸入の割合
◎水産物の自給率
◎水産物の国内生産量と輸入量
◎網漁、釣り漁、ようしょく、輸送に関わる人のイラストや写真

さんまの網漁について調べることを通して、漁師は効率的に漁をしていることを理解できるようにする。

◆さんまのあみ漁は、どのように行われているのだろう
○網漁の方法について写真や文章資料で調べる。
○網漁の利点や課題について考え、話し合う。
・効率的に漁ができるが、魚をとり過ぎてしまう心配もある。
○日本の漁獲制限の取組について調べる。
・さんまのあみ漁は、ソナーで魚群をさがし、大きな網で一度にたくさんさんとれるように工夫されている。さんまの水産資源を保護する取り組みも行おうとしている。

◎網漁の写真
◎さんまの写真
◎ICT技術の活用
◎漁師Nさんの話
◎網漁の課題(乱獲・混獲)
◎漁獲制限のニュース映像


本時

カツオの一本釣り漁について調べることを通して、一本釣りを行うことの利点について多角的に考えることができる。

◆カツオの一本釣りは、どのようなよさがあるのだろう
○カツオの一本釣りの様子について写真や映像で調べる。
○カツオの一本釣り漁の大変さについて考える。
・魚の群れを探すのに時間がかかる。
○カツオのセリの値段や自然環境への影響について調べ、一本釣りの利点について考える。
・一本釣りは、魚をとりすぎずに新鮮なまま魚をとるので、消費者や生産者、自然環境によさがある。稲作と同じように三方よしだ。
【稲作の学習との共通点を考えている】

◎カツオの一本釣りの様子の写真や映像
◎漁協の人の話
◎カツオの競りの値段
◎MSC認証ラベルのカツオの写真

栽培漁業の鰆漁やマグロの養殖業の仕組みを調べることを通して、漁師は様々な立場の人と協力し、水産資源を増やすために工夫していることを理解できるようにする。

◆鰆の栽培漁業や、マグロの養殖は、どのように行われているのだろう
○瀬戸内海の鰆の栽培漁業や近畿大学のマグロの完全養殖について調べる。

○栽培漁業と養殖の利点について考え、話し合う。
・消費者はいつでも魚を食べられる。
・漁師は、安定して魚が獲ることができる。
・海にいる魚が減らないから環境によい。
・栽培漁業や養殖は、研究所や大学の研究者と協力して行われている。どちらも水産資源が増えるように努力している。
【稲作の学習との共通点を考えている】

◎鰆漁の映像
◎鰆漁の網の絵
◎鰆漁に協力している県の範囲
◎マグロの養殖業の映像
◎栽培漁業・養殖業を行う人の話

港や輸送の働きについて調べることを通して、漁港で働く人や輸送に関わる人たちの品質を高める工夫や、水産物の値段と費用の関係について理解することができる。

◆港に水あげされた魚はどのようにしてわたしたちの食卓へとどくのだろう。
○港の働きや輸送の工夫について調べる。
○水産物の値段にはどのようなお金が含まれているか考える。
○魚の価格に含まれる費用について考える。
・魚の価格にはお米と同じように、漁師や港で働く人、輸送や販売に関わる人の給料などが含まれている。
【稲作の学習との共通点を考えている】

◎港の写真
◎港の働きについての文章資料

◎地図帳
◎輸送の工夫についての文章資料

調べたことを関係図に整理し、水産業に関わる人たちの果たす役割を考えることを通して、水産業に関わる人たちが我が国の食料生産を支えていることを理解することができる。

○学習したことを関係図にまとめる。
○関係図をもとに学習問題に対する考えを文章にまとめる。
・水産業のさかんな地域の人たちは、魚を減らさない工夫をしながら魚をとったり、養殖したりして、新鮮なまま魚を全国にとどけ、消費者が食べられるようにしている。

新しい水産業の取り組みとして、世界の国々の取組を調べることを通して、水産業が抱えている課題を解決しようとする態度を養う。

◆水産物を安定して生産し続けるために、世界の国々では、どのようなことに取り組んでいるのだろう。
○ノルウェーや世界の国々の漁業の現状について調べる。
○日本のMSC認証を広めようとする取組について調べる。
・世界の国々でも、魚をとりすぎないように工夫している。日本の消費者はもっと魚がへっていることに関心をもった方がいい。

◎世界の水産物の生産量の変化
◎ノルウェーサーモンの写真
◎ノルウェー漁獲量の推移
◎地図帳
◎ノルウェーの漁獲制限
◎海のエコラベルの欧州、日本の意識調査

これまでの学習を基に、生産者や消費者の立場からこれからの水産業の在り方について考え、表現できるようにする。

◆これからの水産業はどのようにしていくべきだろうか。
○網漁、一本釣り、栽培漁業、養殖、完全養殖をマトリックスに整理する。
○これからの日本の水産業の在り方について、生産者、消費者の立場から考え文章にまとめる。
・これからの水産業を安定的に続けていくためには、魚を減らさない工夫や魚を増やしていく工夫が必要だ。消費者はエコラベルなどを見て商品を選んでいくべき。なぜなら日本の消費者の魚を減らないように協力しようとする意識が低いからだ。生産者は魚を獲り過ぎず、自然環境を守りながら漁をしていくべきだ。網漁をする人は魚を獲る量を守り、一本釣りの漁師は、環境にやさしいのでこれからも続けていくべきだ。しっかり他の国とも話し合いをして、魚をとっていい量を決める必要があると思う。

◎漁師による水産資源の意識調査
◎水産物の生産量の推移
◎作成した関係図

6.本時の学習

①目標
カツオの一本釣り漁について調べることを通して、一本釣りを行うことの利点について多角的に考えることができる。

②学習展開

○主な学習活動
・内容(予想される児童の反応)

◆指導上の工夫と教師の支援

資料

○前時の学習内容を振り返る。
・巻き網漁は、船が協力してライトや大きな網を使って大量の魚をとっている。

○釣り漁で獲られている代表的な魚種を確かめる。
・カツオだ。
○漁が盛んな高知、焼津の位置を確かめる。

◆実物大のカツオの写真を示すことで、カツオ漁への関心をもてるようにする。
◆地図帳を使う場面を設定することで、地図帳の活用に慣れるようにする。

※カツオの実物大の写真
※カツオの一本釣り、巻き網漁の写真

かつおの一本釣りは、どのようなよさがあるのだろう

○カツオの一本釣りの利点について予想する。
・魚を獲り過ぎない。

○カツオの一本釣りの様子について映像資料を活用して調べる。
・竿でつっている。
・針に工夫がある。

◆映像を2回繰り返すことで、一本釣りの仕組みについて理解できるようにする。

※一本釣りの映像(約2分×2回)

○カツオの一本釣りについて資料を読み取り、カツオの一本釣りの良さや大変さについて調べる。
・値段が高く売れる。
・魚が傷まない。
・魚を捕りすぎることがないので、水産資源が守られる。
・エコラベルを売るときにつけることができる。

◆資料に下線を引いたり、メモを書き足したりすることで、カツオ漁のよさを調べられるようにする。

※漁業協同組合Sさんの話
※水産加工会社Mさんの話
※網漁でとったカツオのセリの値段
※一本釣りでとったカツオのセリの値段
※海のエコラベルについての資料

○カツオの一本釣りの利点は、それぞれどのような立場の人にとってよいのか考え、話し合う。
・値段が高く売れるのは漁師にとってよい。
・水産資源が守られるのは、消費者にも、漁師にもよい。なぜなら、魚がまた捕れるから。
・エコラベルをつけることは、消費者と魚を売る人どちらにとってもよい。
・自然環境、消費者、生産者によいことがあるのは、米作りと似ている。

◆調べたことは「どのような立場の人にとってよいのか」問い返すことで、カツオの一本釣りのよさについて多角的に考えられるようにする。
◆板書を稲作の学習と同じように工夫することで、稲作と水産業には共通点があることに気付けるようにする。(写真参照)
◆「自然環境、消費者、生産者の三方よしにすることのよさは何か」と問い返すことで、持続可能な漁業の在り方について考えられるようにする。

○本時の問いに対するまとめとふり返りを文章に書く。
・一本釣りは、魚をとりすぎずに新鮮なまま魚をとるので、消費者や生産者、自然環境にそれぞれよさがある。

◆振り返りの視点を示すことで、自分の考えの変化や自分の学習の仕方について振り返りをかけるようにする。

既習を生かしたことが分かる場面の板書の例