「自然災害から命を守る」(第4学年)

1.単元名

「自然災害から命を守る」(第4学年)

2.目標

【知識・技能】

自然災害から人々を守る活動について、阪神・淡路大震災における関係機関の協力、取組に着目して、地図や年表、写真などの各種資料で調べ、必要な情報を集めて読み取ったり、調べたことを図や文にまとめたりして、災害から人々を守る活動(*1)を理解する。
地図や年表、写真などの各種資料で調べ、必要な情報を集めて読み取ったり、調べたことを図や文にまとめたりして、関係機関や人々は、これまで起きた自然災害に対して様々な協力をして対処してきたこと(*2)今後想定される自然災害に対して様々な備えをしていること(*3)を理解する。

【思考・判断・表現】

自然災害から人々を守る活動について、学習問題を見いだし、被害を減らすための人々の活動と人々の生活を関連付けてその働きを考え、適切に表現する。
社会に見られる課題である消防団員の減少をもとに、自然災害への対処や備えについて考え、選択・判断したことを表現する。

【主体的に学習に取り組む態度】

自然災害から人々を守る活動に関心をもち、見通しをもって主体的に学習問題を解決しようとするとともに、今後想定される自然災害の対処や備えのよりよい在り方について考えようとする。

災害から人々を守る活動(*1)の具体的内容

県や市、消防や警察、自衛隊、地域の人たちが協力して、人を助けたり、情報発信や避難所の設置によって生活を支えたりすること。

これまで起きた自然災害に対して様々な協力をして対処してきたこと(*2)の具体的内容

各地からボランティアの人たちが駆けつけ、復旧作業が行われたこと。
復興に向けて、復興支援住宅がつくられたり、追悼行事が行われたりするようになったこと。

今後想定される自然災害に対して様々な備えをしていること(*3)の具体的内容

県や市では、これから起こる災害に備えて、インターネットを活用して災害についての情報を共有したり、定期的に防災訓練を行ったりしていること。

3.評価規準

知識・技能の評価規準

自然災害から人々を守る活動について、阪神・淡路大震災における関係機関の協力や取組に着目して、地図や年表、写真などの各種資料で調べ、必要な情報を集めて読み取ったり、調べたことを図や文にまとめたりすることで、災害から人々を守る活動を理解している。
地図や年表、写真などの各種資料をもとに調べ、必要な情報を集めて読み取ったり、調べたことを図や文にまとめたりすることで、関係機関や人々は、これまで起きた自然災害に対して様々な協力をして対処してきたことや今後想定される自然災害に対して様々な備えをしていることを理解している。

知識・技能の評価方法

各種資料から読み取ったことについて、ワークシートやノートの記述、発言をもとに評価する。その際、各種資料から「情報をどの程度収集できているか」を評価する。
1単位時間の学び(あるいは、数単位時間の学び)、単元全体の学びについて、図や文をもとに評価する。その際、「学習問題に対応する内容を記述できているかどうか」を評価する。

思考・判断・表現の評価規準

自然災害から人々を守る活動について学習問題を見いだし、被害を減らすための人々の活動と人々の生活を関連付けてその働きを考え、適切に表現している。
社会に見られる課題である消防団員の減少をもとに、自然災害への対処や備えについて考え、選択・判断したことを表現している。

思考・判断・表現の評価方法

各種資料の読み取ったことや学習問題に対して立てた仮説について、ワークシートやノートの記述、発言をもとに評価する。その際、「各種資料を比較、関連付けたり、これまでに習得した知識を活用したりして表現することができているか」を評価する。
社会に見られる課題である消防団員の減少について、ワークシートの記述や発言をもとに評価する。その際、「社会に見られる課題の解決策について、生活経験だけでなく、これまでの学習で習得してきた知識とも関連付けて表現できているか」を評価する。

主体的に学習に取り組む態度の評価規準

自然災害から人々を守る活動に関心をもち、見通しをもって主体的に学習問題を解決しようとするとともに、今後想定される自然災害の対処や備えのよりよい在り方について考えようとしている。

主体的に学習に取り組む態度の評価方法

主に単元の導入、終末におけるノートの記述をもとに評価する。その際、「これから学んでみたいことや学習問題に対する予想や仮説を記述できているか」、「新たな問いをもったり、自身の生活についてふりかえったりする記述ができているか」を評価する。

4.本単元の指導にあたって

 本単元では、社会とのかかわりを身近に感じることができる価値ある教材の開発に向けて、阪神・淡路大震災を取り上げ、関係機関や人々の取組について調べさせる。その際、地震発生直後の対応について、タイムラインをもとに図に整理させ、関係機関が連携して災害対応にあたっていることを捉えさせる。そして、旧北淡町の事例をもとに、消防や警察よりも地域の人たちがたくさんの人を助けられた理由について考えさせることで、災害対応には、地域の人たちの協力が必要になることを理解させる。
 単元の終末においては、社会に見られる課題を取り上げ、それを解決するための方法について選択・判断する学習を組み込む。具体的には、消防団員の減少を取り上げ、問題を解決するための方法について、自分の考えを選択・判断させることで、自分たちも地域の一員であり、災害を減らすための方法を考える主体であることに気付かせる。

5.単元の指導計画

学習のねらい

子どもの活動と内容

1

自然災害に関心をもち、各地で起こった災害を調べることで、学習問題を設定することができる。

○兵庫県で起こった災害を調べ、学習問題を設定する。
・各地で様々な災害が起こり、阪神・淡路大地震では、土砂災害も発生している。

単元を貫く問い
兵庫県では、災害から人々を守るために、誰がどのようなことをしているのだろう

2

阪神・淡路大震災の理由や被害について、写真や統計、地図から読み取ることができる。

○阪神・淡路大震災の被害を調べる。
・多くの死者や怪我人や、ライフラインの被害が出て、避難所がつくられた。

3

関係機関の災害対応について、写真や表から読み取り、図にまとめることができる。

○阪神・淡路大震災発生直後の取組を調べる。
・県や市、消防や警察、自衛隊が様々な取組を行っている。

4

多くの消防団員が救助活動を行ったこと、日頃から近所づきあいのあった地域の人たちが協力して救助活動を行ったことを理解することができる。

○旧北淡町の人たちが短時間で多くの人を救った理由を考える。
・地域の人たちは、日頃からつながりがあり、協力して救助活動を行った。

5

消防や警察、地域の人たちや消防団は、それぞれに役割があり、協力して救助を行ったことを考えることができる。

○災害が発生した直後の公助と共助の関係について考える。
・消防や警察、地域の人々は協力して人たちの救助にあたった。

6

阪神・淡路大震災からの復旧や復興について、写真や統計資料から読み取ることができる。

○阪神・淡路大震災からの復旧や復興について調べる。
・関係機関を中心に復旧活動が行われた。
・復興支援住宅がつくられ、地震に備えた設備が整えられた。

第2時から第6時(災害対応についての学習)で習得させる知識
阪神・淡路大地震が発生し、県や市、消防や警察、自衛隊、地域の人たちが協力して、人を助けたり、情報発信や避難所の設置によって生活を支えたりするなど、様々な活動を行った。また、各地からボランティアの人たちが駆けつけ、復旧作業が行われた。復興に向けて、復興支援住宅がつくられたり、追悼行事が行われたりするようになった。

7

現在、兵庫県や神戸市が行っている取組について調べ、これから起こる災害に関係機関が備えていることを考えることができる。

○兵庫県や神戸市が災害に備えた取組を行う理由を考える。
・阪神・淡路大震災で大きな被害が出たこと、今後大きな災害が起こることを想定し、インターネットを活用した情報の共有、防災訓練の実施などを行っている。

8

姫路市の取組について、写真や統計資料から読み取ることができる。

○姫路市の災害の備えについて調べる。
・避難所や備蓄倉庫をおくだけでなく、「姫路市Webマップ」、「まもりんピック姫路」などの取組を行っている。

第7時から第8時(災害への備えについての学習)で習得させる知識
県や市では、これから起こる災害に備えて、インターネットを活用して災害についての情報を共有したり、定期的に防災訓練を行ったりしている。

9

災害が起こったときに、地域の人の命を守るための取組について考えることができる。(本時)

○消防団員が減っている理由を理解し、地域の人の安全を守るための取組を考える。
・仕事との両立が難しく、訓練ができなくなっている。
・消防団の取組をみんなに知ってもらう。

10

関係機関や人々の取組をもとに、自然災害に備えてできることを進んで考えることができている。

○これから起こる災害に備えて自分ができることを考える。
・災害に備えて防災グッズを用意し、家族で避難場所を確認する。

第9時から第10時(災害に対してできることの学習)で習得を期待する知識
これから起こる災害に備えて、県や市だけでなく、自主防災組織や消防団などが地域活動を進めることも大切である。その中で消防団が減っていることは問題であり、地域防災を進めるためにも様々な取組を行っていく必要がある。また、自分もできることを考え、実行していくことが求められている。

単元全体をとおして習得させる知識
兵庫県では、これまでも多くの自然災害が起こっており、その中でも阪神・淡路大震災は、大きな被害が出た災害だった。阪神・淡路大震災が発生し、県や市、消防や警察、自衛隊、地域の人たちなどが協力して、人々を助け、救援活動を行った。また、復興に向けて、復興支援住宅や防災設備を備えた公園などがつくられるようになった。現在は、災害に備えて、情報を共有したり、訓練を行ったりするなど、各地で様々な取組が行われるようになっている。これからは、県や市、地域だけでなく、わたしたちもできることを考え、実行していくことが求められている。

6.本時の学習(9/10)

①目標
 消防団員の減少という社会に見られる課題の原因や影響について考えることで、「問題」について明らかにし、災害から地域を守る取組について、これまでに習得した知識と関連付けて、選択・判断することができる。

②学習展開

主な学習活動・内容

指導の工夫と教師の支援

資料

○阪神・淡路大震災以降、自主防災組織が増えている理由を考える。
◇なぜ、自主防災組織が年々増えてきているのでしょうか。
・大きな災害があり、地域で助け合うこと(共助)が大切だとわかったから。

□授業の冒頭で資料を示し、阪神・淡路大震災の後に増えてきたものは何かを考えさせることで、学習への興味を喚起させる。
□自主防災組織の活動についてはイメージしにくいことが想定されるため、NHK for Schoolでその内容を捉えさせる。
□旧北淡町の人たちの行動(共助)を想起させることで、自主防災組織の意義に気付かせるようにする。

○自主防災組織の推移
○自主防災組織の動画

これからの地域の防災について考えよう

○消防団員の推移について調べる。
◇自主防災組織と消防団員の変化を見てどんなことがわかるでしょうか。
・自主防災組織は増えているけど、消防団員の数は減っている。

□消防団の仕事については第3学年の「安全なくらしを守る」の学習を想起させ、全体で共有する。
□自主防災組織の推移と消防団員の推移を比較できるように提示し、それぞれの違いを捉えさせる。

○消防団員数の推移

○消防団に入るかどうかを話し合う。
◇消防団員の数が減ってきています。みなさんだったら消防団に入りますか。
・仕事の両立は大変そうだから入らない。
・北淡町では消防団が活躍したから、自分も地域のためにやってみたい。

□自分ならどうするかを考えさせることで、消防団の意義に気付かせるとともに、それに対して反対意見(減ってきている理由)があることを捉えさせる。
□消防団に入るか、入らないか、黒板にネームマグネットを貼らせることで、消防団に入ることについての自分の意見とクラス全体の意見を比較できるようにする。

○消防団員が減ってきている理由を考える。
◇消防団員が減っているのはどうしてでしょうか。
・仕事との両立が難しいから。
・訓練や地域の集まりなどに参加することが大変だから。

□話し合いの結果(消防団に入らないという人の意見)を手がかりに、消防団員が減っている理由を考えさせる。

○消防団員数が減少している原因

○消防団員が減っていくとどうなるのかを予測する。
◇消防団員が減って困ることはどのようなことでしょうか。
・地域の安全が守られない。
・災害が起こったときに助けてくれる人がいないから、自分や身近な人も危険な目にあうかもしれない。

□消防団が減るとどうなるかを自分の生活もふまえて予測させることで、何が問題なのかを明らかにさせる。また、どうなれば問題の解決と言えるのかについても考えさせることで、次の活動(取組の提案)の目標を共有できるようにする。

○災害から地域の安全を守るための取組を考える。
◇消防団員が減っている今、災害から地域の安全を守っていくために、どのような取組が必要でしょうか。
・県や市が消防団員の仕事をもっとアピールする。
・自主防災組織での活動を定期的に実施し、地域の防災力を高める。

□自分自身(自助)ができることだけでなく、県や市(公助)、地域(共助)としてできることも具体的に考えさせることで、社会全体が協力して災害対策をしていく必要性に気付かせる。
□女性消防団員や学生消防団員、機能別消防団員等、現在行われている様々な取組についても紹介することで、考えを広げていけるようにする。

消防団員を増やす取組

各資料の情報については、NHK for Schoolの他、自治体ウェブサイト、総務省消防庁「消防団オフィシャルウェブサイト」、内閣府『防災白書』等が参考になる。なお、令和3年版『防災白書』の中の「附属資料」には、「消防団員数の推移」、「自主防災組織の推移」について、次の資料が掲載されている。これらの資料の中の情報を精選して(例えば、消防団員数の推移であれば、全体の推移のみを授業の導入で示し、女性消防団員数の推移については終末に示す、自主防災組織の推移であれば、活動カバー率については示さない等)示す必要がある。

附属資料40 消防団員数の推移

附属資料43 自主防災組織の推移

“Transforming Education Summit”(教育変革サミット)

 9月16・17・19日の3日間、ニューヨークの国連本部で “Transforming Education Summit” (教育変革サミット)が開催され、世界130カ国、2,000人以上の参加者が集いました。本サミットは2021年9月に国連事務総長のアントニオ・グテーレス事務総長によって開始された Our Common Agenda(我らの共通アジェンダ)の重要なイニシアティブです。教育を世界的な政治課題の最上位に引き上げ、行動・希望・連帯・解決策を動員してパンデミックによる学習の損失を回復し、急速に変化する世界で教育を変革するための種をまくことを目的として開催されました。現在でもオンライン上で各セッションの録画が視聴できます(*1)。このような国連による「教育」を柱にした首脳級会議が開催されることは画期的なことだと言えます。今回は本サミットおよび本サミットをきっかけに生まれた新たなプログラムについて紹介します。これまでESDで取り組んできた、生涯学習のアプローチ、知識のみならず社会情動的な認識や行動、価値観、ライフスタイル、ホリスティックアプローチなどが大いに反映されています。

出典:国連の “Transforming Education Summit” のホームページ

“Transforming Education Summit”(教育変革サミット)―なぜ教育に変革が求められているのか?

 本サミットが開催されるに際し、事前調査(110カ国のナショナル・ステートメント)が実施され、世界の教育課題が浮き彫りになりました。報告された10項目は、新型コロナウイルスの感染拡大による教育の混乱、教育的排除の取組み、教職の変革、カリキュラムのリニューアル、教育のグリーン化、デジタル学習、資金調達など多岐にわたります。これらの課題に対して、教育は人権であるとし、どこにいても、女の子、男の子、若者、若者以外の人も含め、誰もが教育を受ける権利が奪われないよう教育の変革を求めています。
 本サミットの成果には、教育への過去最大となる投資を含む重要なイニシアティブの確立やユース宣言、事務総長による教育ビジョンの共有が挙げられます。さらに、本サミットの特徴は気候危機に対する教育の役割を問うプログラム “Greening Education Partnership: Getting every learner climate-ready” が策定され始動したことは注目に値するでしょう。

新たなプログラム “Greening Education Partnership: Getting every learner climate-ready”(*2) とは

 国連によって開催された本サミットでは、国連が推進してきたSDGsからの文脈で教育に焦点を当てたプログラム “Greening Education Partnership: Getting every learner climate-ready” が国際機関であるユネスコに委ねられ、今後展開していくことになりました。
 新たにこのようなプログラムが展開するに至った背景には、差し迫った地球規模課題と教育課題として次の4点が挙げられます。

  1. 地球の平均気温が1℃上昇
  2. 100カ国のうち約半数の国のカリキュラムで気候変動が言及されていない
  3. 初等および中等教育の教員の95%は気候変動を教えることが重要であると感じたが、それを教える準備ができている教員は30%未満である
  4. 若者の75%は自分たちの将来について不安を感じている

 また本プログラムは、これまでユネスコが推進してきたESDの知識と実践に基づいて構築されており、すべての学習者が気候危機に取り組むための知識、スキル、価値観、態度を身につけ、行動できるようにすることを目的としています。さらに、ESDで培ってきた知識、スキル、価値観、態度により、学習者が気候危機の複雑さや課題の相互関連性など、日常生活における問題解決に貢献し得る洞察を習得していくことを本プログラムにおける教育的役割として位置づけています。

 具体的には次の4領域において数値目標を掲げて取り組めるビジョンを示しています。

出典:“Greening Education Partnership: Getting every learner climate-ready” のホームページより筆者作成

 本サミットでは文部科学副大臣である簗和生氏による日本の優良事例を紹介するスピーチもあり、本プログラムをESDの原理に基づいてユネスコと協力しながら積極的に推進していく方針を表明しています(*3)。同セッションでは、イギリスの気候危機と教育とを連携させた政策戦略(Sustainability and climate change strategy)が昨年のCOP26と同時期に策定されている報告もあり、個人の変革のみならずシステムの変革の重要性も指摘されています。現在COP27がエジプトにて開催されていますが、経済のみならず日本の教育においても気候変動の課題に対してどのような形で関わることができるのか、新たな指針が求められています。

*1:次のURLよりご覧ください。
https://media.un.org/en/search/categories/meetings-events/conferences/transforming-education-summit
*2:パートナーシップを築くための調査に関心のある方は次のURLより詳細を確認ください。
https://secure.unesco.org/survey/index.php?sid=21736&lang=en
*3:次のURLよりご覧ください。
https://media.un.org/en/asset/k14/k145zfkzvi

Webマガジンまなびと:「学び!とESD」Vol.35

Webマガジン:「学び!とESD」Vol.35 ““Transforming Education Summit”(教育変革サミット)”を追加しました。

単位量あたりの大きさ〔こみぐあいなどの比べ方を考えよう〕(第5学年)

1.単元名

単位量あたりの大きさ(第5学年)

2.単元の目標

 こみぐあいや人口密度、速さといった単位量あたりの大きさの意味や、異種の二つの量の割合として捉えられる数量は、単位量あたりの大きさを用いることで比べたり表したりできることを理解すること。
 異種の二つの量の割合として捉えられる数量の関係に着目し、目的に応じて大きさを比べたり表現したりする方法を考察し、単位量あたりの大きさを求めたり、日常生活に生かしたりすること。

3.評価規準

【知識・技能】
 こみぐあいや人口密度、速さといった単位量あたりの大きさの意味及び表し方について理解し、単位量あたりの大きさを求めることができる。

【思考・判断・表現】
 異種の二つの量の割合として捉えられる数量の関係に着目し、目的に応じて大きさを比べたり表現したりする方法を考察し、それらを日常生活に生かしている。

【主体的に学習に取り組む態度】
 異種の二つの量の割合として捉えられる数量について、数直線図や式を用いて数学的に表現・処理したことを振り返り、多面的に捉え、検討してよりよいものを求めて粘り強く考えたり、数学のよさに気づき学習したことを生活や学習に活用したりしている。

4.本単元の指導にあたって

 (主に「速さ」の内容に関して)
 本学級の子どもたちは、これまでに50m走や持久走の練習においてかかった時間と道のりから速さを認識することができるようになっている。そこで、時間や道のりを基準として速さを比較することができるようになるこの期に本単元を取り上げる。そして、異種の二つの量の組み合わせとして捉えることができる速さを、時間と道のりといった二つの量の関係から単位量あたりの大きさで比較することができるようにする。
 また、本単元の指導にあたっては、異種の二つの量の割合として捉えられる数量の関係に着目し、目的に応じて大きさを比べたり表現したりすることができるようにする。そのために、身の回りの速さの仕組みや速さを用いて道のりや時間を求める方法について調べていく中で、分かっている量を数直線に整理してそれらの関係に着目して調べていく教材を取り上げる。
 そして、デジタル教材の効果的な活用場面としては、時間と道のりの関係で速さが決まることを、視覚的に捉えさせる場面で活用する。

5.単元の指導計画

学習のねらい

おもな学習内容

1

2

二つの量の大きさが揃っていないときには、一方の大きさに揃えると比べることができることを捉える。

シートの数と子どもの人数の関係を数直線図に表し、シート□枚あたりの人数や、□人あたりのシートの数でこみぐあいを比べる。

3

1㎢あたりの人口を人口密度といい、人口密度でこみぐあいを表すことができることを捉える。

1㎢あたりにおよそ何人の人が住んでいるのかを、概数で表す。

4

異種の二つの量の割合として捉えられる数量は、単位量あたりの大きさに表すと簡単に比べることができることを捉える。

ある畑でとれたいもの重さと面積の関係を数直線図に表し、1㎡あたりの重さで、いものとれ高を比べる。

5

単位量あたりの大きさを用いて、問題解決の仕方を考えることができる。

針金1mあたりの重さを用いて、□mの重さや、△gの長さを求める。

6
本時

速さは、単位時間あたりに進む道のりや、単位道のりあたりにかかる時間に揃えると比べることができることを捉える。

道のりと時間の関係を数直線図に表し、1分あたりの道のりや、1mあたりの時間で速さを比べる。

指導者用デジタル教材活用

7

速さは、単位時間あたりに進む道のりで表すことができることを捉える。

道のりと時間の関係を数直線図に表し、1時間あたりの道のりや、1kmあたりの時間で速さを表す。

指導者用デジタル教材活用

8

道のりは、速さに時間をかけることで求めることができることを捉える。

速さ(1時間あたりに進む道のり)と、かかった時間の関係を数直線図に表し、道のりの求め方を式に表す。

9

時間は、道のりを速さで割ることで求めることができることを捉える。

速さ(1分あたりに進む道のり)と進んだ道のりの関係を数直線図に表し、時間の求め方を式に表す。

10

仕事の速さは、仕事の量を時間で割ることで求めることができることを捉える。

仕事の量と時間の関係を数直線図に表し、単位時間あたりの仕事の量で仕事の速さを比べる。

11

時間と道のりや、時間と仕事の量の関係に着目し、身の回りのものの速さを求めることができる。

身の回りのいろいろなものの速さを調べ、レポートにまとめる。

6.本時の学習

①ねらい
 速さは、単位時間あたりに進む道のりや単位道のりあたりにかかる時間に揃えると比べることができることを捉えることができるようにする。

②指導の実際
(1)導入段階

 この段階では、時間も道のりも揃っていないときの速さの比べ方を調べたいというめあてを持たせることをねらいとした。
 そのために、まず、ななみさんのソーラーカー(48m進むのに2分間かかる)とえいたさんのソーラーカー(48m進むのに3分間かかる)速さを比べたり(画像1)、えいたさんのソーラーカー(48m進むのに3分間かかる)とひろとさんのソーラーカー(60m進むのに3分間かかる)の速さを比べたり(画像2)する活動を位置づけた。

(画像1)ななみさんとえいたさんの比較(画像2)えいたさんとひろとさんの比較

 ここでは、デジタル教材のコンテンツを活用して、実際にソーラーカーが動く様子を視覚的に捉えさせ、速さを実感させることができるようにした。
 子どもたちは、「道のりが揃っているときには、かかる時間が短い方が速い」、「時間が揃っているときには、進む道のりが長い方が速い」ことを捉えることができた。
 次に、ななみさんのソーラーカー(48m進むのに2分間かかる)とひろとさんのソーラーカー(60m進むのに3分間かかる)の速さを比べる(画像3)活動を位置づけた。ここでも、デジタル教材のコンテンツを活用して、実際にソーラーカーが動く様子を視覚的に捉えさせ、道のりと時間が揃っていない場合は、視覚的にもどちらが速いか判断できないことに気づかせることができるようにした。
 子どもたちは、「ななみさんとえいたさんの速さ比べ」や「えいたさんとひろとさんの速さく比べ」と、「ななみさんとひろとさんの速さ比べ」の活動を通して、「道のりや時間が揃っているときは速さが比べることができた」ことと、「速さと時間が揃っていないときには速さが比べられなかった」ことから、「時間も道のりも揃っていないときの速さの比べ方を調べたい」(画像4)というめあてを持つことができた。

(画像3)ななみさんとひろとさんの比較(画像4)めあてを持った子どものノート

(2)展開段階
 この段階では、時間も道のりも揃っていないときの速さの比べ方を明らかにすることをねらいとした。
 そのために、まず、既習の「とれ高を比べる」学習の「単位量あたりの大きさで比べた」問題場面から類推して立てた着目点や解決方法の見通しをもとに(画像5)、本時問題の見通しを立てて(画像6)、速さを比べる活動を位置づけた。

(画像5)保存していた既習の板書の画像(画像6)見通しを立て

 ここでは、子どもがICT機器を活用することで、保存していた前時までの板書や自他のノートを見直して類推的思考を働かせたり、友だちの解決方法を参考にして自分の考えを付加・修正・強化したりすることができるようにした。
 子どもは、既習のとれ高を比べる問題場面から類推して、「時間」と「道のり」の二つの量に着目し、「数直線」「1分間か1mに揃える」といった方法の見通しを持って問題を解決することができた(画像7)。

(画像7)問題を解決した子どものノート

 次に、全体で、共通点を観点に、「1分間あたりの道のりで比べる方法」と「1mあたりの時間で比べる方法」を比較し、速さの比べ方を見いだす活動を位置づけた。
 子どもは、前時までの「単位量あたりの大きさで比べる方法」を根拠に、速さを比べるときには「時間や道のりを単位量あたりの大きさで揃えると比べることができる」ことを見いだすことができた。

(3)終末段階
 この段階では、時間も道のりも揃っていないときの速さを比べるときには、単位時間あたりに進む道のりや、単位道のりあたりにかかる時間を求めると比べることができることを確かめることをねらいとした。
 そのために、みおさんのソーラーカー(3分間で69m進む)の速さを求めて、ほかの3人のソーラーカーの速さと比べる「ためしてみよう」を解決し、本時の学習内容をまとめる活動を位置づけた。
 子どもは、速さを比べるときには、単位時間あたりに進む道のりや単位道のりあたりにかかる時間に揃えることで比べることができることを捉えることができた。

7.指導を終えて

【デジタル教材の活用について】
 本単元に関するデジタル教材の活用については、単元を通して効果的な活用場面が2つあった。
 1つは、本時「速さを視覚的に捉える場面」である。異種の二つの量の割合として捉えられる数量の中でも、こみぐあいや人口密度、とれ高に比べて、速さは視覚的に捉えにくい。そこで、デジタル教材の中にある、速さを視覚的に捉えることができるコンテンツを活用した。これは、子どもが速さを視覚的に捉えることができ、子どもの速さの概念を確かにする上で効果的であった。また、道のりや時間の一方が揃っている場合には比べることができ、揃っていないときには比べにくいことを実感させる上でも効果的であった。
 もう1つは、次時「問題場面を数直線上に表す場面」である。ここでは、デジタル教材の中にある、問題場面の数値が数直線上に移動する様子を動的に表しているコンテンツを活用した。これは、数直線上にある数値が、問題場面のどの数値と対応しているのかを理解する上で効果的であった。また、時速□kmという数値には、「1時間あたりに□m進む」という意味があり、数直線上に表す場合は、2つの数値になることを捉えさせる上でも効果的であった。

【ICT機器の活用について】
 本時学習におけるICT機器の活用としては、ICT機器の「保存機能」と「共有機能」を活用した。
 保存機能に関しては、既習の板書や自他のノートを写真としてタブレット端末に保存していたことで、子どもが見通しを立てる際に、既習の問題場面から類推して考えることができた。このことは、これまでの、既習の図を用いて振り返りをさせたり、ノートを見返したりすることに比べて、効率的に活動を進めることができた。
 共有機能に関しては、自他の解決方法を写真に撮って学級で共有したことで、子どもは、友だちの解決方法を参考にして自分のつくった解決方法を見直し、自分の解決方法を付加・修正・強化することができた。このことは、これまでの、ペアで解決方法を説明し合ったり、自分の解決方法とは違う解決方法の友だちを見つけて紹介し合ったりすることに比べて、効率的に活動を進めることができた。

【子どもの振り返りについて】
 本時学習の振り返りとして、子どもは、「1分あたりに進む道のり」や「1mあたりにかかる時間」で速さを比べることができることを捉えることができていた(画像8)。
 また、本時で新たに着目した点として、「道のり」と「時間」の2つを挙げていた。
 これは、デジタル教材のコンテンツを活用して、速さを視覚的に捉えることができたことの効果があったと考える。
 さらに、既習との共通点としては、やはり数直線を活用することの有効性を実感することができていた。

(画像8)子どもの振り返り