「農家の仕事」(第3学年)

1.単元名

「農家の仕事」(第3学年)

2.目標

自分たちの住む地域には様々な生産に関する仕事があること、産地は市内に分布していること、生産するには一定の順序や工程があること、地域で生産された物は地域の人々の生活に使われていることなどを基に、生産の仕事は、地域の人々の生活と密接な関わりをもって行われていることを理解できるようにする。
仕事の種類や産地の分布、仕事の工程などに着目して、生産に携わっている人々の仕事の様子を捉え、地域の人々の生活との関連を考え、表現することができるようにする。
地域の特色について、主体的に問題を解決しようとする態度や、よりよい社会を考え学習したことを社会生活に生かそうとする態度を養うとともに、多面的・多角的な思考や理解を通して、自分が地域社会の一員であることを意識して生活することができるようにする。

3.評価規準

【知識・技能】

自分たちが住む地域の農家の仕事について、産地は市内に分布していること、生産するには一定の順序や工程があること、地域で生産された物は地域の人々の生活に使われていることについて調べ、まとめることで、生産の仕事は、地域の人々の生活と密接な関わりをもって行われていることを理解している。

【思考・判断・表現】

自分たちが住む地域の農業や農業に携わる人々の思いや背景について、自分たちの生活と関連付けて追究したり、話し合ったりしながら、生産に携わっている人々の仕事の様子を捉え、地域の人々の生活との関連を考えて、自分の意見を表現している。

【主体的に学習に取り組む態度】

自分たちが住む地域の農家の仕事についての追究活動において、学習問題を解決するために、計画を立てたり、自らの学びを振り返ったりして、粘り強く追究している。

4.本単元の指導にあたって

 日々食べている食べ物。給食で時折出てくる「名古屋産の日」。しかし、食材となる農産物の生産者の思いや、地域との密接な関わりまでは3年生の子どもたちは認識していない。
 こうした中で、「伝統野菜」「ブランド野菜」「洋菓子屋さんとコラボ」「幻のトマト」というキーワードが出てくる野菜と出合ったらどんな反応を子どもたちはするのだろう?さらに、それらを生産し、商品開発をして、地域に貢献しようとする大人の実際の姿を見せたらどのような反応をするのだろう?そんな思いから、今回の教材を選択し、授業協力をお願いした。

○社会参画するための教材について
・教材…中川区ブランド野菜、miuトマト(飯田農園)、野崎白菜(野崎採種場)
・授業協力…中川区ブランド野菜製品開発研究会、飯田農園、野崎採種場、洋菓子フィレンツェ

 本単元は、社会科が始まる3年生において最初に「人」が大きく関わる単元である。生産者や地域で協力する人々と実際に出会って思いを聞いたり、現地に行って体験したりして関わり、それぞれの立場の思いを感じることで、名古屋市の農家で働く人、それに関わる地域の人への認識が変わっていくと考える。

5.単元の指導計画

学習のねらい

子どもの活動と内容

1

教材と出合い、問いを生み出す。

○中川区ブランド野菜、名古屋市の農家の件数のグラフ資料から、疑問や気付いたことを書き出す。

2

問いを吟味し、学習問題を創る。(本時)

○問いの前提を確認し、付箋に問いをまとめる。
<問いの前提>
・中川区は、名古屋市で農家の数が2番目に多い。
・中川区では、多くのブランド野菜を生産している。
・ブランド野菜の中には、野崎白菜2号という愛知の伝統野菜が含まれている。

なぜ、中川区の農家さんはブランド野菜を作ろうと思ったのか?

3

問いを構成して、追究シートを作る。

○自分が立てた予想を確かめるための道筋を確認する。

4

7

各自で追究する。

○各自でさらに追究を進め、予想を確かめていく。
○追究時間のうち、1時間はブランド野菜商品開発研究会の野崎採種場、洋菓子フィレンツェの方に、伝統野菜でブランド野菜の野崎白菜の生産とブランド野菜を使った地域の町おこしやコラボ商品の紹介を出前授業でしていただく。

8

11

miuトマト農園見学に行く。

○中川区ブランド野菜であり、「幻のトマト」として地元で有名なmiuトマト農園(飯田農園)へ見学に行き、生産者の工夫や思いについて学ぶ。

12

学習問題について意見を書き、話し合う。

<児童のまとめ>
中川区では、愛知の伝統野菜の野崎白菜のように昔から農業が盛んで、工夫して野菜を作ってきた。今でも多くの野菜が作られ、miuトマト農園の飯田さんのように、農家で働く人は栽培方法を工夫して、お客さんがおいしい安全な野菜を喜んで食べることができるよう努力をしている。また、地域のみんなが協力したり、ブランド野菜を応援したりして、地産地消を進めている。

6.本時の学習(2/12)

①目標
 問いを吟味し、学習問題を創る場面において、資料から問いの前提を確認し、みんなの問いを集めながら、学習問題を創ることができるようにする。

②学習展開

主な学習活動・内容

指導の工夫と教師の支援

資料

1 前時の資料から分かったことを発表する。
・名古屋市では、港区と中川区に農家が多い。
・中川区ではブランド野菜を作っている。

○前時の学習で得た、問いの前提を確認できるようにする。
○前単元の名古屋市の様子と関連付け、名古屋市内の農家の多い区と地形との関係を確認できるようにする。

・前時のワークシート

2 教材「中川区ブランド野菜」を提示して、問いを分類しながら創る。

○問いの質を意識させるため、問いの文頭に注目しつつ、付箋に問いを記入できるようにする。
<問いの質の分類>

・児童の問い創りシート

・誰がブランド野菜の名前を付けたのか?
・どれだけブランド野菜はとれるのか?
・どのようにブランド野菜を作っているのか?
・どのような工夫をしておいしい野菜を作っているのか?
・どのように地域のブランド品を作っているのか?
・なぜ、中川区ではいろいろな野菜を作ったり、売ったりしているのか?

①情報を求める問い
「いつ」「どこで」「誰が」のように数字や名前など、答えがはっきりしそうな問い。
②まとめる問い
「どのように」「どのような」など、情報を求める問いを組み合わせることで答えが導き出せる問い。
③関係性を明らかにする問い
「なぜ」から始まり、情報を求める問いやまとめる問いから得た知識を組み合わせ、関係性を明らかにする問い。

3 学習問題を創る。

【学習問題】なぜ、中川区の農家さんはブランド野菜を作ろうと思ったのか?

○問いの前提やみんなの問いから、キーワードを抽出して、学習問題を創ることができるようにする。
○次時の追究の時間で、まずは何を調べたいか、学習の見通しをもつことができるようにする。

資料

児童の問い創りシート

本時の板書

Webマガジンまなびと:「学び!と共生社会」Vol.36

Webマガジン:「学び!と共生社会」Vol.36 “障害がある教育職員の雇用と共生社会の形成”を追加しました。

障害がある教育職員の雇用と共生社会の形成

 共生社会とは、「これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者等が、積極的に参加・貢献していくことができる社会である。それは、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会である。このような社会を目指すことは、我が国において最も積極的に取り組むべき重要な課題である。」文部科学省特別支援教育の在り方に関する特別委員会による報告「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」にはこのように記されています(*1)
 これまで、本欄では、学齢段階の幼児児童生徒の観点から「基本的な方向性としては、障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだけ同じ場で共に学ぶことを目指す」ことを主眼に置いた「共生社会」の実現について話題にしてきました。しかし、学校もまた小さな社会であることからすると、「障害者の権利に関する条約」で求めている障害のある人とない人が共に生きる社会を実現していくためには、子どもだけでなく学校で働く人々も含めて学校の在り方を考えていく必要があります。そこで、今回は、障害がある教職員の実態について探ってみたいと思います。

障害者雇用制度と法定雇用率

 障害者の雇用に関しては、「障害者雇用制度」が定められています。これは、民間企業や国・地方公共団体に一定以上割合で障害者を雇用するように義務づけた制度のことです。この制度によって、企業や国・地方公共団体には法定雇用率(障害者雇用率)の達成が義務付けられています。平成30年には、国や地方公共団体における法定雇用率の水増し問題が大きく報道されました。教育委員会を含めて地方自治体等の公的機関において、障害者手帳の交付に至らないなど障害者に該当しない者を障害者として雇用し、障害者の雇用率が水増しされていた問題です。これは、雇用の問題であると同時に共生社会の形成に向けた取組に対しても水を差すものでした。

教育委員会における障害者雇用に関する実態調査から

 文部科学省では、この水増し問題の直後の令和元年に「教育委員会における障害者雇用に関する実態調査」を実施しています(*2)。平成31年4月に公表された「教育委員会における障害者雇用推進プラン」に基づいて、都道府県・指定都市教育委員会を対象に、障害者雇用の実態把握やその課題の洗い出しを行うとともに、取組事例の展開等を通じて各教育委員会における障害者雇用の取組を促進することを目的として取り組まれたものです。
 この調査から、令和元年6月1日現在の都道府県教育委員会における障害者雇用の状況について、実雇用率が教育職員の事務職員の全体で1.87%と、法定雇用率を満たしていないことが明らかになりました。職種別に見ると、事務職員の実雇用率が7.39%に達しているのに対して、教育職員の実雇用率は1.27%にすぎませんでした。職員の構成比はほぼ1:9になっていますので、障害がある教育職員がいかに少ないかがわかります(表1)。さまざまな理由が考えられますが、事実として、共生社会の実現を抱えて取り組んでいる学校の職員の雇用率が、2.4%の法定雇用率を満たしていなかったということになります。

教育職員

事務職員

全体

対象職員数の構成比

90.20%

9.70%

実雇用率

1.27%

7.39%

1.87%

表1 職種別の雇用状況(*2より)

 表2は、学校種等別の雇用状況を示しています。障害がある教職員の雇用率は、当然のことながら、教育職員については、特別支援学校が最も高く、中学校、小学校は1%以下となっていました。事務職員についても小学校、中学校では雇用率が低くなっている傾向が認められました。

教員職員の実雇用率

事務職員の実雇用率

教育委員会事務局

5.47%

小学校

0.69%

4.05%

中学校

1.00%

3.92%

高等学校

1.33%

11.49%

特別支援学校

4.23%

15.17%

その他

0.60%

6.45%

全体

1.27%

7.39%

表2 学校種等別の雇用状況(*2より)

 都道府県ごとの状況も公開されていて、図1に示したようになっていました。どの自治体も教育職員については、軒並み2%以下になっていることがわかります。

図1 職種別の実雇用率(*2より)

 このように、この調査が実施された令和元年において、教育委員会関連では法定雇用率が達成されていませんでした。こうした状況は長年にわたって続いていたわけですが、こうした障害者が教員になることを阻む要因については、社会構造や学校教育特有の文化等に起因するところがあるのかもしれません。共生社会の実現を目指してインクルーシブ教育の理念を実現していくためには、教職員の雇用の拡大や合理的配慮への対応も含めてドラスティックに捉えなおしていく必要があるのかもしれません。

近年における障害者雇用の動向

文部科学省「障害者雇用推進プラン」

 文部科学省では、共生社会の実現に向けた取組を加速し、より積極的に障害者の活躍の場の拡大を図るため、平成31年1月に文部科学副大臣のもとに省内の関係課で構成される「障害者活躍推進チーム」を設置しています。そして、同年4月に学校教育、生涯学習、スポーツ、文化芸術の各分野において、より重点的に進めるべき6つの政策プランを示しました。その中の6番目として、「障害のある人が教師等として活躍することを推進する~教育委員会における障害者雇用推進プラン~」という施策が盛り込まれています。概要には次のように記されています(*3)

6 「教師の養成、採用、入職後にわたる総合的な取組により、障害者が教師等として活躍できる環境整備を推進。
❶教師に係る障害者雇用の実態把握
❷教職課程における障害のある学生の支援に係る好事例の収集・発信
❸教員採用試験の改善
❹相談支援体制の構築や支援スタッフの配置などの好事例の収集・発信
❺障害のある教師が働きやすい環境整備
❻教師以外の職員の障害者雇用の推進

厚生労働省「新たな障害者雇用率の設定」

 ホットな情報として、厚生労働省が令和5年1月18日に、企業等が雇用すべき障害者の割合(障害者雇用率)を現行の2.3%から2.7%に引き上げることを決めたことが報じられています。令和6年度から段階的に引き上げ、令和8年度に2.7%とするということです。企業の障害者雇用率引き上げに合わせ、国と地方公共団体、教育委員会もそれぞれ雇用率を段階的に引き上げ、令和8年7月以降の雇用率は国と地方公共団体が3.0%、教育委員会は2.9%とするということです(*4)

まとめ

 本稿では、文部科学省の調査から、教育委員会における障害者雇用において、法定雇用率を満たしていない実態が明らかになったこと、そのことや社会の動きを踏まえて、学校教育の場における障害者の採用をより増やしていくことが施策として示されるようになってきていることを紹介しました。このことは、障害者雇用の観点からだけでなく、共生社会の形成という観点から大変望ましいことだと言えます。しかし、障害がある人が教育職員、とくに小学校、中学校、高等学校の教育職員として働く際には、さまざまな壁や容易には解決できない難題、課題が待ち受けているのが現実です。単に法定雇用率の充足ということだけでなく、合理的配慮への対応も含めて、障害がある人が働きやすい環境を整えていくことや学校等で学んでいる幼児児童生徒にとってもプラスになるように学校等の在り方の見直しを進めていくことが求められているように思います。そうしたプロセスを丁寧にたどっていくことにより、法定雇用率も満たされ、障害の有無にかかわらず教育職員にとって働きやすい職場へと変貌し、共生社会の形成へと進んでいくことが期待できるのではないでしょうか。

*1:文部科学省 特別支援教育の在り方に関する特別委員会報告「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm
*2:文部科学省 「教育委員会における障害者雇用に関する実態調査」
https://www.mext.go.jp/content/20210326-mxt_kyoikujinzai01-000011998-1.pdf
*3:「文部科学省 障害者活躍推進プラン」概要
https://www.mext.go.jp/content/20200731-mxt_kyousei02-000010642_2.pdf
*4:令和5年度からの障害者雇用率の設定等について
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001039344.pdf

高等学校 情報:教科書、副教材訂正のご案内

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