「並べ方で見えてくる○○な感じ」(第6学年)

1.題材名

並べ方で見えてくる○○な感じ

2.学年

第6学年

3.分野

絵に表す

4.時間数

1時間(45分)

5.準備物

児童:はさみ、のり、木工用接着剤 など

教師:画用紙(10cm四方の正方形)、帯状の色画用紙(黒色幅1cm、長さ10cm)、丸シール(赤色1cm径と2cm径の2種類)、マスキングテープ(さまざまな色柄で幅5mmのもの)

6.題材設定の理由

 高学年の造形活動は、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じを考えながら、自分の表したいことを形にしていくものである。ジャンルを問わずさまざまな造形活動において、材料や要素の配置、組合せ方を考える力は必要で、自分の思いや意図をより豊かに表すことにつながる。そこで、【形や色、それらの組合せによる造形的な特徴】を、構成の美しさを切り口にイメージ化し理解を深めて学級で共有することができれば、今後の活動でも児童がどのように表現するかで迷った際の手がかりになるのではないかと考え、本題材を設定した。
 この学習活動では、手のひら大の画用紙に、丸シールと帯状の色画用紙、マスキングテープを切って貼り付けることで、構成の美しさを考えながら【形や色、それらの組合せによる造形的な特徴】について理解することがねらいである。児童はいくつか提示されたテーマの中から一つ選び、テーマに合った材料の並べ方を考えながら、切り貼りしていく。同じテーマを選んでも捉え方や解釈の違いによってさまざまなイメージが生まれるため、作品を鑑賞する際には、「自分はこんな構成にしたけど、あの子のような構成もあるのだな」と、比較しながら交流することができる。交流を通して、児童にとっては感覚的で曖昧だった【形や色、それらの組合せによる造形的な特徴】の理解を深め、知識を共有することが期待できる活動である。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  •  丸シールや画用紙の端切れを、配置を考えながら台紙の上に並べるときの感覚や行為を通して、形や色、それらの組合せによる造形的な特徴を理解する。
  •  自分の表したい感じに合わせて、材料の切り方や並べ方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  •  材料を切ったり並べたりしながら、形や色などの造形的な特徴を基に自分のイメージをもち、形や色、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考える。
  •  形や色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、自分の作品、友だちの作品の造形的なよさや美しさを感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 主体的に形や色の構成によるさまざまな表現をしたり鑑賞したりする活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり、楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】

  •  丸シールや画用紙の端切れを、配置を考えながら台紙の上に並べるときの感覚や行為を通して、形や色、それらの組合せによる造形的な特徴を理解している。
  •  自分の表したい感じに合わせて、材料の切り方や並べ方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】

  •  材料を切ったり並べたりしながら、形や色などの造形的な特徴を基に自分のイメージをもち、形や色、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考えている。
  •  形や色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、自分の作品、友だちの作品の造形的なよさや美しさを感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わい、形や色の構成によるさまざまな表現をしたり鑑賞したりする学習活動に主体的に取り組もうとしている。

9.指導計画


児童の活動の流れ

教師の指導の手立て



5

・学習のねらいをつかみ、材料を選ぶ。

・作品のテーマ(八つ程度)を提示する。
・「材料の切り方や並べ方を工夫して台紙に貼ることで、○○な感じを表せるかな」と投げかける。



30

・テーマに合う構成を考えて材料を貼る。

・できた作品は黒板に貼る。
・表し方を試しながら何枚かつくる。

・テーマに合わせて構成してもよいし、構成したものにテーマを当てはめてもよいことを知らせる。
・黒板をテーマごとに線で区切り、できた作品を貼るように促すことで、自然と交流が生まれるようにする。

・必要に応じて表現の工夫に着目するような声かけを行い、鑑賞と表現がテンポよく繰り返されるよう心がける。






10

・自分や友だちの作品を鑑賞し、自分の見方や感じ方を深める。

◎児童の作品

・同じテーマでも構成の仕方で印象が異なること、友だちがどのようにそのテーマを表そうとしたのかを話し合えるように留意する。

10.他題材とのつながり

 作品は模造紙に貼って掲示することで、その後のさまざまな題材で表現のヒントとして活用できる。

 例えば「音の絵」(教科書5・6下p.10-13)において、今回の作品を示しながら同じ言葉からでも多様な表現が生まれたことを思い出すよう促したり、「表したい感じに合う構成はあるかな」と尋ねたりすることで、それを手がかりに自分の表し方を考えるだろう。また、ふだんから目に入るところに掲示しておけば、児童同士で製作に生きる交流が自然に生まれることが期待できる。立体に表す題材でも形や色を構成する活動において、必要に応じて振り返ると効果的である。

<つながりが期待できる他題材>

◎5・6上

  • 心のもよう(p.8-11)
  • 消してかく(p.16-17)
  • 糸のこスイスイ(p.18-19)
  • 美しく立つはり金(p.26-27)
  • 言葉から思いを広げて(p.32-33)
  • まだ見ぬ世界(p.40-42)
  • 紙から生まれるすてきな明かり(p.52-53) など

◎5・6下

  • 音の絵(p.10-13)
  • 固まった形から(p.16-17)
  • 墨と水から広がる世界(p.18-19)
  • 言葉から想像を広げて(p.34-35)
  • 感じて考えて(p.52-53) など

※本実践の児童作品は、「みんなの図工ギャラリー」からご覧いただけます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/5-6nen/42/

「ずっとかく絵」(第6学年)

1.題材名

ずっとかく絵

2.学年

第6学年

3.分野

絵に表す・鑑賞する

4.時間数

4〜10時間(児童により実施差あり)

5.準備物

児童:表したいことに合わせて水彩絵の具 など

教師:

  • パネル:45×45cmベニヤ板、1.8×1.8×43cm 角材4本
  • 描画材:ジェッソ(地塗り剤)、アクリル絵の具、コンテ、水性ニス、メディウム(アクリル絵の具に混ぜると質感などが変わる添加剤)、ペン など
  • 用具:のこぎり、彫刻刀 など

6.題材設定の理由

◎題材のねらい
 6年間で培ってきた知識や技能を用いて、「今」かきたいことを絵に表す。

◎題材観
 「子どもたちが自分のかきたいことをかける場所がいつも図工室にほしい。」
 常々、題材を設定とともに「今かきたい」という気持ちやアイデアが失われる場合があることを、子どもの姿から想像してどうにかならないかと模索していた。題材を手渡すということは、暗に「その題材をやっている間は他のことをしないようにしてね」という意味をもつ。
 図工室に来る子どもが授業単位で自分のやりたいことができたという実感をもつためにどうすればよいか。かきたいと思い立った瞬間を大切にし、子ども一人ひとりの「今かきたい、表したい」気持ちを素直に行動に移せることを保障すれば個々の自己実現を助けることになると考え、この題材を設定した。

7.題材の目標

【知識及び技能】
 絵に表すという行為や感覚を通して、形や色などの造形的な特徴を理解する。
 今までの材料や用具などの経験や技能を生かし、表現に適した材料や用具・技能の効果を考えながら、表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】
 表したいことやものを見付けたり行為を繰り返したりするなどして、どのように主題を表すかについて考える。
 表現の意図や表し方について、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】
主体的に絵に表したり鑑賞したりする活動に取り組み、つくり出す喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】
 絵に表すという行為や感覚を通して、形や色などの造形的な特徴を理解している。
 今までの材料や用具などの経験や技能を生かし、表現に適した材料や用具・技能の効果を考えながら、表し方を工夫している。

【思考・判断・表現】
 表したいことやものを見付けたり行為を繰り返したりするなどして、どのように主題を表すかについて考え、表している。
 表現の意図や表し方について、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】
つくり出す喜びを味わい、主体的に表したり、友だちの作品を見たりする学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画

全10時間程度(製作期間は子どもによって異なる)

◎1次:導入・パネル作成(1時間)
 導入では、今までやってきた絵画的表現を振り返ったり、使える描画材を確認したりする。

◎2次:思い思いの表し方で絵をかく(かきたいときに)

◎3次:鑑賞する(1時間)

10.活動の様子

 6年生になったばかりの4月。子どもたちに「来年3月までに絵を仕上げること」「製作途中はずっと壁に飾ること」「どの図工の授業でも、休み時間でも、絵をかいていいこと」を提案した。今までの絵に表す題材を振り返り、使用できる描画材も確認した。
 導入では45×45cmのパネルをつくり、下地材を塗った。紙を水張りすることも選択できるようにした。今まで支持体として使ったことのある紙や段ボールなどではなくパネルを使った理由は、長い時間かくこと、何度もかき重ねることが可能なこと、常に展示可能なこと、の3点である。
 子どもたちは4月からの10か月で、何度もかき直したり、ただ絵の具で遊んでみたり、自分なりに今やりたいことを重ねていった。廊下を通る他学年の子どもたちもその絵の変化を見ていた。

 景色や具体物などのモチーフを決めてかく子どももいたが、色をただ塗る、ローラーをコロコロし続けるなどの、絵の具を使った行為を繰り返す子どもがとても多かった。6年生の発達段階においても、意図のない行為や遊んでいるとしか見えない活動が、イメージの種子となっていることを見とることができた。

 他題材と同時に進んでいるので、活動が混在する。彫刻をやっている横で、じっくり絵の具をパネルに伸ばしている子ども。前日に百円ショップで見つけた新しいビーズを持ってきて、貼り付ける子ども。気に入らなくて何度も下地材を重ね、同じイメージをかき続ける子ども。ペンでひたすら点を打ち続ける子ども。さまざまな姿が見られた。しかし、もともと同じ題材の中でも子どもたちは一人ひとり思い思いに表現しているので、混乱は全くなかった。ただ、1時間しかやらない題材や鑑賞の活動では絵をかかないことにした。

11.作品から

 この子どもの作品は、1年間を通して変化していった。「そのときそのとき、季節や気持ちが変わっていったのを板に刻んでいくのが面白かった」と振り返る。
 まず、絵の具のスクラッチ(やってみたかった方法)、そのあと画面を分割したアクリル画(四季をイメージ、季節ごとの思い出やイメージをかいた)、最後は「冬の夜景」という題名を付けた。「都会を囲む夜の闇、メディウムを混ぜた緑で明るい周りをつくることで、真ん中の夜景を際立たせたかった」というその絵は、何度もかき重ねた絵肌に重厚感があり、廊下で思わず近づいて見る子どももいた。

 この子どもは、白い下地材を塗ったあと、興が乗らず、しばらくかかない時期が続いたが、6月の終わりに突然意欲が湧いたようである。「もし、この世界がモノクロになったら空はどんな感じだろう」と授業で思い付き、ほとんど1回でかき切った。最後に水性ニスでつやを全体に出して、全4時間程度で製作を終えた。「筆を回転させる動作が気に入ったし、今作品を見ても、丸いところがかわいい」と振り返った。

12.まとめ

 鑑賞はクラス全員が発表者となり、絵をみんなに見せながら、製作意図、絵がどのように変化していったか、感想などを自由に伝え合った。
 写真の子どもは、赤や緑など単色をローラーや刷毛などを使って画面に塗っていくことを繰り返していた。発表では、「これは、完成していない絵。完成しちゃったらストップする。僕も止まらない、変わり続ける自分でいたい」と語った。色や塗り方などに言語化できるほどの意図はなくても、その行為を繰り返すことが、その子どもにとっては大切な感覚や思考に結び付くための鍵だったのだ。


 このように行為を繰り返す中でできた絵もあれば、イメージをもってかいた絵、何度もかき重ねていった絵、1回でかき終えた絵など、一人ひとりが思い思いに表現していった。子ども自身の特性、境遇、そのときの気持ちなど、人それぞれの違いや自分の中での変化があること、その発露の仕方を学び多様性を受け入れることを最後の鑑賞、最後の図画工作の授業で伝えた。
 この題材を通して、何年か分のわたしへの通知表を、子どもたちの絵から受け取っているような感じがした。うれしかったのは、子どもたちがこの題材に何も抵抗なく、自分のかきたいことを見付けていったことである。描画材や技法などのバリエーションはもっとあってもよかったように感じたので、今後のカリキュラムづくりに生かしていきたい。

13.作品

私が憧れた色と形冬の夜景

鮮やかな水玉噴火

かれない花モノクロの空

※本実践の児童作品は、「みんなの図工ギャラリー」からご覧いただけます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/5-6nen/41/

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