私たちの生活と経済「今使えるコロナ教材:授業のネタを28用意しました」(第3学年)

 私たちは、2004年に「経済教育ネットワーク」(代表:篠原総一同志社大学名誉教授)を設立し、「経済教育を実践している様々な活動主体(個人、団体)を「ゆるやかな」ネットワークの下で結びつけ、それぞれの教育事業の向上を支援する。特に経済教育に関する情報の収集と発信などの面で日本におけるワンストップ・サービスを提供する」ことを目的に活動しています。
 2021年夏に、多数の教員(小・中・高・大)や教育関係者の方々に協力していただき、コロナ問題を題材とした授業教材を28作成しました。内容は多岐にわたり、経済単元を中心に公民の様々な分野と関係しています。
 いずれも、生徒が「これならなるほど」と思えるちょっとした資料、データ、解説文を用意しています。コロナという身近で深刻な問題を題材にすることで、生徒が社会の見方・考え方を理解し、公民としての資質・能力を身につけるために、少しでも役立つのではないかと考えています。下記のURLをご覧いただき、ご活用いただければ幸いです。

■経済教育ネットワーク https://econ-edu.net/
■「今使えるコロナ教材」 https://econ-edu.net/2021/09/07/3571/

私たちの生活と経済「日本に増税は必要か考えよう」(第3学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

私たちの生活と経済「日本に増税は必要か考えよう」

2.指導計画(概略)と本時のデジタル教科書・ICT活用

指導計画(20/21時間)

本時のねらいとICT活用の意図

1

単元の学習問題をつかみ、学習計画を立てる。

●教科書に付録しているデジタル教科書とインターネットを利用した。教科書に載っている図やグラフを読み取った後の発表・解説などを、生徒の視線を上げて反応を確認しながら行うことができる。
●インターネット上のホームページを提示することで、生徒の興味関心を高め、本時の主題へ取り組みさせたいと考えた。

2~10

経済について考える。「ものやお金はどのように生み出され、使われているのだろう。」

11~13

労働について考える。「私たちの働きやすい理想の職場とは、どんな職場だろう。」

14~20

財政・社会保障について考える。「豊かな暮らしを支えるために、政府はどんな働きをしているのだろう。」

21

学習をふりかえり、単元の学習のまとめをする。

3.本時の展開(主な学習活動)

学習の流れ

主な学習活動と内容

ICT機器・教材、コンテンツ等

導入

0~15

●日本の財政赤字について考える。
●本時の学習問題をつかむ。
●日本の税率について考える。
●日本の景気について考える。

●インターネット上のホームページ
●デジタル教科書

展開

15~35

●増税したとき、増税しないときのメリットとデメリットについて、自分の考えをワークシートに記入する。
●増税すべきかそうでないかグループで話し合い、グループの意見をまとめる。

●ワークシート
●資料集

まとめ

35~50

●グループの代表が意見を発表する。
●学級全体で話し合い、自分の考えをワークシートに記入する。

●資料集を参考に作成した提示用資料

4.活用したICT機器など

デジタル教科書、電子黒板、インターネット、黒板・ホワイトボード、その他(ワークシート・資料集)

5.主に活用したデジタル教科書などの教材、コンテンツ等とそのねらい

●教材、コンテンツ等
デジタル教科書、インターネット「借金時計」、資料集の資料をもとにした自作コンテンツ
●活用のねらい
・インターネットの借金時計を電子黒板で提示することで、1秒ごとに負債額が増えるのがわかり、興味関心を高めさせる。
・デジタル教科書のグラフを提示することで、生徒の反応を確認しながら、授業を進めることができる。

6.活用場面の学習・活用スタイル

●学習スタイル:一斉学習
●活用スタイル:教師説明型

7.参考にしてほしいポイント

 準備の時間を必要とせずにすぐに教科書を映し出すことができるデジタル教科書は、図やグラフを解説したり、生徒がそれらを用いて説明したりするときに、大変便利である。

8.ICT活用への児童生徒の声、反応

 教科書のグラフに矢印などを書き加えて説明してくれるのでわかりやすかった。

9.活用効果

●評価の観点
社会的な思考・判断・表現
●具体的変容
 小単元のまとめとして、発展的問題として取り上げた。導入での借金時計では、その額の増え方に驚いて声が上がり、本時への興味を高めることができた。その後の話し合いでは、真剣に、しかし楽しそうに話し合い、考えを練り合うことができた。

10.実践の手応え

 電子黒板を利用して教科書の内容を考えさせると、生徒の目線が上がり、反応がよくわかる。また、復習として既習した図やグラフをすぐに提示することができるので、活用しやすい。

単元「現代社会の歩みと私たちの生活」の実践(第3学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

 高度経済成長を経験した日本の歩みについて調べまとめていく活動の中で、自分たちの生活とのつながりに気づき、自分たちが生きる現代社会を見つめようとする思いを高めていく

1 目 標

  • 戦後以降の生活・社会の変化、現代社会の特色について、自ら問いをもって調べていこうとする。
  • 現代社会の特色について、戦後の歩みと関連させながら考えをまとめることができる。
  • 様々な資料から現代社会への歩みについての必要な情報を取捨選択し、調べていくことができる。
  • 現代社会の特色や、現代社会における文化の意義や影響についてとらえることができる。

2 「社会的事象から考えたり判断したりしたことを自分の言葉で表現する力を養う」につながる学習について

(1)学習の構想について

 「現代社会の歩み」は、歴史分野の最後の単元でも学習した内容であり、現代社会の特色や現代社会についての見方や考え方の基礎を養うことを意図する単元となっている。ここでは、為政者中心の政治・社会を中心とするのではなく、一個人・一般市民(公民)の立場・視点に立ってもう一度、現代社会の歩みをとらえていくことになる。当時の人たちの努力や技術革新などによって、国際社会での重要な役割を担うことになった日本の様子、また、現在、少子高齢化や情報化・グローバル化によって日々様変わりしている現代社会の有り様について考えていくのに、公民の導入としてふさわしい内容と言える。
 この単元は、現代社会への歩みやその特色をとらえる学習である。ここでは、公民分野を初めて学習する生徒に、今の自分たちの生活が戦後の人々の努力や社会の変化によって支えられていることに自ずと気付いていけるようにすることや、それらを含めた現代社会の特色を見つめていこうとする思いや構えがもてるようにすることが大切である。
 そのために、単に、高度経済成長や少子高齢化・情報化についての知識を身に付けるだけの学習にするのではなく、これらの内容を学ぶ必要性を生徒自身が感じながら出会っていけるような活動の場や時間を十分に保障していく。そこで、下記の3つの手立てをもとに、本単元の学習に取り組んでいくことにした。

  1. 調べ活動や話し合いの活動の必然性が生じる単元構成の工夫をしていく。
  2. 自分が関心をもった課題について調べたことをもとに、伝え合う活動を取り入れていく。
  3. この単元に対する自分の立場、考え・判断を明確にするための話し合いの場を設定していく。

 このような手立てをもとに、高度経済成長から考えたり判断したりしたことを自分の言葉で表現する力を養いながら、現代社会への歩みの意義や現代社会の特色を自分なりにしっかりととらえていくことができるであろう。さらには、以後の経済や政治、国際社会の学習への関心を高めていくことができると考え、この学習を構想した。

(2)学習計画と評価の構想 6時間計画

 

時 数

小単元名

評価する観点(◎は重点、○は可)

つかむ

第1時

今のくらしとどんな違いが?

(関)

(思)

(資)

(知)

 

第2時

くらしの移り変わりからみる高度経済成長

 

 

調べる

第3時
第4時

高度経済成長を経験した日本にとって良い点・悪い点は?

 

練る

第5時

自分が調べた高度経済成長による○○を比べてみると…

 

 

まとめる

第6時

自分からみて日本が高度経済成長を経験したことは…

 

(3)「社会的事象から考えたり判断したりしたことを自分の言葉で表現する力」のみとり方(どんな姿から何をみとるか)

Web実践事例中社vol01_6.jpg

 話し合いの中の発言、ノートにおける自分の考え、調べたことをまとめたプリントから

  • 事象と事象をつなげているか(第3時・第4時)
  • 事象の要因や影響について考えているか(第3時・第4時)
  • 良かった点・悪かった点を比較しているか(第5時)
  • 今までの知識・理解した内容を生かして自分の考えを論述・説明しているか(第6時)
  • 今の日本の社会や自分の生活とつなげているか(第6時)

3 学習の実際と考察

≪手だて(1)≫
 高度経済成長について調べたり話し合したりする活動の必然性が生じる単元構成の工夫

<今回の学習の単元構成>

  1. 今のくらしとどんな違いが?
  2. くらしの移り変わりからみる高度経済成長
  3. 高度経済成長を経験した日本にとって良い点・悪い点は?
  4. 自分が調べた高度経済成長による○○を比べてみると…
  5. 自分からみて日本が高度経済成長を経験したことは… 

 高度経済成長時の日本の変化を見つめる初めての視点として、「くらし」の学習をする。家庭生活という生徒たちにとっては身近に感じられる変化であるため、より関心をもって学習に向かうことが予想される。しかし、「社会の変化」や「国際社会との関わり」になると、自分たちの生活とはかけ離れたところの内容になってくるし、「くらしの変化」と同じ流し方ではマンネリ化が起きてしまうと考えた。
 そこで、考えたのが上記の単元構成である。この単元を貫くキーワードとして、「高度経済成長」を取り上げることにした。この成長の要因や意義ばかりでなく、この成長の良さや課題は何かを追求する2つのグループに分かれて調べまとめる活動を行っていくことにした。④では、高度経済成長の良さを調べたグループと課題を調べたグループの生徒たちが、自分のまとめたプリントや自分の言葉での説明で伝え合う活動を行った。高度経済成長の良さや課題をとらえた生徒たちが、(5)の時間には、高度経済成長の意義について自分の立場を言葉や文章で表現し明確にする場をもつことにした。
 同じ流れで授業が展開することがないため、マンネリ化が起こることもなくなった。また、クラスの半分の友達が自分の調べている内容を必要とするという展開に、自分のため友達に説明するためと必然性が生じる。そのため、高度経済成長による変化について真剣に向き合っていこうとする生徒が多く見られたことが、授業の発表やプリント・ノートの書き込みからも伺うことができた。このように、高度経済成長について調べたり話し合したりする活動の必然性が生じるような単元構成に工夫することは、今回の学習においてとても有効であると考えられる。

≪手だて(1)≫
 高度経済成長のよさや課題について調べたことをもとに伝え合う活動

 第2時の授業では、高度経済成長によって、くらしがより豊かに快適に変化してきた様子をとらえることができた。加えて、快適になるが故にゴミ処理の問題など課題が生じていることにも気付いていった。そんな生徒たちに、「高度経済成長を経験したことで日本全体にとって私たちの生活にとって良かった点、逆に悪かった点(課題)は、この他にもどんなことがあるのか」と投げかけた。
 そこで、第3時・第4時の2時間を活用して5・6人のグループを作らせ、その中で良かった点を調べる生徒と悪かった点を調べる生徒に分かれ、分担して「高度経済成長」の姿を見つめていくことにした。教科書や資料集から、良かった点・悪かった点になりそうな内容を意欲的に探し始めていった。

Web実践事例中社vol01_1.jpg

【良かった点】

【B子の悪かった点のプリント】

【B子の悪かった点のプリント】

【まとめのプリント】

【まとめのプリント】

【高度経済成長の良かった点として】

  • 工業の発展
  • 国民所得や余暇時間の増加
  • 外食の増加
  • 貿易拡大・黒字増加
  • 日本製品の品質の良さ
  • 海外への旅行客の増加
  • 環境に取り組む姿勢(法律や施設)
  • 多様な情報の取得
  • 世界の国々への援助国

 良かった点として見つけた社会的事象は何か、どうして良かった点として取り上げたのかを意味づけしながら、各自分プリントに文章や絵図を添付しながら分かりやすくまとめていった。また、調べ活動をしている際に、良かった点として挙げた事象の原因や影響になどについて問いかけることで、事象同士のつながりにも気付いていくことができた。例えば、「どうして海外旅行客が増えたのか」と問いかけてみた。「給料(国民所得)が増えたから」「旅行ができる余暇時間が増えたため」「海外に関する情報がたくさん入って魅力を感じたため」など、良かった点として挙げた事象をつなげて考える姿が見られ、ある生徒はこのつながりを矢印や線などでプリントに表すことができた。

【B子の悪かった点のプリント】

  • 公害などの環境悪化
  • 人口流入による過疎化・過密化
  • 外食が多くなったこと
  • 核家族世帯の増加に伴い、親子の会話減少・育児への不安
  • 少子高齢社会が進み、若い人の経済的な負担の拡大
  • 情報化社会が進み、ネット犯罪の急増
  • 黒字の拡大による貿易摩擦
  • 外国人への偏見

 悪かった点を調べていく内に、「昔のこと」ではなく今の自分たちの生活の課題となっていることに気付いていった。また、ある生徒は、外食が増えると家族の時間が減少につながるという理由から「外食が多くなったこと」を悪い点として挙げていた。さらに、公害などが起こったことで、今現在の私たちの環境への意識や取り組みは良い点と言える。だから、「公害などの環境悪化」は悪かった点とは一概に言えないのではないかと考える生徒も見られた。

【まとめのプリント】
 第5時の授業で、良い悪いの2つの視点からまとめたプリントを見せ合いながら、同じグループのメンバーやクラスの友達と伝え合う活動を行った。その際、次のプリントに良かった点・悪かった点が表となるようにまとめながら取り組むことにした。
 この伝え合いの活動の中で、良かった点にも悪かった点(課題)にも同じ事象が挙げられていたことに納得しかねて議論を始める姿が見られた。

○男子生徒たちによる「外食の増加」について議論になった内容

「色々な国とつながって様々な食材を確保できていて、おいしい外食を食べられるんだから良かった点にしたんだけど…」
「でも、外食増えたら家族の時間が減ることにならない?」
「外食って家族で行くときが多いんじゃないの?」
「そうとも言えないよ…」

○女子生徒たちによる「環境」について議論になった内容

「公害が起きたから悪かった点だよね。」
「でも、その悪かったことを反省して法律や施設が生まれているから、そこの部分ではいい点と言えるんじゃないの?」
「ええ?でも公害で亡くなったり苦しんだりしている人のことを考えたら、絶対悪かったてんだって。それにいくら法律や施設ができても、今だって環境悪化が止まらないじゃない。」
「それはそうだけど、みんなの意識の問題。環境を考えようとする人が増えたことはいいことだよ。」

 この2つの議論は、クラス全体でも取り上げ話し合いをもってみたが、それでも良い悪いを決定することなく、どちらともいえないという意見が多く出た。伝え合う活動の中で、このような議論が行われたことは、高度経済成長への自分の意見を持つのに大変有意義なものとなったし、何よりも自分の考えを言葉や文章で表現する場を多くもてたことも良かった。
 反面、課題も見られた。高度経済成長の○○を調べまとめるために、教科書や資料集、また問題集に付いている参考書をもとに、考えをまとめていった。全員が同じ資料から…では、「より多くの資料から選択して必要な内容を生かす力」が養えない。教師側からもより多くの資料を、また、生徒たちにも働きかけてより多くの資料をもってくるようにして、様々な資料から調べまとめられるような環境を作ることも今後取り入れていけたらと考える。

≪手だて(3)≫
 日本が経験した高度経済成長に対する自分の立場、考え・判断を明確にするための話し合いの場の設定

 日本が経験した高度経済成長に対する自分の立場、考え・判断を明確にするために、「自分からみて日本が高度経済成長を経験したことは…」という課題で授業を展開した。
 まず自分や友達の立場・考えが視覚的にとらえられるように、黒板にネームプレートを置くことにした。その後、どうしてその位置にネームプレートを置いたのか、自分の考えをノートにまとめ、話し合う時間をもった。

【3組の板書】

【3組の板書】

【1組の板書】

【1組の板書】

【高度経済成長を意義あるものととらえている意見】
 今の私たちの生活は、高度経済成長があったおかげで成り立っているものが多いです。なので、今便利なものが増えているのも、海外の交流があるのも、そのころの動きがあったからだと思います。その頃の悪かったことは、これからの私たちの意識で、良いことに変えることができるのではないかと思います。高度経済成長あってこその現代ではないでしょうか。

【高度経済成長を問題・課題のあるものととらえている意見】
良かった点は、たくさんあります。しかし、その良かった点の裏には、ごみの増加や少子高齢化が進むなど、悪かった点もたくさんあるからです。したがって僕は、日本にとって高度経済成長は微妙だと思います。

 このように、高度経済成長を意義あるものととらえる意見として、今の生活の豊かさやよさなどとつなげて説明している場合が多い。また、問題・課題が多いととらえている意見では、少子高齢化や環境悪化といった現在の生活でも未来においても取り組んで行かなくてはいけないことに触れて説明している生徒が多かったと言える。クラスによってばらつきがあるものの、良い面・悪い面両方を持ち合わせているのではないかという意見が多数を占めた。とはいうものの、悪かった面・課題に注目していた生徒も含め、全員が高度経済成長はとにかく経験できて良かったのではといった感想をもつことができた。その理由として、今の豊かな生活や他の国に誇れる国の基礎をつくってくれたことを実感することができたからだと考えられる。自分たちの生活が昔の人々の苦労や工夫、出来事などが重なって、築かれていることを改めて気付くことができ、歴史分野で学習した戦後の日本の取り組みの良さやすばらしさを十分に感じ取ることができた姿と言えるだろう。

4 成果と課題

 「高度経済成長を経験した日本の歩み」について調べ、話し合い、まとめていく一連の活動の中で、

「情報化社会」といった社会的事象の要因や影響を調べる中で、事象同士のつながりにも気付いていけたこと。
高度経済成長の意義ばかりでなく、その当時の人々の努力や頑張りに気付いたこと。
今の自分たちの生活とのつながりを改めて実感できたこと。
自分たちが生きる現代社会を見つめようとする思いが高まり、今後の公民の学習への関心が高まったこと。

といった、この単元でのねらいを達成することができた。これも、手立て(1)(2)(3)が、学習のプロセスで十分に機能し、調べ学習やまとめの学習において考えたり話し合ったりすることができたからと考える。さらに、高度経済成長の意義や意味を考えたり判断したりしたことを自分の言葉で表現する場を多くもったこと、1時間の授業の中で自分の考えをまとめさせる場を必ず設けたことで、「社会的事象から考えたり判断したりしたことを自分の言葉で表現する力」を養うきっかけとなれたことが大きな成果と言えるだろう。

 また、今回の学習で見えたこととして、4つの課題が浮き彫りになった。

 1つ目は、調べたり話し合ったりする活動の必然性が生じる単元構成を工夫することで、改めて1時間1時間の学習課題の大切さを痛感した。生徒たちに与える学習課題がその1時間にとっての指針となるようなものを常に考慮して提示できるようにしたい。欲を言えば、生徒たちの活動から学習課題が生じることを期待したい。
 2つ目は、前述した「より多くの資料から選択して必要な内容を生かす力」を養っていくことである。これは「社会的事象から考えたり判断したりしたことを自分の言葉で表現する力」を養い、高めていくための重要なファクターと言える力である。教師側からもより多くの資料を、また、生徒たちにも働きかけて、より多くの資料をもってくるようにして、様々な資料から選択し判断できる活動のための環境を作ることも、今後取り入れていけたらと考える。
 3つ目として、評価の仕方が挙げられる。思考・判断・表現がいくら客観的に評価しにくく、主観的になりがちとしても、(3)「社会的事象から考えたり判断したりしたことを自分の言葉で表現する力」のみとり方(どんな姿から何をみとるか)で挙げた内容をどこまで至ればA評価なのかB評価なのか具体性に欠ける面がある。今後は、より客観的な評価の仕方も考えていくべきである。
 最後に、「社会的事象から考えたり判断したりしたことを自分の言葉で表現する力」をさらに養い、高めていくことが大切である。今後の学習でも、単元構成の見直しや話し合いの場の確保、自分の考えや立場を表現させることを繰り返し行っていくこと、社会的事象への思考・判断・表現の積み重ねをしっかりとやっていきたい。
 今回の学習の成果と課題をしっかりと踏まえ、社会的事象から考えたり判断したりしたことを自分の言葉で表現する力を養うことができる社会科学習の在り方について、今後も模索していきたいと考えている。