古代までの日本と世界「旧石器時代から古墳時代にかけての人々の暮らしの変化」(第1学年)

1.単元の目標

(1)日本列島における農耕の広まりの様子や生活の変化などに着目しながら、我が国で国家が形成されていったことを理解するとともに、この時代の歴史に関する様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付ける。(知識及び技能)
(2)農耕の広まりや生産技術の発展などに着目して、事象を相互に関連付けるなどして、古代の社会の様子の変化を多面的・多角的に考察し、表現する。(思考力、判断力、表現力等)
(3)この時代の歴史に関わる諸事象について、そこで見られる課題を主体的に追究、解決しようとする態度を養うとともに、多面的・多角的な考察をすることの大切さに気付く。(学びに向かう力、人間性等)

2.評価規準

【知識・技能】

 日本列島における農耕の広まりの様子や生活の変化などに着目しながら、我が国で国家が形成されていったことを理解するとともに、この時代の歴史に関する様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けている。

【思考・判断・表現】

 農耕の広まりや生産技術の発展などに着目して、事象を相互に関連付けるなどして、古代の社会の様子の変化を多面的・多角的に考察し、表現している。

【主体的に学習に取り組む態度】

 この時代の歴史に関連する学習課題を、主体的に、粘り強く追究、解決しようとしている。

3.単元の指導にあたって

(1)教材について
 本教材は、学習指導要領社会〔歴史的分野〕2内容B近世までの日本と東アジア(1)古代までの日本、ア(イ)「日本列島における国家形成」、及び、イ(ア)「古代文明や宗教が起こった場所や環境、農耕の広まりや生産技術の発展、東アジアとの接触や交流と政治や文化の変化などに着目して、事象を相互に関連付けるなどして、アの(ア)から(エ)までについて古代の社会の変化の様子を多面的・多角的に考察し、表現すること」に基づいて構想されたものである。
 狩猟・採集を行っていた人々の生活が農耕の広まりとともにどのように変化していったのか、資料を活用しながら調べ、まとめ、発表し合う活動を通して、この時代に関する理解を深めるとともに、歴史的な見方・考え方の一つである「推移」について着目させながら、思考力・判断力・表現力が高まることを期待したい。

(2)学習展開について
 単元を貫く問いを「旧石器時代から古墳時代にかけて人々の暮らしはどのように変化したのか調べて、カードにまとめ、説明し合おう」とし、3時間かけて、情報機器を活用しながら、調べ、まとめ、表現する活動を展開させていく。
 調べ学習の時間を十分に確保することや、調べたことを発表し合う時間を確保することを通して、情報活用能力や、情報機器を活用した表現力の向上を期待したい。

(3)評価について
 評価については、知識・技能に関しては、生徒が授業支援アプリで作成したカード(以下カード)とペーパーテストの結果を用いて行うこととする。思考・判断・表現及び主体的に学習に取り組む態度に関してはカードと授業中の取組みの様子を観察した結果を用いて行うこととする。
 生徒が作成したカードや学習活動の様子など、生徒の姿を多面的に捉えて評価に生かし、その結果を生徒の学びがよりよいものになるように生かしていきたい。

4.単元の指導計画

単元を貫く問い:旧石器時代から古墳時代にかけて人々の暮らしはどのように変化したのか調べて、カードにまとめ、説明し合おう。

学習のねらい

生徒の活動と内容

評価規準の具体例

1

本単元の学習の進め方を理解しよう

・ガイダンスを聴いて学習の進め方を理解する。
・調べ学習を開始して、学習の見通しを持つ。

・学習の見通しを持ち、調べ学習を始めることができる。(主体的に学習に取り組む態度)

2

調べ学習を進めよう

・課題について調べ、調べたことをまとめる。
・次時に友だちに説明し合う準備をする。

・調べたことをカードにまとめることができる。(知識・技能)

3
本時

調べたことを説明し合うことを通して考えを深めよう

・グループに分かれて、調べたことを説明し合う。
・本単元で分かったことをワークシートにまとめる。

・調べたことをグループ内で説明することができる。(思考・判断・表現)

5.本時の学習

(1)目標
 旧石器時代から古墳時代にかけての人々の暮らしの変化について、カードにまとめたものを説明し合うことを通して、社会の様子の変化を多面的・多角的に考察し、表現する。

(思考・判断・表現)

(2)展開

学習課題と主な学習内容

学習活動と教師の支援・
指導上の留意点

資料等

1 本時のめあてを確認しよう。

・本時のめあてを確認する。

カードにまとめたものを説明し合うことを通して、旧石器時代から古墳時代にかけての人々の暮らしの変化について、考えを深めよう

2 グループ活動を進めよう。

・グループに分かれて、カードにまとめたものを発表し合う。
・より多くの生徒に活躍の機会を与えられるよう、グループは3~4人で作ることとする。
・カードにまとめることができていない生徒や人前で発表することが不得手な生徒には、班員の発表をよく聴いて理解を深められるよう声掛けをする。

・カード
・タブレット端末

3 単元のまとめをしよう。

・本単元で分かったことをワークシートにまとめる。

・ワークシート

(3)生徒が作成したカードの例

※クリック or タップでPDFが開きます。

旧石器時代の人々の暮らしは

  • 獲物を追って移動生活をしていた。
  • 食べ物は、狩りでシカやナウマンゾウ、野ウサギなどの野生の動物を食べていた。
  • 衣類は、氷河時代だというほど寒い時代だったので、寒さを乗り切れられるよう狩りで捕まえたシカなどの皮で簡単に服を作っていた。

縄文時代の人々の暮らしは

  • 竪穴住居に住んでいたそうです。
  • 魚や貝なども食べ始めていた。
  • 衣服は、麻などの植物で作っていて、布に首飾りや耳飾り、腕輪、髪飾り、腰飾り、足飾りなどもつけていた。

弥生時代の人々の暮らしは

  • 堀立柱建物に住んでいる。
  • 稲の栽培が本格的に始まり、米をはじめとする穀物を主要な食料の一つとする食生活もまた開始されたことが推測されている。

古墳時代の人々の暮らしは

  • 鹿や猪などの動物、鯛やすずきなどの海の魚、豆やうりなどの野菜、桃やすももなどの果物までたくさんの生き物、植物を食べ始めた。
  • 植物で作った布、絹
  • 男性は、ズボンに上着、靴
  • 女性は、スカートに上着を着ていたとされている。

まとめると日本の原始時代の人々の暮らしは

  • 食 衣 住すべて時代がすぎるごとにどんどん成長していった。
  • 暮らし、気温に合った洋服を自分たちで考えて作っていた。

感想

  • 今みたいにスーパーもないし、食べ物も簡単に手に入らないからとても簡単な生活とは言えないけど、みんなで協力し合って一緒に生活しているから楽しそう。

6.ワークシート

中世の日本/鎌倉幕府の成立「院と平氏の政治」(第1学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元目標

  1. 院政から平氏政権の登場と源平合戦、鎌倉幕府の成立と衰えを通して、貴族政権と比較して武家政治の特色を考察する。
  2. 武士が台頭して武家政権が成立し、その支配が次第に全国に広まるとともに、東アジア世界との密接なかかわりがみられたことを理解する。
  3. 武士の台頭から武家政治への転換に着目して歴史の流れを大観し、自分の言葉で表現できるようにする。

2.教材観

 本単元は、律令政治から武士の台頭、武家政権の成立とその全国への広がりを見せる11世紀から14世紀初めの中世前半を扱った時代である。その中で、武家政権の先駆けといえる平氏政権は,日本が古代から中世に移行する上で大きな歴史的な意味をもつ政権であり,これは武家政権が展開される中世の日本を理解する重要なことがらである。
 また、鎌倉幕府の成立により武家政権が成立し全国に広がったこと、日宋貿易や元寇などを通して東アジア世界とのかかわりに気付き、多様な中世を理解することをねらいとしている。
 本単元では,院政から平清盛が朝廷内で勢力を強めていくが、しかし貴族の反発で平氏が衰退していくまでの歴史の流れ,また源氏が源平合戦を通して武家政権を樹立していく過程を政治面からだけでなく外交面や経済面からも考察させ,中世前半の歴史的特色を理解する。

本単元の構造図

3.本時(院と平氏の政治)の学習のねらい

・武士のおこりから平氏政権までの流れを確認する。
・平氏がどのようにして政治の実権を握ったのかを考察し、自分の言葉で表現する。

4.指導計画

1)院と平氏の政治 …第1時(本時)
2)武家政治の始まり …第2時
3)鎌倉時代の武士と農民 …第3時
4)鎌倉時代の農業と商業の発達 …第4時
5)元の襲来と鎌倉幕府のおとろえ …第5時

5.観点別評価規準

社会的事象への
関心・意欲・態度

社会的な
思考・判断・表現

資料活用の技能

社会的事象についての知識・理解

・院政から平氏政権、鎌倉幕府までの成立と支配の広がり、東アジアとの関わりを背景とした社会や文化など、歴史的事象に対する関心を高め意欲的に追究し、時代の特色を捉えようとする。

・院政から平氏政権、鎌倉幕府の成立と社会的な変動や武家政治の特色について、多面的・多角的に考察し、公正に判断して、その過程や結果を適切に表現している。

・院政から平氏政権、鎌倉幕府の成立と社会的な変動や武家政治に関する様々な資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、読み取ったり図表などにまとめたりしている。

・貴族政治から武士が台頭して武家政権が成立し、その支配が次第に全国に広まることを理解し、その知識を身につけている。

6.評価計画

関心・意欲・
態度

思考・判断・
表現

技能

知識・理解

1次 院と平氏の政治

2次 武家政治の始まり

3次 鎌倉時代の武士と農民

4次 鎌倉時代の農業と商業の発達

5次 元の襲来と鎌倉幕府のおとろえ

定期テスト

合  計

2

3

2

2

7.観点別評価補助簿の例

8.本時の学習計画

第3編 中世の日本 1鎌倉幕府の成立 「院と平氏の政治」

【学習のねらい】
・武士のおこりから平氏政権までの流れを確認する。
・平氏がどのようにして政治の実権を握ったのかを考察し、自分の言葉で表現する。

学習事項・
ねらい

学習活動

学びの支援と
留意点

評価の観点等

○導入
・わたしは誰でしょう、というクイズで関心意欲を高める。

<一斉>
電子黒板で「画像をよく見て、これに関係する歴史上の人物を答えよ」を行い、正解が出たところで人物の紹介とともに今日のねらいを伝える。

テンポよく、あまり時間をかけないようにする。そして、本時のねらいとクイズがつながっていることを確認する。

○共有課題
・摂関政治以降、平氏政権までの流れをつかむ
ワークシート:課題1)

<コの字>
課題1 共有の課題
平氏政権までの政治の流れを読み取ろう

以前の政治を振り返り、天皇親政からの流れを理解させる。

【作業】
摂関政治から院政、平氏政権までの流れを確認し、ワークシートの課題1に書き込み、どのような政治の内容かも理解する。

○発展課題
・平氏が政権をにぎったことについて考察する
ワークシート:課題2)

課題2 ジャンプの課題
平氏政権が成立することになった最も大きな要因について考察する。

正解は決まっていないことを伝え、教科書や資料集・配布資料(朝廷との関係、際立つ軍事力、経済力の源、年表:清盛が生きた時代などから読み取り、要因を一つ選ばせる。

【考察】
平氏が政権をにぎるようになった要因として、関わりのあることに着目し、その中で最も関わりの深い出来事が何かを考察する。

・平氏政権について深く考察し、班で意見をまとめる

<4人班>
【作業】
選んだ要因について、班の中で意見交流し、なぜそう思うのかも自分の言葉で伝える。

どの要因を選択したとしても、選択した理由を出させて、意見交流を図る。そして政権の歴史における意義を考える。

・発表する

【発表】
各グループの歴史の流れを発表し、自分の班の意見とは違う班の意見を聞き、議論し、考える

各班の意見を聞いて気付いたことや発見したことを書き込むように指示する。
異なる意見が出ない場合は、教師側から出して、意見の多様化をはかる。

【思考・判断・表現】
要因と関わりのある歴史上の出来事を見つけ、その関連性を自分の言葉で表現することができる。

○まとめ(5分)
・平氏政権の終わりについて考察する

【考察】
平氏政権の終わりと、その理由について考える。

なぜ平氏の政権が短期間で終わり、源氏が幕府を開くのか、課題意識を持たせる。

ワークシート

年表:清盛が生きた時代

単元「幕府政治の改革と農村の変化」(第2学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

webjirei_csh_vol002_07 言語活動を位置づけた学習活動を、地域の歴史を調べまとめていく学習を通して行い、郷土の歴史に対する関心を高め、幕政改革や藩政改革についての理解を深める。


1 目 標

  • 江戸中期の朝倉市の状況や藩の政策に興味・関心を持って意欲的に追究しようとする。
  • 黒田藩が行った政策について幕府の政策と比較しながら考察することができる。
  • 黒田藩の藩政改革について、地域の古文書や歴史書などの資料をもとに追究することができる。
  • 黒田藩の藩政改革や農村の変化について、その背景や結果をふまえて説明することができる。

2 「言語活動を位置づけた社会科学習」について

(1)学習の構想について

 今回取り組んだ学習は、近世江戸中期に本校の校区を治めていた黒田藩の藩政改革を題材としたものである。この藩政改革を通し、領内では産業の発達や教育の普及が見られ、またその際に奨励された商品作物の中には現在特産品となったものもある。そのひとつは校区内で生産され、生徒が1年生の総合的な学習の際に地域調べに訪れた川茸である。このことを教材に用いることで、生徒は本学習内容を身近なものとして感じることができ、学習課題に対する興味・関心を喚起できると考える。また、秋月黒田藩中興の祖と呼ばれ、藩政改革を進めた8代藩主長舒は、かの上杉鷹山の甥であり、この点も生徒の興味・関心を高めることができると考える。
 江戸時代中期は、貨幣経済の広まりや生活文化の変化による支出増、度重なる自然災害による農作物の不作などの原因から、幕府・藩ともに財政難に陥り、この財政難克服のための対策が行われていく時期である。このような経済システムの変化や政治方針の転換、農村の変化など変革の様子を身近な地域の具体的事象を通して、資料の読み取り、内容の考察、意見交流、探究の成果の文章によるまとめなどの言語活動を取り入れながら学習を進めていくことで、生徒の思考力、判断力、表現力を養い、学習内容の確かな理解と定着を図りたいと考える。
 また、新学習指導要領の「近世の日本」の学習内容・内容の取扱いの中でも「産業や交通の発達については身近な地域の特色を生かすようにすること」、「各地方の生活文化については身近な地方の事例を取り上げるよう配慮し」とあり、この時代の学習に適した題材だといえる。

(2)言語活動をふまえた学習活動について

 学習の各段階で、資料の読み取り、調べたことの交流、文章による学習のまとめなど、言語活動を位置づけた学習活動を仕組んでいく。

≪各段階での手立て≫

①つかむ段階
 江戸中期の秋月黒田藩領の飢餓のようすを記した古文書「望春随筆」の読み取りを通し、当時のようす(市内の飢饉の状況)を読み取らせ学習課題につなげる。
②見通しを持つ段階
 既習の学習(幕府政治の改革)をもとに、黒田藩はどのような藩政改革を行っていったのか予想させ、学習の見通しを持たせる。
③探究する段階
 資料を読み取り黒田藩の藩政改革について調べる。調べたことを4つの視点(政治・経済・文化・福祉)で整理し、改革について評価を行い、その評価を班や学級で交流させる。
④まとめる段階
 黒田藩の藩政改革について、政策の内容と、その結果、農村の変化について、4語連結の文章で表現する。

<古文書資料例>

webjirei_csh_vol002_01

資料1 『望春随筆』

webjirei_csh_vol002_02

資料2 『餘樂齋手記』倹約令

webjirei_csh_vol002_03

資料3 『餘樂齋手記』目安箱

(3)学習計画


学習活動・内容

指導のねらい・内容・方法

評価の観点
(方法)

つかむ

1.江戸中期の地域の様子を知る。
(1)川茸や葛について知る。
(2)江戸中期の黒田藩領内のようすを知る
●資料『望春随筆』等から黒田藩領内の飢饉のようすを知る。

●実物の川茸を提示し、パッケージから江戸中期から生産されていることに気づかせる。葛も同じ時期であることを確認する。
●地図から十文字中校区が秋月黒田藩と福岡黒田藩の領地だったことを確認させる。
●資料から黒田藩内のようすについて読み取らせ、飢饉の被害の大きさを感じ取らせる。
●飢饉をイメージできるよう以前提示した「天明飢饉之図」も掲示する。


見通す












探究する












まとめる

黒田藩の藩政改革を調べ、農村の変化について考えよう。

黒田藩の藩政改革の内容について知るとともに、視点ごとに整理しながら理解を深める。

黒田藩の藩政改革について資料をもとに意欲的に調べることができる。
(関・意)
〈様相観察・学習プリント〉

2.黒田藩の藩政改革について予想する
(1)当時の秋月黒田藩の財政について知る
●参勤交代、長崎警備、湯島の普請手伝いなどによる出費
(2)黒田長舒について知る
(3)黒田藩の取り組みを予想する

●家系図を確認しながら、黒田家、秋月家、上杉家の関係について確認させる。
●資料の中に線を引かせ、その後学習プリントにまとめさせる。
●資料から見つけ出したものを、学習プリントに視点ごとに整理し書き込ませる。

3.資料をもとに藩の取り組みを調べる
視点(政治、経済、文化、福祉)
●資料『餘樂齋手記』(古文書)『物語秋月史』『秋月を往く』
●学習プリントに記入する
●調べた内容を発表し黒田藩の政策について確認する

4.黒田藩の改革について考える。
(1)黒田藩の取り組みについての評価をする
(2)個人で評価したものを藩で交流しまとめる。
(3)班ごとにまとめたものを掲示し、学級で交流する
●班でまとめたレーダーチャートを黒板に掲示し、評価理由を交流し合う。
(4)資料から、黒田藩のその後の財政や農村の変化について読み取る。『国計亀鑑』『物語秋月史』
●藩政改革の成果
●長崎警備やお手伝普請による出費
●藩の借金

●班でまとめたレーダーチャートを黒板に貼り、評価の理由を班ごとに発表させる。
●黒田藩のその後の状況を記した資料を提示し、改革の成果について確認させる。

黒田藩の藩政改革についてレーダーチャートを使い評価することができる。
(思・判)
〈学習プリント〉

5.黒田藩の取り組みについてまとめる
(1)藩政改革について文章にまとめる。
●江戸中期の経済状況
●藩政改革の内容
●改革の成果と農村の変化

学習内容を整理し、地域への関心を高めることができるようにする。


黒田藩の藩政改革や農村の変化についてについて文章で表現することができる。
(技・表)
〈学習プリント〉

●学習したことをもとに、黒田藩の藩政改革について、4語連結文でまとめさせる。「江戸中期の朝倉市の状況は~黒田藩では~のような藩政改革を行ったが~農村では~」
●何人かの文章を発表させる。

3 学習の実際と考察

≪手立ての①≫
 つかむ段階で用いた、古文書「望春随筆」には当時の地域のようすが記してある。往来に死人が多かったことや、死んだわが子を川に投げ捨て、その亡くなった子の衣服を米と換えた母親の話などがあり、「天明飢饉之図」に描かれたような惨状が身近な地域でも見られ、生徒は興味深く学習していた。古文書の読解は難解すぎるので読み取れる文字を見つけさせ、あとは書き下し文を範読しながら内容を考えさせた。

≪手立ての②≫
 見通しを持つ段階で、黒田藩の藩政改革について予想させることについては、既習の幕政改革を想起させながら、それらの政策を参考に考えさせた。このことにより、幕政改革についてどのような政策が行われたのかも再度振り返えらせ、学習の理解を深めることができた。

≪手立ての③≫
 秋月黒田藩の郡奉行であった間小四郎の記した『餘樂齋(よらくさい)手記』にはさまざまな記録が残っており、興味深い資料であるが、古文書であるため生徒にとってすべての読解は時間的にも難しいため、その一部の原文を提示したり、書き下し文を提示したりしながら用いた。資料に対する生徒の関心を高めるため「目安箱」や「倹約令」などの幕政改革で見られた政策と同様のものや、校区内の地名が明記されているものなどを選んで提示した。また、それ以外には地域の歴史書から、藩政改革に関わる記述を提示し、どのような改革や政策が行われたのか調べさせた。これらの調べ学習により、幕政改革で行われたような政策が身近な地域でも実施されていたことに気づき、当時の幕政改革や藩政改革を身近なものとして捉えることができたと思う。
 また、この調べたことを4つの視点で整理し直し、レーダーチャートを使って改革の評価を行い班や学級で交流を行ったことは、内容や政策についての理解を深めるとともに、思考力や言語表現力を養う学習活動になった。
 レーダーチャートについては思考を可視化でき、意見交流する際の手立てとして効果的であった。

評価の理由としてあげたもの

<政治>
○間引き(捨て子)禁止令がよい。せっかく生まれてきた命を大切にすることになるから。
○倹約令や捨て子禁止令、目安箱など人々の事を考えている政策があるから。

<経済>
○新田開発がよかった。田をつくるのは大変だが、収穫量が上がるから。
○地方の藩でやったにしては多く取り組んでいる
●たくさんやっているのはいいが、あまり変っていない
●お金がないからと言って、藩札をたくさん発行するのはインフレにつながる。
●上米がだめだ。

<福祉>
○善行人の褒賞や、御救い米などを出したこと。
○囲い米などがいい。
○ききんの中、養育費の支給があるのはいい。
●養育費の支給や善行者の褒賞で余計にお金を使った。
●養育費の支給は必要ない。自分で育てるべき。

<文化>
○藩校(稽古館)をつくったのがいい。
○私塾を開設して武士の学力をあげようとしていることはいいと思う。
○●私塾をつくったことはよかった。しかし数が少ない。

≪手立ての④≫
 探究活動でまとめたプリントを参考にさせながら文章でまとめさせたが、学習を振り返らせることができ、理解の定着を図ることができた。

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資料4 探究活動の学習プリント

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資料5 学習プリント、レーダーチャート

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資料6 学習プリント、まとめ

4 成果と課題

この学習を通して以下のねらいを達成することができた。

  • 身近な地域の歴史を題材としたことで、生徒が今まで知らなかった地域の歴史を学ばせることができた。
  • 課題追求活動の中で意欲的に学習プリントでまとめをすることができた。
  • 黒田藩の藩政改革について、政治・経済・文化・福祉の4つの視点から整理し考察することができた。
  • 黒田藩が行った政策について幕府の政策と比較しながら考察し、また交流することで、黒田藩の政策に対する理解を深めることができた。
  • 学習活動を通して資料の読み取り、意見の交流、文章表現によるまとめなど、複数の言語活動を仕組むことができた。

一方で、不十分だった点は以下の点である。

  • 限られた時間の中で多くの資料を出したことにより、一部の難解な古文書資料などが(意欲的に)十分に読みこなせない生徒がいた。もっと資料の精選を行い、1つ1つの資料の読解をじっくりできるようすべきだった。
  • 地域の藩政改革の学習を通し、幕府の政治改革への理解を深めたかったが、藩政改革を通して幕政改革を見る視点を与えていなかったので、不十分であった。黒田藩の藩政改革と幕府の幕政改革の共通点や違いについて確認させるなどの活動が必要だった。
  • 農村の変化について、変化を捉える視点を明確に与えていなかったので、まとめの中に書き出させることができなかった。